「課程博士」と「論文博士」はどう違う?論文博士制度について解説

アカリクコラム
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博士号の取得を考えている方は、「課程博士」と「論文博士」は何が違うのだろう、と疑問に持ったことがあるのではないでしょうか?

今回は、博士号の取得を目指している大学院生向けに、論文博士と課程博士の違い、論文博士の取得方法について解説します。
論文博士についての理解を深めることで、皆さんのキャリアを描く一助となれば幸いです。

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課程博士と論文博士の違いとは

まず、課程博士と論文博士の2つについてそれぞれ解説していきます。

課程博士とは

課程博士とは、大学院の博士課程に進学し、所定の単位を取得したうえで博士論文の審査に合格した場合に授与される学位です。課程博士には、4年制学部を卒業したのか、6年制学部を卒業したのかによって以下の2パターンがあります。

①4年制学部の場合

学部(4年)→博士前期課程(修士課程)(2年)→博士後期課程(3年)

②6年制学部(医学・歯学・薬学・獣医学部)の場合

学部(6年)→博士課程(4年)

いずれの場合も、規定の年数当該課程に在籍し、博士論文を提出することで博士号の学位を取得することができます。

参考:博士課程修了とは?博士号をとるメリット・デメリットと取得後の進路を解説

論文博士とは

論文博士とは、大学院への在籍に関わらず、博士論文を提出し審査に合格することで授与される学位です。博士課程に在籍していなくても取得できる点が課程博士と異なります。「ろんぱく」とも呼ばれます。

課程博士であれ論文博士であれ、学位の価値に変わりはなく、同じ博士号としてみなされます。また、論文博士という制度は海外には無く、日本特有の制度となります。

論文博士の取得までの流れ

論文博士の取得までの流れは以下のとおりです。
細かい部分は研究機関によって異なる可能性がありますので、あくまで一例として考えてください。

研究機関へ申請

まず、博士論文の提出を考えている研究機関に申請をします。
研究機関によって申請要件が異なるので、申請を考えている研究機関のHP等から申請要件を確認しましょう。一般的には、一定年数以上の研究歴と査読付き学術雑誌への論文発表が必要となります。必要な論文数は研究機関によって異なります。

予備審査

申請要件を満たしていることを確認したら予備審査へと進みます。
予備審査にあたって以下の書類を提出します。

  • 予備審査願
  • 予備審査用論文目録
  • 履歴書
  • 博士論文要旨

提出後、研究業績の発表会が実施されます。
ここで、研究成果のプレゼンテーションと質疑応答をおこないます。

本審査

予備審査に合格し、博士論文の提出を許されると本審査へと進みます。

課程博士とは異なり、論文博士の場合は本審査にあたって審査手数料が掛かります。
手数料は研究機関によってまちまちですが、57,000円を審査手数料とする大学が多いようです。

本審査では、博士論文の審査および口頭での最終審査がおこなわれます。審査に合格すると晴れて博士号が授与されます。

参考:国立大学法人総合研究大学院大学「論文博士の申請
参考:京都大学大学院工学研究科「博士学位論文の取り扱いについて
参考:東京工業大学「論文博士|学位取得|在学生の方|東京工業大学

進学して課程博士を取得するか、就職して論文博士を目指すか?

博士号の取得を考えている学部生・大学院生が気になる点として、「博士課程に進学して課程博士を取得すべきか、就職して論文博士を目指すべきか」という点が挙げられるかと思います。
ここでは、それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。

課程博士のメリット

論文博士と比べて博士号を取得しやすい

課程博士の場合、3年ないしは4年間博士課程に在籍して指導教授の指導のもと研究活動に取り組むことができます。したがって、多くの大学で課される査読付き学術雑誌への論文掲載条件をクリアできるかと思います。

指導教官からの研究指導を受けられる

課程博士では、博士課程の学生として研究室に在籍し、指導教官の下で研究をおこないます。
指導教官からの指導を受けたり、実験結果について議論を深めたりしながら研究を進めることができる点は課程博士のメリットと言えるでしょう。

課程博士のデメリット

お金がかかる

大学院の博士課程に在籍するため、授業料が掛かります。国立大学の場合、入学金として約30万円、授業料として年間約50万円×3年間=約150万円がかかります。
これにその他の諸費用を加えると約200万円は掛かるとみていいでしょう。私立大学の場合はこれよりさらに費用が必要となります。

参考:東京大学「授業料、入学料、検定料の額
参考:横浜国立大学「入学料・授業料

業界によっては就職先が限られる場合がある

アカデミアに残って研究を続ける場合は特に問題にはなりませんが、企業への就職を考える場合には注意が必要です。近年では、製薬・化学業界を中心に博士号を取得した学生の採用が盛んになっていますが、業界によっては博士学生の採用をあまりおこなっていない場合があります。
自分が希望する業界で博士学生の採用がなされているのかチェックするのが良いでしょう。

論文博士のメリット

博士課程に進学・在籍するよりも経済的な負担が少ない

論文博士の場合、大学院に在籍しないので授業料等は掛かりません。
上述したように博士論文の審査に手数料が掛かりますが、授業料と比べればかなり安く済むことが分かります。また、論文博士の場合、企業や公的研究機関等で働きながら取得を目指すことが多いと思います。したがって、安定した給料をもらいながら博士号取得を目指すことができます。
このように経済的な負担が少ない点は論文博士のメリットです。

就職先の選択肢が豊富

論文博士を目指す場合は修士課程(博士前期課程)修了後、企業や公的研究機関等へ就職してから論文博士を目指すかと思います。
一般的に、博士学生と比べて修士学生を多く採用する企業が多いため、就職の難易度という点では修士課程修了のタイミングの方が低いです。ただし、この点に関しては業界にもよるので注意が必要です。

論文博士のデメリット

課程博士と比べて博士号の取得の難易度が高い

博士号取得に向けて研究指導がある博士課程進学と比べて、論文博士制度での博士号取得のハードルはかなり高いです。
その理由として、申請に必要な論文数が課程博士に比べて多いことが挙げられます。
課程博士では1報以上を要件とする大学もありますが、論文博士の場合は大学にもよりますが少なくとも2-3報以上は必要となります。

参考:星薬科大学「課程外博士学位申請者のスケジュール
参考:慶應義塾大学「学位請求論文(論文博士)提出の条件と手順

研究指導を受けることが難しい

論文博士の場合は、そもそも博士課程に在籍していないため、指導教官からの指導を受けながら研究を進めることが難しいでしょう。

結局どちらが良いのか

簡単にまとめると、教員指導の下で研究活動をおこない博士号を取得したいという方は博士課程に進学する方が良いでしょう。
一方で、経済的負担をできるだけかけずに、民間企業や公的研究機関などで研究経験を積み、そこでの成果をもとに博士号を取得したいという場合は論文博士を選択肢として検討してみてもよいかもしれません。

論文博士制度は将来的になくなってしまう?

論文博士は日本独自の制度であることは述べましたが、論文博士という制度はこれからも続いていくのでしょうか?

文部科学省は、

諸外国の学位制度と比較して我が国独特の論文博士については,将来的には廃止する方向で検討すべきではないかという意見も出されている。

引用:文部科学省「新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて―」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05090501/009.htm

としながらも、

企業,公的研究機関の研究所等で相当の研究経験を積み,その研究成果を基に,博士の学位を取得したいと希望する者もいまだ多いことや,論文博士と課程博士が並存してきた経緯を考慮することも必要である。

引用:文部科学省「新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて―」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05090501/009.htm

とあります。
また、これらを踏まえたうえで、

「論文博士」については,(中略),学位に関する国際的な考え方や課程制大学院制度の趣旨などを念頭にその在り方を検討し,それら学位の取得を希望する者が大学院における研究指導の機会が得られやすくなるような仕組みを検討していくことが適当である。

引用:文部科学省「新時代の大学院教育―国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて―」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05090501/009.htm

とも記されています。
今後は学位の取得を目指す社会人向けの研究指導プログラム等が生まれていくことも予想されます。
一方で、現在でも論文博士を取得されている方はいますので、すぐに論文博士制度がなくなることはないのではないでしょうか?

まとめ

課程博士と論文博士の違いについて紹介しました。
それぞれに特徴があるため、自分の歩みたいキャリアと照らし合わせて選択することが重要となります。この記事が少しでも皆さまのお役に立ちましたら幸いです。

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