現在大学院に行っている人は「第三新卒」という言葉を聞いたことのある人が多いのではないでしょうか。第三新卒とはどんな人のことを指すのか。就職において有利なのか不利なのか、気になる人もいると思います。
今回の記事では、そんな第三新卒について以下のことを解説します。
- 第三新卒と呼ばれる人の定義
- 第二新卒との違い
- 第三新卒が抱える、就職・転職における不安
- 第三新卒が就職で有利となる点
第三新卒に当てはまる人、またこれから就活を控えている大学院生の人は、市場における第三新卒の見られ方や、抱えうる不安を知って、就活をうまく進めるための参考にしてください。
第三新卒とは
「第二新卒」という言葉は聞いたことがあるけれど「第三新卒」は聞いたことがない人も多いと思います。第三新卒の定義と、第二新卒との違いについて詳しく見てみましょう。
第三新卒の意味
第三新卒とは、第二新卒という言葉から造られた単語です。第三新卒と一言でいっても、さまざまなケースがあり、広い意味では以下のような人のことを指します。
- 第二新卒といわれる20代前半より上の年齢で、就労経験がない人
- 大学院博士課程を終える予定で、新卒と同じ枠で就活する人
- 大学院卒で就労したものの、数年で企業を退職し転職を希望する人
第三新卒には色々な意味合いがありますが、本記事では「大学院卒で就労経験がなく、就職を希望している人」と定義して、有利な点や不利な点を深堀りしていきます。
第二新卒と第三新卒の違い
では第二新卒との違いを見てみましょう。第二新卒は、新卒で入った企業を1年目から3年目くらいまでの間に退職し、次の企業へ転職する人のことを指します。20代前半の社会人のため、若さならではの柔軟性も高く、他業界への転職がしやすいというイメージがあると思います。
一方で、第三新卒は大学院に在籍しており、これから就活する人のことです。就労経験がないのは、第二新卒との大きな違いといえます。ただ第三新卒は大学院での実績や研究をしてきたノウハウがあり、専門的な知識があるという点では、第二新卒より有利だと考えられるでしょう。
第三新卒が抱える就職や転職の不安
第三新卒が就活をするうえで、懸念となる点は3つあります。就活をする際に不利に働く可能性がある点について、詳しく見ていきましょう。
自分に務まる職場があるか不安になる
1つ目は、自分に務まる職場があるか不安になることです。第三新卒は専門知識が高いため、大学教員や研究職として民間企業に採用されるのが一般的です。ただ、ここ数年第三新卒の人口は徐々に増えてきており、就活の競争は激しくなっています。
大学のポストも大量に空きがあるわけではないので、職を探すのに苦戦するかもしれません。もし教員になれたとしても、将来的に教授になれると確定したわけではありませんから、ポストによっては不安が募るでしょう。
そして民間企業においても、第三新卒の就職は不利になる可能性があります。なぜなら大学院で研究を続けてきた20代後半の第三新卒は、就労経験のある同世代の人と比較されやすいからです。
たとえば、ビジネスマナーや業務におけるコミュニケーション能力も、研究職のポストには欠かせません。
高い専門性があったとしても、ビジネス面でまったく経験がないと、民間企業では厳しい目で見られてしまうことがあるのです。
そのため第三新卒の就活は長引いてしまうこともあり、務まる職場があるか不安になることが考えられます。
周りの視線が気になり比べてしまう
第三新卒は、周りの目線が気になってしまうこともデメリットの一つです。就活市場の大半は大卒で20代後半の学生ですから、年が違うとどうしても少数派に見られてしまいます。特に新卒枠では、20代ならではの若さとフレッシュさが求められるケースがよくあります。
もくもくと研究を続けてきた第三新卒にとっては、そういった若さが出しづらく、状況によっては大卒の人と比較されて不利になるかもしれません。
また、第三新卒同士の比較に悩むことも考えられます。大学院に進学して博士課程を終える人は、優秀で高い実績を残している人が多い傾向にあります。そうした人たちは、実力を認められて、早々に就活を終えてしまうケースもあるでしょう。
周りが就職先を決めていく中で自分だけ就職先が見つからないと、不安に駆られてストレスになってしまいます。
院卒の場合は、就活と研究を並行して行う必要がありますから、周りに流されずに自分の軸に合った就職先を探したいものですね。
相談する人やエージェントが少ない
第三新卒が就活をする際は、相談できる人やエージェントが少ないことも不利になるでしょう。そもそも大学院卒で就職する人の数が少ないため、自分が研究している分野に精通している人で、かつ就活を成功させた人を探すのが難しいのです。
研究室の先輩や友人に紹介してもらたり、OB・OG訪問を積極的に行き、自分から行動しなければ相談相手を見つけられないことが考えられます。
また、就活をサポートしてくれるエージェントも、第三新卒を対象にしているところは少ない印象です。一般的なエージェントは大卒に限定されているため、第二新卒を中心としているところや、20代を対象にしたエージェントを使うといいかもしれません。
第三新卒が就職や転職に有利な点
第三新卒は就職において不利な点が目立ちますが、もちろんその状況だからこそ活かせる有利な点もあります。就活する際には、以下の点をうまくアピールして内定を勝ち取ってください。
専門性を持っている
第三新卒は大学院での研究を得て高い専門性を持っているため、就活では大卒と差別化できるのが有利な点です。大卒の場合「採用してから教育しなければいけない」というイメージを持たれていますが、大学院卒で、希望するポストで活かせる知識があれば、即戦力とみなされます。
企業が新人を教育するのには大変な手間と費用がかかりますから、それらを省略できる専門性を持っている第三新卒は非常に有利なのです。
もし大学院に在籍しているときに、研究で高い成果をあげられれば、就職してからも企業に貢献できる人材であることがアピールできるでしょう。
第三新卒が就活をする際には、自分の研究した分野の知識が活かせる職場を探すことが、能力を最大限発揮できる仕事を探すきっかけになります。大卒と同じポストに応募する際は、ぜひ自身の持っている専門性の高さを武器として使ってください。
第三新卒が就職するためには自己分析が大切
第三新卒とはどんな人のことを指すのか、就活における有利な点と不利な点もあわせて紹介しました。第三新卒は、大学院で研究した年月を重ねている分、就活においては、大卒と比較されて不利に感じることもあるかもしれません。
しかし、身につけた専門性をうまくアピールできれば、納得のいく職場に就くことは十分可能です。そのためには、自己分析に時間をかけて、自身の強み・弱みをしっかり洗い出してください。
自己分析をして、自分の持っているスキルや知見を活かせる企業を選べれば、企業とのミスマッチを防ぐことが可能です。周りの状況に一喜一憂せず、自分の達成したいことを実現できる職場を見つけてください。