この記事では以下のような疑問にお答えします。
- TOEICでハイスコアをとっていないと就職活動は厳しい?
- 理系大学院生にも英語力は必要?
- どうやってTOEICの点数を上げたらいいの?
結論からお伝えしますと、理系大学院生の就職活動においてTOEICは必須ではありません。
しかしハイスコアをとっていれば、今後のキャリアにおいてプラスに働くことは間違いありません。
実際、社会で活躍している理系人材のほとんどは英語に強いです。
逆に英語ができないと社会に出てから苦労することが多く、キャリアアップの幅も狭まってしまうでしょう。
だからこそ、ぜひ学生のうちからTOEICなどを通して学習に励んでみてください。
なぜ英語に強いと今後のキャリアに有利なのか?
それについては本文の中で詳しくお伝えしていきます。
理系就活でのTOEICの位置付け
理系就活でTOEICの位置付けは以下のようになります。
- 必須ではないがハイスコアを獲得していると有利
- 企業で英語力が重視され始めている
必須ではないがハイスコアを獲得していると有利
TOEICでハイスコアを取っていなくても、理系分野の職種に就職することは可能です。
ただし、一定以上の点数が取れるのであれば就活が有利になるのは間違いないでしょう。
詳細は後述しますが、理系大学院生にとってのTOEICハイスコアのボーダーラインは600点以上です。
それ以上の点数が取れるのであれば、就活では有利に働くと考えられます。
そしてTOEICの学習によって培われた英語力は、将来のキャリアアップにも活かせます。
「将来のためにTOEICを学ぶ」という挑戦自体に大きな価値があるのです。
英語が読めれば情報収集力が大幅に向上するため、ビジネスにおける課題解決力も大幅に向上します。
また「海外で働く」といった選択が可能になり、キャリアの幅も広がるでしょう。
ワクワクしながら働くために、英語力を磨くのは非常に良い選択と言えます。
企業で英語力が重視され始めている
TOEIC Programの運営を行っているIIBCの調査では、「今後のビジネスパーソンに必要なスキル」として回答企業の82.6%が「英語」を挙げています。
この流れは、大学院生の主な就職先である各種メーカーの研究職でも同様となります。
それ以外にも、エンジニア・データサイエンティスト・ITコンサルなど、理系大学院生と相性のいい職種に関しても同様に英語力が重視されているのです。
また近年では、少子高齢化に伴う労働人口の減少で、海外労働者を積極的に受け入れる流れも加速しています。
そのため「ダイバーシティ(多様性)」という言葉も頻繁に聞くようになりました。
このように「様々な国籍の人材が日本企業で働く」という流れは、今後もますます加速していくことでしょう。
だからこそ、将来のためにも英語力は磨いておいた方がいいのです。
参考:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会「「英語活用実態調査2019」まとまる」
英語が読めると触れることのできる情報量が多くなる
ウェブサイトで利用されている情報において、英語の割合はなんと「60.4%」となっています(ちなみに日本語はわずか2.1%です)。
参考:「【保存版Q&A】科学が教える、上手な英語学習の「7つの疑問」」
2位のロシア語が8.5%であることを考えると、英語で書かれたウェブサイトが圧倒的に多いことがわかります。
このように、英語の情報量は「世界で1位」となっているのです。
実際に大学院で研究を行う時にも、論文を探すことが多いと思いますが、世界中で読まれている論文は基本的に英語で書かれています。
多くの論文誌が英語の使用を規定しているため、大学院生も研究をしていくうえで、英語を読むことができなければ触れることのできる情報が制限されてしまいます。
また、IT化が進む現代では、仕事において海外のツールを利用することもあります。
そのような場面では、英語のドキュメントを読んで課題を解決することも求められるでしょう。
特に機械学習エンジニアやデータサイエンティストも視野に入れている方は、確実に英語力が必要です。
英語が苦手な人へ
英語が苦手な人でも、無理せず焦らずこれから少しずつ英語に慣れていけば大丈夫です。
そして英語を好きになるコツは「習慣化」です。
日々の研究生活の中で、まずは毎日30分でも英語論文を読む癖をつけてみましょう。
英語を読む習慣ができれば、苦手意識もなくなり、いつの間にか楽しめるようになっています。
慣れないうちは、AIを活用した精度の高い翻訳ツールを使用するのもいいでしょう。
特に「DeepL」という翻訳ツールは、2020年にニューラルネットワークが大幅改善され、他の翻訳サービスと比べても専門性の高い文章まで正確に翻訳してくれるようになりました。
まずは翻訳ツールを使いながら英語を読む習慣をつけ、翻訳内容と原文を照らし合わせながら学ぶと効率よく英語力を高められます。
大学院生が英語を使う場面
大学院生が英語を使う場面は以下の通りです。
- 論文読解
- 英語での講義や海外の研究者とのコミュニケーション
- 留学生と話す
多様化が進む現代において、社会で活躍するためには、もはや英語力はなくてはならないツールと言えるでしょう。
論文読解
おそらく、大学院生が英語を使う場面として最も多いのは、論文読解ではないでしょうか。
研究を進める際には、先行研究の以下の項目を参考にしながら実験を組み立てることが多いです。
- 要約
- 実験方法(実験内容の理解、適切な手法の選択、統計的な精度)
- まとめ
上記の項目を正しく読み解き、自身の研究テーマに落とし込むことにより、質の高い実験が組み立てられるのです。
英語での講義や海外の研究者とのコミュニケーション
大学院によっては、講義が英語で行われる場合もあります。
例えば、東京海洋大学では、大学院博士前期課程の完全英語授業化を実現すると公式発表しています。
また、講義だけでなく、国際学会に出席する機会や海外の研究者とコミュニケーションをとる機会があれば、そこでも英語は必要となります。
多様化が進む現代において、社会で活躍するためには、もはや英語力はなくてはならないツールと言えるでしょう。
参考:東京海洋大学グローバル教育研究推進機構「大学院博士前期課程の完全英語授業化を実現する」
留学生と話す
所属する研究室に留学生がいる場合、英語でコミュニケーションをすることが必要になることもあります。
海外の方と話せる機会は貴重であり、以下のようなメリットがあります。
- 英語力が鍛えられる
- コミュニケーション能力が身に付く
- 多様な価値観に対する適応力がつく
- 日本文化の良さを確認できる
- 海外文化の良さを知れる
留学生と話す機会は、英語力が鍛えられるだけではなく、視野も大きく広がります。
海外の優秀な人と、親密に交流できるようになると、得られる情報もさらに多くなるでしょう。
読者の中には、英語に苦手意識があり、「海外で活躍することは無理だ」と考えている人もいるかもしれません。
身近な留学生とのコミュニケーションを重ねていくことで、きっとそのような思い込み(マインドブロック)が外れ、「海外で研究者として活躍する」など野心的なキャリアパスを描けるようになるはずです。
TOEICで求められる英語のスコアは?
ここからは就職活動で求められるTOEICのスコアについて紹介していきます。
国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が報告した2019年度の理系大学院出身の新入社員の平均点は以下の通りです。科学系で559点、保健・医療系で595点、工学・建築系で530点でした。
このことを考慮すると、就職活動におけるボーダーは600点以上と考えた方がよいでしょう。
また、社会系/法学系を専攻する文系大学院生の平均点は686点であり、700点を取れば新入社員全体の上位20%以内に入れます。
そのため、700点以上を獲得できれば就職活動においても有利になると言えるでしょう。
800点以上であれば、新入社員のTOEICスコアで上位10%以上になるため、さらに有利になります。
就職活動に役立てるのであれば、700点以上を目指して学習してみて下さい。
参考:国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2020」
TOEIC勉強は他の就活対策とのバランスが大事
就活対策の場合、TOEICだけを優先しても意味がありません。
就職活動において大切なのは、「自己分析・企業研究・文章力・説明力」です。
上記の大切なことを後回しにしてまで、TOEICに力を入れるのはあまり得策だとは言えません。
あくまで「あれば尚よし」な実績であると理解しておきましょう。
もしハイスコアをすでに獲得されている場合は、スコアだけをアピールするのは非常にもったいないです。
自己分析を綿密に行い、面接では以下の項目も確実にアピールしましょう。
- なんのために挑戦したのか?
- どうやってハイスコアをとったのか?
- 苦労や挫折をどう乗り越えたのか?
TOEICスコアを短期間で上げるためには?
TOEICスコアを短期間で上げるには、以下の方法が有効です。
- アウトプットする
- 英単語を効率よく覚える
- 場数を踏む
- 隙間時間を利用する
以下で詳しくご説明いたします。
アウトプットする
何かを習得したいのであれば、アウトプットがとにかく大事です。
アウトプットの一環として、英語解説ブログを立ち上げて文章を書いてもよいでしょう。
もしその時間がない場合は、参考書を音読するだけでもインプット・アウトプットが同時にできて記憶に残りやすいです。
参考書を開いて黙々とインプットをするだけではなく、学んだことはアウトプットする癖をつけましょう。
英単語を効率よく覚える
英単語は「接頭辞、語根、接尾辞」の意味を理解していると覚えやすいです。
なぜなら英単語には、共通点がたくさんあるからです。
例えば「dis-」という接頭辞には「嫌う」という意味があります。
そのため、先頭に「dis-」がつく単語は、「否定的な単語である」という予測がつくようになるわけです。
実際に「dis-」がつく以下の単語は、否定的な意味で共通しています。
- disable(不能にする)
- disorder(~の秩序を乱す、混乱)
- distrust(信用しない)
上記のように、共通点を把握すれば暗記量が劇的に減ります。
場数を踏む
ハイスコアを狙うのであれば、やはりTOEIC公式問題集を解くことが重要です。
その際、制限時間を計るといいでしょう。
事前に問題形式を把握しておくと、非常に効率よく問題が解けます。
なぜなら各パートの問題の説明は、公式問題集も本番のTOEICも同じだからです。
本番では「問題の説明を聴かない・読まない」で済むよう、事前に準備をしておくと時間が節約できるでしょう。
隙間時間を利用する
隙間時間は復習に最適です。
例えば以下のようなシーンが、隙間時間として有効活用できるはずです。
- 電車などでの移動時
- 朝の通学前
- お昼休憩
- 家事
こういった隙間時間は、主にリスニングをやるのがおすすめです。
特に初めて受験される方や、英語が苦手な方は、リスニングを中心に勉強するのがスコアアップの近道ともなります。
なぜならTOEICの半分はリスニングパートであり、リスニングが良ければ大幅にスコアアップが狙えるからです。
しかし、残念ながらそこまでリスニングを徹底して学べなかった人も多いと思います。
だからこそリスニングの分野において、日本人には多くの伸びしろがあるのです。
加えて、音声学習であれば、手が塞がっていても聞き流すことができるため、非常に便利な学習手段といえます。
ぜひ隙間時間を有効活用されてみてください。
まとめ
先述のとおり、理系大学院生の就活においてTOEICは必須ではありません。
しかし700点を取れば新入社員全体の上位20%以内に入れることから、今後のキャリアにおいて間違いなくプラスになるでしょう。
また、海外の方々と話せるようになると、人生が楽しくもなります。
なぜなら得られる情報が圧倒的に多くなるからです。
世界中のウェブサイトにおける日本語の情報はたったの2.1%しかありません。
英語が読める人と読めない人では、触れることのできる情報の量が全く違うのです。
ぜひ学生のうちから、TOEICなどを通して英語学習に励んでみてください。