大学院への進学はいくらかかる?学費や補助について解説

研究・大学生活

近年、理系分野では大学卒業後に大学院まで進学するのが当たり前になりつつあります。
修士号を取得し、より良い企業へ就職するという考え方がメジャーになってきているのです。

しかし進学するとなると、どうしても学費が必要になってきます。
ストレートで進学できていたとしても、飛び級制度が原則ない日本では、修士に進学する時点で最低でも22歳です。
そのぐらいの年齢になれば、これまで学費を親に出してもらっていた人でも、自分で賄わなければならなくなるような場合もあるでしょう。

本記事では、大学院の学費とそれを賄うための方法についてまとめました。大学院進学を考えている学生の方は是非参考にしてください。

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大学院進学にかかる学費

大学院の学費と一口で言っても、文系・理系、私立・国公立など大学の種類によってかなり必要な額が異なってきます。

以下にそれぞれの学費についてまとめていますが、基本的には自分が進学を検討している大学のHPを見るのが最も確実な方法です。

国公立大学の大学院に進学する場合

国立大学である場合、一般的には授業料が54万円/年、入学料が28万円となります。
文理の差はありませんが、法科大学院である場合は異なり、授業料が80万円/年、入学料が28万円となります。
国立大学であればこの額は一貫していますが、研究科によっては入学時に5万円以下程度の諸経費が求められる場合もあります。
また、検定料として3万円が必要です。

一方公立大学も、基本的には国立大学と学費は変わりませんが、多くの大学は「大学の所在地出身である」場合に入学料が減額・免除になる制度を取り入れています。

基本的には、国公立大学で修士を修了するのに約136万円、博士まで進む場合は追加で最低でも190万円以上かかると考えておきましょう。

参考:文科科学省 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令

私立大学の大学院に進学する場合

私立大学の場合、各々の大学が学費を決めています。
また、同じ大学でも研究科によっても大きく額が異なり、諸経費もそれぞれ細かく定められているケースが多いです。
そのため、志望する大学の学費を調べる必要がります。

しかし、基本的には国公立よりも学費が高額になるケースがほとんどです。
例として早稲田大学大学院の学費を挙げますが、授業料が平均70万円程度/年、入学料が20万円、ここに諸経費が加わります。

研究科によりますが、基本的に修士を修了するのに150万~200万円以上かかります。
博士まで進む場合は追加で最低でも200万円以上かかると考えておきましょう。

ただし、私立大学では「学部生の際にその大学に所属していた場合、同じ大学の院に進学するなら入学金を免除する」という制度を設けている場合もあります。

参考:早稲田大学 入学センター「Tuition and Fees入学金・学費・諸会費

大学院生が自分で学費を確保するための方法

このように、大学院で修士号を取得するためには高額な学費を確保しておく必要があります。

以下に、大学院の学費をやりくりするための情報をまとめました。自分で学費を確保する必要がない人であっても有用な情報がありますので、ぜひ参考にしてみてください。

アルバイト

学費や生活費を確保するための手段としてアルバイトも選択肢として挙げられます。
ただし、研究と並行しながら学費を確保できるだけの収入をバイトでまかなおうとすると、かなり大変です。
学部生に比べると、修士課程ではより研究に力を入れなくてはならず、相対的にアルバイトにかけられる時間と労力は少なくなってしまいます。また学内のティーチングアシスタント(TA)のように、研究環境と比較的近い距離でできるアルバイトもあるため、情報を集めてみるのもひとつの手です。

日本学生支援機構の奨学金を借りる

日本学生支援機構の奨学金は、大学院生として利用する場合、給付型の奨学金を借りることが出来ませんが、返還免除制度というものがあり、成績や業績によっては全額免除となる場合もあります。

参考:独立行政法人日本学生支援機構「特に優れた業績による返還免除の手続き

この奨学金には、無利子となる第一種奨学金と有利子となる第二種奨学金の二つがありますが、院生なら無利子である一種の取得を検討してみましょう。
学部生の際に一種を利用しようとした場合、貸与の条件として課される「両親の収入」によって、貸与を希望しても通らない場合があります。
一方で大学院生の場合、世帯収入の中から親の収入は考慮されないため、収入の条件の敷居がかなり低くなっています。

一種奨学金では毎月5万円あるいは8.8万円の貸与となり、2年間の受給となると120万円以上となります。学費の多くをこれだけでまかなうことが可能です。
とはいえ、貸与型の奨学金はあくまでローンなので、基本的には返済しなければならないことを念頭に置いて検討しましょう。

日本学生支援機構以外の奨学金を借りる

奨学金は日本学生支援機構のものだけではありません。他の支援団体や、企業が打ち出している奨学金制度もあります。

修了後に地元に帰ってくるなら返還不要となるもの、給付型のもの、女性に優先的に貸与するようなもの、修了後に入社するなら返還不要となる企業主体のものなど種類は様々です。
どのような案内があるのか、まずは大学や研究室に確認を取ってみましょう。

大学が出している学費免除制度や奨学金を利用する

国公立大学では免除制度を、私立大学では奨学金制度をそれぞれ独自に運営していることが多いです。これらを利用し、学費の負担を軽減させることができます。

日本学術振興会の特別研究員制度に採用される

特別研究員制度(通称:学振)とは、日本学術振興会が研究者に研究奨励金・科研費を与える制度です。
申請資格が博士在学中、もしくは博士学位取得後5年未満となるため、利用できるのは博士課程に進む方のみとなります。
月額20万円の奨励金の他、科研費として年額150万円以内の使用が認められます。
申請は修士課程2年生からできるため、博士進学を検討されている方は是非こちらを利用してみてください。
また、特別研究員に採用されると、月々研究奨励金が支払われるだけでなく、特別研究員に採用されること自体が研究者の業績となります。

参考:「学振あれこれ:注意点、2021年度の変更点、そしてアドバイス

まとめ

今回の記事の内容を以下にまとめます。

  • 修士修了のためには最低でも約140万円以上の学費が必要
  • 大学院・研究科によって学費は大きく異なる

理系では、修士号を取っておくと就職活動で有利になる場合があります。

最近ではそのような流れもあって、特に理系の中で大学院に進学する人数が増えているようですが、このように大学院進学に必要な学費は高額です。
進学する際には慎重に検討し、場合によっては前述した方法も使いながら、うまくやりくりしていきましょう。

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