大学院生に英語力は必須? 大学院試験で求められるレベルや大学院生活での勉強法を解説!

研究・大学生活

学部生に比べ、より高度で専門的な内容を学ぶ大学院生。
学会や研究会に参加したり、論文を書く機会も増えてきます。

今回のコラムでは、大学院生活を送る上で、どの程度の英語力が必要であるかを解説します。
併せて、大学院入試で求められるレベルや、大学院に進学してからの英語の勉強法についても紹介します。

「英語ができない」という点で大学院進学が不安な方や、大学院でこれから英語力を身につけたいという方は、ぜひ参考にしてください。

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大学院生の英語の使用機会

大学院に進学すると、大かれ少なかれ英語に触れる機会が増えてきます。
どの程度英語が必要になるかは分野や研究内容によって異なり、毎日のように使う人もいれば、滅多に使用しないという人もいます。

とはいえ、以下のシーンなどは、分野に拘わらず多くの大学院生が経験するものと考えます。

研究で英語論文を読む

大学院に進学すると、研究で英語論文に接する機会が格段と増えます。
英語ができないことで最も困るのは、「英語論文が読めない」ことかもしれません。

ほとんどの分野において、日本語文献のみで研究を完結させることは困難です。
最新の議論を取り入れるためには、どうしても海外文献を読む必要があり、その点で英語力が求められます。

また、大学院に入ると、ゼミの輪読や講義の参考資料などでも英語文献の使用機会がかなり増えます。要約や全訳を任されることもあり、自身の研究を進めるだけでなく、授業や講義についていくという意味でもリーディングの能力は必須です。

論文を英語で書く

英語論文を書いたり、英語の発表原稿を作ったりなど英語で文章を書く作業も大学院に入ると増加します。英語論文については、博士前期課程(修士課程)よりも博士後期課程で書く機会がさらに多くなります。

学会誌などに論文を出す際には、日本語の論文であっても英語の要旨(abstract)の提出が求められることが多いです。
要旨(abstract)とは、200〜300単語で自身の論文についてまとめたもので、長くはない文章といえども、確かなライティングスキルが求められます。

また、論文を書く以外にも、授業で英語でエッセイやレポートを求められることも多々あります。
そのため、英語で研究内容を記述する力は、学部時代に増して求められると言えます。

研究内容を英語で話す・聞く

大学院では、全て英語で実施される「オール・イングリッシュ」の授業も増えてきます。
加えて、国際学会への出席や海外の研究者の話を聞く機会など、研究内容を英語で話す・聞く機会が増えてきます。
研究室によっては、英語を標準語にしているところもあり、こうした環境に身を置く際には、スピーキングの能力、リスニング能力ともに強く求められます。

また、大学院には留学生が多数在籍している研究室も多く、日常的なコミュニケーションでもしばしば英語を使うことがあります。とはいえ、留学生も日本語で会話することができる場合も多いため、「英語でしかコミュニケーションを取らない」ことはむしろ稀と思われます。
リーディング・ライティングと比較して、スピーキングとリスニングは自分がどれだけその機会を作るかによって、それらの必要度も変わってきます。

大学院入試で求められる英語力

多くの場合、大学院入試では必須科目に英語が設定されています。
そのため、そもそも大学院に入る以前の段階で、それなりの英語力が求められます。

出題形式は大学や研究科・研究室によって異なり、分野ごとの違いも大きいため、「これだけの英語力が必要だ」ということは、一概には言えません。

とはいえ、多くの大学で採用されている出題方式などもあるため、ここではその内容について解説します。

TOEIC L&R

主に、理系分野の大学院入試において使用されています。
求められる技能は「リーディング」「リスニング」のみで、大学や研究室によって異なりますが、およそ400点〜800点が必要とされています。事前に自ら受験を済ませておき、結果のみを提出することになります。

TOEICは複数回受験できる上、参考書や対策本も多く、比較的対策は立てやすいです。
英語に苦手意識がある方も、ひとまず問題集を2~3周し、出題内容への“慣れ”を作っておくことがおすすめです。
研究科によってはTOEFLを採用しているところもありますが、現在はTOEICの方が一般的です。もし、院試での英語科目がTOEICだけであるなら、まずはTOEICの対策を積みましょう。

専門試験

TOEICなどの外部機関が作成したものではなく、その研究科が独自に作った問題を解くタイプもあります。こちらは文系分野において広く採用されています。

英語で書かれた論文を読み、その全訳をするものや、センター試験のような選択式問題を解くものがあります。こちらも出題形式は様々です。
多くの場合、試験には辞書を持ち込めるため、英単語をとにかく覚える必要などはありません。
しかし、単に文の意味を理解できているかだけでなく、学術用語を正確に訳せているかや、自然な日本語に置き換えられているかなどもチェックされているため、単なる英語の読解能力だけでなく、専門知識も必要です。

TOEICやTOEFLと異なり、その大学の色合いが強く出るため、統一的な対策を立てることが困難です。大学や研究科によっては、ウェブページ上で過去の試験問題の閲覧が可能である場合や、郵送での取り寄せを受け付けていることもあります、まずは問題を手に入れて、その出題傾向を分析することが重要です。可能であれば、実際に自分で解いた上で、指導教員や英語の先生に採点してもらうと良いでしょう。

また、世の中には、大学院試験の英語対策に特化した書籍もあります。
専門分野での頻出単語を押さえたい場合などに活用するとよいでしょう。

大学院での英語の勉強法

最後に、大学院進学後の英語の勉強法について解説します。
大学院は英語を利用する機会が多く、その分英語力を身につけるチャンスでもあります。
「英語を読むのが苦手」「なかなか授業に付いていけない」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

英語論文を読んで訳す

一つ目の勉強法は、英語論文を読み、頭からそれを訳していくとうものです。シンプルですが、非常に効果的な方法です。「日本語に訳す」という作業を通じて、自分はどういった構文が苦手かや、内容を正確に理解できているか、この文章をどう日本語に置き換えるべきかなどが明確になります。
普段、なんとなくでしか理解できていなかった英文が、構造的に把握できるようになるという効果があります。

和訳は一人で行うのではなく、訳をチェックしてくれる人と共に進めることができると良いでしょう。指導教員に見てもらうのが理想的ですが、研究室の同期や先輩などでも構いません。自分では意味が取れているつもりでも、文法的には誤訳であることも多く、緻密な照らし合わせが重要となります。

和訳を日常的に行うことで、英語を読むことがあまり苦ではなくなります。併せて、頻出するイディオムや気に入った表現を押さえておけば、ライティングなどにも活かせるはずです。

困ったときは翻訳サイトを利用する

英語論文に書かれている内容を理解できないと、授業での説明も頭に入ってこず、ますます英語が苦手になるという悪循環があります。そうした際は、素直に翻訳サイトを利用するのも有効な手段です。
英語の基礎力を付けるというよりは、あくまで一時的な対応になりますが、即効性があり有効です。

近年は翻訳サイトの発展が目覚ましく、しばしば人が行う和訳より正確な場合もあります。どうしても理解できない文章の場合は、一度翻訳サイトで和訳を行った上で、なぜそのような訳になるのかを考える、というのも一つの勉強法になり得ます。
最終的には自分で理解する必要がありますが、つまずいたまま先に進めないよりは、意味を理解する点で重要です。

英語でのプレゼンテーションの場数を踏む

他言語の習得には、やはり実践の場数が大事です。特にスピーキングについては、自分から話す機会を積極的に作っていくことが重要です。

幸い、大学院は英語を話す機会に恵まれています。英語で報告を行う授業を取ってみたり、留学生と交流の機会を作ってみたり、海外の研究コミュニティに参加してみたりなど、方法は様々あります。
特に、報告やプレゼンテーションを行う場合は資料の作成から質疑応答まで、多方面の能力が鍛えられます。自身にとってハードルの低いところから始め、徐々にステップアップしていく感覚で多くの経験を積んでいくことが重要です。

まとめ:大学院では英語も必要、だが対策は立てられる

この記事では、大学院で英語を使う機会・大学院入試で求められる英語力・その勉強法について紹介しました。学部生と比較すると、大学院生は英語の使用機会が増えてきます。
利用できる資源を有効活用して、英語力を磨いていきましょう。

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