今回は「卒業」と「修了」の違いを知りたい方に向けた記事になります。
就職活動をしているときに「卒業」と「修了」のどちらを使えばよいのか迷うときはありませんか?
結論から言うと、大学の課程を終えたときには「卒業」、大学院の課程を終えたときには「修了」を使います。
しかし、そもそも「卒業」や「修了」にはどのような意味があるのでしょうか?
この記事では、履歴書の学歴・職歴覧の書き方(例文)と合わせて「卒業」と「修了」の違いをさらに詳しく説明していきます。
最後までお読みいただければ幸いです。
卒業と修了の違いとは?
はじめに「卒業」と「修了」の違いについて説明します。
どのようなときに「卒業」を使い、どのようなときに「修了」を使うのでしょうか?
まずは「卒業」を使う場面と「卒業」の意味について説明します。
次に「修了」を使う場面と「修了」の意味について説明します。
卒業
卒業とは「その学校の全課程を学び終えること」を意味します。
「卒業」を使う場面は以下のときになります。
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 専門学校
- 短期大学
- 大学
ここで、大学は学校なのかという疑問が生まれそうですが、学校の辞書的意味としては、「一定の教育目的に従い、教師が児童・生徒・学生に計画的・組織的に教育を施す所。また、その施設。特に、学校教育法では幼稚園・小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・高等専門学校・特別支援学校・大学のこと。」
としているため、大学も学校の定義に含まれることが分かります。
ちなみに、国際標準教育分類(ISCED)によると、日本の場合、小学校は「初等教育課程」、中学校は「前期中等教育課程」、高等学校と専門学校は「後期中等教育課程」、大学は「高等教育課程」に分類されます。
すなわち、大学を卒業するとは「高等教育の全過程を学び終えること」を意味するのです。
以上のことから、基本的に大学院に進学していない場合は、小学校・中学校・高等学校・大学まですべて「卒業」という1つの言葉を使えばよいということになります。
一方で、大学院を終えた場合は「卒業」という言葉を使わず「修了」という言葉を使用しますので、大学院生のみなさんは注意しましょう。
参考:goo国語辞書「がっこう の意味」
参考:文部科学省(2014)「諸外国及び国内における高等教育段階の 職業教育に関する基礎資料」
修了
修了とは「学業などの一定の課程を終えること」を意味します。
「修了」を使う場面は以下の場合となります。
- 大学院(博士前期課程)
- 大学院(博士後期課程)
- 専修学校
- 職業訓練学校
先述の通り、卒業とは、「その学校の全課程を学び終えること」を意味します。
すなわち「卒業」と「修了」の違いは「全課程」なのか「一定の課程」なのかということになります。
大学院は「博士前期課程」と「博士後期課程」に分かれています。
このとき「博士前期課程」か「博士後期課程」のどちらかを終える場合、「一定の課程」を学び終えるということで「修了」を使います。
これが、大学院の課程を終えたときに「卒業」ではなく「修了」という言葉を使う理由です。
ちなみに、履歴書に書くときはあまり関係がないのですが、大学院へ進学していない場合も、実はを何度も「修了」を経験しています。
例えば、小学校1年生から小学校2年生に進級することは「小学校1年生の課程を修了した」ことを意味します。
同様に、中学校1年生から中学校2年生に進級することは「中学校1年生の課程を修了した」ことを意味します。
上記の2つの例はともに、学校の全過程を学び終えたのではなく、一定の課程を終えているため、「修了」という表現になります。
このように、1学年上がるごとに修了を繰り返していたと考えると、感慨深いですね。
大学院生が履歴書の学歴・職歴欄を書く場合
次に、大学院生が履歴書の学歴・職歴欄を書くときのポイントや例文を紹介します。
前項の「卒業と修了の違いとは?」では、卒業と修了の意味や用途について簡単に説明しました。
ここからは「大学院」に焦点を当てて、さらに詳しく「博士前期課程」と「博士後期課程」の違いなどを説明していきます。
特に「博士後期課程」を終えるときの書き方は非常に複雑です。
どのようなときに「修了」と書くのか?
どのようなときに「単位取得退学」や「満期退学」と書くのか?
その点について、詳しく説明していきたいと思います。
また、実際の例文も紹介するので、履歴書を作成するときの参考にしていただければ幸いです。
なぜ博士後期課程を終えても「修了」を使うのか?
博士前期課程でも博士後期課程でも、どちらも「修了」という言葉を使います。
前項の「卒業と修了の違いとは?」でも紹介しましたが、卒業には「その学校の全課程を学び終えること」という意味があり、修了には「学業などの一定の課程を終えること」という意味があります。
大学院には「博士前期課程」と「博士後期課程」という2つの課程があり、「博士前期課程」を終えたときには、「一定の課程」という理由で「修了」という言葉を使うことにも納得できるでしょう。
しかし、ここで「博士後期課程も終えたのであれば”卒業”を使うのではないか?」という疑問が出てきそうです。
なぜ「博士後期課程」を終えたあとも「修了」という言葉を使うのでしょうか?
実は履歴書には「博士前期課程」と「博士後期課程」のそれぞれについて、課程を終えたかどうかを記載しなければならないというルールがあります。
すなわち「博士前期課程」とは別に「博士後期課程」の「入学」と「修了」を記載することになるのです。
具体的には以下のようになります。
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士前期課程 入学
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士前期課程 修了
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程 入学
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程 修了
つまり「博士後期課程」を「一定の課程」の一部と見なすので、「博士後期課程」も「修了」という言葉を使うのです。
「博士前期課程」でも「博士後期課程」でも、どちらも「修了」という言葉を使うことを覚えておきましょう。
博士後期課程の「単位取得退学」と「満期退学」について
博士後期課程を「修了」するとは、大学院の所定の単位を取得したうえで、博士論文の審査に合格することをいいます。
しかし、博士後期課程に入学した全ての人が3年間で博士後期課程を「修了」できる訳ではありません。
人によっては履歴書を書くときに「単位取得退学」または「満期退学」という言葉を使うことがあります。これはなぜでしょうか?
実は、博士論文の審査に合格して、博士の学位(以下:博士号)を取得することは大変難易度が高く、大学院在学中に博士号をとることができず、大学院を終える人も一定数いるのです。
このように、博士号をとらないまま大学院を終えた場合は履歴書に「単位取得退学」または「満期退学」と書くのです。
博士後期課程における「修了」という言葉は、大学院の所定の単位を取得したうえで、博士論文の審査に合格することまでを含んでいることに注意しましょう。
参考:博士課程修了とは?博士号をとるメリット・デメリットと取得後の進路を解説
学歴・職歴欄の書き方(例文)
ここからは、実際に履歴書の学歴・職歴欄に書くときの例文を紹介します。
ぜひ履歴書を書くときの参考にしていただければ幸いです。
<小学校>
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇小学校 入学
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇小学校 卒業
<中学校>
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇中学校 入学
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇中学校 卒業
<高等学校>
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇高等学校 入学
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇立〇〇高等学校 卒業
<大学>
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 入学
- 平成〇〇年〇〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業
※大学在学中は「平成〇〇年〇〇月 〇〇大学〇〇学部〇〇学科 卒業見込み」と記載します。
<大学院>
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士前期課程 入学
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士前期課程 修了
※大学院(博士前期課程)在学中は「令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士前期課程 修了見込み」と記載します。
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程 入学
- 令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程 修了
※大学院(博士後期課程)在学中は「令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程 修了見込み」と記載します。
※博士号を取得しないまま大学院を終える場合は「令和〇〇年〇〇月 〇〇大学大学院〇〇研究科〇〇専攻 博士後期課程 単位取得退学」と記載します。
まとめ
最後にこの記事の内容をまとめます。
- 卒業とは「その学校の全課程を学び終えること」を意味する
- 修了とは「学業などの一定の課程を終えること」を意味する
- 小学校、中学校、高等学校、専門学校、短期大学、大学の課程を終えたときは「卒業」を使う
- 大学院(博士前期課程)、大学院(博士後期課程)、専修学校、職業訓練学校の課程を終えたときは「修了」を使う
- 博士号をとらないまま大学院を去った場合は履歴書に「単位取得退学」または「満期退学」と書く
「卒業」と「修了」の意味の違いが分からないと、どのようなときに、どちらを使えばよいか迷ってしまいます。
「卒業」は「全課程を終えること」であり、「修了」は「一定の課程を終えること」です。
履歴書を書くときには、間違えないように注意しましょう。