就活に関する「NNT」というネットスラングをご存じですか。
「NNT」すなわち、「無い内定」とは、卒業・修了前の年の7月までに内定がひとつも無い状態を指します。
理系院生といっても、必ず研究室から推薦がもらえて、就職は安泰とも限らないので、他人ごとではありません。
研究室の同期たちが就活を終えていくなか、自分だけ就活を夏以降も継続し、研究にも手がつかず、負の連鎖で修論が通らない…。そのようなことは考えたくも無いですよね。
そんな状況に陥らないために、NNTに陥る理由を紹介し、今からできる対策をお伝えします。
理系院生が無い内定(NNT)に陥ってしまう理由
理系院生が無い内定になる理由として、専門性が高いあまりに最初から業界や職種を絞り込みすぎてしまっていることや、就活以外にも研究を並行して行っているため、スタートが遅れてしまうこと、就活に充てられる時間自体が少ないことなどが要因として考えられます。
ここでは、無い内定に陥ってしまう理由として考えられる要因を紹介していきます。
業界を絞り込みすぎている
理系院生は、各自配属された研究室ごとに研究テーマがあり、専門性がかなり細分化されています。
例えば、化学系の学科だとしても、高分子の研究室であるか、環境系の研究室かで関連する業界が異なる場合があります。
研究が直接活かせる研究職の場合は、そのままストレートに志望先を決められるかもしれませんが、理系の院生といえども研究職は狭き門です。
就活当初はなるべく広めに志望業界を設定し、情報収集を始めましょう。
職種を絞り込みすぎている
こちらは前述の業界を絞り込みすぎている場合と同じですが、業界のみならず、職種までも絞り込みすぎている状況です。
一つの職種の募集人数は若干名であったりすることが多いので、多くの企業がエントリーを締め切ったあとに、応募した職種のほとんどが狭き門であったと気づいた場合は、手遅れになってしまうこともあります。
研究が忙しく時間が取れていない
研究が忙しく時間が取れないのもよくあるパターンです。
こちらは、時間そのものが取れない場合と、時間管理がうまくできておらず、就活を後回しにしている場合があります。
時間そのものが取れない場合は、指導教官とよく話し合って、研究室のメンバーと協力して役割を分担できないかを検討してもいいかもしれません。
時間管理のスキルは一朝一夕で身に着けることができるものではありませんが、常に無駄な時間はないかなど、時間を意識するように心掛けるだけでも大きく違ってきます。
就活のスタートが遅い
就活の優先順位が低いまま過ごしていると、どうしても就活の準備を先延ばししてしまいます。
しかし、企業の採用活動は早期化している傾向にあるため、就活のスタートダッシュに乗り遅れてしまうと、内定を獲得するのが難しくなってしまう可能性があります。
遅くとも、就活を本格的に開始する半年前から、ざっくりでもいいので、業界研究などは開始しておくことをおすすめします。
インターンに参加していない
近年インターンを募集する企業が増えてきています。
インターンは就活が本格化する前に行われることがほとんどです。
企業側の意図としては、自社を知ってもらうための機会としてインターンを募集していますが、参加する学生にとっては、実際に就業体験をすることで、仕事を知った上で応募したり、入社後のミスマッチを防げるメリットがあります。
また、インターンに参加することで、自分に向いていない仕事や向いていない業界などがわかることもあり、就活が本格化する前に事前に志望業界をある程度決められるメリットもあります。
研究内容以外の自己PRができていない
いざ面接に臨むと、志望動機と併せて必ず聞かれる、「自己PR」。
自己PRができない学生が意外と多く、特に理系院生において、研究ばかりアピールしていると、聞いている面接官はとしては、「なんだか学会発表を聞いているような気がする…」と感じてしまいます。
応募学生の研究テーマに関して詳しくない面接官がほとんどなので、研究に関することを長々と話すのはあまり印象がよくありません。
情報収集のアンテナが低い
理系院生の場合、研究内容によってある程度業界が自然と絞り込まれていることが多いです。
そのため、指導教官や先輩、研究室の仲間などを通じて就職活動に関する情報を自然と収集できるかもしれません。
しかし、限られた人からの情報のため極端に偏っている可能性や、狭い見識の中の情報である可能性もあるので注意が必要です。
受け身的な情報収集だけでなく、自分から積極的に情報を集めるようにしましょう。
理系院生が無い内定(NNT)を防ぐには
理系院生が無い内定に陥りやすいポイントを見てきましたが、ここでは、実際に準備段階からNNTを防ぐにはどうしたらよいかを説明します。
業界研究をする
業界研究をするのは基本中の基本のため、まずこちらをしっかり行いましょう。
最近はネットでいろいろな情報が手に入るので、まずはざっとネットで情報を収集し、その後、書籍での情報収集をおすすめします。
また、各業界で無料のオンラインセミナーなどを行っていることもあります。
学生の参加も可能なものに積極的に参加してみるのもひとつの手です。
こういったセミナーは、その業界の最近の動向がテーマになっているので、面接等で業界研究をしっかり行っていることのアピール材料にもなります。
いろいろな職種のOB・OG訪問する
ある程度業界を絞り込んだら、まずはその業界の職種をすべて洗い出して、できる限りのOB・OG訪問をしてみましょう。
OB・OGは採用に直結した人からの話を聞く場合もありますが、サークルや研究室の先輩など個人的なつてでのOB・OG訪問をおすすめします。
サークルや研究室の先輩たちへの訪問の場合、中立的な立場での意見をもらえることが多いので、その職種の実状や、ほかの会社やほかの職種との違いを聞くことができると思います。
また、就活の進め方についてのアドバイスも気軽に求めることができます。
研究と就活を両立するための時間管理
研究と就活を両立するための時間管理については、まず、それぞれに充てられる時間を割り出し、優先順位をつけてそれぞれのタスクをこなすことが基本です。
最近はスマホでスケジュール管理する人が多いと思いますが、ぜひ就活に向けて時間軸のついた紙の手帳を使い始めることをおすすめします。
1冊の手帳に研究と就活、プライベートの予定をすべて書き込むことで、ヌケモレも防ぐことができます。
就活解禁前に準備を開始
就活準備はいつ始めても早すぎるということはありません。
そのため、就活の情報が解禁する前から準備をすすめることをおすすめします。
自分の志望業界に関する研究会や学会などに顔を出しておいて、社会人とつながりを持っておくなど、ほかの学生とは一味違った活動をしておくと、少なくとも自己PRが研究しかない、ということは避けられます。
インターンに参加する
気になる企業がインターンを募集していたら、積極的に参加してみましょう。
インターンは就活が本格化する前に実施されることが多いので、迷っている職種や業界などがあったら、日程をうまく調整して複数参加するのもおすすめです。
同じ業界でも企業によってカラーが全く異なったり、仕事内容も実は細かい点が違っていたりなど、発見があるかもしれません。
研究以外の活動を学生時代にする
学生時代にサークル活動をしていたことをアピールする学生は多いですが、理系院生であれば、ぜひさらにその上を行く活動をしておくのをおすすめです。
学校が主催しているボランティア活動やPR活動などもありますので、自分の研究テーマに近い活動があれば、参加してみましょう。
そこで得た経験はあなたのオリジナリティをアピールするポイントとなりますので、就活でも大いに威力を発揮してくれるでしょう。
同じ大学以外の仲間と情報交換する
普段所属しているコミュニティとは異なる場所にいる仲間を作り、情報交換することも就活においては重要です。
最近ではオンライン選考が増えているため少し難しいかもしれませんが、就活の選考で対面でのグループディスカッションがあった場合、同じグループになったメンバーと帰りに情報交換するというのもいいと思います。
学生の中には、かなりの情報通もいたり、就活用の名刺を持っていて、仲間を募っている場合もあります。
大学が違う仲間と情報交換することで、他社の選考の進み具合なども情報共有できるので、有効です。
資格をとる
自分のスキルを客観的に示すことができる資格を取得しておくこともおすすめです。
理系の汎用スキルである、数学的思考力やIT系の能力を示すことのできる資格としては以下の資格が有名です。
また、正確には資格ではありませんが、英語力を示すことができるTOEICにも挑戦しておくとよいでしょう。
これらの資格は研究職以外の職種へ応募するときにもよいアピール材料となります。
理系院生も最後は自己PRが決め手
理系院生であっても、最後はやはり面接での自己PRが合否を分けるといっても過言ではありません。
理系院生に陥りがちな研究PRを避けた上で、学生時代に研究以外に打ち込んだことや、研究の中でも、研究を通して自身が生き方として得たことなどを自己PRに盛り込み、熱意をもって伝えれば、あなたらしさが面接官に伝わり、内定を獲得する日も遠くないでしょう。
まとめ
この記事では、理系院生が陥りがちな「無い内定(NNT)」のパターンとその対処法について紹介しました。
理系院生は、専門性の高さはもちろんのこと、汎用性の高いスキルも持ち合わせています。
これらを活かすためにも、就活についても今からできることを始めていきましょう。