外資系企業に限らず、最近では採用に英語面接を取り入れる企業が増えてきています。
面接官が知りたいのは能力ややる気、そして人間性。
希望するポジションに、自分がどれだけ貢献できるか。自分にその能力がどれほどあるかなどといったことを英語でわかりやすく伝えることが大事になります。
英語面接で大切なのは事前の準備と対策です。
今回は、大学院生が就職活動の中で英語面接に直面した時、それを乗り切るポイントや英語での具体的な応対例を紹介しましょう。
(本記事はアドバンテージ・メディア英語教室の講師が監修しています)
これだけは押さえておきたい基本対策
まず、英語面接のために、これだけは押さえておいた方がいいと思われる基本的な対策を3項目に分けて解説します。
1. 想定問答を複数用意する
面接で聞かれそうな想定問答を、企業別、状況別に作りましょう。
以下、ステップ順に解説します。
ステップ1 企業についてよく研究し、自分の専攻との関係性を明確にする
まず面接を受ける企業を綿密にリサーチし、その会社がどのような事業を行っているのか、どのような組織体制なのか、また会社の今後の方向性や理念を調べます。
そしてそうしたことが自分が大学院で研究したこととどう繋がってくるか、どのように自分の研究を会社で活かしたいかなどをまとめます。
これは日本企業の就職面接を日本語で受ける場合と同じです。
ステップ2 想定問答を作る
ステップ1を元に想定問答を作ります。どのような質問がくるか、それに対してどのような回答をするかを考えます。
質問に対して回答したい内容をまずは日本語で考え、それから英文を組み立てるとスムーズです。
英語に訳しにくい文章は、日本語で聞いても曖昧な場合があります。日本語を英語に直す作業をする中で、わかりにくい部分や曖昧な部分を確認し、修正していくといいでしょう。
また、この際、無理に難しい表現や言葉を使わずに、本番で自分が言いやすい言葉で書くようにしましょう。
2.しっかり練習する
とにかく英語は実際に声を出して、何回も練習し、慣れることが大事です。
練習の際、特に次のようなポイントに注意しましょう。
ポイント1 声に出して練習する
想定問答が出来上がったら、頭の中で繰り返すだけではなく、何度も実際に声に出して練習しましょう。
特に、声の大きさ、抑揚、スピード(早口になっていないかなど)に気を配りましょう。
ポイント2 表情や身振り手振りも併せて練習
面接では言葉だけでなく、顔の表情、身振り・手振りなどボディランゲージも大事です。
特に英語で話す際は、明るくにこやかな雰囲気をできるだけ保つようにしましょう。
ポイント3 録音・録画で確認
ポイント1と2ができているかを確認するには、録音したり録画したりして確認するのがベストです。
パソコンやスマホを使えば簡単に録音・録画ができます。
自分で気がつかなかったことがはっきりとわかります。
可能であれば英語ネイティブにチェックしてもらいましょう。
場数も大切なので、オンライン英語教室などを利用するのも手です。
3.面接本番を乗り切るコツ
・箇条書きのメモを携帯
面接官はコミュニケーション力も見ています。英語にした想定問答を丸暗記してもいいのですが、箇条書きにして、あとは自分の言葉で話し、面接官とやりとりするというのがいいでしょう。
・合言葉は「度胸」「愛嬌」「大きな声」
面接本番になるとどうしても緊張してしまいます。
そういう場合は、「度胸」「愛嬌」「大きな声」という合言葉を思い出してください。
英語面接でよく聞かれる質問と例文
想定問答を作る際に役立つよう、ここからは英語面接でよく聞かれる質問や回答の例を紹介しましょう。
挨拶とスモールトーク
英語面接では、まず挨拶、そしてスモールトークと呼ばれる簡単な雑談をすることがあります。
例:
(1) 面接官:Nice to meet you. I’m John Davis.
(2) 応募者:Nice to meet you, Mr. Davis. My name is Hanako Akariku.
(3) 面接官:How are you today?
(4) 応募者:I’m great.
Thank you for taking the time to meet me today.
(1) 面接官:はじめまして。私はJohn Davisです。
(2) 応募者:はじめまして、Davisさん。赤陸花子と申します。
(3) 面接官:今日の調子はどうですか?
(4) 応募者:とても良いです。
今日は面接の機会を頂きありがとうございます。
解説:
(1)(2) 堂々とした態度で始めることが大切です。自分自身の緊張をほぐすためにも、自ら明るい声と笑顔で挨拶を心がけるといいでしょう。
挨拶に返答する時は「Nice to meet you, Mr. Davis. 」と、相手の名前をつけて答えましょう。
外国人とのやりとりなどでは、自分の名前を「My name is Hanako Akariku.」と、「名・姓」の順で言うのが無難です。
(3)(4)「How are you today?」(今日の調子はどうですか?)と聞かれたら、スモールトークの始まりです。
この部分をつっかえたり、悩んだりしないように練習をしておくといいでしょう。
今日の調子を聞かれたら、あなたも面接官に「How are you?」などと聞き返してもいいです。
またここで面接の機会をくれたお礼を述べてもいいでしょう。
あなた自身について教えてください:Tell me about yourself.
英語面接の最初に、よく聞かれる質問は、「Tell me about yourself.」(あなた自身について教えてください)です。
例:
(1) My name is Taro Akariku. I am a graduate student at the ABC University majoring in linguistics.
(2) I am particularly interested in the usefulness of machine translation.
(1) 私の名前は赤陸太郎です。ABC大学大学院の学生で言語学を専攻しています。
(2) 私は特に機械翻訳の有用性に興味を持っています。
解説:
(1) 自分の名前、そして大学院名と専攻を伝えます。
(2) 自分の研究テーマなどについても說明します。
また、もし回答が長めになって、それが一通り終わったら、「これで終わりです」「以上です」という意味の「That’s all.」「That’s (about) it.」「Thank you.」などをつけると、相手にも話の区切りがわかりやすく伝わります。
志望動機は何ですか?:What brings you here?
「志望動機は何ですか?」「どうしてここで働きたいのですか?」といった質問が、必ずといっていいほど投げかけられます。
例:
(1) I have devoted myself to research on marketing. You have an excellent merchandising system, and I would like to contribute to its development.
(2) I’m sure this position is a great opportunity to build my marketing skills.
(1) 私はマーケティングの研究に没頭しました。貴社は優れた販売システムをお持ちですが、その開発・発展に貢献したいと思っています。
(2) このポジションは私のマーケティングスキルを向上させる絶好の機会だと思っています。
解説:
(1) 自分の研究と企業の事業との関係性を示しましょう。
(2) 前向きで積極的な発言を心がけるようにします。
逆質問でやる気を見せる
面接の最後に、面接官が「Do you have any questions?(何か質問はありますか?)」と聞いてくることも多くあります。
前述の「1.想定問答を複数用意する」の中の「ステップ1 企業についてよく研究し、自分の専攻との関係性を明確にする」で分析したことを元に、逆質問として質問したいことを数個用意しておくといいでしょう。
以下に例を挙げます。
例:
What do you think is the most important thing in working at this company?
(この会社で働くうえで最も大切なことは何ですか?)
How would you describe the company’s culture?
(御社の企業文化についてご教示ください。)
まとめ
今回は、大学院生が就職活動をする中で英語で面接をしなければならなくなった時の基本の対策や、英語面接でよく聞かれる具体的な応対例を解説しました。
英語の持つ雰囲気やリズムをつかむには、まずは英語に慣れることです。
映画や海外テレビドラマなどを観て、俳優の演技などを参考にするのもいいでしょう。
そして想定問答集を作成し、自信がつくまでしっかり練習しましょう。