「大学院に進学したいけれど、博士号を取得することは難しいのではないか」といった不安をもつ方はたくさんいます。
実際のところ、大学院を修了するまでには、何年かかるのでしょうか?
この記事では、修士課程と博士課程に分けて詳しく解説していきます。
大学院には何年通うのか?

大学院は修士課程と博士課程に分かれており、それぞれ下記の年数が必要です。
- 修士課程(博士前期課程):2年間
- 博士課程(博士後期課程):3年間
博士号を目指す人は合計で5年間通う必要があります。
今回は、修士課程(博士前期課程)と博士課程(博士後期課程)に分けてそれぞれ解説していきます。
修士課程(博士前期課程)は2年間
修士課程(博士前期課程)は、最短で2年間通います。
修士課程では、2年間で講義に出席して所定の単位をとり、修士論文を提出します。
学部生と比べて、在学期間が短くなり、受けなければいけない講義の数は少なくなりますが、研究活動に取り組む時間は長くなります。
また、学部の卒業論文よりも修士論文では高度な内容が求められることになります。
博士課程(博士後期課程)は3年間
博士課程(博士後期課程)は、最短で3年間通います。
博士課程では、3年間のほとんどの時間を研究活動に充てて、博士論文を提出します。
修士課程では、いくつかの講義に出席する必要がありましたが、博士課程では、修士課程と比べても出席が求められる講義の数も少なくなります。
すなわち、ほぼすべての時間を研究活動に充てることになります。
大学院修了後に得られる学位

修士課程を修了した後に授与される学位を「修士号」といい、博士課程を修了した後に与えられる学位を「博士号」といいます。
それぞれどのような学位なのか順番に説明していきます。
また、最後に授与される学位に付記される専攻分野が数多くあることについても確認していきましょう。
修士号
修士号とは「大学院に2年から4年以内在学して所定の単位を修得し、修士論文の審査、最終試験に合格した者に与えられる称号」のことであり、英語ではMaster’s degreeとも呼ばれています。
文部科学省によると、修士課程の目的は「幅広く深い学識の涵養を図り、研究能力又はこれに加えて高度の専門的な職業を担うための卓越した能力を培う」ことにあります。
修士課程では、具体的に以下の3つのことが求められています。
- 高度専門職業人の養成
- 知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成を行う課程
- 研究者等の養成の一段階として,高度な学習需要への対応等社会のニーズに的確に対応する
そのため、修士は、専門分野に対する深い造詣を持ち、高度な専門性が必要な職業に就くことができる人材と見なされます。
参考:文部科学省「2 博士,修士,専門職学位課程の目的・役割の焦点化」
博士号
博士号とは「大学院の博士課程を修了し、博士論文の審査および試験に合格した者に授与されるもの(課程博士)と、博士論文の審査に合格して博士課程修了と同等以上の学力があると認められた者に授与されるもの(論文博士)に与えられる称号」のことであり、Doctorや、Ph. D.とも呼ばれています。
文部科学省によると、博士課程の目的は「研究者として自立して研究活動を行うに足る、又は高度の専門性が求められる社会の多様な方面で活躍し得る高度の研究能力とその基礎となる豊かな学識を養う」ことにあります。
自立して研究活動を行うことができるかどうかが、修士と博士の違いといえるでしょう。
博士課程は、産業界や行政など多様な研究・教育機関の中核を担う研究者や、確かな教育能力と研究能力を兼ね備えた大学教員の養成を行うために設けられた非常に高度で専門的な課程になります。
参考:文部科学省「2 博士,修士,専門職学位課程の目的・役割の焦点化」
学位に付記する専攻分野
修士号や博士号を取得できる専攻分野は数多く存在します。
これらの学位が取得できる専攻分野としては、有名な分野としては、文学、経済学、経営学、工学、看護学などから、あまり馴染みのないところでは、民俗学、公益学、海洋学、被服学などさまざまな専攻分野があります。
参考:独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構「学位に付記する専攻分野の名称」
博士課程の平均修了年数

博士課程(博士後期課程)は、修了するまでに最短で3年間かかります。
しかし、実際には博士課程を修了するまでにどれくらいの年数が必要なのでしょうか?
今回は、令和2年度学校基本調査のデータをもとに詳しく解説していきます。
理系分野の平均修了年数
理系分野の平均修了年数について、博士課程修了者の人数が最も多い「工学」を例に調べてみました。
「工学」の専攻分野では、令和2年度に博士課程(博士後期課程)を修了した学生の人数は全国で「3,255人」でした。
そのうち、修業年限である3年間で博士課程を修了した学生(令和2年度入学)の人数は「1,388人(約43%)」でした。
また、1年超過して、4年間で博士課程を修了した学生の人数は「1,082人(約33%)」、2年超過して、5年間で博士課程を修了した学生の人数は「264人(約8%)」、3年超過して、6年間で博士課程を修了した学生の人数は「192人(約6%)」、4年以上超過して博士課程を修了した学生の人数は「190人(約6%)」でした。
上記の結果から、工学分野全体の76%の学生が3~4年間で博士課程を修了していることが分かります。
文系分野の平均修了年数
文系分野の平均修了年数について、博士課程修了者の人数が最も多い「人文科学」を例に調べてみました。
「人文科学」の専攻分野では、令和2年度に博士課程(博士後期課程)を修了した学生の人数は全国で「922人」でした。
そのうち、修業年限である3年間で博士課程を修了した学生(令和2年度入学)の人数は「191人(約21%)」でした。
また、1年超過して、4年間で博士課程を修了した学生の人数は「182人(約20%)」、2年超過して、5年間で博士課程を修了した学生の人数は「132人(約14%)」、3年超過して、6年間で博士課程を修了した学生の人数は「163人(約18%)」、4年以上超過して博士課程を修了した学生の人数は「230人(約25%)」でした。
上記の結果から、理系分野の工学に比べて、文系分野の人文科学では、修業年限の3年以内に修了できている人が21%しかいないということが分かりました。
参考:文部科学省「学校基本調査 / 令和5年度 高等教育機関 卒業後の状況調査 卒業後の状況調査票(大学院)」
修了後の就職先について

修士課程(博士前期課程)および博士課程(博士後期課程)を修了した学生の就職先について説明します。
こちらも前項と同様に令和3年度学校基本調査のデータをもとに調べてみました。
理系分野(修士課程)の就職先
理系分野(修士課程)の就職先について、修士課程修了者の就職者数が最も多い「工学」を例に調べてみました。
「工学」の専攻分野では、令和2年度に修士課程を修了した学生は全国で「27,024人」でした。
このうち、最も就職者数が多い業界は、製造業の「14,929人」であり、次いで情報通信業の「4,376人」、学術研究、専門・技術サービス業の「1,836人」となりました。
これらの業界で就職者数が多い理由として、「工学」の専攻分野と親和性の高い業界であることが考えられます。
しかし、「工学」と親和性が高くない業界にも多数の就職者がいることが分かります。
参考:文部科学省「学校基本調査 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学院 81 修士課程の産業別 就職者数」
文系分野(修士課程)の就職先
文系分野(修士課程)の就職先について、修士課程修了者の就職者数が最も多い「社会科学」を例に調べてみました。
「社会科学」専攻分野では、令和3年度に修士課程を修了した学生は全国で「4,101人」でした。
このうち、最も就職者数が多い業界は、学術研究、専門・技術サービス業の「794人」であり、次いで情報通信業の「512人」、製造業の「487人」となりました。
これらの業界で就職者数が多い理由として、採用人数の多さが考えられます。
「社会科学」は、さまざまな業界と親和性があるため、どの業界にも幅広く就職していることが分かります。
参考:文部科学省「学校基本調査 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学院 81 修士課程の産業別 就職者数」
理系分野(博士課程)の就職先
理系分野(博士課程)の就職先について、修士課程と同様に「工学」を例に調べてみました。
「工学」の専攻分野では、令和3年度に博士課程を修了した学生は全国で「2,384人」でした。
このうち、最も就職者数が多い業界は、製造業の「794人」であり、次いでの教育・学習支援業の「661人」、学術研究・専門技術サービス業の「420人」となりました。
工学の修士課程修了後の就職先では目立たなかった教育・学習支援業と学術研究・専門技術サービス業の就職者数が高い割合を占めていることが分かります。
これらの業界で就職者数が多い理由として、博士課程まで進んだ学生は、高度な汎用的スキルをもとに日々の仕事に取り組む一般企業でのビジネス職よりも、より専門性が求められるアカデミックな領域や専門技術職を目指している人が多いことが考えられます。
参考:文部科学省「学校基本調査 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学院 85 博士課程の産業別 就職者数」
文系分野(博士課程)の就職先
文系分野(博士課程)の就職先について、修士課程と同様に「社会科学」を例に調べてみました。
「社会科学」の専攻分野では、令和3年度に博士課程を修了した学生は全国で「494人」でした。
このうち、最も就職者数が多い業界は、教育・学習支援業の「243人」であり、次いでの学術研究・専門技術サービス業の「71人」、公務(国家公務や地方公務)の「53人」となりました。
こちらも、修士課程の修了後の就職先では目立たなかった教育・学習支援業と学術研究・専門技術サービス業の就職者数が増えた印象があります。
ちなみに、教育・学習支援業の「243人」の内訳は、学校教育が「236人」、その他の教育・学習支援業が「7人」となっており、文系分野の博士課程出身者の多くが学校教育に携わっていることが分かります。
参考:文部科学省「文部科学省「学校基本調査 令和3年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学院 85 博士課程の産業別 就職者数」
大学院修了者は就職に強いのか?

結論、就職率は学部卒業者と大きくは変わりません。ただし、専門性の高い仕事を選べる可能性があるという点を考えると就職に強いと言えます。
就職率と進学率という観点から「大学(学部)卒業者」と「修士課程修了者」と「博士課程修了者」の違いを説明します。
まず、令和5年3月に卒業した「大学(学部)卒業者」の人数は「590,162人」です。
- 卒業者のうち、就職者数は「448,073人」であり、卒業者に占める就職者の割合は「75.9%」
- 卒業者のうち、大学院研究科等への進学者は「73,649人」であり、卒業者に占める進学者の割合は「12.5%」
- 就職者と進学者の合計人数は「521,722人」であり、卒業者に占める割合は「約88%」
次に、令和2年3月に修了した「修士課程修了者」の人数は「74,258人」です。
- 修了者のうち、就職者数は「57,483人」であり、修了者に占める就職者の割合は「77.4%」
- 修了者のうち、大学院研究科等への進学者は「7,504人」であり、修了者に占める進学者の割合は「10.1%」
- 就職者と進学者の合計人数は「64,987人」であり、修了者に占める割合は「約88%」
最後に、令和2年3月に修了した「博士課程修了者」の人数は「15,831人」です。
- 修了者のうち、就職者数は「11,120人」であり、修了者に占める就職者の割合は「70.2%」
- 修了者のうち、大学院研究科等への進学者は「199人」であり、修了者に占める進学者の割合は「1.3%」
- 就職者と進学者の合計人数は「11,319人」であり、修了者に占める割合は「約72%」
- 進学準備中の者、就職準備中の者、家事の手伝いなどが「3,379人」であり、修了者に占める割合は「21.3%」
以上の結果から「大学(学部)卒業者」と「修士課程修了者」の就職者と進学者の全体を占める合計比率はあまり変わらないことが分かります。
しかし、修士課程修了者の方が学部卒者と比べると、より専門的な課程を修了していることから、就職後の仕事の専門性という観点で、就職に有利にはたらくことがあります。
博士課程修了者の場合「進学準備中の者、就職準備中の者、家事の手伝いなど」の人数が非常に多く、これと就職者と進学者の合計人数の割合は「88.3%」になります。
博士課程修了者の場合、大学教授を目指すなど、高度な職業に就くための準備をしている人も多く、就職者数という数字は低く出ていますが、必ずしも就職が不利になっている訳ではありません。
参考:文部科学省「学校基本調査-令和5年度 結果の概要-」
参考:院卒で就職VS学部卒で就職!待遇や年収にどんな違いがあるのか
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大学院進学のメリット
大学院進学ならではの主なメリットは、次のとおりです。
大学院進学のメリット ・専門知識と研究スキルが身につく ・高度専門職・研究職への道が開ける ・学会・研究室ネットワークが得られる
大学院に進学することで得られるのは、専門的な知識や研究スキルだけではありません。修士・博士課程での学びは、将来のキャリアの幅を広げたり、学会や研究室を通じて人脈を築いたりと、さまざまなメリットがもたらされます。
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
専門知識と研究スキルが身につく
大学院では、学部時代に身につけた知識をもとに、自分の興味のある専門分野をさらに深く探究することができます。
講義やゼミで理論を深く学ぶだけでなく、研究活動を通じて実証・検証・発表といった一連のプロセスを経験することで、仮説構築力や文献調査力、データ分析力、実験デザイン能力といった研究者に不可欠なスキルを習得可能です。
また、大学院進学者は「研究テーマ」に対する探究心や独自の視点を持つことが求められ、就職活動においても自分の研究内容や成果をアピール材料に活用する方が増えています。実際、アカリクの調査では、大学院生が就職活動で自己PRとして挙げる強みには「研究テーマに関する専門知識」や「やり抜く力」が含まれる傾向があり、研究活動によって得たスキルが評価につながるケースも少なくありません。
特に、研究によって磨かれる「論理的思考力」や「問題発見能力」といった高度スキルは、研究者だけでなく、データサイエンスや企画立案、コンサルティングなど幅広い業界の職種においても応用できます。大学院で身につく専門知識と研究スキルは、キャリアの可能性を広げる大きな強みといえるでしょう。
高度専門職・研究職への道が開ける
大学院を修了することによって、学んだ知識や研究経験を活かせる専門職や研究の仕事に就けるチャンスが広がります。
理系分野では、メーカーや研究所、先端技術企業の研究開発部門が院卒者を求人要件として設定していることが少なくありません。
また、アカリクが展開する院卒・研究者向けの転職支援サービス「アカリクキャリア」は、研究分野で培った専門知識や研究経験を活かせる求人が多く扱われています。高度な専門性を重視する企業や技術職へのマッチング実績も豊富です。
さらに、修士や博士の学位を持つことで、企業から専門家として評価されやすくなる点も大きなメリットです。研究開発に加え、プロジェクトリーダーや技術顧問など責任ある役職を任されるチャンスも広がります。
このように、大学院で取り組んだ研究や得られた成果が、そのまま就職先の業務や専門分野につながる可能性もあります。自分の強みを活かして働きたい人にとって、大学院進学はキャリアを築くうえで大きな強みといえるでしょう。
学会・研究室ネットワークが得られる
大学院では、学会発表や研究会、共同研究を通じて、国内外の研究者や同じ分野の学生とつながる機会が多くあります。こうした交流をきっかけに、将来の共同研究先や就職先、情報交換できる相手が見つかることも少なくありません。
また、他大学に進学するケースでは、在学先だけでは出会えない研究者と接点を持てる点も大きなメリットです。それまでの大学とは異なる進学先を選ぶことで、人脈や研究視野を広げる効果が期待できるでしょう。
さらに、学会の会員名簿や部会、分科会に積極的に参加することで、専門の研究領域ごとのコミュニティに属することも可能です。研究ネットワークを構築することは、研究費の獲得や論文共著、研究キャリアを築くうえで重要な要素といえます。
大学院進学のデメリット
大学院に進学することで考えられるデメリットは、次のとおりです。
大学院進学のデメリット ・学費や生活費の負担が増える ・研究生活のストレスとワークライフバランスの難しさがある ・就職に必ずしも有利に働くわけではない
それぞれの内容を詳しくみていきましょう。
学費や生活費の負担が増える
大学院に進学すると、授業料や入学金といった学費に加えて、研究に使う書籍や機材、学会発表の参加費、生活費や交通費などもかかり続けます。学部を卒業してすぐ就職した人と比べると、その分就職するタイミングが遅くなるため、経済的な負担は大きくのしかかるでしょう。
特に博士課程まで進む場合はさらに在学期間が長くなり、家計への負担は増える傾向があります。こうした金銭面の負担は、多くの学生が大学院への進学をためらう理由のひとつです。
大学院を目指す際は、奨学金や授業料免除などの制度を活用できるかを早めに確認し、生活費を含めた資金計画を立てておきましょう。
研究生活のストレスとワークライフバランスの難しさがある
大学院では、研究成果への期待や締め切り、実験・調査の遅れなどが重なり、精神的なストレスを抱えやすくなります。特に博士課程においては、不安や抑うつを経験する学生も一定数存在します。
研究がうまく進まないと、「自分の力不足ではないか」と悩む「インポスター症候群」を発症するリスクが高まります。また、長時間研究に取り組むことで生活との区切りがつけにくくなり、休息や趣味の時間が取りづらくなるケースも珍しくありません。
研究中のストレスを軽減するためには、無理のない計画を立てて休む時間を確保することが大切です。さらに、研究室内で気軽に相談できる人を持つほか、大学のカウンセリングなどの支援窓口を活用するなどして、心と身体のバランスを保っていくことが大切です。
就職に必ずしも有利に働くわけではない
大学院を修了したからといって、必ずしも就職で有利になるわけではありません。理系分野でも、研究テーマが業務に直結しない場合や専門分野がニッチすぎる場合、研究経験が評価されにくいケースが考えられます。
また、大学院進学によって社会に出るタイミングが遅れるため、その分実務経験を積む時期が遅くなり、学部卒の同期との差を感じる場合もあるでしょう。さらに、企業によっては専門性よりも即戦力としてのスキルやコミュニケーション能力を重視するため、研究室で培った知識がすぐに活かせないケースもあります。
大学院への進学を検討する際は、自分の専門分野が志望業界でどれだけ需要があるかを調べたうえで、キャリアにどう結びつくかを事前に見極めるようにしましょう。
大学院進学を考えるにあたって意識しておくべきこと

最後に、大学院進学を考えるにあたって意識しておくべきこととして、「修了後のキャリアプランを考えた上で選択する」ことと「学費の工面について計画を立てておく」について紹介いたします。
修了後のキャリアプランを考えた上で選択する
大学院修了後に何をしたいのか、あらかじめ考えておくとよいでしょう。大学院生活は忙しいので、なかなか進路のことをじっくり考える時間がありません。
現在学部生の方で、これから大学院へ進学しようか考えている場合は、まず、修士課程を修了したあと、就職するのか、博士課程に進学するのかは考えておくとよいでしょう。
博士課程に進学するかを検討する際には、上述した「博士課程の平均修了年数」や「修了後の就職先」を参考にするとよいでしょう。
大学院の学費はいくらかかる?計画的に工面しよう
大学院進学にかかる費用は一般的には下記の通りです。
| 授業料 | 入学料 | |
|---|---|---|
| 国公立 | 54万円 / 年 | 28万円 / 年 |
| 私立(早稲田大学の場合) | 70万円 / 年 | 20万円 / 年 |
修士・博士をそれぞれ規定の年数通うと、下記のような金額です。
- 国公立大学:修士を修了するのに約136万円、博士まで進む場合は追加で190万円以上
- 私立大学:修士を修了するのに約150〜200万円、博士まで進む場合は追加で200万円以上
もし自分で学費を工面しなければいけない場合は、奨学金制度や日本学術振興会の特別研究員制度(通称:学振)もあります。
学部生の早い段階ですでに大学院進学を決めている場合は、学部生のうちに、アルバイトなどで貯金をしておくと、あとで大学院の学費の足しにできるかもしれません。
大学院への進学にかかる費用については以下の記事でも紹介していますので併せてごらんください。
まとめ
最後にこの記事の内容を要約します。
- 修士課程(博士前期課程)は、最短で2年間通う
- 博士課程(博士後期課程)は、最短で3年間通う
- 修士課程を修了すると「修士号」を取得できる
- 博士課程を修了すると「博士号」を取得できる
- 博士課程(工学)の平均修了年数は、3年が45%、4年が31%、5年が8%、6年が5%、7年以上が6%
- 博士課程(人文科学)の平均修了年数は、3年が22%、4年が20%、5年が14%、6年が15%、7年以上が27%
修士課程、博士課程への進学を検討する際に、この記事を参考にしていただければ幸いです。






