「ニッチトップ」とは、競合が少ないマイナーな業界で高いシェアを持つ企業を指します。
もともと「ニッチ」とは「隙間」を意味する言葉であり、ビジネス用語としては「狭い市場」のことを指します。大手企業が入りにくいピンポイントの層をターゲットにして成り立つビジネスです。
たとえば、山八歯材工業株式会社は「人工歯」というニッチな市場で、年間1億以上の人口歯を作るトップメーカーとして経産省の認定を受けています。
ニッチトップになることでその市場で高いシェアを誇り、他にはない優位性が出るので差別化につながるメリットもあります。
参考:山八歯材工業株式会社
ニッチトップ企業の強み
ニッチトップ企業の強みをいくつか項目にまとめました。
市場で高いシェアを占めることができる
1つ目は市場で高いシェアを占めることができることです。
ニッチトップ企業になれば「〇〇のサービスといえばあの会社」というイメージを持ってもらい、競争優位性を発揮できます。。
その市場で高いシェアを占めることで、業界の収益の大部分を得ることが可能になり、会社全体として高い売上を出せるでしょう。
価格競争に巻き込まれにくい
2つ目のメリットは価格競争に巻き込まれにくいことです。
ニッチトップ企業はそもそもマイナーな市場でビジネスを展開するので、競合他社が少なくサービスを買ってもらいやすくなります。
競合の数が多いとどうしても価格が安いところに流れてしまいますが、そもそものライバルが少なければ現行の価格をキープしやすくなるでしょう。
ブランド力が強化される
3つ目はブランド力が強化されることです。ニッチトップ企業になれば、その業界において会社の知名度が高くなるのでファンの獲得にもつながります。
またニッチトップ企業はマイナーな商品を持つことが多いため、サービスの独自性が話題となり爆発的な人気を博すケースもよくあります。
ブランド力が強化され、ひいてはファンの育成や企業の知名度向上になるでしょう。
ニッチトップ企業の弱み
ニッチトップにはもちろんデメリットもあります。
ニッチトップの状態が続くとは限らない
ニッチトップはいつまでもその状態が続くとは限りません。
より便利なサービスが出てきたり、社会情勢によって市場が衰退したりすることも考えられます。
一時的に流行るようなサービスは、ずっと売上が続くわけではないので注意が必要です。
・ニッチトップになるまでのコストがかかる
ニッチトップはもともと市場にないような商品を出して成立するので、成功するまでに膨大な時間とコストがかかります。
人気がある商品やマーケットの分析をして、差別化できるようなコンセプトを考案して…と、商品を出すまでの構想を練るのも大変です。
簡単にニッチトップを取れるわけではないので、それまでは成果が出ず苦労することもあるでしょう。
・人気が出ると他社が参入してくる
ニッチな業界は、人気が高まると他社が参入してきます。
自社よりも資本力があって知名度が高い企業が参入すると、それまでトップシェアだったのにライバルに抜かれてしまうこともあるでしょう。
ビジネスにおいて仕方ないことではありますが、売上が減らないよう常に新しい試みをしなくてはいけません。
ニッチトップ企業に就職するためには
ニッチトップ企業に就職するためにおすすめなのは、公的機関から「ニッチトップ」として認定された企業に応募することです。
たとえば経済産業省は、ニッチな分野の世界市場でトップシェアを誇る「グローバルニッチトップ企業100選」を選定しています。
2020年版はホームページに公表されており、それぞれの拠点やニッチトップ受賞の要因となったサービスをチェックできます。
こうした認定を受けたニッチトップ企業が募集している採用枠を狙えば、ニッチトップ企業に就職できる確率を高められるでしょう。
ただ、これらのニッチトップ企業がすべて新卒枠を募集しているとは限らないので、志望する企業の採用状況をご自身で確認してみてください。
ニッチトップ企業に就職するメリット
ニッチトップに就職すると得られるメリットは2つあります。
挑戦しやすい環境がある
一つ目は挑戦しやすい環境があることです。
ニッチトップである以上「他の企業が市場を狙ってくる可能性」があります。
ライバルが増えたときや業界の情勢が悪くなったときに、新たな挑戦をしないとニッチトップ企業は生き残れません。
自分から新しいことを提案して仕事を進めていきたい人は、ニッチトップ企業でやりがいを感じられるかもしれません。
ニッチトップならではの独自性を学べる
二つ目は、ニッチトップならではの独自性を学べることです。
競合他社とどのように差別化したのか、商品のどこに魅力を感じてもらいニッチトップになったのか。
このような経緯を知るだけでも、マーケティングの勉強になりますし、ニッチトップのビジネスを展開するためのノウハウを学べるでしょう。
独自性の高いビジネスモデルに興味がある人は、他の企業にはない強みを知られるはずです。
まとめ
今回はニッチトップ企業の強み・弱み・就職するためにしたいことを解説しました。
本文の内容をまとめます。
- ニッチトップとは、小さな市場で高いシェアを持つ企業のこと
- ニッチトップ企業は収益の高さやブランド力、独自性に強みがある
- 一方で市場が衰退する、ライバルが参入してくるなどの懸念もある
- ニッチトップ企業に就職するには、経産省から認定された企業の採用枠を狙うのがおすすめ
- ニッチトップ企業に就職すると挑戦しやすい環境があり、ニッチトップならではのビジネスモデルを学べる
ニッチトップ企業は、大手企業にはない独自のノウハウやマーケティング戦略が蓄積されています。
興味がある人は、経産省の認定企業を中心に新卒採用を行っていないかチェックしてみてください。