理系の学部生の方の中には、「学部新卒としての就職に失敗したら大学院に行こうかな」と考えている人もいるでしょう。
修士課程、または博士課程を無事修了すれば、新卒としての就職活動をやり直せますし、学歴の観点からも内定をもらいやすいイメージがありますよね。
しかし、学部生と大学院生では就職活動生としての扱いが企業で異なり、場合によっては学部生のときに就職した方が良いケースもあります。
そこで今回は、学部卒で就職をするか大学院に進むかで悩んでいるあなたのために、下記の内容を紹介します。
就職するには大学院修了後と学部卒どちらがいい?
学部生で就職するよりも、大学院に進学してから就職するほうがメリットが多いイメージがあるでしょう。しかし、学部生で就職するメリットも存在します。まずは、大学院修了後と学部卒の就職活動のメリットを見ていきましょう。
学部卒での就職活動のメリット
学部生で就職するメリットは、社会経験を早く積むことができる点です。例えば、修士課程を修了すると就職は24歳頃になりますが、学部生であれば22歳頃に就職することになり、大学院に進学した場合よりも2年分長く社会経験を積むことができます。
企業側は学部生を即戦力として求めておらず、入社後に育てることを前提に採用することが多いでしょう。
企業は学部生のポテンシャルを見て採用しているため、求めている人材とあなたの強みがマッチすれば内定がもらえるでしょう。あなたの強みが会社にどう活かせるかをアピールすることで採用に繋がります。
大学院修了での就職活動のメリット
次に、大学院修了での就職活動のメリットを紹介します。
専門分野を活かした就職活動ができる
大学院修了での就職活動のメリットは、自分の専門分野を活かした就職活動ができるということです。修士修了の場合、大学院で2年間研究を行うことで、専門知識やスキルを深められます。
そのため、企業がその専門分野に詳しい人材を求めている場合、優遇される可能性があります。研究職や開発職でよくある傾向です。
また、研究で培われた能力が評価されるため、学部生より採用されやすいこともメリットです。
研究をしていると成果を出すために乗り越えなければならない課題が多く出てきます。
その時に、論理的に仮説を立て、検証を行い、結果を見て、次に行うことを決めるということを繰り返すでしょう。PDCAサイクルを何度も行うことで、論理的思考や問題解決力などさまざまなスキルが得られます。
他にも、学会に参加することでプレゼンテーション能力や質疑応答によるコミュニケーション能力を培うことが可能です。
研究で得られたスキルは実際の仕事にも使えることが多いため、学部生よりも即戦力として扱われることがあります。そのため、企業によっては院生を積極的採用しているところも少なくありません。
大学の推薦制度を利用できる
理系の院生だと、大学の推薦制度を利用できる場合があります。研究室の教授が企業との強いコネクションを持っている場合に利用できる「教授推薦」や、研究室単位で特定企業への推薦枠が設けられている場合も。
推薦制度を使うメリットは主に以下の2つです。
- 就職活動の選考で有利になる
- 早期に内定が出る(選考ステップが少ない)
推薦制度は、研究室に所属している学生の専門性や知識が企業の採用ターゲットになっていて、合格率が高い傾向にあります。
具体的なスケジュールや採用枠がしっかり決まっていなかったり、学生に公表されていないケースもあるので、推薦を利用したい場合は担当教授に相談してみましょう。
一方で、「内定したら断れない」「就職先の選択肢が狭まる」などの理由から、大学推薦を利用しない学生も多くいるようです。実際に、2023年新卒の大学院生・理系学生を対象に実施したアンケートでは、「推薦を利用した」と回答した学生は23.8%に留まりました。
- 調査方法:大学院生・理系学生に特化した就活サイト「アカリク」会員のうち、2023年新卒の理系学生168名(内訳:博士在学中19.3%、修士在学中:75.3%、学部在学中5.4%)
- 調査期間:2022年7月8日〜7月15日
上記から、いくつかデメリットがあるとはいえ、学部生や文系の院生と比べて間違いなく有利になるため、院進にはメリットがあるといえます。
大学院修了後と学部卒の就職活動スケジュールの違い
院卒と学部卒では、就職活動開始のスケジュール感が若干変わるため、就職活動の行いやすさにも少なからず影響します。あくまでも一例ですが、それぞれの就職活動の開始時期を紹介するので参考にしてください。
学部卒は3年の4月からスタート
学部卒の場合、大学3年時の4月〜6月にスタートする場合が多いです。6月から始まるサマーインターンシップのエントリーや選考が始まるためです。サマーインターンシップに参加したい人は、少なくとも自己分析と業界研究を行ってエントリーシートを書ける状態にした方がいいでしょう。
また、大学院に進む場合でも、インターンシップに参加することで、自分のやりたい仕事や興味のある業界を見つけられます。大学院への進学について考えるいい機会になるため、大学院進学が決まっていても、学部のうちにインターンシップに参加してみることをおすすめします。
修士の場合は1年時の4月からスタート
2023年卒の修士の場合、本選考は学部卒と同様で、3月に就職活動の情報解禁、6月に選考がスタートします。
サマーインターン等に参加したいのであれば、修士1年時の4月からスタートが目安になるでしょう。6月までに業界研究と自己分析をある程度完成させることを目標にしましょう。
修士の場合研究や学会準備で忙しくなり、1年の後半になるにつれて就職活動に割けられる時間が減ってしまうかもしれません。なるべく早めに動くことが必要です。
博士は2年目の夏からスタート
博士の場合は学部卒や修士と違い、就職活動ルールがありません。そのため、一般的な就職活動スケジュールより早くインターンや選考が始まることがあります。
特に、博士採用を積極的に行っている会社では10月頃からとかなり早い時期から選考が始まります。そのため、採用される可能性を上げるためにも早い段階で就職活動をスタートしておきましょう。詳細なスケジュールを知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
就職が決まらないから大学院進学を選ぶのが危険な理由
大学院生として就職することはメリットが大きいです。しかし、就職が決まらないからという理由で大学院へ逃げるように進学するのはおすすめできません。
理由としては、下記の4つが挙げられます。
- 文系の大学院修了後は、学部卒よりも就職先が大きく増えるわけではない
- 理系でも専門職は狭き門
- 大学院修了者は年齢がネックになりやすい
- 専門性や強みがないと就職先は更になくなる
文系の大学院修了後は、学部卒よりも就職先が大きく増えるわけではない
文系の大学院に進学した場合、文系の学部卒と比較して就職先が大幅に変わるわけではないので注意が必要です。大学院では専門的な知識やスキルを身につけることができますが、文系の場合は企業の研究職や専門職の採用ニーズと合致することが少ないためです。
企業は大学院修了者に対して給料を高く設定する傾向があるため、同じポジションでの採用選考では学部生よりも慎重に判断される場合も少なくありません。
そのため、文系の院生は就職が相対的に厳しくなるケースもあります。文系院生の方が内定をもらうためには就職活動の準備をしっかりと行い、幅広い業種や職種を視野に入れることが大切です。
理系でも専門職は狭き門
理系の院生でも専門職に就くのは難易度が高いことを知っておきましょう。研究職や開発職は採用条件に「修士課程修了以上の学歴がある人」を設定している企業も多く、院生の方が採用されやすい傾向があります。
しかしながら、研究職の倍率はどの企業においても高く、多くの院生と採用枠を取り合うことになるでしょう。厳しい選考を通過できた人だけが内定をもらうことができます。
そのため、院生だからといって必ず研究職や開発職に就けるわけではありません。品質管理や生産技術などの他の理系職も視野に入れておきましょう。
研究職以外の職業として、以下の職業について紹介します。
開発職
エンジニアはさまざまな分野の主に工業製品や産業機器の設計や製造・生産管理などの開発に携わっています。
メーカーでは、社内の研究所の研究員とは明確に区別しているところも多く、研究員は理系大学院修了者が中心ですが、開発職は理系大学院修了者と理系学部卒が混在し、その比率はさまざまです。
システムエンジニアなどのIT職
近年では、ビックデータやAIなどの数学的な思考力を重要視するポジションでの求人が増えているため、技術や理論にも理解のある理系大学院修了者の活躍の場が特に増えてきています。
また、ネットワークやセキュリティ分野の重要性も高まっているので、「研究室ではネットワーク管理をしていた」、「学生時代に研究でプログラミングをしていた」、「大量の研究データを統計的に処理していた」といった経験も新卒時の就職活動では有利になることがあります。
アクチュアリーなどの金融専門職
アクチュアリーとは、確率や統計などの数理的手法を用いて、年金分野、保険分野、官公庁などのコンサルティングを行う専門職です。
かなり高度な数学的な素養が必要とされており、アクチュアリーはAIやデータサイエンティストの素養と共通する部分も多く、理系院生の持っている数理的思考力が発揮される職業のひとつです。
専門商社営業職
IT業界、計測機器メーカー、医療機器メーカーなどを扱う専門商社にも理系院生が営業職として在籍しています。メーカーに所属する技術営業やセールスエンジニアと近いイメージかもしれません。
一般の商社に比べて、専門商社が扱う製品の顧客は専門性が高い場合が多く、対等に話をするには理系院生の専門性が必要になります。
IT系・戦略系コンサルタント
コンサルタントの中でも、IT分野に特化した専門職が存在し、近年企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する取り組みなどによって、人材の需要が増してきています。
公務員
文系のみならず、理系院生の就職先としても人気なのが公務員です。中でも、理系院生の公務員の就職先で多いのは、国家公務員と地方公務員の技術職採用です。
技術職採用といっても、化学系、農学系、土木系など、分野によっても仕事内容が大きく違いますので、自分の専門分野を活かせそうな仕事に応募する必要があります。
専門外就職
専門外就職とひとくちに言っても実際には多岐にわたりますが、どのような分野であっても後述する数理的思考力などの理系院生の強みとなる能力はアピールポイントとなりえます。
理系院生の経験を活かせる専門外就職の例として、理系分野の教科書や教材、理系教科書や教材、IT系書籍の出版社の編集部への就職があります。一見特殊なようですが、理系院生の強みとなる能力や経験を活かせる場としておすすめです。
また、そのほかにも理系大学院修了者のバックグラウンドを活かせる専門外就職として、科学技術の専門的な知識を一般の人にわかりやすく説明するサイエンスライターやサイエンスコミュニケーターといった仕事もあります。
詳しくは以下のアカリクコラムをご覧ください。
大学院修了者は年齢がネックになりやすい
大学院修了者の場合、年齢がネックになる可能性があります。民間企業の場合、何歳で入社しても、定年退職になる年齢はほぼ同じになります。
そのため、長く働ける人の方が多くの利益を生み出してくれるため、若ければ若いほど採用されやすい傾向があります。つまり、大学院生は学部生よりも最低2年は差が出てしまうことから、学部生が積極的に採用される場合もゼロではありません。
大学受験で浪人していたり、単位不足で留年をした場合は更に年齢が上がってしまうので、より就職活動のハードルが上がってしまいます。年齢が就職活動におけるネックにならないためにも、ただなんとなく大学院に進学するというのはよくないでしょう。
専門性や強みがないと就職先は更になくなる
大学院生は企業側から専門性を求められることがあります。つまり、研究に真摯に取り組んで知識やスキルを取得していることが必須です。そのため、期待が高いことの裏返しで、専門性や強みが足りない人は採用されるのが難しくなります。
「周りが進学したから」や「就職に失敗したから」という理由で進学する人がいるでしょう。しかし、そのような人は研究に対する意欲がそこまで高くなく、大学院に入ってもあまり研究を進められず、専門性を身につけられない可能性があります。
そのため、面接で自身の研究について聞かれたときにしっかりと答えられず、選考に落ちてしまうかもしれません。もし大学院に進学するのであれば、積極的に研究を行って専門性を身に着ける覚悟をしてください。
就職か大学院かで迷っている場合はどちらがいい?
就職か大学院かで迷っている場合、どちらを選べばいいのでしょうか?正しい選択は人それぞれのため一概には言えません。しかし、迷っているのであれば、さまざまな情報を集めて考えたり、行動することが大切です。
進路選択において重要なポイントを4つ紹介します。
- 学部卒で就職できないという理由での大学院進学はやめる
- やりたいことがあれば院進学(修士課程)もあり
- 学部卒と比較して、大学院修了は高い給料になる傾向がある
- 就職活動を最後まであきらめずに行う
学部卒で就職できないという理由での大学院進学はやめる
先述のとおり、学部新卒として就職ができなかったという理由で大学院に進学するのはやめましょう。研究意欲がないとただ無駄に時間を浪費してしまうだけになってしまうからです。
院生は高い専門性や研究で得られたスキルを持っているからこそ、企業から評価され採用につながります。専門的な知識や能力を得るためには、研究を積極的に行うことが必要です。
研究は答えのない課題に取り組む必要があるため、さまざまな障壁が現れるでしょう。それを乗り越えるためには、高いモチベーションが必要です。
研究に対して意識が低い人はモチベーションが続かず、努力を怠ってしまう可能性があります。結果、専門性が身につかず、大学院生としての就職活動も失敗してしまうかもしれません。そのため、研究に興味がなければ学部卒での就職を選ぶことをおすすめします。
やりたいことがあれば院進学(修士課程)もあり
就職活動が上手くいかなくても、やりたい研究があるのであれば大学院進学は問題ありません。研究を真剣に取り組む意志があれば、専門性を培うことができ、就職にプラスの影響が出ます。
もし進学を考えるのであれば、多額の学費を払っても研究したいことがあるかを探してみましょう。大学院の学費は国立の場合は2年間だと135万円、私立の場合分野によっては200~700万円程度と決して安くありません。そのため、やりたいこととやりたい理由を明確にしてから選択することをおすすめします。
参考: 慶應義塾大学大学院の学費
学部卒と比較して、大学院修了は高い給料になる傾向がある
学部卒と大学院修了の違いで特に、給料の差が気になる方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省の調査によると、学部卒の初任給が22万6000円で、大学院修了の25万5600円と比べて約3万円の差があります。初任給だけを比較すると大学院に進んだほうがいいという結果です。
また、生涯年収を比較しても、大学院修了のほうが学部卒より高い傾向にあります。内閣府経済社会総合研究所が2014年に発表した「大学院卒の賃金プレミアム」では、学部卒(男性)の生涯年収が2億9,163万円であるのに対し、大学院修了(男性)は3億4,009万円と4,000万円以上高いことがわかりました。
そのデータによると修士課程修了者が就職した24歳の時の年収が309万円で、学部卒は同じく24歳の時点の年収が325万円と、2年間仕事をしてきた学部卒の方が年収は高い結果となっています。
しかしながら、25歳時点では修士課程修了者の方が年収は高くなり、年齢が増えるごとに差が大きくなります。52歳までその差は開き続け、最大215万円もの年収の差が生じます。その後は徐々に差が縮みますが、修士課程修了者のほうが高給であることは変わりません。
参考:厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査結果の概況」
参考:内閣府経済社会総合研究所「大学院卒の賃金プレミアム」(2014)
就職活動を最後まであきらめずに行う
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まとめ:就職活動の先延ばしの院進学はリスクが高い
今回は大学院修了後の就職と学部卒の就職のそれぞれの利点を見たうえで、就職か大学院進学かで迷っている場合の判断ポイントをご紹介しました。
- 学部卒で就職できないという理由での大学院進学はやめる
- やりたいことがあれば院進学(修士課程)もあり
- 学部卒と比較して、大学院修了は高い給料になる傾向がある
- 就職活動を最後まであきらめずに行う
内定がまだ出ていなくて困っている状況でも、就職活動の失敗を理由に大学院へ進学するのはおすすめできません。本当に研究したいことがあれば進学、なければ諦めずに就職活動を続けることをおすすめします。自分の将来のためにも悔いのない進路選択を行いましょう。
よくある質問
最後に、大学院生(修士・博士)の就職活動に関してよくある質問を紹介します。
大学院後の就職は、文系・理系で違いが出てくることはある?
理系の場合、専門性を活かした研究職への就職や、推薦を利用した就職活動などが可能な一方、文系はそうしたメリットを享受しにくい環境にあります。
しかし、文系学生でも、研究を一生懸命行っていれば、その知識やノウハウを活かせるフィールドが必ずあります。
文系・理系といった枠組みにこだわるのではなく、自分が行いたい研究があるのであれば、大学院に進んで研究をすることをおすすめします。
院進をする前に、自分が進みたいキャリアについて考えておき、修士課程の中で何か行動することが大事になるでしょう。
理系学生が大学院を卒業するメリットは?
「専門性・専門スキルが身に付く」という点こそが、大学院を卒業する大きなメリットです。
特に理系の場合、研究職や開発職は採用条件に「修士課程修了以上の学歴がある人」を設定している企業も多く、院生の方が採用されやすい傾向があります。
もちろん全員が受かるわけではないため注意が必要ですが、就職先の窓口が広がることは間違いありません。
大学院に行くのをやめた方がいい学部は?
まず前提として「大学院に行くことをやめた方がいい学部」はありません。研究で深めたい学問分野があるのであれば、大学院で取り組むべきです。
一方で、「就職活動に苦労することなく、大学院を修了したい」という思いがある場合、文系の院生は注意が必要です。文系の大学院に進学した場合、文系の学部卒と比較して就職先が大幅に変わることは少ないのが一般的です。
大学院では専門的な知識やスキルを身につけることができますが、文系の場合は企業の研究職や専門職の採用ニーズと合致することが少ないためです。
企業は大学院修了者に対して給料を高く設定する傾向があるため、同じポジションでの採用選考では学部生よりも慎重に判断される場合も少なくありません。
そのため、文系の院生は就職が相対的に厳しくなるケースもあります。文系院生の方が内定をもらうためには就職活動の準備をしっかりと行い、幅広い業種や職種を視野に入れることが大切です。