就職活動をはじめると、履歴書を書く機会が増えます。
履歴書は面接の前に自分自身の強みやスキルをアピールできる貴重な機会です。
特に、書き間違いが多い大学院生の場合の「学歴・職歴欄」のルールをしっかりとおさえておくことは非常に大切です。
本記事では、履歴書を作成するときの心構えからNGルールまで網羅的に紹介します。
最後までお読みいただければ幸いです。
- 大学院生の場合、学部生の履歴書とは学歴・職業欄の書き方が違う
- 大学院生ならではのアピールポイントとして、研究内容について書けるようにする
- TAや学振は職歴に記載できるが、職歴と判断されるかは企業次第
履歴書を書く前に注意すべきこと
採用担当者は、応募してきた候補者の履歴書を何通も読むことになるため、履歴書の文字は丁寧に書く必要があります。特に、誤字・脱字は、採用担当者からの印象を悪くしてしまうので、注意しましょう。
履歴書には、パソコンやスマホで作成するタイプと、手書きで作成するタイプがあります。応募先企業が手書きの履歴書の提出を求めていることもありますので、文字を書くことに慣れていない人は、丁寧に書く練習をしておきましょう。
フォーマットが指定されていないときは、自分が書きたいことやアピールしたいことに適したテンプレートを選ぶとよいでしょう。それでもフォーマット選びに迷ってしまうときは、JIS規格の標準的な履歴書のテンプレートを選びましょう。
JIS規格の標準的な履歴書は、100円ショップや文房具店でも手に入るほか、ハローワークやインターネット上でも無料でダウンロードすることもできます。
また、大学で指定の履歴書が生協などで販売されていることもあります。
不安があれば大学の窓口で確認してみると良いでしょう。
参考:公共職業安定所「履歴書・職務経歴書の書き方」
大学院生の場合の履歴書の書き方
大学院生の履歴書は、大学生の場合とは異なった書き方をする必要があります。
まずは、作成時に正確なルールを把握することが非常に重要です。
きちんとした書き方にのっとった履歴書は、就活において好印象を与える可能性が高くなります。
本章では、大学院生の履歴書の基本的な作成ポイントについてご紹介します。
- 大学院生の場合、学部生の履歴書とは学歴・職業欄の書き方が違う
- 大学院生ならではのアピールポイントとして、研究内容について書けるようにする
- TAや学振は職歴に記載できるが、職歴と判断されるかは企業次第
大学院は「卒業」ではなく「修了」を使う
大学院は「卒業」ではなく「修了」と表現します。
大学院には「修士課程」と「博士課程」があるため、修士課程まで修了した場合は「修士課程 修了」と記入し、博士課程まで修了した場合は「博士課程 修了」と課程ごとに分けて記入します。
大学によっては修士課程を「博士前期課程」、その後の博士課程を「博士後期課程」としている場合もあるので、大学の証明書などに記載される正式な表記を記入しましょう。
大学院の履歴書の書き方で、卒業と終了について、もっと詳しく知りたい方は、以下アカリクコラムも参考にしてみてください。
履歴書で研究内容をアピールしたい場合
履歴書の様式に研究内容の欄があれば、取り組んでいる研究の背景や方法や得られている成果などを書くことができます。
指定の欄がない場合でも、研究活動をアピールしたい場合には自己PR欄に記載することができます。
研究活動は、社会課題の解決に向けて多くの専門家と関わりながらプロジェクトを進めていくという点で、企業に就職してからの仕事とも共通点が多い部分です。また、学部生との差として研究活動での経験を期待している採用担当者も少なくありません。
研究内容をアピールする際のポイント
研究に関してアピールする際のポイントは以下の内容を伝えるようにすることです。
- 研究背景や研究の目的
- 解析手法や研究の方法、工夫点
- 得られた結果や結果から考えられること
履歴書は自分の経歴やスキルを採用担当者に伝えるツールです。基本的には研究発表や論文の構成と同じですが、履歴書では自分の経験を入社後にどのように生かそうと考えているかを書くと良いでしょう。また、採用担当者は必ずしも自分の研究分野に詳しいとは限らないので、他分野の人が読んでも理解できるように記載することが重要です。
大学院生・理系学生に特化した就活サイト「アカリク」には履歴書の作成機能があり、研究成果のアピールができる履歴書を作成することができます。
データ提出の場合はもちろん、手書きの履歴書が求められる場合も、下書きとして使ってみてはいかがでしょうか。
TAや学振は職歴に記載できる?
大学院卒の履歴書にティーチング・アシスタント(TA)や学振の内容を職歴として記載できるのかという疑問が湧くかもしれません。
結論から言うと、TAや学振への採用経歴を大学院卒の履歴書に記載できるかどうかは、応募する企業によって異なります。
アカデミアでは職歴として扱われることが多いのですが、民間企業の多くは、職歴として扱わない傾向にあります。そのため、履歴書に記載するかどうかは、企業を考慮した上で判断することが大切です。
TAとは「ティーチングアシスタント(Teaching Assistant)」の略で、大学の授業やその準備を行うために教員をサポートし、授業の円滑化を図る業務を担当します。
一般的に、大学院の修士課程や博士課程に所属する学生が行うことのできる業務です。
また、学振とは「日本学術振興会 特別研究員 DC1/2,PD,RPD,CPD」の略称で、学振DCといわれたり、学振PDと呼ばれたりします。
外資系企業では、国内企業よりもTAや学振を職歴として扱う傾向があることがしばしば見受けられます。
これは、外資系企業の方が、TAや学振の業務内容や実績について熟知している可能性が高く、これらを大学院生の履歴書に記載することのメリットについて理解があるためと思われます。
また、アカデミアでは、研究費を獲得するための実務経験やキャリア(業績)として扱われることが多くなっています。大学院生の履歴書にTAや学振を記載することは、アカデミアではごく一般的なことです。
これは、研究費の獲得に成功した人は、より高度な専門知識を身につけたとみなされるからです。
また、TAのような指導的役割を担う人は、組織力やコミュニケーション能力など、職場で役立つ他の能力も発揮する傾向があります。
したがって、履歴書に職歴としてTAや学振を記載することは有利であると考えられています。
履歴書に記入する項目
次に、履歴書に記入する項目について説明します。
履歴書に記入する項目には、基本的に以下の10項目があります。
履歴書のフォーマットによっては、これ以外の項目がある可能性もあります。
1. 名前
正式な名前を漢字で記入しましょう。
「ふりがな」とあれば、平仮名でふりがなを書きます。
「フリガナ」とあれば、片仮名でふりがなを書きます。
枠のサイズに合わせて、バランスよく名前を書きましょう。
枠のサイズに対して、極端に大きな文字で名前を書いたり、極端に小さな文字で名前を書いたりしないようにしましょう。
2. 生年月日
西暦・和暦でどちらで書いても構いません。
ただし、学歴や資格欄などのほかの項目と統一させましょう。
また、和暦で書く場合は、平成をHと書くなど省略をしてはいけません。
3. 性別
男・女のどちらかに〇をつけましょう。
ただし、厚生労働省が新たに「性別の選択肢」等を削除した履歴書様式を作成・公開したように、今後はLGBTへの配慮から「男女」選択が削除され、任意記入となる流れが強まると予想されます。
参考:厚生労働省 (2021)「新たな履歴書の様式例の作成について」
4. 現住所
都道府県名から記入しましょう。
下部に(現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入)がある場合、そちらも忘れずに記入しましょう。
ここでは、現住所と同じ場合は「同上」あるいは「同左」と省略することができます。
ただし「同じ」を意味する記号の「〃」は、使用してはいけません。
「〃」は略式の書き方のため、履歴書のような正式書類では使わないのがマナーです。
5. 電話番号
自宅の固定電話もしくは携帯電話のいずれか(あるいは両方)を記入しましょう。
応募先から連絡をもらうときに必要な電話番号なので、つながりやすい番号を記入しましょう。
6. 学歴・職歴
学歴・職歴はそれぞれ分けて書きましょう。
学歴・職歴の書き方の詳細は後述しますが、まずは学歴をまとめて書いていき、その下に一行空けて、職歴をまとめて書きます。
学歴は義務教育を終える中学卒業から書くのが一般的です。
大学院生の場合は、大学院修了見込みにあたる学歴まで書きましょう。
7. 資格・免許
取得時期の古いものから順番に書きましょう。
注意すべきポイントとして、資格・免許の名称は正式名称で書きましょう。
例えば、中学校の教員免許状であれば、「中学校教諭一種免許状(国語)」や「中学校教諭専修免許状(国語)」といった正式名称で書くことを意識しましょう。
8. 志望動機
履歴書には志望動機を書く欄が設けられているものもあります。
志望動機を書く際には、起承転結を意識して簡潔に書きましょう。
結論を先に書くと、読みやすい志望動機になります。
9. 趣味・特技
履歴書には趣味・特技を記載する欄が設けられている場合があります。
また、趣味・特技が、志望動機の欄と一体になっているものもあります。
その場合は、志望動機を優先して書くとよいでしょう。
先述のとおり、履歴書は自分のプロフィールを企業に知ってもらうツールであるため、趣味・特技を記載する場合は、採用担当者の視点に立って記載するようにしましょう。
入社後の業務と関連付けることができれば、うまくアピールするチャンスです。
10. 本人希望
働く上で事前に伝えておくべき希望については、ここに記載します。
特に希望がない場合は、「特になし」と記入します。
履歴書を書き始める前の心構え
ここでは、履歴書を書き始める前の心構えを紹介します。
いずれも大切なことなので、しっかりと行いましょう。
時間に余裕をもって作成する
丁寧に心を込めて書いた履歴書は、採用担当者にその熱意が伝わるはずです。
急いで書いた履歴書は記入ミスも多くなるので、提出前ギリギリではなく時間に余裕をもって作成しましょう。
応募企業を調査する
採用担当者が魅力的だと感じる履歴書にするためには、応募先が求めている人材像を理解する必要があります。
そのためには、採用サイト等を入念に読んだり、応募先企業の店舗に足を運んでみたり、取り扱っている商品を実際に購入してみるなど、事前に応募先について調査を行うことが非常に大切です。
そのような調査の上で、履歴書に書く内容(志望動機等)が、応募先にマッチした内容になるよう意識しましょう。
履歴書を書くときのNGルール
ここでは、履歴書を書くときのNGルールについて紹介します。
鉛筆・シャープペンシル・修正液の使用はNG
手書きで履歴書を作成する場合、鉛筆・シャープペンシル・消せるボールペンを使用してはいけません。
必ず、黒色のボールペン等で書きましょう。
書き間違えた場合(誤字・脱字・略字)は、修正液は使わずに、別の履歴書を用意して最初から書き直しましょう。
履歴書の使いまわしはNG
履歴書の使いまわしはやめましょう。
日付が古いままになっている履歴書は、印象がよくありません。
また、企業によって求める人材も異なります。
必ず、それぞれの応募企業に合わせた履歴書を作成しましょう。
履歴書の「学歴・職歴欄」の書き方
最後に、履歴書の「学歴・職歴欄」の書き方を説明します。
大学院生は学部生と比べて学歴で記載する内容が多くなります。
基本的な書き方(例文付き)
学歴・職歴欄の一番上の行の中央に「学歴」と記入します。
その下から、一行空けずに、入学・卒業における「年次」「月」「学校名」を記入します。
その後、一行空けて、同様に職歴を書きますが、なければ左揃えで「なし」と記入しましょう。
最後に、右揃えで「以上」と書いたら終わりです。
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇中学校 卒業
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇高等学校 入学
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇高等学校 卒業
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 修士課程 入学
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 修士課程 修了見込み
和暦または西暦で統一する
入学・卒業年次の記入は、和暦・西暦どちらでも結構です。
ただし、各項目で和暦・西暦が混在していると、履歴書に一貫性がなくなってしまうため、履歴書全体を通して、どちらか一方に統一しましょう。
中学校卒業から記入する
義務教育を記載する場合は卒業年次のみ、高等学校以降は入学年次と卒業年次を記入します。
正式名称で記入する
たとえば「高校」ではなく「高等学校」と正式名称で記入しましょう。
入学、卒業と同じ学校名が続く場合でも「同上」などと省略せず、正式名称を記入しましょう。
予備校や浪人・留年は記入しない
大学受験や資格取得のための予備校については、一般的に記入しません。
同様に、浪人・留年も履歴書に明記する必要はありません。
休学・留学は記入する
休学した場合は、入学と卒業の間の行に「期間」と「理由」を記入しましょう。
留学していた場合は、入学と卒業の間の行に「期間」「国名」「学校名」を記入しましょう。
留学の期間が1年以上の場合に、明記するのが一般的です。
1年未満の場合は、自己PR等でアピールするとよいでしょう。
職歴欄はアルバイトのみの場合は基本的に「なし」と記入する
新卒での就職活動の場合、正社員・契約社員等の就業経験がない場合は「なし」と記入します。
ただし、応募先企業と直接つながりのあるスキルや経験を得たアルバイトがある場合は、職歴欄に記載することでアピールすることもできます。
特に大学院生の場合は、学部生と比べてより専門的なアルバイトを経験している場合もあるので、その場合は記載してもよいでしょう。
まとめ
最後にこの記事の内容を要約します。
- 履歴書は、自分のプロフィールを企業に知ってもらうためのツール
- 履歴書は応募先企業にあわせて1枚ずつ丁寧に書く
- 和暦や西暦の統一、学校名や資格・免許は正式名称で記載する
- 新卒の学生の場合、職歴は「なし」と記載することがほとんどであるが、応募先にアピールできるようなアルバイト経験がある場合はそのアルバイトを記載してもよい
- 研究内容について書く場合は他分野の人にも理解できるように気を付ける
履歴書はあなたのことを企業に知ってもらう重要なツールの1つです。
この記事で紹介したポイントをふまえて、自分を積極的にアピールしていきましょう。