やっと大学院に入学し、さあこれからしっかりと研究に打ち込もう!と燃えている大学院生の方は多いのではないでしょうか。
しかし、M1のうちに意識しておかなければならないことがあります。それは、就職活動です。研究だけに気をとられていると、就活の波に乗り遅れてしまうかもしれません。まずは就活のスケジュールを知り、どのように進めていけばよいのかイメージをつかんでおきましょう。就活で納得いく結果を得るためには、早めの準備が重要です。
就活はM1になってすぐに始まる
意外かもしれませんが、就活はM1になったと同時に始まります。
なぜなら、採用に直結するインターンシップシップ(インターン)の応募が、早いものであれば4月に始まるからです。インターンシップのスケジュールや内容などの情報は、早めに入手しておきましょう。
4月から始まるM1を対象としたインターンシップの応募
インターンシップは、社会に出る前に仕事の現場を体験してみることができる貴重な機会です。就活の準備として、自分の適性を知り、将来設計を考えるための場と捉えておくと良いでしょう。
インターンシップが開催される時期は、大学の夏休み期間である7月から9月頃が多くなっています。中でも最も盛んになるのは8月です。夏のインターンシップの情報は、5月頃になると多く公開されるようになり、6月から7月にその申込受付が行われます。中には、4月に申し込みが始まる企業もあるので、早めに情報を集め、どれに参加するかをしっかりと考えておくことが重要です。
申し込みには、エントリーシートや履歴書などの書類が必要になることがほとんどです。これらの書類には「自己PR」や「志望動機」を記入するケースが多く、準備に時間が掛かることを見越して、M1になったらすぐにインターンシップに応募する準備を始めましょう。
特に理系の大学院生は、インターンシップを経験する学生の割合が高くなっています。アカリクが実施したアンケート調査によれば、およそ7割の学生・院生が少なくとも1社のインターンシップに参加したと回答しています。
- 調査方法:大学院生・理系学生に特化した就活サイト「アカリク」会員のうち、2023年新卒の理系学生369名(内訳: 博士在学中9.2%、修士在学中: 65.6%、学部在学中24.9%)
- 調査期間: 2022年3月1日から4月8日
参考:経済産業省 学生・企業の接続において長期インターンシップシップが与える効果についての検討会
インターンシップの開催時期は8月が多い
前述のとおり、インターンシップが多く実施されるのは夏休み期間中です。また、2月頃に実施されるケースもあります。しかし、選択肢の豊富さからいっても、M1の夏のインターンシップこそが就活の本格スタートとなる人が多いでしょう。
インターンシップの実施期間は企業や官公庁によってさまざまで、いわゆるワンデーインターンシップと呼ばれる1日で終わるものから、10日から1ヶ月間ほどの短期インターンシップ、そして1ヶ月以上に渡る長期インターンシップもあります。
また、オンラインで実施するインターンシップも増えており、直接職場を見ることができない反面、交通費や移動時間を気にせずに参加することができることから、手軽に参加することができます。対面型での開催とオンライン開催が両方とも用意されている場合には、志望度や自宅からの距離、業種などから判断すると良いでしょう。
大学・大学院によっては、一定の日数以上のインターンシップへの参加を単位として認定しているケースもあります。この場合、事前の履修登録や受け入れ先による評価書の記入が必要などのケースがあるほか、学研災などの保険加入を求められることも多いので、予め要件を確認したうえで参加するインターンシップを決めるとよいでしょう。
インターンシップの内容としては、その企業や業界の説明といった座学のほか、社員への質問会、検討事例の発表、実際の業務シミュレーションや実習・研修・体験、職場や工場の見学、などがあります。
さまざまな企業で仕事を体験してみたい人は、短期のインターンシップにいくつか参加して、業界や企業の違いを比べてみるのもおすすめです。
また、長期のインターンシップに取り組んで、仕事の疑似体験や業務の補助をすると、その企業や業務の内容について深く理解することができます。
参考:経済産業省 学生・企業の接続において長期インターンシップシップが与える効果についての検討会 学生に対するアンケート調査結果(令和元年度)
参考:経済産業省 大学等におけるインターンシップシップ実施状況について(令和元年度)
インターンシップが内定につながるケースも
インターンシップに参加した学生から採用をする企業が増えています。インターンシップ期間中に良い評価を得られた学生がその後の本選考で有利となったり、インターンシップ後に内々定が出たり、といったケースが多くあります。
先ほどご紹介したアカリクのアンケート調査において、「内定を得た企業のインターシップに参加しましたか」という設問では「はい」と回答した人の割合は60.0%でした。
一方、インターンシップに参加した企業に就職しない理由の多くは、就活中に別の業界や企業に関心が移った、そもそも志望する業界・企業ではなかった、というものです。
インターンシップは企業側にとっても学生側にとっても、相手を深く知る絶好の機会です。マッチすれば実際にアプローチする具体的な企業を絞り込むことに繋がりますが、もしマッチしなくても、実際にアプローチする前にそうした企業を知っておくことは有益なはずです。
理系学生のインターンシップについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
M1のうちから自己分析や企業研究を始めよう
会社説明会が始まるM1の3月までには、就活の準備をしておかなければなりません。その就活準備に不可欠なことが2つあります。
自分がどんな業界に興味があるのか、その業界にはどのような企業があるのかなどを知る「企業・業界研究」と、自分はどんな特性があり、どんな強みを持っているのか、どのような働き方をしたいのかなどを知る「自己分析」です。
どちらが欠けても、満足できる就活とならないので、M1の間に時間をかけて進めておきましょう。
インターンシップやOB・OG訪問などにより、自分の職業適性や課題が分かった学生は少なくありません。また、今後その企業で働いていくうえで、どんなスキルや専門性が必要になるのかが分かると、日々の学習に活かせます。
また、前述のとおり、インターンシップが内定につながるケースが増えています。よい結果につなげるためには、インターンシップに申し込む時点で、しっかりと自己分析・業界研究を進めておくとよいでしょう。
M1の3月から就活が本格化
2021年卒以降、経団連が定めた就活スケジュールは廃止されることとなり、政府主導の日程に引き継がれました。ただし、2023年卒、2024年卒の学生・院生についても従来通りの採用スケジュールが踏襲されることとなっています。
つまり、本格的な就活が解禁となるのはM1の3月です。ここから会社説明会が始まり、エントリ―シートの提出、SPIやWebテストの受験を進めておくことになります。政府主導の採用スケジュールに合わせた場合、選考開始は6月、内定が出るのは10月となります。
ただし、中小企業やベンチャー企業、外資系企業において、この採用スケジュールの通りに進むところばかりではありません。推薦応募や、インターンシップを経た場合などでは、早ければ3月から4月に内々定が出ているケースもあります。
アカリクが実施した別の調査をご紹介します。「あなたが初めて内定を獲得した時期を教えてください」という設問においては、3月から4月頃から多くの企業が内定を出し始めることが分かります。
- 調査方法:大学院生・理系学生に特化した就活サイト「アカリク」会員のうち、2023年新卒の理系学生168名(内訳: 博士在学中19.3%、修士在学中:75.3%、学部在学中5.4%)
- 調査期間: 2022年7月8日から2022年7月15日
大学院生の就活スケジュールの組み方については、こちらの記事で解説しています。
アカリクで研究と就活を両立
就活サイト「アカリク」はスカウトやオンライン就活イベント、キャリアアドバイザーへの就活相談等、効率の良い就活を応援するサービスです。
大学院生や理系学生など研究に忙しい学生の方でも簡単に短期間で内定を獲得することが可能です。具体的には、事前に研究内容を登録しておくだけで大手企業からスカウトが届いたり、アカリクから紹介した企業の選考を受ける場合にはスケジュール調整もアカリクが対応します。
「アカリク就職エージェント」では大学院出身のアドバイザーに相談を受け付けています。指向性やスキルに合わせた求人紹介のほか、面接対策やES添削なども可能です。
アカリクを使うことで、研究も就職も妥協せずに両立することができます。
まとめ
大学院で思う存分研究に打ち込むためにも、進学したら早めに次のことを始めましょう。
- 企業・業界研究
- 自己分析
- 夏のインターンシップの情報収集と申し込み
また、改めて就活スケジュールをまとめると次のようになります。
- M1の4月~7月 :夏のインターンシップの情報収集、応募
- M1の7~9月 :夏のインターンシップ参加
- M1の10月~1月 :冬のインターンシップの情報収集、応募
- M1の2月 :冬のインターンシップ参加
- M1の3月 :就活解禁(会社説明会、エントリーシート提出)
- M2の4月~ :内々定が出はじめる
インターンシップへの参加は、早めの自己分析、業界研究につながります。よりよい就活のために、まず第一歩を踏み出してみましょう。