【ディープテック × アカデミア人材のマッチングに成功】入社後1年でトップレベルと評価される博士・ポスドク人材の魅力とは?
課題
- 資金調達後、採用強化が重点課題に
- 社内の平均年齢が高く若手人材が不足
- 多様な人材を採用する中、アカデミア人材に注目
導入の決め手
- 博士・ポスドク人材の紹介に強みがある
- アカデミア人材を新卒・第二新卒で採用できる
- 博士号を持つ社員の活躍事例があった
効果
- ロボットエンジニアリング職で採用に成功
- 自社アプローチや他媒体で出会えない人材とマッチング
- 早期活躍で、入社後1年で社内トップレベルの評価
株式会社センシンロボティクスはAI、ロボット、IoTなどの最新テクノロジーを活用した社会インフラDXソリューションの提供をおこなっています。同社ではシリーズCラウンドの資金調達を完了後、事業拡大に向けた若手層の採用・組織づくりに取り組み始めました。注力ターゲットとしては親和性の高い「アカデミア人材」の採用に取り組む中で、一般的な採用媒体では接点創出に課題がありました。そこで、博士・ポスドク人材の紹介に強みを持つ人材紹介エージェントサービス「アカリクキャリア」を利用し、他媒体では出会うことが難しかった人材の採用に成功しました。今回は入社後1年でトップレベルに評価される博士・ポスドク人材の魅力と、そのポテンシャルを最大限に引き出す秘訣について、取締役副社長 CFOを務める塚本様にお伺いしました。
事業拡大フェーズで直面した「採用コスト」と「若返り」の壁
ーー当時の貴社における採用状況についてお聞かせください。
ソフトウェア開発企業として「人材」を最重要視する一方、役員などからのリファラル採用だけでは限界を感じ、エージェント中心の採用活動を行っていました。しかし、特に年収の高い人材の採用コストがキャッシュフローを圧迫するという、スタートアップならではの課題に直面していました。
そこで、コストカットを目的に安価な採用媒体の活用へと舵を切りましたが、利用媒体と採用管理システムに登録されたエージェントが100社近くにまで膨れて運用が困難になった背景から、現在は「量より質」を重視しています。現在は採用実績のある大手の媒体や、アカリクのような特定分野で強みを持つエージェントを20社程度に厳選しています。
ーー採用を強化された背景・当時の課題などを教えてください。
背景としては、2020年にシリーズCラウンドの資金調達が完了し、採用を強化してチームを大きくしていく段階でした。そのタイミングで多くのエージェント様とのお付き合いを開始し、採用媒体も一気に増やしました。採用チームも組成し、多様な人材を集めていく時期でした。当時の大きな課題としては、社員の平均年齢が37歳と比較的年齢層が高いメンバーが多かったことです。そのため、新卒や第二新卒といった若手層を増やしていく狙いがありました。
ディープテック領域で高い親和性がある「アカデミア人材」という選択肢
ーー若手の採用を目指す中で、なぜ「アカデミア人材」に着目されたのでしょうか。
多様な人材を採用していく方針の中で、かねてから注目していたのがアカデミア人材でした。当社の事業はロボットやAIを扱うため、アカデミアで研究経験のある人材とのシナジーが非常に高いと考えています。
その考えが確信に変わるきっかけは、社内で既に活躍していた博士号を持つメンバーの存在でした。特に、とある研究開発機構から転職してきたメンバーの貢献は目覚ましいものがありました。彼は、最先端の論文をいち早く読み解き、その内容を誰にでも分かるように噛み砕いて社内で共有してくれる。さらには、お客様との技術的な対話の場で、専門家として最新技術の動向を的確に提示し、プロジェクトを力強く推進してくれたのです。彼の姿を見て、『学術的な知見が深く、自ら情報をリサーチし、事業価値に転換できる人材をもっと増やしたい』と強く思うようになりました。これが、若手のアカデミア人材採用へと舵を切る直接のきっかけです。
ーーアカデミア人材の採用において課題などはございましたか。
最大の課題は自社だけでアカデミア人材にアプローチすることが非常に難しかったことです。そもそも、私たちのようなスタートアップが学生や研究者の方々と接点を持つこと自体に、まず大きなハードルがありました。
チームメンバーの出身大学や繋がりのある研究室に直接声をかけるといった地道な活動も試みましたが、知名度の低さがネックとなり、採用まで結びつけるのは困難でした。やはり多くの学生は、安定性や知名度のある大企業を志望する傾向が強いと感じています。

アカリクの人材紹介で「早期活躍する博士人材」の採用に成功
ーー弊社の人材紹介サービスをご利用いただいた背景を教えてください。
アカリクにご相談させていただいたのは、「博士・ポスドク人材」の紹介に強みを持っていたからです。若手層の獲得という課題にも合致し、他の媒体経由で接点を増やしていくこと、私たちから直接アプローチすることが難しい層とマッチングいただける点に期待し、利用開始いたしました。
ーー人材紹介サービス利用開始後の成果・実績はいかがでしょうか。
アカリクの紹介を通じて、1名の博士人材(Tさん)がロボットエンジニアリング職で24年新卒として入社してくれました。当初はターゲットど真ん中の技術に関わる専攻・研究内容というわけではありませんでしたが、ロボティクス分野の技術の基礎を持っていることから、スピード感を持ってキャッチアップすることで研究職として活躍できると感じました。実際に、採用から入社後1年という短い期間で早期に活躍を見せており、ロボティクス分野において当社内でトップレベルと評価しております。
ーーTさんが入社後すぐに活躍できた要因はどういった部分にあったのでしょうか。
私たちの試用期間は3ヶ月ですが、Tさんは入社後わずか1ヶ月ほどでチームに溶け込み、自らの役割を見出して主体的に動いていました。試用期間が終わる頃には、彼の活躍ぶりや評判の高さが私の耳にも届くほどで、キャッチアップのスピードが特に際立っていました。
また、彼の強みは技術力の高さだけではありませんでした。週に一度の全社共有会で成果発表の場を設けているのですが、専門的で難しいテーマを、バックオフィスや営業といった専門外のメンバーにも分かりやすく伝える能力に長けていました。実際にお客様への提案時にも、この能力を活かして活躍してくれています。特にロボット領域では、インフラ企業の研究開発部門から予算を獲得するために納得していただく必要がありますが、彼の説得力のあるプレゼンテーションが、実利に結びついたケースも少なくありません。
ーー弊社エージェントからのサポート内容への印象はいかがでしょうか。
エージェントの方々の存在は非常に大きかったと感じています。私たちが直接アプローチしても響かない層に対して、「この会社には、こんな魅力や先進性がある」という第三者視点からの客観的な推薦や、熱心な働きかけで候補者を惹きつけてくれました。中々振り向いてもらえない候補者との橋渡し役を担ってくれるパートナーだと実感しています。

アカデミア人材の魅力は専門性だけじゃない。専門外であっても早期活躍できるワケとは
ーー企業視点から見て、アカデミア人材の魅力はどういった点にあるとお考えでしょうか。
博士・ポスドク人材の強みとして「専門性」がすぐに思いつきますが、研究を通じて培われる汎用的な能力「トランスファラブルスキル」も強みだと考えています。Tさんはまさにその好例でした。彼の研究テーマはWeb系で、配属されたロボティクス分野と専門分野が一致していたわけではありませんでした。しかし、彼は技術的な基礎がしっかりしており、最先端の論文を読み解き、それを実務に落とし込む上で「トランスファラブルスキル」を存分に発揮し、入社後から驚くべき速さで活躍を見せてくれました。
何か新しいこと、例えば「全く異なる領域の課題にチャレンジしてほしい」と依頼しても、本質を捉え、解決へと導く力がある。これは、研究で培われた課題設定能力や論理的思考力の賜物だと思います。事業領域をピボットすることも少なくないスタートアップにおいて、「このスキルしかありません」という人材よりも、基礎能力を応用し、抽象化して横展開できる人材こそが、会社の変化に対応し長く活躍してくれる。博士・ポスドクの方々は、まさにそういった存在だと実感しています。
ーー強み・魅力についてお伺いしてきましたが、アカデミア人材が企業で直面する課題についてはいかがでしょうか。
アカデミアでの研究生活が長かった博士・ポスドク人材が企業で直面する課題はあると思っています。例えば、リモートワーク下での勤怠報告や経費精算といった、いわゆる「報連相」に関わる業務を後回しにしがちな部分はあるかもしれません。研究に没頭する中で、こうした業務が必要となる場面が少なかったのかもしれません。しかし、これは人事やバックオフィスが根気強く伝えることで改善できる、些細なデメリットに過ぎません。
こうした細かな課題を補って余りあるメリットがあります。企業側がその特性を理解し、適切にサポートすることで、アカデミア人材が早期に強みを発揮して大きな戦力となってくれると感じています。
アカデミア人材を後押しできる会社へ。アカリクには「アカデミア×スタートアップの架け橋」になることを期待
ーー今後の博士・ポスドク人材に対して期待していることがあれば教えてください。
私としては、ずっとアカデミアに留まるのではなく、一度スタートアップや起業を経験し、もし違うと感じたらまたアカデミアに戻るというキャリアパスがあっても良いと思います。逆に、スタートアップのメンバーがアカデミアに行くという流れもあって良いはずです。
以前、R&Dのメンバーから、会社の経費で大学院に通いたいという要望があり、かなり議論しました。さらに、会社の業務とは直接関係のない分野を研究したいとのことでした。残念ながら、当時の会社の体力では難しく、制度化には至りませんでしたが、会社が成長したら、大学で研究することも勤務の一環として認められるような、人材が交流できる社会になれば良いですし、私たちもそれを後押しできる会社でありたいと思っています。
ーー今後のアカリクに期待することなどがあれば教えていただけますでしょうか。
アカデミアとスタートアップ企業の架け橋となって欲しいです。個人単位の就職斡旋だけではなく、関連する研究室との結びつける働きがあると良いのではないかと考えております。
現状は、属人的であり、出身大学や研究室としかコンタクトできない部分があるため、国内だけでなく、海外等も含めて事業軸でアカデミアとスタートアップや起業を結びつけていただけると嬉しいです。
