「大学院に進学したのはいいけど、研究が大変でちゃんと就活できるか心配」
「研究内容と近い業種の会社でなければ内定をもらえなさそう」
「いつ頃から就活を始めればいいかわからない」
と悩んでいませんか?
大学院では研究で成果を残さないと修了できないため、研究を中心とした生活に偏ってしまいます。しかしながら、研究が好きで、将来専門分野に特化したプロフェッショナルになれる職業に就きたいと思っている方は、就活にも取り組む必要があります。
そこで今回は、就活に悩んでいる修士の人たちができるだけ多くの内定をもらえるよう、
・理系修士の研究・就活スケジュール
・理系修士の就職先
・理系修士が就活をはじめるタイミング
・理系修士の就職時の強み
について紹介しますのでぜひ最後までお読みください。
理系の修士はスケジュールがタイトになりがち
就活をスタートする前に大学院の生活スケジュールを把握しましょう。スケジュールを把握することで、どのようなタイミングで就活をはじめればいいかがわかります。
とくに修士は学士と比べると、忙しくスケジュールがタイトになりがちです。研究や就活をメインで行わなければなりませんが、アルバイトや余暇などプライベートの時間も予定に入れたいでしょう。
そのため、徹底したスケジュール管理を心がけてください。ここでは、大学院2年間で研究や就活でどのようなイベントがあるのかを紹介します。
研究
大学院生であれば必ず研究を行うことになります。修士であれば2年間のうちに一定の研究成果を提示しなければ、修了できません。そのため、研究を軸にしてスケジュールを立てる必要があります。
修士が行わなければならないこととして、
・修論作成(修論本文・プレゼンテーション資料作成・発表練習)
・ゼミへの参加
・中間報告
・学部生への指導
・学会の準備(論文執筆・プレゼンテーション資料作成・発表練習)
・大学院の講義の受講(卒業に必要な単位分)
などかなり多いです。
また、卒業した大学と違う大学院に進学したり、研究室が変わったりなど、学部と修士で研究内容が変わった場合はより大変です。
新しい分野を一から学ぶ必要があるため、学部の時と同じテーマで研究している人たちより多く学習の時間を取らなければなりません。
就活
博士課程へ進学せずに就職をするのであれば、就活のスケジュールも立てなければなりません。
就活で必ずやらなければならないこととして、
・会社説明会への参加
・自己分析
・業界分析
・ESの作成
・Webテストのための学習
・面接の準備
・選考への参加
できるだけやった方がいいこととして、
・インターンシップへの参加
・就活セミナーへの参加
・OB・OG訪問
があり、研究と同時にこれらのことを行わなければなりません。
また、20年卒までは経団連の就活ルールにより、
修士1年の3月に説明会などの情報が解禁
修士2年の6月に選考開始
というスケジュールがありましたが、21年卒以降は廃止されています。
現在は政府が就活ルールの主導権をもっており、20年卒の就活ルールを維持していくと公表しています。しかし、ルールを守らなくても特に罰則はないため、人材確保のために早期選考や通年採用を行う会社が増えるかもしれません。
そのため、研究をしながらも、早い段階で就活の準備を行うことが大切です。
理系の修士の就職先はどこがある?
理系修士の就職先はさまざまですが、主に
・企業の研究職や開発職
・大学の研究職
・国や公的機関の研究職
があります。
研究職への就職についてはこちらの記事でも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
企業の研究職や開発職
民間企業の研究職や開発職が募集されており、ほとんどの修士の方が就職先として選んでいます。
業種もさまざまでバイオ系、食品メーカー、化粧品メーカー、医薬品メーカー、自動車・輸送機器メーカー、機械メーカー、半導体・電子部品、IT系、建設系、化学メーカー、素材メーカーなど他にも幅広い分野があります。
また、研究職や開発職も種類があり、基礎研究や応用研究、研究開発があります。
基礎研究は5~10年後に利益につながる新製品や新技術への基盤になるであろう技術開発を行う研究のことです。これまでにない原理や法則などを発見する研究を行う仕事です。
応用研究は基礎研究で得られた成果からどのように実用化できるかを考える研究です。研究成果を利益に変えるためのステップとして非常に大切な仕事となっています。
研究開発は基礎研究や応用研究で得られた結果から、具体的な製品や技術を開発する仕事です。
民間企業では利益が優先されていることもあり、応用研究や研究開発の職種が多く募集されています。
基礎研究や応用研究についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
大学の研究職
大学の研究職へ進む人もいます。大学では基礎研究を行っている研究室が多く、新しい原理を見つける研究をしたい人におすすめです。
ただし、大学の研究職員になるためには、基本的に博士号を取得しないと就職できません。教授になりたいのであれば、博士号取得後、ポスドク、専任講師、准教授へと段階を踏まなければならず、少なくとも10年はかかるでしょう。
国や公的機関の研究職
国や公的機関の研究所でも新卒採用が行われています。国家公務員試験を合格して国立研究機関の研究員として働くか、独立行政法人の研究機関で研究員として働くかの2つがあります。
国立研究機関には、
・科学捜査研究所・気象研究所…気象庁の技術基盤をつくる研究開発
・防衛装備庁…防衛装備の研究開発
・国立医薬品食品衛生研究所…バイオ医薬品や生物系、化学系の研究
・財務総合政策研究所…財政経済に関する調査や研究
などさまざまな分野の研究機関があります。
独立行政法人の研究機関、理化学研究所や日本原子力研究開発機構、宇宙航空研究開発機構(JAXA)があり、国の公益になる研究が行われています。
ただし、公的機関の中には、新卒採用を行っていないところもあるので、採用情報をこまめにチェックする必要があるでしょう。
理系修士の就職活動はいつからどうはじめるか
経団連の就活ルール廃止もあり、いつから就活を始めようか迷う人も少なくないでしょう。ここでは、就活の開始タイミングや、本格的な就活がスタートするまでにどのような準備をすべきかを紹介していきます。
理系修士の就活は1年生の夏から調べ始めよう
理系修士は、就活の準備を1年の夏から始めるのがおすすめです。早いうちに準備をしておくことで、気持ちに余裕ができます。
早めに就活を開始することでたくさんのメリットがあります。周りに就活をしている人が少ないことから、就活を終えた先輩たちに何度も就活の相談ができたり、あまり断られることなくOB・OG訪問が可能です。
そこで得た知識によって、本格的に就活が始まった時にいいスタートダッシュを切ることができるでしょう。
逆に就活が本格的に開始する3月から始めてしまうと、あなたの周りも先輩への相談やOB・OG訪問を行うので、自分のために時間を割いてくれる人が減ってしまいます。
そのため、できるだけ早めに行うことをおすすめします。
業界研究は大学院での研究と同時にすすめる
業界研究は大学院での研究と同時にすすめましょう。とくに就職か進学かで迷う人は業界研究をした方がいいです。業界研究を行うことでさまざまな業種、職種を知れるため、興味のある仕事を見つけることができるかもしれません。
やりたい仕事を見つけることで就職に対してのモチベーションが上がるのでぜひ業界研究だけでもしておきましょう。
業界研究のやり方についてはこちらの記事で解説しています。ぜひご覧ください。
興味のある業界や企業のセミナーへの参加
興味のある業界や企業があればセミナーへの参加をおすすめします。
業界セミナーは業界についての動向や需要などを学べるイベントです。独学で業界研究を行うよりもわかりやすく正しい情報を知ることができることがメリットです。
企業セミナーは事前エントリーをして参加する、人数制限ありのイベントです。説明会とは少し違い、グループディスカッションやワークショップを通じて仕事のイメージをつかむ体験ができます。
また、ビッグサイトで行われているようなビジネスマン向けの展示会に参加するのもいいでしょう。業界の最新製品や最新技術に触れることができ、どのようなニーズがあるか学べるため、企業研究や業界研究に大きく役立ちます。
夏のインターンに参加してみる
夏のインターンに参加することも大切です。インターンに行くことで業務体験など会社説明会では知ることができない知見を得られます。また、インターンシップに参加するために、ESや面接などの選考もあるので、就活のイメージがつかめるでしょう。
インターンシップに参加することで、就活に対して意識の高い仲間ができることもメリットです。互いに情報を共有でき、就活へのモチベーションを保ちやすくなります。
さらに、企業によってはインターンシップの参加によって、就活時に一部選考を免除してくれる場合もあるので、内定率が上がるでしょう。
インターンシップについてはこちらの記事もぜひご参照ください。
教授や指導教官に希望先を伝えておく
教授や指導教官に希望先を伝えておくのもよいでしょう。伝えることで、就活に協力してもらえるかもしれません。また、学会や共同研究で教授とつながりのある企業に行きたい場合、教授が企業に推薦して選考を受けさせてくれることもあります。
その場合、選考も免除される可能性があるのでぜひ教授に伺ってみましょう。
広くエントリーしてみる
幅広い業種や職種にエントリーしてみましょう。大学院生だとしても研究職にこだわらない方がいいです。特に、研究職は競争率が激しいこともあり、院生だとしても内定をもらえないこともゼロではありません。そのため、他の職種にも目を向けてみることをおすすめします。
メーカーであれば研究職や開発職以外にも、設計職や生産技術、品質管理などの仕事があります。あなたのやりたい仕事でなくても向いている仕事の可能性はあるので、ぜひ志望してみましょう。
また、興味がない企業や、内定をもらっても断るであろう企業でも、ひとまず選考を受けることをおすすめします。特に早期に選考を行っている企業であれば、ESや面接の練習になり、第一志望の会社に向けた面接スキル向上につながるでしょう。もちろん、選考を受けることで新たな魅力に気づき、その企業に入社する場合もあると思います。
理系修士の就職時の強みとは
理系修士には大きな強みがあり、上手く活用することで内定をもらいやすくなります。業界に限らずアピールできるポイントも院生にはたくさんあるので、ESや面接でぜひPRしましょう。
具体的な強みとして、
・専門分野の深い知識
・現場での即戦力
・実務に近い研究を行っている
という点があります。
専門分野の深い知識
研究分野で培った深い専門知識は就活で評価が高いです。専門分野に対して詳しいことで「その専門知識を持っている人材を求めている」というような企業があれば優遇されやすいでしょう。
また、専門外の分野でも、1つのことに対して深い知識を付けられる能力や2年間専門分野に力をいれられる能力が評価されることもあり、自己PRとして利用できるでしょう。
現場での即戦力
研究で得られたさまざまなスキルがそのまま仕事に活かせるものがあるので、どの業界でも学部生より即戦力に近い人材になれます。
研究を行うためにはまず、「どうしてその研究が必要で、成果が得られることでこのようなメリットがある」というテーマ決めを行いますが、これにより提案力が身につきます。また、そのテーマに至るまでにリサーチを行うため、調査力も身につけられるでしょう。
どの業種や職種でも使う仕事を行う上で大切な考え方であるPDCAサイクルと論理的思考を身につけている点も、即戦力につながる理由の1つです。
研究では、論理的に仮説を考えて、検証を行い、結果を分析して、次につなげるというPDCAサイクルを回しています。
そのため、研究を真摯に取り組んでいる院生は、すでにそのスキルを身につけているといっても過言ではありません。
他にも、
・研究で壁にぶつかっても乗り越えられる問題解決力
・学会によるプレゼンテーション能力
・学会での質問に対し的確に答えるコミュニケーション能力
などが仕事につながり即戦力として活用できる点です。
研究をしている中で一番得意だと思うスキルをESや面接でアピールするといいでしょう。
実務に近い研究を行っている
院生は実務に近い研究を行っている傾向があることもメリットです。
学部の場合、研究よりも授業を受けることがメインでインプット型の学習ばかりです。しかしながら、修士は答えのない問題に対して、自分で考えて成果を生み出すというアウトプットがメインとなっています。
企業では課題に対して自分で考えて解決し、利益を生み出すというアウトプット型の仕事しかありません。そのため、企業は実務に近いアウトプット型の学習をしている修士を積極的に採用しており、内定をもらいやすいでしょう。
ただし、学部生と比べると求められているレベルが高く、上手くPRができないと選考で落ちる場合があります。
視野を広く早めの就活を行おう
理系修士の就活について紹介しました。修士は2年間の間にやるべきことが多く、スケジュール的に大変ですが、自分のやりたい仕事ができる会社に入るためにも修士1年の夏ごろから就活の準備を始めましょう。
また、修士だとしてもはじめから研究職や開発職にこだわらず、他の職種にも目を向けることが大切です。業界分析や企業分析、自己分析を行って自分に合った職業を探してみてください。
就活に成功して自分のやりたい仕事ができる人生を送れるようにしましょう。