理系の学部卒と理系の院卒では何が違うのでしょうか。
その違いが分からないと、なかなか大学院に進学してから就職しようと踏み切れませんよね。
巷では、理系の院卒は就職できないと言われることもある一方で、理系の院卒は年収が高くて優遇されるという噂もあり、一体どちらがいいのか分からなくなってる方も多いと思います。
そこで今回は、理系の学部卒と院卒での就職の違いやそれぞれのメリットとデメリット、院卒で就職する場合の失敗しないためのポイントをご紹介します!
理系の学部卒で就職するか大学院へ進学するかを迷っている方だけでなく、就職について考え始めた院卒の方はぜひ参考にしてみてくださいね!
文系の院卒での就職についてはこちらの記事をご覧ください。
理系の学部卒と院卒での就職に違いはあるか?
早速、理系の学部卒と院卒の就職の違いから学んでいきましょう。
就活の流れや就職先について
まず、就活の流れや就職先について見ていきましょう。
基本的に理系の学部卒と院卒の就活では就活の流れや就職先に大きな違いはありません。
学部卒、院卒も同じく就活サイトやイベントを通してエントリーしESや筆記試験、面接を行います。
次に選考時にどの点が見られるのでしょうか。見られる点とその対策について解説していきます。
学部卒はポテンシャルを買われる
学部卒の就活は即戦力ではなく、将来的に会社で活躍できるかというポテンシャルが見られます。つまり、会社がスキルや基礎力を伸ばすための投資を行うことを前提としています。
そのため、学部卒ではポテンシャルをアピールするために志望動機や入社後にどういうキャリアを築いていきたいかを伝えることが重要です。
この志望動機やキャリアに関しては、その会社でできることと自分がやりたいことがマッチしていることはもちろん、自分のやりたいことをするためには他の会社ではなくその会社が最も適しているということを言及することによって説得力が付きます。
そのため、会社の現状だけでなくその会社が今後力を入れることや他社との違いを明確に理解したうえで志望動機を考えていくことが重要となります。
ぜひ、学部卒の就活ではこの点を意識してポテンシャルのアピールをしていきましょう!
院卒はスキルや基礎力を見られる
一方で、院卒ではポテンシャルだけでなくスキルや基礎力を見られます。
学部卒より2年間多くその学問について深く学んでいるので専門性が求められます。
そのため、在学中で培った実験や分析スキルがアピールできる具体的なエピソードを準備しておくことが重要となります。
しかし、専門性が伝わることは重要ですが面接時の限られた時間で説明することになるので伝わりやすさも重要です。
伝えたいことやアピールしたいことを一番始めに話して後からエピソードを話す、なるべく分かりづらい専門用語を控える等を意識してみましょう!
次に学部卒、院卒のメリットとデメリットを見ていきましょう。
理系の学部卒で就職するメリット
まず、理系の学部卒で就職するメリットから見ていきましょう。
1.若さとポテンシャルが武器になる
まず若さとポテンシャルが武器になるというメリットがあります。
もちろん、理系の学部卒でもスキルや基礎力があるに越したことはありません。
しかし、院卒ほど専門性やスキルを求められることはないのでその点で落とされる可能性が低いのがメリットです。
2.実務経験も早く積める
前述の通り、学部卒は入社後に成長のために会社が人材育成に投資することを前提としている場合が多いです。
そのため大学院に進学するより少なくとも2年早く実務経験を積むことができ、研修などを通して成長することができます。
3.企業の募集数は多い
理系の学部卒で就職する場合、院卒に比べて募集数、就職先が多いこともメリットの一つです。これは学部卒特有の若さがあるため、様々な職種に適応させることができる期間が長いことが要因となっています。
そのため、様々な仕事を吟味したい方にとっては大きなメリットとなります。
4.大学院への進学費用がかからない
大学院に2年間通った場合、国立で約138万円、私立の場合は大学によっては200万円近くかかるケースもあります。
進学費用がかからないだけでなくその間に、給料を稼ぐことができる点がメリットですよね。
理系の学部卒で就職するデメリット
では、理系の学部卒のデメリットは何でしょうか。
2つご紹介します。
1.専門性の高い職場は院卒を求める
学部卒では幅広い選択肢があるものの、専門性の高い職場は院卒を求める傾向にあります。もちろん、学部卒でも高い専門性を持った学生はいます。
しかし、相対的に院卒の学生の方が高い専門性を持った学生の割合が高いのも事実です。
会社の採用活動には経費がかかります。
そのため、採用の経費を少しでも抑えて効率的に専門性の高い学生を見つけるために、あらかじめ採用条件に院卒と記載していたり、院卒を求めることもあります。
2.学校推薦を受けづらい
就職には自分で会社にエントリーするという他に、学校推薦を受けることができます。
もちろん、学校推薦は誰でも受けられるというわけではなく、一定レベル以上の専門性やスキルが求められます。そのため、学校推薦を受けるためには学内で選考が行われたり独自の試験があるケースがあります。
その理由は、推薦後にその学生のレベルが会社の求めるレベルから大きく乖離しているとわかった場合、推薦した大学の評価が悪くなるだけでなく、来年度から求人が来ない可能性があるためです。
学校推薦は大学内で選考があり、その後の採用試験もあるためメリットがないのではないかと思われがちですが実はそうではありません。
学校推薦に合格するということは、企業から見た場合「一定レベル以上の専門性やスキルを持っている」と判断されます。
そういったことから、学校推薦に選ばれた時点で選考フローが短縮されたり、内定とする会社も多いです。
学校推薦に選ばれると、会社だけではなく推薦した学校の都合もあるため、余程の理由がないと辞退できないという注意点があります。
そのため、やりたいことや行きたい会社が明確な学生にとっては学校推薦は非常にメリットがある制度です。
しかし、専門性やスキルの面において大学院に進学している学生の方がその分野をより深く学んでいるため、学内選考や試験で院卒の方が有利になりやすいという側面があります。
したがって、学部卒は院卒に比べて学校推薦を受けづらくなっています。
学校推薦についてはこちらの記事にて詳しく解説しています。
理系の院卒で就職するメリット
では次に院卒で就職するメリットについて見ていきましょう。
1.大手企業に採用されやすい
理系の院卒は高い専門性を有している学生が多いため、大手企業に採用されやすいというメリットがあります。
また、実験や研究のスキルをアピールできる分かりやすい実績やエピソードが生まれやすいこともあり、面接時における説得力の高さも武器になりますよね。
大企業についてはこちらの記事をご覧ください。
2.学校推薦を受けやすい
前述の通り、学校推薦では事前に学内での選考や試験があります。
大学院生は学部生より専門性を高める期間が長い分学内での選考や試験に有利になります。
そのため院卒は学校推薦が受けやすくなっています。院卒で就職を考えている方はぜひ学校推薦を利用するようにしましょう!
3.初任給や生涯賃金が高い
院卒で就職した場合は学部卒で就職した場合に比べて初任給や年収、生涯賃金が高くなる傾向になります。
内閣府の令和3年賃金構造基本統計調査によると院卒の初任給の平均は約25.4万円、学部卒の初任給は22.5万円となっています。
また、年収の側面では20~24歳(※修士卒の場合24歳)時点では学部卒が平均で309万、院卒が298万となりますが、25~29歳以降は院卒の方が平均年収が高くなります。
20~24歳時点で学部卒の方が年収が高いのは、学部卒の方が勤続年数が長いためです。
25歳以降になると院卒と学部卒の間で年収差の広がりが大きくなり、40~44歳になると平均年収で200万もの差ができ、平均生涯賃金では4800万以上の差がつきます。
このように大学院の進学には費用がかかり、学部卒の方が早く就職することを加味しても長い目で見れば十分に元がとれることが分かりますよね。
院卒の年収についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
4.不況時でも求められやすい
高い専門性を有している理系の院卒は不況時でも求められやすいです。通常、不況になると会社は人材に投資することが難しくなります。
しかし、学部生に比べて即戦力になりやすい理系の院卒は学部卒に比べて戦力になるまで成長するために投資しなければいけない時間や金額面のコストが低いため不況時でも変わらずに求められやすい傾向にあります。
5.理系の院卒は専門性が高く評価される
専門性の高い理系の院卒は入社後に戦力になる可能性が高いため、就職で欲しがる企業も多いです。
これだけ多くのメリットがあれば、理系の院卒を採用したい会社が多いことがわかりますね。
理系の院卒で就職するデメリット
理系の院卒で就職する場合、デメリットが2つあります。
1.就職先で学部卒と比較される
理系の院卒は即戦力になることを求められます。そこでどうしても就職先では、学部卒と比べて短い期間で戦力になっているかどうかが見られてしまいます。
このため、院卒で就職する際は自分の能力が発揮できる会社かどうかを充分に検討しましょう。
2.研究と就職でスケジュール管理が大変
学部卒は就職の時期までに単位を取得し、所属しているゼミに相談することで比較的就職のためのスケジュールを確保しやすいです。
しかし、院卒では実験や研究と両立して就職活動を行わなければならない場合が多くありスケジュール管理が大変です。
そのため、学校推薦等を利用して効率的に就職できるようにしていきましょう!
院生の就活スケジュールについてはこちらの記事をご覧ください。
一方で、自分一人でスケジュール管理をするのが難しい際は、エージェントを活用するのも有効な手段であると言えます。アカリクの運営する就活エージェントは無料で利用することが出来るので是非活用しましょう。
理系卒の院卒で就職が失敗しないための行動
ここまでご紹介した理系卒の院卒の就職のデメリットを踏まえた上で就職できないリスクを減らすためのポイントについて解説します!
1.人気職種は早めに就職活動を開始する
前述の通り、理系卒の院卒はスキルや基礎力をアピールすることが求められます。
スキルや基礎力をアピールするためには分かりやすい実績やエピソードを作ることが有効です。
就職希望先で生かすことができる能力が乏しい場合は他の理系の院卒に比べて就職が不利になるので、就職希望先を早めに明確にしてその会社や職種に生かすことができる能力を伸ばすようにして実績やエピソードをアピールできるようにしましょう。
また、スケジュール管理の面でも早めに就職活動を開始することが重要です。
早めに就職活動を行い、選考のステップや所要時間を把握しておくことで研究や実験との両立が効率的に行えますよね。
2.自己PRだけでなく会社でできることをPRする
自己PRの方法も重要です。
なぜなら、どれだけ能力があっても会社が求めていることやその会社でできることとマッチしていなければ採用される可能性は低いからです。
そのため、自己PRを行う際は
・自分の能力
・その根拠となる実績やエピソード
・会社でその能力をどのように生かすか
を提示することが重要です。
自分の能力を生かすことができるかどうかを判断するためには企業分析を行う必要があります。
求められる能力は会社の採用HPや募集要項に記載されていることが多いですが、実務にどのような能力が必要が具体的に記載されていることは少ないです。
そのため、別の方法で企業分析を行う方法をご紹介します。この点を知るための企業分析でおすすめの方法は、3つあります。
①就活イベントやOB訪問で社員に直接確認する
就活イベントやOB訪問などで、自分の希望職種で実務経験がある社員に話を聞いてみましょう。その仕事が自分の適正に合っているかどうかを確認することができます。
また、仕事内容を社員に確認したことを面接で伝えることで、その会社に入社したいという熱意も伝わります。
しかし、就活イベントの場合は自分の希望職種で実務経験がある社員がいない可能性があります。
また、OB訪問で確認する場合であっても、社員によって考え方や社内での細かい役割が異なるため、人によって違った回答が返ってくる場合も多いです。
色んな角度で見た意見を収集するために、複数人にOB訪問してみましょう。
もしサークルや研究室で希望職種の社員へのツテがない場合は大学内の就職支援課やOB訪問アプリを利用して探してみましょう!
OB訪問を行う際に必須のメールの書き方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
②就職エージェントに聞く
就職エージェントはこれまで数多くの就活生をサポートしてきた就活のプロです。
そのため、過去に自分の希望職種で採用された学生がどのようなアピールをしたのかや希望職種で活躍するためにはどのような能力が必要か等についてノウハウを持っているケースが多くあります。
また、就活において幅広い知識を持っているため、希望職種が定まっていない場合でも自分の能力があればどの職種で活躍することができるかについてアドバイスしてくれます。
さらに、企業分析のサポートだけでなく面接時に自己PRを効果的に伝える方法やES対策なども手厚く行なってくれるので、ぜひ就職エージェントに相談してみましょう!
数ある就職エージェントの中でも、大学院生や研究職志望者の就活をサポートしてきた「院生就活のプロ」であるアカリク就職エージェントがおすすめです。
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企業研究や自己分析、選考対策など、プロから客観的なアドバイスをもらうことで自分自身がやるべきことが明確になり、効率よく就職活動を進めることができます。
③即戦力として求められることを意識する
理系の院卒は即戦力として求められているため、自分の能力を会社でどのように生かすかだけでなく、より具体的に実務のどの場面で生かすことができるかを伝える必要があります。
ここでもOB訪問や就職エージェントへの相談が有効になります。
この対策は、自分の能力をアピールすることや入社への熱意を見せることだけでなくもう一つ大きなメリットがあります。
それは採用側を安心させるということです。職種や業務について充分理解した上で入社を希望している場合、入社後にミスマッチが起きる可能性が低くなります。ミスマッチが起こると社員が辞めてしまうことに繋がります。
また、採用側は採用した社員がすぐに辞めてしまった場合は自身の評価に影響が出るケースがあるため、なんとしてもこのミスマッチは避けたいですよね。
そこで、このようにミスマッチが起きる可能性が低い学生は安心して採用することができるので比較的採用されやすくなるというメリットがあります。
理系院卒の就職は希望先を明確に早めに対策をしよう
今回は理系の学部卒と院卒の就職の違いやメリット・デメリット、理系の院卒の就職で失敗しないためのポイントについて解説しました。
▼最後に記事の内容をおさらいしましょう▼
1.理系の学部卒は就職先や募集が多く、ポテンシャルが武器になる。
2.理系の学部卒は専門性の高い職種や学校推薦の選考において不利になる。
3.理系の院卒は学校推薦を受けられる可能性が高く、不況時にも就職しやすい。
4.理系の院卒はスケジュール管理が難しく、即戦力が求められる。
理系の院卒で就職する場合は早めに希望先を明確にして対策をすることで失敗するリスクを下げられることがわかりますね。
ぜひ、今回の記事に記載したポイントを踏まえて対策を始めていきましょう!
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