DXとは?IT化とはどう違う?両者の違いを解説!

IT

「DXとIT化は何が違うのでしょうか?」

もし、あなたが、このような質問をされたら、どう答えますか?

DXという言葉は日頃よく耳にする一方で、なんとなく分かりそうで分からないという言葉ですよね。

そもそもIT化とはどういった点で異なるのでしょうか?

そこで、この記事では、DXとは何なのかということについて解説していきます。

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DXとIT化の違い

DXとは、「Digital Transformation」の略であり、単刀直入に言うと、「デジタル技術を使って、新しいサービスを生み出すこと」です。

このように書くと、「IT化とどう違うのか」と思う方もいるかもしれません。

実は、IT化というのは従来アナログで行われていた作業をコンピュータやインターネットに置き換えることであり、単純に紙と鉛筆をパソコンに置き換えるだけ」ということを指します。

一方、DXのユニークなポイントは「サービスを生み出す」という点です。

ここからは、IT化との違いを比較するために、それぞれの定義を紹介したうえで、両者の違いをさらに詳しく解説していきます。

DXの正式な定義

経済産業省は、平成30年12月12日、デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)を取りまとめました。

このDX推進ガイドラインの2ページ目の注釈に、以下のように記載されています。

1 本ガイドラインでは、DX の定義は次のとおりとする。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

引用)経済産業省(2018)「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)

今回は、こちらの文言をDXの正式な定義とします。

DXの身近な例としては以下のようなことが当てはまります。

・「ECサイト」の事業を始める

・「レコメンド」の機能を追加する

・「キャッシュレス決済」のサービスを始める

IT化の定義

ITとは、「Information Technology」(情報技術)の略です。広い意味ではコンピュータやインターネットなどのことを指します。ちなみに「化」という文字には「形や性質が別のものになる。かわる。かえる。」という意味があります。

よって、IT化とは、「従来あった事物をコンピュータやインターネットに置き換えること」というように定義することができます。

身近な例でいうと、以下のようなことはすべてIT化に当てはまります。

  • 「そろばん」を「コンピュータ」に置き換える
  • 「紙の書類」を「電子ファイル」に置き換える
  • 「郵送」を「電子メール」に置き換える

DXとIT化の違い

ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。

DXとは、「デジタル技術を使って、新しいサービスを生み出すこと」

IT化とは、「従来あった事物をコンピュータやインターネットに置き換えること」

この2つの定義をもとに、双方の関係性をまとめたものが、以下の表になります。

表1. IT化とDXの違い

IT化デジタルトランスフォーメーション(DX)
HOWWHAT
局所的な変化大局的な変化
業務効率化・コスト削減事業・サービス・商品の変革
・「そろばん」を「コンピュータ」に置き換える
「紙の書類」を「pdfファイル」に置き換える 
・「郵送」を「メール」に置き換える
・「ECサイト」の事業を始める
・「レコメンド」の機能を追加する
・「キャッシュレス決済」のサービスを始める

双方の関係性について、IT化は局所的な変化であることに対して、DXは大局的な変化であるととらえることができます。

また、IT化は、業務効率化・コスト削減など、いかに従業員の生産性を上げるかという「How」の部分に焦点をあてています。一方で、DXは、事業・サービス・商品の変革など、お客様に何を提供するかという「What」の部分に焦点をあてています。(※1)

IT化と比較することで、DXがどういうものか、イメージが湧いてきたのではないでしょうか。

業務効率化のHOWではなく、事業(サービス)創出のWHATが、DXなのです。(※2)

※1. デジタルトランスフォーメーション(DX)の目的の1つに「業務効率化」や「コスト削減」が当てはまることもあります。

※2. 経済産業省のDX推進ガイドラインにもあるように「業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革すること」も、DXに含まれます。

なぜDXは重要なのか

そもそも、なぜDXは重要視されているのでしょうか。

その1番の理由は、ビジネス環境の変化に対応するためです。

ビジネス環境の変化には、以下のようなことがあげられます。

  • グローバル化
  • 労働力不足
  • 消費者のニーズや価値観の変化

以下、それぞれの変化に対して解説します。

グローバル化への対応のためのDX

インターネットを通して、グローバルなマーケティングが可能とになったことで、事業のチャンスが大きく広がりました。

このような観点からも、デジタル技術を使って、新しいサービスを生み出す必要がでてきました。

労働力不足への対応のためのDX

日本国内においては、少子高齢化による労働力不足が深刻な課題問題となっています。

デジタル技術によりって、不足している人材を補う新しいサービスやビジネスモデルをつくることも大きなDXの役割になります。

この点に関していえば、労働力不足の解消を目的とするDXは、IT化と少し似ています。

消費者のニーズや価値観の変化に対応するためのDX

消費者のニーズや価値観の変化もDXが注目されることになった1つの要因です。

最近では、ECサイトが普及し、ものをインターネットで買うことが当たり前になりました。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行も消費者のニーズや価値観が変化する1つの転機になりました。

そのような消費者の価値観の変化を前に、従来の店舗型のアパレル店や飲食店からも、インターネットを活用したいくつもの新しいサービスが生まれています。

DXの事例

さらに理解を深めるために、実際の企業が行っているDXの事例を紹介します。

デジタル技術を用いて新しいサービスを生み出すことで、お客様に新しい価値を提供していることがわかります。

株式会社クボタ「Kubota Diagnostics」

株式会社クボタは、産業機械、建築材料、鉄管、産業用ディーゼルエンジンのメーカーであり、農機メーカーとしては国内首位、世界でも3位の売り上げ規模を誇る企業です。

建設機械の故障診断アプリ「Kubota Diagnostics」では、AR(現実の風景にバーチャルな視覚情報を重ね合わせて表示する技術、拡張現実)によって、故障診断のプロセスを効率化して、故障した機械の停止時間(ダウンタイム)を削減するサービスを提供しています。

参考)株式会社クボタ

スマートフォンで建設機械の故障修理を効率化するアプリを開発

(2020年12月21日)

株式会社長谷工コーポレーション「マンションFit」

株式会社長谷工コーポレーションは、東京都港区に本社を置く大手ゼネコンであり、関東地方でのマンション開発を中心とした建設会社・デベロッパーで、マンション建築では業界トップの企業です。

長谷工コーポレーションは、顧客の新築分譲マンション探しをサポートするための新サービス「マンションFit」をLINEアプリで開発しました。

「マンションFit」では、居住地、勤務地、家族構成、年収などの情報と、購入者データから物件を紹介したり、LINEで簡単に見学予約ができたり、モデルルームの見学中や見学後に、住まいアドバイザーに電話で話を聞くことができます。

参考)自分にぴったりフィットする マンション選び

ブラザー工業株式会社「プリンターIoTプロジェクト」

ブラザー工業株式会社は、愛知県名古屋市にある電機メーカーであり、主にプリンター、ファクシミリ、ミシンなどを製造している企業です。

ブラザー工業は2016年からアビームコンサルティングと共同で、プリンターIoTプロジェクトに取り組んできました。

用紙搬送と電写真プロセスの両側面からデータ分析を実施し動作を可視化することで、紙詰まりや印字不良の可能性を発見することができます。

試作段階で改善を行い、設計プロセスでの手戻りの削減と生産後の不具合発生の可能性を未然に防止することに成功しました。

参考)データを活用した研究・設計開発で プリンターの不具合発生の可能性を未然防止

ご紹介したように、DXに取り組むことで成果を出す企業が既に存在しています。このような動きは、国内外を問わず今後一層増加していくことでしょう。

まとめ

この記事では、デジタルトランスフォーメーション(DX)についてIT化との違いや各企業の事例をもとに解説しました。DXとは、「デジタル技術を使って、新しいサービスを生み出すこと」です。

単純な業務効率化であるIT化とは異なり、「商品やサービス」の創出に焦点をあてているところがポイントでした。

DXの視点をもって企業の動向を観察することで、非常に興味深く感じるはずです。

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【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
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