エントリー数が1年で3倍に。アカリクラウンジ×スカウトで確立した地方理系採用の勝ち筋とは?

課題
- ニッチ業界で、学生・大学からの認知が不足
- 年間100名規模の採用で、機電系の母集団形成に苦戦
- 研究開発を担う博士人材へのアプローチ
導入の決め手
- 職種・専攻を絞って理系院生にアプローチできる
- 地方大学の理系学生と、学内で接点が持てる
- 学内ラウンジで自社の「色」を出せる
効果
- 26卒・27卒で8名ずつ採用(博士3名、機電情8名)
- アカリクラウンジ設置大学からのエントリー数は1年で約3倍(34→95)
- 27卒ではスカウト⇔ラウンジで接触した3名が内定承諾
東洋製罐グループホールディングス株式会社は、金属・ガラス・プラスチック・紙と多様な素材を扱う総合包装容器メーカーです。2021年卒採用から、ホールディングスに加えて事業会社6社を含めたグループ採用へ転換し、毎年100名規模の採用を行っています。一方、包装容器という業界の特性から学生の認知が広がりにくく、特に機械・電気系の母集団形成と、研究開発を担う博士人材への接点づくりが課題でした。
そこで同社は、理系院生に特化した求人掲載・スカウト「アカリク」を導入し、その後、アカリクラウンジ、アカリクイベントなど利用範囲を広げました。結果、アカリク経由で2年連続8名を採用し、アカリクラウンジ設置6大学からのエントリーは1年で約3倍になりました。アカリクラウンジとスカウトをどのように組み合わせ、地方の理系学生との接点を広げてきたのか。技術系採用を担当する飯田様、松浦様、西様の3名にお伺いしました。
・飯田様:技術系採用全般および研究開発部門の採用を担当
・松浦様:技術系採用のうち、生産技術・品質保証など製造現場に近い職種の採用を担当
・西様:技術系採用のうち、知的財産部門と山口県に拠点のある鋼板・機能材料関連事業を担当
アカリクラウンジとは
大学キャンパス内に設置された大学院生・理系学生向けの会員制コミュニティスペースです。研究の合間に気軽に立ち寄れる「学内」という立地を活かし、学生の日常動線上で自然な接点を創出します。ラウンジ内での求人掲示や対面イベントなどを通じて、多忙な優秀層への認知拡大から母集団形成までをご支援いたします。

業界自体の認知形成と、機電系や博士人材の母集団形成が課題に
ーー新卒採用の体制について教えてください。
飯田様: 弊社は持株会社として、事業会社6社などを含めたグループ採用を行っています。新卒採用を開始したのは2021年卒入社からです。それ以前は各事業会社が個別に採用していたため、学生が複数の会社にまたがって選考を受けるケースもありましたし、事業会社ごとに採用人数や採用力に偏りが出ていました。グループ採用に切り替えたことで、採用した学生をグループ全体の人材として捉え、配置を最適化できるようになりました。
ーー採用人数と、技術系採用の担当体制はいかがでしょうか。
飯田様: 近年は事務系・技術系を合わせて100名規模の採用計画です。25卒は93名、26卒は118名、27卒は95名程度で、事務系と技術系の比率はおおよそ4対6です。その中で、技術系採用は3名で領域を分けて担当しています。私は技術系全般と研究開発部門を中心に見ています。
松浦様: 私は技術系職種のなかでも、生産技術や品質保証など、現場に近い職種を中心に担当しています。
西様: 私は技術系採用のうち知的財産部門や山口県にある鋼鈑・機能材料事業の領域を担当しています。
ーーーーどのような学生を求めていますか。
飯田様: 大前提として、各事業会社の継続的な発展、ひいてはグループの発展に貢献し、持続可能な社会やより豊かな生活という形で社会に還元できる方です。
特性としては、自ら考えて主体的に行動できる方、問題意識を持って粘り強く取り組める方、手を動かすものづくりが好きな方を求めています。
専攻は幅広く見ていますが、特に採用人数の多い機械・電気系と化学・材料系が選考の主軸です。職種も研究、開発、生産技術、品質保証と、理系全般にわたって求めています。
ーー当時、どのような採用課題がありましたか。
飯田様: 前提として、私たちはニッチな業界です。包装容器は生活に欠かせないものですが、学生が就職先として思い浮かべやすい業界ではありません。そもそも業界自体の認知が不足しており、それに紐づいて母集団形成にも課題がありました。
特に不足していたのが機械・電気系の学生です。また、研究開発を担う博士人材も採用したいと考えていましたが、他の採用施策・媒体では直接アプローチする手段がありませんでした。
理系院生に強いアカリクで、スカウトだけでなく学内ラウンジも
ーーアカリクを導入した経緯を教えてください。
飯田様: 業界、そして自社の認知不足に加え、機電系の母集団不足、博士人材のニーズが出てきたという背景から、理系学生・大学院生に特化しているアカリクに相談し、求人掲載やスカウトから導入を進めました。
ーー求人掲載やスカウトには何を期待していましたか。
飯田様: 研究開発・0→1を担えるような博士の方も含めて採用したいと考えていたところ、アカリクの登録者は修士・博士が中心と伺っていましたので、研究開発を中心に、優秀な方と出会えることを期待していました。実際に使ってみると、利用している学生が研究熱心で真面目、スカウト承諾後のレスポンスが良い点も助かっています。
求人掲載については、職種ごとに複数求人を立てられる点が良いと感じています。研究開発、生産技術、品質保証と、学生の専門性や志向性に応じて応募先や訴求が分けられます。
ーーアカリクラウンジには何を期待していましたか。
飯田様: 地方大学との接点です。弊社は実直で真面目な地方学生との相性が良いだろうと社内でも話していました。一方で、業界がニッチなだけに、地方大学・地方学生からの業界や自社の認知不足が課題でした。
具体的な大学例としては、高専出身の学生が多い長岡技術科学大学や、鋼板・機能材料事業が山口県にあることから広島大学からの認知を高め、関係を深めたいと考えておりました。
その中で、アカリクが学内でラウンジスペースを運営していると伺い、学生の認知形成や接点創出ができるだけでなく、大学との関係も深めることができる点から、導入を決めました。
ーー導入前の想定と、実際に違いはありましたか。
飯田様: 当初は研究開発を中心に採用したいと考えていましたが、蓋を開けると学部生の方もいらっしゃいましたし、生産技術や品質保証の職種でも採用できています。これは嬉しい誤算でした。

学内での掲載やノベルティ設置で認知づくり。スカウトとの連動で対面接触も
ーー普段、アカリクラウンジをどのように活用していますか。
飯田様: 全拠点で共通して行っているのは、サイネージや掲示板にイベント情報を掲載して認知してもらうことです。加えて、アカリクラウンジにはノベルティの設置ができるとのことで、当社が扱っている缶やペットボトル、ガラス瓶、紙コップなどを置き、その横にパンフレットを置いて目を引くようにしています。ある種、草の根活動的な形で学生の認知を進めています。
学生との接点という面では、大学ごとに担当を分けています。私が長岡技術科学大学、松浦が奈良先端科学技術大学院大学と奈良女子大学、西が広島大学です。長岡技術科学大学では、夏のインターンシップに参加した学生のフォロー面談をラウンジで行ったり、常駐している際に来た学生に声をかけて説明したり、「この日時に東洋製罐グループを知れるイベントを開催します」と案内してイベントで接触したりしています。
ーーアカリクラウンジの中では、どのように学生とのリアルな接点を持っていますか。
飯田様: 事前にアカリクでスカウトを送り、実際にラウンジに来ていただいて個別面談を実施するケースがありました。また、アカリクラウンジのスタッフから学生に「聞いてみない?」と促していただき、接触機会を持てたこともあります。
松浦様: アカリクラウンジのスタッフには学生だけでなく、キャリアセンターの先生へのご挨拶に同行いただいたことも大きかったです。その後、応募者が増え、先生から直接学生をご紹介いただくことにもつながりました。アカリクラウンジをきっかけに、その大学を訪問できる機会が増えたことが大きかったと思います。
ーー早期に接点を持った学生が離脱しないように、工夫していることはありますか。
飯田様: ただ会うだけではなく、「インターンシップや拠点見学はどうですか」と、次につながる動線を設計したうえで案内しています。実際に、アカリクラウンジをインターンシップに来ていただいた学生と繰り返し接触する場としても使っています。リクルーター制度のようなところまではできていませんが、学校に行くきっかけ、気になっている学生に会うきっかけにはなっています。
ーースカウト運用で工夫していることを教えてください。
飯田様: スカウトを送る対象は、基本的に機械・電気・情報系にほぼ絞っています。化学・生物系の方には当社から「いいね」を送り、学生側の興味を起点にエントリーを促しています。限られた運用リソースは機電系に集中させ、化学・生物系はこちらに興味を向けてもらう設計です。
もう1つは、ただスカウトを送るのではなく、イベントやラウンジなど、接続先をしっかり準備したうえで送ることです。「インターンシップに参加してみませんか」「その前の説明会に参加してみませんか」と、比較的ハードルの低いものを設けて、イベントへの動線が引かれた形で送っています。

アカリクラウンジ設置大学のエントリーは34名から95名へ。ラウンジ×スカウトで採用に成功
ーーアカリクを通じた採用実績を教えてください。
飯田様: アカリク全体で、26卒・27卒で8名ずつ採用に成功しました。当初の目的だった研究開発では、26卒で博士2名と機電情系5名、27卒で博士1名と機電情系3名、生産技術も含めて採用できました。これまでアプローチできていなかった博士の採用が可能になったこと、研究熱心でまじめな学生にアプローチできるようになったことが大きな成果です。
ーーエントリー数にも変化があったと伺いました。
飯田様: アカリクラウンジが設置されている6大学の合計で、26卒のエントリーが34名だったのに対し、27卒は95名まで増加しました。特に増えたのが奈良女子大学で、26卒の4名から27卒は17名と4倍以上になりました。
28卒については、2つのイベントに参加したこともあり、7月の段階で46名のエントリーがあります。26卒の合計を7月時点で超えており、私たちも驚いています。
27卒からこれだけ増えているのは、ラウンジとスカウトを組み合わせた効果だと考えており、実際に、アカリクラウンジで接触した3名が内定承諾しました。
ーーアカリクラウンジとスカウトを併用する効果を、どのように感じていますか。
飯田様: 結論から言うと、相乗効果があります。27卒では広島大学の博士の方に、こちらからスカウトを送り、ラウンジでお会いしました。その後、当グループの拠点見学に来ていただき、内々定承諾につながりました。長岡技術科学大学の機械系の学生は逆で、ラウンジをきっかけにお会いした方にスカウトを送り、そこから当社のイベントや選考に参加をいただきました。
ラウンジで認知してもらってスカウトにつなげる場合と、スカウトを送ってラウンジで会う場合、両方が良いスパイラルになっています。ラウンジで東洋製罐グループを知っていれば、就職活動が始まってスカウトが届いたときの承諾率も高まると想定しています。ラウンジを使うなら、スカウトも併用した方が効果は上がると思います。
西様: これまでは、当社に興味を持ってエントリーしていただいた方に対してイベントをするのが中心でした。ラウンジを使えるようになったことで、「東洋製罐グループのことはよく知らないけれど、スカウトをもらったから来てみました」という方にイベントができました。こういう会社もあるのだと知っていただく機会を持てたこと自体が新鮮でしたし、普段実施している企業説明会よりも熱量の高い学生に参加いただけた印象です。
ーー費用対効果はどのように評価していますか。
飯田様: 当社では1人あたりの採用単価を50万円程度と見ています。今回ラウンジで接触した3名が採用につながっており、エントリー数も大きく増加している背景から、確かな費用対効果を実感できています。他社の学生コミュニティサービスも並行して利用していますが、費用対効果としてはアカリクラウンジが大きく優れています。
ノベルティの設置などの要望にもスピーディにご対応いただき、ラウンジの利用をブラッシュアップできています。他社では、ポスター掲示やパンフレット設置などの運用規定が厳しいこともあり、大学内でありながら柔軟性を持ったサポート体制もアカリクラウンジの強み・特徴だと感じています。
アカリクラウンジで採用できた博士人材は現場からも高い評価
ーー各大学で接点を持った学生には、どのような印象を持ちましたか。
飯田様: 長岡技術科学大学は、機電系と生産技術に近い領域を学んでいる方が多く、高専出身者も多いため、当初から最重点のターゲットにしていました。実際に行ってみると真面目で実直な方が多く、多くの企業を幅広く見るというより、出会った企業を大切にして選考を受けてくださる学生が多いです。当社の社風とマッチする学生が多いと感じています。
松浦様: 奈良先端科学技術大学院大学は修士以上の方しかいませんので、研究に対する素養や理系的な知識のベースができている方が多いです。奈良女子大学では、理系の方でも幅広くキャリアを考えている方が多いと先生から伺っていましたので、研究職・開発職・事務系職種と幅広い選択肢を提示できています。
西様: 広島大学は、修士まで進む前提で、学部のうちに就職活動の情報収集をしておきたいという熱心な方が多い印象です。認知していただくきっかけにもなっているので、就活を始める際に当社を選んでいただけるようコミュニケーションを継続していきたいです。
ーーアカリクを通じて博士人材を採用した後の評価はいかがですか。
飯田様: 私は25卒から採用に携わっており、これまで8〜9名の博士の方を採用してきました。現場から話を聞いてみると、一般にイメージされるような研究一筋の方というより、自身の研究内容を軸に持ちながら他の分野にも興味を持って取り組む柔軟な方が多く、それがプラスに働いています。
研究力の面でも、博士の方は3年以上、自分でテーマを探して研究してきていますので、現場からは即戦力として物事を推進してくれると高い評価を受けています。コミュニケーションに加えて、実務遂行能力も高いと感じています。新卒と中途の間に位置しながら、ファーストキャリアとして当社に帰属意識を持っていただけるのは、私たちとしても嬉しいところです。
ーー大学院生と学部生では、違いを感じる部分はございますか。
西様: コミュニケーション能力については学部・修士を問わず、積極的にお話しいただけている印象です。
松浦様: 技術的な面では差が大きく出ると感じます。大学院生の方は教授とのやり取りや外部での発表の場を経験しているので、そういった力を大学時代に身につけている方が多いです。
アカリクラウンジのスタッフが、地方大学・地方学生との関係構築を後押し
ーーアカリクラウンジを利用するなかで、印象に残っているエピソードを教えてください。
飯田様:私は長岡技術科学大学が印象的でした。
当社の研究部門のサマーインターンシップに参加いただいた電気系の学生とラウンジでフォローアップ面談を行ったところ、本人は生産技術系の職種をしていたことがわかりました。この面談がきっかけで別のイベントに参加いただいたことで、内々定承諾につながりました。
アカリクラウンジの学生スタッフが大学祭の実行委員で、そのつながりで、今後は長岡技術科学大学の大学祭にも参画できることになりました。
松浦様: 私は2つあります。
1つは、アカリクが大学との関係性をしっかり築いているからこそ、私たちもここまで恩恵を受けられているということです。ラウンジに出ている一企業というより、アカリクがつないでくださったから話を聞いていただける。奈良先端科学技術大学院大学と奈良女子大学では特に強く感じましたし、当社の信用度も上げていただいていると感じています。
もう1つは、長岡技術科学大学でラウンジ経由で内定した学生から聞いた話です。学生側も、ラウンジに出ている企業について「ここはぶっちゃけどうなんですか」とスタッフの方に聞いていたそうです。そこでスタッフの方が「実はこういう会社で、結構いいところだよ」と話してくださっていました。企業側ではない第三者からの評判として広めていただいていたのは、ラウンジに出て良かったと思えるポイントでした。
ーー最後に、今後のアカリクラウンジの活用や期待についてお聞かせください。
飯田様: アカリクラウンジを活用した更なる採用成功に向けて、現状は私たち3名で運用していますが、今後は西日本に駐在するメンバーが1名加わる予定です。奈良先端科学技術大学院大学、奈良女子大学、広島大学には、これまでより足を運びやすくなると考えています。スタッフからのご紹介も非常に有効だと実感しておりますので、各ラウンジとの連携をより深めていきたいです。
松浦様: 口コミや第三者からのおすすめは、今後も増やしていただけると非常に助かります。
西様: 広島大学では、認知のきっかけはできてきているので、これからは応募にしっかりつなげていきたいと思っています。
