自己分析には取り組んでいるものの、なかなか就活の成果に結びつかない…。他己分析にはどう取り組めばよいのでしょうか?
ほかに何か方法はないかとお悩みの大学院生にむけて、他己分析とはどうやるのか、だれにお願いすればよいのか、具体的にどういう質問をすればよいのか、などについて詳しく解説します。
他己分析とは?
他己分析とは、他人に質問して意見を聞くことで、第三者の視点から自分を客観的に理解する手法です。自己分析では見えにくい「本来の自分」や、自分では気づかなかった強み・課題を、多面的に把握できるのが特徴です。
他人から見た印象や評価を知ることで、より深い自己理解につながり、就職活動での自己PRにも説得力を持たせられます。客観的な視点を取り入れた自己分析として、非常に効果的な方法といえるでしょう。
自己分析との違い
自分の長所や短所、価値観を理解することは、志望企業の選定や適職の発見、面接での自己PRにおいて欠かせません。自分にあった職業や将来やりたいこと、就活の自分軸を探すためにも、まずは自分を知ることから始めましょう。自分の納得のいく内定を勝ち取るためには、いかに深く自分と対話し向き合うかが重要なポイントです。
まずは、自分を知るには自己分析と思いがちですが、実際自分ひとりで自己分析すると、ついつい主観的な視点が入ったり、いらぬ自己嫌悪に陥ったりしがちです。一方、「他己分析」をすることで、自分の本来の性質・性格や長所・短所を、他の人に聞いて分析することができます。 自分自身の内面と対話する自己分析だけではなく他己分析の視点を加えることで、より客観的に自己を分析できることが最も大きな特徴です。
日々研究活動を頑張っている大学院生の皆さんは、研究活動を通して論理的思考力やPDCAサイクルを回す力を身につけているはずです。そうした「自分では気づかない強み」に、気づかせてもらえるいい機会になるのではないでしょうか。
ただし、自己分析もしっかりしてから他己分析をしたほうが効率的です。
以下のアカリクお役立ちコンテンツも参考にまずは自己分析を完了しましょう。
他己分析を始める効果的なタイミングとスケジュール
他己分析は、なんとなく行うのではなく、実施する時期を意識することが大切です。
タイミング次第で得られるフィードバックの内容や精度が変わり、就活全体の戦略にも大きく影響します。
ここでは、他己分析を初めて実施するのに適したタイミングや、就活の節目ごとに複数回行うべき理由についてみていきましょう。
他己分析を実施すべきタイミング
他己分析を初めてやる場合は、自己分析を一度しっかり終えてから取り組むのが効果的です。
自分なりの強みや課題を整理したうえで他人の意見を聞くことで、主観と客観を比較しやすくなり、自己理解の精度が高まります。
また、就活準備が本格化する前に行うのもベストなタイミングです。たとえば、サマーインターンや本選考の直前に実施しておけば、自己PRや志望動機のブラッシュアップに活かせます。早めに実施しておくことで、自分のアピールポイントが明確になり、その後の選考対策を効率よく進められるでしょう。
他己分析は就活の節目に何度か行うのがおすすめ
他己分析は、一度きりではなく、就活の節目ごとに繰り返すことで自己理解の精度が高まります。
インターン前やエントリーシート提出前、面接前などに行えば、その時点での印象や成長の変化を客観的に把握できます。初回のフィードバックをもとに自己PRや志望動機を改善し、次の節目で再度確認すれば、新たな強みや改善点が見えてくるはずです。
こうして複数回行うことで、変化や課題に早めに対応でき、アピール内容の完成度も向上します。その積み重ねが、本番の面接や本命企業の選考での自信につながるでしょう。
他己分析のメリット

他己分析は複数の人に自分の性格や長所・短所、印象などの聞き取りをするところから始まります。聞き取りで客観的な意見を得た後は、自己分析結果と照らし合わせます。
共通した点はあなたの「強み」になるので、自己PRの参考にしましょう。
また、結果が乖離しているところは内面と外面でギャップがある点なので、改善が必要です。
自己分析の説得力を増すことができる
「自己分析」をしっかりとやったうえで「他己分析」を行うことで本当の意味での自己理解に繋がります。面接などでは、自己PRをする際に他人からのコメントなどのエピソードを交えることで、より説得力が増します。
気づかなかった価値観や強みを発見できる
周囲から「〇〇さんは、思いついた時の実行に移すまでの行動力がすごいよね」と言われれば、「確かに思ったらすぐ行動するし、他にもそんな行動したことがあったかな」と、周りからの意見を参考に、なぜ自分がそう考えて行動するのか深堀りすることが出来ます。
自分の性質を言語化し、面接での回答に活かせる
自分の性格や性質などなんとなく感じてはいても、いざ質問されるとなかなかはっきり言葉にできないこともあるでしょう。他己分析で客観的に自分を見ることができていれば、いきなり質問が来ても、一度言語化してあるコメントなどがあるので、はっきりと根拠をもった上で答えられます。質問への回答に自信が持てるのもメリットの一つです。
社会人から見た自分の強みに気づくことができる
友人などの同世代からの意見も参考になりますが、親や先生・就職課の担当者・キャリアアドバイザーなど社会人としての経験を積んでいる人からの意見もしっかりと聞くようにしましょう。自分の強みを社会でどう活かしたらよいかが見えてくるようになります。
「適職が分からない」「どんな業界で働くべきか決まらない」という方は、ぜひ社会人からの意見を募ってみて、社会で活躍する自分の姿を想像してみましょう。
他己分析を実施する3つの方法
他己分析は、自分ひとりで行う自己分析とは異なり、周囲の人から率直な意見や印象をもらうことで、より客観的な自己理解を深められる手法です。しかし、いざ始めようと思っても「どのように実施すればいいのか分からない」という方も多いでしょう。
ここでは、他己分析を手軽に始められる3つのやり方を詳しく紹介します。
対面で質問を繰り返す
対面での質問を繰り返すスタイルの他己分析は、相手の表情反応を見ながらその場で深掘りできるのが大きな魅力です。
回答のなかで気になる部分や曖昧な表現があれば、「具体的にはどのようなことなのか」「より詳しいエピソードを教えてほしい」といったような追加の質問をすることで、より詳細な情報を引き出せます。
会話の流れで相手が思い出したエピソードが出てくることもあり、意外な長所や改善点に気づける場合もあります。依頼する際は、「就活に活かすために率直な意見がほしい」と目的を明確に伝え、真剣なフィードバックをもらえる雰囲気を整えていきましょう。
質問シートを作成する
質問シートとは、他己分析のためにあらかじめ準備する質問リストのことです。
質問シートは、GoogleフォームやWord、Excelなどを使えば簡単に作成できます。オンラインならフォームやファイルを送付、オフラインなら紙に印刷して直接渡すこともできるため、相手が答えやすい形式を選びましょう。形式をそろえると、複数人から集めた回答を比較しやすくなるのでおすすめです。
他己分析ツールを活用する
専用の他己分析ツールを使えば、短時間で多くの人からフィードバックを集められます。選択式の質問と自由記述式のコメントを組み合わせられるものも多く、結果を数値やグラフで可視化できるのが特徴です。
たとえば、マイナビの「お願い!他己分析」やOfferBoxの「他己分析シート」などは、URLを送るだけで遠方の友人や忙しい人にも依頼でき、オンライン上で完結します。回答はデータとして残るため、あとから見返せるので非常に使いやすいでしょう。
ただし、回答者が特定の層に偏ると結果も偏る恐れがあります。ツールだけに頼らず、対面や質問シートなど他の方法と組み合わせることで、幅広い視点から見た、納得感のある分析につながるでしょう。
他己分析のやり方・ポイント

次に他己分析のやり方やコツ、ポイントについてみてみましょう。
自己分析を事前に行っておく
他己分析をするまえに自己分析をしておくのは必須です。なぜなら、自分が見ているものと他人から見えているもののギャップを認識することが深い自己理解には不可欠だからです。
質問内容を考える
両親や友達など親しい間柄であればあるほど、きちっと質問項目を示して話始めることが重要です。
親しい間柄では雑談に流れがちですが、「なんとなく」といった曖昧な回答に終わらないよう、事前に質問内容と目的を共有しましょう。
質問する相手の選び方
他己分析では、誰に対して質問をするかを戦略的に考える必要があります。
おすすめする回答者の特徴は、次のとおりです。
おすすめの回答者の特徴
- 本音で向き合ってくれる人
- 志望業界や社会人としての経験がある人
- 就活で成功した経験のある人
遠慮せず率直な意見を伝えてくれる相手は、自分では気づかない改善点を気兼ねなく教えてくれます。たとえば、あなたのことをもともとよく理解している友人と、顔見知りであまり深く話したことはない友人とでは同じ質問でも回答は違ってくるはずです。
友人のなかでも同じ学生同士とすでに社会に出ている友人とでは聞きたい質問も回答を変えてみましょう。他己分析ではお世辞や嘘などが含まれると信憑性が低くなってしまうので、遠慮せずに忖度なく話してくれる人を選んで質問しましょう。
また、他己分析は、実は一人からの回答ではなく、複数人に対して質問したほうが、多面的な視点から自分を知るために、とても有効です。
さらに、志望業界や社会人としての経験がある人や就活で成功した経験のある人であれば、実際の仕事や業界の視点から、自分の強み・課題を現実的にフィードバックしてくれるでしょう。
他己分析の意見と自己分析の結果を照らし合わせ考察する
他己分析での回答・コメントは、必ずしもみなさんをほめるものばかりではないかもしれません。しかし、自分で気がつかなかった性格や短所の返答は自分では得ることができないため、大きな財産となります。実は、面接で面接官が抱く第一印象に近いものなども含まれるからです。
マイナス面を改善することで、面接でプラスの印象を与えることもできると、真摯に受け止めて活かしていくことが大切です。
他己分析をした後は、自己分析と照らし合わせてそのギャップを活かして自己PRにつなげるものおすすめです。
他己分析の結果を就活に活かす方法
他己分析のフィードバックは、適切に整理・活用することで、就活における強力なアピール材料となります。ここでは、他己分析の結果を就活にどのように活かすのかを詳しくみていきましょう。
フィードバックを整理・分類する
他己分析で集まったフィードバックは、そのまま眺めて終わりにせず、集めた回答を整理・分類しましょう。
具体的には、「強み」「改善点」「価値観」といったカテゴリに分類し、共通点や違いを整理します。複数の人に共通して指摘された自分の特徴や課題がより明確になり、自己分析や自己PRに役立てられるでしょう。
たとえば、自己分析では「おとなしい性格」だと思っていても、他己分析では「頼られる存在」と評価されることもあります。こうした新たな発見を素直に受け止めることで、自己理解が深まり、就活での自己PRやエピソード作りに役立つはずです。
強みを自己PR・ガクチカに反映する
他己分析で得たフィードバックは、「自己PR」や「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」に活かせる、信頼できる根拠になります。自分の強みに加えて第三者の評価を示すことで、説得力と客観性が高まるためです。
さらに、自分では気づかなかった強みが見つかることもあります。たとえば「控えめだと思っていたが、チームを盛り上げていたと言われた」などの意外な評価は、新たな自己PRの核になります。こうして得た他者からの意見やエピソードを志望動機やガクチカに反映すれば、より具体的で印象に残る自己アピールにつなげられます。
自身の特徴から向いている職種・業界を見つける
他己分析の結果は、自分に合った業界や職種を探す大きなヒントになります。まずは他者から指摘された特徴を振り返り、それがどの業界や職種で求められる資質に当てはまるか考えてみましょう。
特に、自分では気づかなかった強みは職業選びの大きな手がかりになります。たとえば「困っている人を率先して助けるタイプ」と評価されたなら福祉・介護業界、「計画性が高く誠実」と言われたなら金融や公務員などが向いているかもしれません。
こうして自分の特徴と業界・職種の資質を照らし合わせることで、自分に合った働き方を見つけやすくなります。さらに、選考で志望理由に根拠を持たせられるため、自己PRにも説得力が増すでしょう。
他己分析の質問例
質問は具体的であればあるほど他己分析をうまく進められますので、この点に注意しましょう。
たとえば「自分の長所ってなんだと思う?」という質問には、「〇〇さんはしっかりもので粘り強いところがいいよね」といった回答になるでしょう。
しかし、「部活動の中で自分がいてよかったと思ったことが過去にあったら教えてくれる?」という質問であれば、「前に団体戦の時にメンバーの欠場でネガティブな雰囲気になっていたとき、一人だけ折れないで前向きな姿勢だったよね。あのときの粘り強さがあったから、チーム全体が勇気づけられたんだよ」といった具体的な回答が得られます。
このようなコメントを聞くことで、自分の中でも長所のイメージをより説得力を持ったエピソードを含めてもっておくことができます。
このように、質問の仕方を変えることで得られる情報の質が大きく変わってきます。質問の意図を明確にし、相手が具体的なエピソードを思い出しやすいよう工夫しましょう。
・自分の長所について
私が活躍していると感じるときのエピソードはどんなときか
どんなときに私が必要だと感じたことがあるか
私と関わったときのメリットがあるか
・自分の短所
私が直したほうがいいことがあればどうしたほうがいいか
私がいたことで迷惑をかけた出来事があればエピソードを教えてほしい
・自分の価値観
私が楽しそうに感じるのはどんなときか
どんなときに不満を感じていそうか(顔に出てるか、出ていないか)
私がやる気を出してそうなのはどんなときか
私は将来どんな姿になっていそうか
・自分への第一印象
最初の第一印象はどのようなものだったか
最初に抱いた第一印象と今の印象とのギャップはどうか
しっかりとした他己分析で面接に臨もう!|まとめ
就活においては、自己分析はもはや当たり前のことになっていますが、いざ自分としっかり向き合おうとしても、自分自身を正確に理解するのは難しいものです。
そんなときは、遠慮せず他人の力を借りましょう。他己分析をすることで、自己理解が深まり、面接での自己PRも他人の客観的な視点も交えてエピソードを説明できるので、説得力もぐっと増します。
あいまいな自己PRから印象をワンランク上げて、しっかり納得のいく内定を獲得しましょう。





