理系大学院生の就職先として、真っ先に思い浮かぶのは研究職かもしれません。しかし、研究職に就けるのは一部の学生のみであり、実際には多くの理系院生が研究職以外の職種で活躍しています。
本記事では、研究職以外の職業について紹介します。理系院生の皆さんが就職先の選択肢の視野を広げる参考にしてください。
理系院生の就職先とその就職状況について
令和3年度の「学校基本調査」をもとに、修士課程の職業別就職者数をみてみると、理学、工学、農学、保健などの学問分野では、研究者や技術者、教員、医師、保健師などを含んだ「専門的・技術的職業従事者」の割合が多くなっています。
就職者に占める割合でいうと、理学では約83.0%、工学では約90.9%、農学では約71.8%、保健では約88.3%が「専門的・技術的職業従事者」となっています。
「研究者」に注目してみると、「専門的・技術的職業従事者」の中でも理学では約11.9%、工学では約5.3%、農学では約18.6%、保健では約10.7%と、大学院を修了したからといっても必ずしも研究者になっているわけではないようです。
それでは、理系の院生が実際は研究職以外にどのような職業に就いているのでしょうか。
これからいくつかの仕事を紹介していきます。
参考:文部科学省「令和3年度学校基本調査」(高等教育機関《報告書掲載集計》/ 卒業後の状況調査 / 大学院 / 表82)
研究職以外の職業
研究職以外の職業として、以下の職業について紹介します。
- 開発職
- システムエンジニアなどのIT職
- アクチュアリーなどの金融専門職
- 専門商社営業職
- IT系・戦略系コンサルタント
- 公務員
- 専門外就職
開発職
ここでいう開発職とは、IT職以外のエンジニアを指します。
エンジニアはさまざまな分野の主に工業製品や産業機器の設計や製造・生産管理などの開発に携わっています。
メーカーでは、社内の研究所の研究員とは明確に区別しているところも多く、研究員は理系大学院修了者が中心ですが、開発職は理系大学院修了者と理系学部卒が混在し、その比率はさまざまです。
また、開発職でも、生産管理などの生産現場に近い役割だけではなく、先行技術開発と呼ばれる、研究所での研究を一段開発側に落とし込んだ部署なども存在し、実際の仕事は研究職に近いポジションもあるので、応募の際には自分の希望・適性に合わせてどのポジションかをしっかり見極める必要があります。
システムエンジニアなどのIT職
いわゆるソフトウェア開発を行うシステムエンジニアなどのIT職にも理系大学院修了者の採用が多くなっています。
従来、システムエンジニア職というと顧客の必要とするものを打ち合わせしながら言語化し整理する作業のウェイトが大きかったため、文系学部卒も多く採用されていました。
しかし、近年では、ビックデータやAIなどの数学的な思考力を重要視するポジションでの求人が増えているため、技術や理論にも理解のある理系大学院修了者の活躍の場が特に増えてきています。
また、ネットワークやセキュリティ分野の重要性も高まっているので、「研究室ではネットワーク管理をしていた」、「学生時代に研究でプログラミングをしていた」、「大量の研究データを統計的に処理していた」といった経験も新卒時の就活では有利になることがあります。
アクチュアリーなどの金融専門職
アクチュアリーとは、確率論や統計学を用いて保険や年金、金融商品のリスク評価を行う数理専門職です。日本では「日本アクチュアリー会」の資格試験に合格することで、正式なアクチュアリーとして認定されます。
アクチュアリーはAIやデータサイエンティストの素養と共通する部分も多く、理系院生の持っている数理的思考力が発揮される職業のひとつです。
また、アカリクでは以下の記事でアクチュアリーに関して紹介しています。
専門商社営業職
IT業界、計測機器メーカー、医療機器メーカーなどを扱う専門商社にも理系院生が営業職として在籍しています。
メーカーに所属する技術営業やセールスエンジニアと近いイメージかもしれません。
一般の商社に比べて、専門商社が扱う製品の顧客は高い専門性を持っている場合が多く、対等に話をするには理系院生の専門性が必要になります。
IT系・戦略系コンサルタント
コンサルタントの中でも、IT分野に特化した専門職が存在し、近年企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する取り組みなどによって、人材の需要が増してきています。
後述の国家資格である情報処理技術者試験の中でもより高度で専門的な試験に合格していると、かなり有利になることがあります。
ただし、大学院生のうちにこれらの実務に近い専門スキルを磨くのはなかなか難しい面もあるので、就活の際は、基本情報処理技術者のようなベースとなる資格を取っておき、将来的に、高度な専門スキルの獲得を目指していることをアピールするのもよいでしょう。
公務員
文系のみならず、理系院生の就職先としても人気なのが公務員です。
中でも、理系院生の公務員の就職先で多いのは、国家公務員と地方公務員の技術職採用です。
技術職採用といっても、化学系、農学系、土木系など、分野によっても仕事内容が大きく違いますので、自分の専門分野を活かせそうな仕事に応募する必要があります。
試験科目も異なる場合がありますので、事前によく募集要項などを見比べて応募することをおすすめします。
ここでは、研究職の公務員ではなく、事務系または技術系としての採用の場合について説明しました。
研究職の公務員については、以下の記事も参考にしてください。
専門外就職
専門外就職とひとくちに言っても実際には多岐にわたりますが、どのような分野であっても後述する数理的思考力などの理系院生の強みとなる能力はアピールポイントとなりえます。
就職後は同僚や上司、先輩の専門が異なる環境になるため、分野を超えたコミュニケーション能力を備えておく必要があります。
理系院生の経験を活かせる専門外就職の例として、理系分野の教科書や教材、IT関連書籍を扱う出版社の編集部などが該当します。
実は、このような業界は、専門の編集部のメンバーは皆理系大学院修了者だったということも珍しくありません。
一見特殊なようですが、理系院生の強みとなる能力や経験を活かせる場としておすすめです。
また、そのほかにも理系大学院修了者のバックグラウンドを活かせる専門外就職として、科学技術の専門的な知識を一般の人にわかりやすく説明するサイエンスライターやサイエンスコミュニケーターといった仕事もあります。
専門外就職については、以下の記事も参考にしてください。
研究職以外を選択するメリット・デメリット
ここでは、理系院生が研究職以外の職種で得られるメリットとデメリットについて分かりやすく解説します。
研究職以外を選択するメリット
研究職に限定せず就職活動を行うことで、理系院生ならではの強みを活かせる新たなキャリアの選択肢が広がります。
研究職以外の職種を選択するメリットは、次のとおりです。
- キャリアの選択肢が広がる
- 専門外の分野でも理系の強みを活かせる
- 給与・働き方の多様性がある
それぞれのメリットについて具体的にみていきましょう。
キャリアの選択肢が広がる
研究職以外にも目を向けることで、自分に合ったキャリアの可能性が大きく広がります。
メーカーの開発職や技術営業、IT業界のシステムエンジニア・データサイエンティスト、さらには金融業界のアクチュアリーやコンサルタントなど、理系で培った分析力や課題解決力が求められる職種は多数あります。
また、多くの理系院生は「研究職に就くのが当たり前」といった固定観念を持ちやすい傾向があります。しかし、実際には研究職に就く人はごく一部です。
多くの卒業生が研究職以外の道で力を発揮しており、研究職を選ばなかったからといって、キャリアの失敗というわけでは決してありません。むしろ幅広い業界を見渡すことで、自分のライフスタイルや将来設計にマッチした職場を選びやすくなるでしょう。
専門外の分野でも理系の強みを活かせる
理系院生が研究職以外に進む場合でも、大学・大学院で培ったスキルや知識は、異なる業界で強みとして活かせます。
たとえば、営業やコンサルティングの現場では、論理的思考力やデータをもとにした説明力が評価されます。また出版社や教育関連の企業では、複雑な理系知識をわかりやすく伝えるスキルが評価される場面もあるでしょう。
さらに、研究で鍛えた「課題発見・解決力」は、業界を問わず問題解決型人材として高く評価されるため、専門外であっても活躍のチャンスが期待できます。
給与・働き方の多様性がある
研究職以外の職種を選ぶと、働き方や給与の選択肢が広がるのも大きな魅力です。
たとえば、フレックスタイム制やリモートワークを導入している企業もあり、自分の生活に合わせた柔軟な働き方を実現できます。プロジェクトごとに動く仕事や成果主義の職場では、在宅勤務や時間を調整して働くことも珍しくありません。
また、給与面でも研究職と同じくらい、あるいはそれ以上を期待できる場合があります。技術営業やコンサル、金融関連の仕事では、成果や専門性がきちんと評価されるため、ボーナスやインセンティブによって収入が上がることもあるでしょう。
このように、働き方や報酬の選択肢が多いことは、理系大学院生にとって就職活動の安心材料となります。自分のライフスタイルや将来のキャリアに合わせて職場を選びやすいのは大きなメリットです。
研究職以外に進むデメリット
研究職以外のキャリアには多くの可能性がありますが、その一方で注意すべき点もあります。研究職以外に進む際に想定される代表的なデメリットは、次のとおりです。
- 専門知識を直接活かせない恐れがある
- キャリア初期は「学び直し」が必要になることも
それぞれのデメリットについて、具体的にみていきましょう。
専門知識を直接活かせない恐れがある
大学院で身につけた専門知識や研究スキルが、必ずしもそのまま業務に直結するとは限りません。たとえば、生物学の実験手法や工学の理論を学んでいても、入社した会社が求めるのは別の知識や技術である場合があります。
そのため「せっかく学んだことが無駄になるのでは」と不安に感じる院生も少なくありません。
ただし、専門そのものが活かせなくても、研究で培った論理的思考力・データ分析力・問題解決力はどの業界でも評価されます。大切なのは「知識」ではなく「考える力」をどう発揮できるかを伝えることです。これができれば、専門と違う分野でも十分に強みとして認められます。
キャリア初期は「学び直し」が必要になることも
研究室での研究をベースにキャリアを考えるほど、未知の業界や職種に飛び込む不安は当然あります。「プログラミングの経験がない」「業界特有の用語や仕組みに慣れていない」といった悩みを抱えがちです。
ただし、企業側も新入社員が最初から即戦力になるとは考えていません。実務に必要な知識やスキルは、採用後の研修やOJTなどが整っています。必要な知識やスキルは入社後に学べるようになっているため、過度に心配しなくても問題ないでしょう。
大切なのは、学び直しを「壁」ではなく「成長のチャンス」ととらえること。最初は戸惑うことがあっても、学びを積み重ねるうちに仕事の流れや考え方がわかり、確実にできることが増えていきます。その過程で、自分の可能性が大きく広がっていると実感できるはずです。
【専攻別】理系院生におすすめキャリアパス
理系大学院生といっても、専攻によって習得しているスキルや活躍できる分野は大きく異なります。工学、情報、生命科学、物理・数学など、それぞれの専攻には企業から求められる役割や強みがあり、就職先の選択肢も変わってくるものです。
ここでは、専攻別におすすめのキャリアパスをご紹介します。
工学系院生におすすめのキャリアパス
工学系を専攻した院生は、ものづくりや技術開発に関する専門性を強みに、幅広い業界から求められています。メーカーでの研究開発や設計だけでなく、生産現場の改善や品質保証、さらにはITやインフラ、コンサルタントといった分野にもキャリアの選択肢が広がっています。
工学系院生におすすめのキャリアパスは、次のとおりです。
工学系院生におすすめのキャリアパス ・メーカーの研究開発・設計職 ・生産技術・品質管理職 ・IT業界(システムエンジニアやIoT関連など) ・インフラ・建設業界の技術職 ・技術系コンサルタント
工学系院生のキャリアは、社会の基盤を支える「ものづくり」と密接につながっています。研究開発や設計で技術革新を担うだけでなく、生産やインフラの現場を支える職種もおすすめです。さらに、工学の知識を活かしてデジタル分野での活躍が期待されています。
情報系院生におすすめのキャリアパス
情報系を専攻する院生にとって、IT技術の進化やデジタル化の波は大きな武器になります。ソフトウェア開発だけでなく、データ分析やセキュリティ、さらには金融・教育・医療など多様な業界で活躍の場が広がっている点が大きな魅力です。
情報系院生におすすめのキャリアパスは、次のとおりです。
情報系院生におすすめのキャリアパス ・ソフトウェア・アプリ開発エンジニア ・データサイエンティスト ・セキュリティエンジニア・ネットワークエンジニア ・ITコンサルタント・システムアナリスト
情報系院生は、単なるプログラミングだけでなく、データ解析、セキュリティ設計、コンサルティング、DX推進といったように多方面の分野での活躍が期待されています。
情報系院生の強みは、技術を実装する力に加えて、課題を整理し解決につなげる応用力です。自分が「どの業界で、どんな課題を技術で解決したいか」を明確にすることで、将来のキャリアをより納得感のあるものにできるでしょう。
生命科学・農学系院生におすすめのキャリアパス
生命科学・農学系を専攻した院生は、バイオテクノロジー、ヘルスケア、環境分野など、社会課題に直結したフィールドで活躍するチャンスがあります。
生命科学・農学系院生におすすめのキャリアパスは、次のとおりです。
生命科学・農学系院生におすすめのキャリアパス ・製薬・バイオ関連企業での研究開発職 ・品質管理・品質保証職 ・規制対応・薬事・臨床開発職 ・アカデミア・公的研究機関 ・サイエンスコミュニケーター・科学ライター
製薬や食品・農業関連企業での研究開発に加え、研究成果の社会実装や規制・法務の連携など専門知識を活かせる進路も広がっています。生命科学・農学系院生が研究の中で培った実験技術・データ解析・理論構築の力は、研究職だけでなく品質保証や法務、コミュニケーション、教育の分野でも大きな強みとなるでしょう。
物理・数学系院生におすすめのキャリアパス
物理や数学を専攻してきた院生は、理論的な思考力と高度な分析力を強みとして、企業や研究機関、金融、教育など幅広い分野で活躍できます。特にAI・データサイエンスの台頭や数理・理論の応用領域の拡大により、その価値はかつてないほど高まっています。
物理・数学系院生におすすめのキャリアパスは、次のとおりです。
物理・数学系院生におすすめのキャリアパス ・データサイエンティスト ・アクチュアリー・クオンツ ・コンサルタント・技術系アナリスト ・研究所・大学などでのアカデミックポジション ・教育・教材開発職
物理・数学系院生の強みは、「抽象的な思考を現実世界の問題に応用できること」です。データ解析、数理金融、コンサルティング、研究、教育といった多様なフィールドで、自分の力を試していきましょう。
研究職以外でも活かせる理系院生の強みとなる能力
ここからは、研究職以外でも活かせる理系院生の強みとなる能力を紹介します。
ここで紹介するものは、特定の分野に限定されず、様々な職種で活かすことのできる、いわば、トランスファラブルスキルや汎用スキルと呼べるものです。
論理的思考力
論理的思考力は理系院生の最も得意とする部分ではないでしょうか。
論理的思考力はかなり汎用性が高いです。
ほとんどの業務で必要となる、いわゆるPDCAサイクルを回したり、納期に合わせたタイムマネジメントをしたりといった管理業務場面でも役立ちます。
数字に抵抗がない
研究を進めるうえで数値計算や統計分析を必要とする分野があります。
それらの分野を専門とする大学院生は、数字を扱うことへの抵抗感が少ないといえます。
ただし、研究分野上数量的な分析を行わない場合は数値を扱うことに慣れていなかったり、シミュレーションなど高度な計算を行ったりする場合は、逆にエクセルなどのビジネスソフトを使ったことがなく、困るケースがあるかもしれません。
ITスキル
ITスキルに関しては、どの仕事についてももはや必須スキルといえるでしょう。
理系院生は研究において、IT機器を使うことが多く、さらにプログラミングも経験している場合が多いので、そのような経験をしていない場合と比べて、かなりアドバンテージとなります。
語学力
理系院生の中には、研究に関するテキストが英語だったり、研究論文を英語で記述したり、プレゼンを英語で実施したりと、日常的に英語を使用する経験がある方も多いと思います。
このような経験を活かし、英語を含めた語学力を強みにしておくと、就職後の昇進などでも有利にはたらくことがあります。
大学院生としての英語力や勉強法についてはこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。
コミュニケーション力
学会大会をはじめとした様々な場所で、人前で発表をする経験をしてきた理系院生も多いと思います。
ビジネスの場でもこの経験が活かせる場面が多くあります。
また、語学を含めたコミュニケーション力と専門性があることで、採用試験の際に英語面接があった場合などもスムーズに突破できるというメリットもあります。
理系院生の就活で有利になる資格
理系院生の研究職以外の就活で有利になる資格・試験として、以下の資格を紹介します。
本記事では、これらの試験の概要や必要性を紹介していきます。
また、今回の記事では詳細は割愛しますが、前述のアクチュアリーやデータサイエンティストになりたい方は、学生時代に以下の検定の資格を取っておくと有利にはたらくことがあります。
TOEIC
専門知識に関する資格以外にも、語学力をアピールできるように準備しておくとよいでしょう。
英語スキルを客観的にアピールできる試験としてTOEICがあります。
TOEICはビジネスにおける基本的な英語のコミュニケーション力を示す上で国内において最も有名な試験です。
日常的な話題に加えて、ビジネス場面での会話や契約書を題材とした内容が試験問題として出題されますので、海外とのやり取りが求められる職種で活躍したいと考える人にとっては受験が必須であるともいえます。
就職活動では、応募書類にTOEICスコアを記載することが求められる場合もありますので、学生時代の早い段階から対策をはじめ、計画的にスコアアップをはかっておくと応募直前で慌てずにすみます。
理系就活でのTOEICの目標スコアやおすすめの勉強方法については他の記事でご紹介しています。併せてチェックしてみてください。
情報処理技術者試験
ITに関係する仕事に就きたいと考えている場合、情報処理技術者試験に合格していると、就職で有利になることがあります。
情報処理技術者試験は国家資格で、難易度や分野により、13区分に分かれています。
情報処理技術者試験について、情報処理推進機構は以下のように述べています。
情報処理技術者試験は、「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が、情報処理技術者としての「知識・技能」が一定以上の水準であることを認定している国家試験です。
情報システムを構築・運用する「技術者」から情報システムを利用する「エンドユーザ(利用者)」まで、ITに関係するすべての人に活用いただける試験として実施しています。特定の製品やソフトウェアに関する試験ではなく、情報技術の背景として知るべき原理や基礎となる知識・技能について、幅広く総合的に評価しています。
引用:独立行政法人 情報処理推進機構「試験の概要」
この区分のうち、情報系のSE職やIT職を目指しているのであれば、高度IT人材に必要な基本的な知識・技能の検定と位置付けられる「基本情報処理試験」を学生のうちに合格しておくことで、就職では有利になることが多いです。データサイエンティストを目指す場合には、難易度は上がりますが「データベーススペシャリスト試験」を目指してみてはいかがでしょうか。
また、ほかの職種であっても、「ITパスポート試験」や「情報セキュリティマネジメント試験」に合格し、エンドユーザとしてITを使いこなせる人材であることを効果的にアピールすることは有効です。
統計検定
理系院生の統計解析スキルを客観的にアピールできる資格として、「統計検定」があります。
統計検定について、一般財団法人 統計質保証推進協会は、以下のように述べています。
「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。日本統計学会は、国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして統計検定を開発し、様々な水準と内容で統計活用力を認定しています。
引用:一般財団法人 統計質保証推進協会 「統計検定とは」
研究活動の中で統計解析を行う理系院生は多いと思いますが、その経験を資格としてアピールすることで、選考をより有利に進めることができます。
求人を検索してみよう
就活に向けてこれから一歩踏み出そうと考えているのであれば、まずは実際の求人をチェックしてみることをおすすめします。自分が関心を持っている業界で求められる人材像を把握したり、目標を具体化することで資格取得に向けたモチベーションにもつながったりするはずです。
アカリクでは求人情報を掲載しており、特に理系の大学院生のみなさんに人気の企業も多数ご紹介しています。これまでの研究で培ってきた技術や知識を活かせる職種を探してみてはいかがでしょうか。

また、アカリク就職エージェントでは、専任のキャリアアドバイザーと相談しながら自分にぴったりのキャリアを探すことができます。

まとめ
本記事では、理系大学院生が研究職以外のキャリアを検討する際に知っておきたい職種、活かせるスキル、取得しておくと有利な資格について紹介しました。理系院生は、研究を行ってきたという点で専門性のアドバンテージが高いのはもちろんのこと、理系ならではの汎用性の高いスキルも持ち合わせています。研究職以外でも生かせる理系の強みは、研究を行う中で身についた汎用スキルといっても過言ではないでしょう。汎用スキルは生涯にわたって消えることのない財産になりますので、就職活動に限らず、人生の転機でもそのメリットを発揮することを実感できると思います。
これらを活かし、研究職だけにとらわれず、視野を広げて今回紹介した職種もあわせて将来の選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。









