前回までは認可保育園への申請についてまとめてきましたが、今回からは認可外園に申請した時に考えて実行したことをご紹介していきたいと思います。
「認可外」保育園とはどういうところか
保育者の人数や広さなど、様々な基準を満たし、国の認可を受けている認可園は、運営費も国と自治体から支給されるため、保育料の負担も安くなります。当然、選べるならば認可園を希望する家庭は多いと思いますが、認可外の園にもメリットがあります。
そもそも条件の合う園が認可しかないという場合もあるかと思いますが、待機児童が出ているようなニーズの多い自治体には、認可外園も多く設置されている可能性は高いです。
認可外の園は、「国の認可基準を満たしていない」ということになり、なんとなく悪いイメージをもってしまう人もいるようですが、安全基準は満たしていなければ保育所として営業が許可されていないはずなので、危険というわけではありません。
例えば、園の方針で理想の保育環境を維持するため、職員の労働条件を守るためにあえて認可を得ていない園や、施設の場所や広さなどどうしても基準を満たせない場合もあります。
我が家の子どもたちが通った認可外保育園は、施設の面から認可の基準を満たせない園でした。住宅街にある2階建ての施設で、園庭はありません。しかし、近隣にアクセスの良い公園が複数あり、気候の良い時期には毎日散歩をして、子どもたちにはのびのびと遊べるように配慮してくれていました。
また、室内でも身体を動かしたり退屈せずに過ごせるように、リトミックや英語の講師を招く日が毎月あったり、イベントを企画するなどの工夫もありました。
給食の調理スペースも限られることから、アレルギー対応の関係で、入園児は園で独自に選考したいという事情もあったようです。その園では、給食は全員共有の乳製品除去食を提供し、乳アレルギーの園児を受け入れていました。牛乳に代わるタンパク源として豆乳製品が使われる機会が多かったので、大豆アレルギーの受け入れは難しかったはずです。
小さい施設で誤食の危険性を避けたり、栄養士の負担も考慮した方法ですが、自治体が選んだ園児を受け入れなければならない認可園では別の方法でのアレルギー対応がもとめられるはずです。
年度途中入園の可能性
保育園の入園は4月入園を逃すと定員が埋まり、その後の入園は厳しいというイメージがあります。しかし実は、認可外園の場合は4月からの一斉入園はやや人数を抑えて、園児も保育者も慣れた頃に、徐々に受け入れ人数を増やしていくところもあるようです。
自身のお子さんが園や学校の生活に馴染んだ時期に、復帰や勤務時間の延長が可能になる保育士さんがいる場合や、本部での新人研修が終わった後、職員が現場に補充される場合など、4月以降に人員不足が解消され枠が広がることがあります。
決して一般的でも、数が多いわけでもないですが、それぞれの園の事情により、転園で欠員が出たという要因以外でも4月以降に募集がかかる可能性はあるのです。
また、「弾力化」といって、待機児童が多い地域では定員の規制が緩和され、年度の途中から受け入れ人数が増やされる処置があります。
【保育所定員の弾力化】
保育所定員の弾力化とは、市町村において待機児童解消等のため、定員を超えて入所できるようにすることをいう。
平成10年「保育所への入所の円滑化について」(厚生省児童家庭局保育課長通知)により行われている制度で、年度当初においてはおおむね認可定員に15%、年度途中においてはおおむね認可定員に25%を乗じて得た員数の範囲内で、さらに年度後半(10月以降)は認可定員に25%を乗じて得た員数を超えて保育の実施を行っても差し支えないとされ、いずれも児童福祉施設最低基準を満たしていることを条件に認められることとされた。
(出典/厚生労働省:用語の解説)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jidou/05/yougo.html
認可外園の場合、直接的にもともとの定員を超過して受け入れることを要請される以外に、この弾力化によって認可園へ入園が決まった在園児が転園し、欠員が発生することもあります。
認可園への入園優先順位には、認可外園での保育実績がポイント加算される自治体がほどんどなので、必然的に認可外園からの転園が生じるわけです。つまり、弾力化を実施していない園でも、その市区町村の認可園が弾力化を実施している場合には、影響を受けて欠員が生じる可能性大となります。
認可園には、優先順位が高かった順に待機児童から入園者が選ばれますが、認可外園の場合は、自治体からの要請を受けてから、もしくは欠員が発生してから、あらためて園児を募集をすることになります。
4月からの入園を希望していて一度選に漏れた申込者は、すでに他園に入園している可能性などがあるので、再び募集や選考をする手間が生じるのです。
弾力化の処置は、年度内に数回にわたって行われることがあり、保育園にとっては、年度の途中に何度も園児の募集や選考をするのは大変です。
そこで、労力を抑えるために、年度途中からの入園希望の確約を歓迎してくれる場合もあり、もし条件をあわせられればここが狙い目になり得ます。
認可園への申し込みでは、いかに保育の必要性が高いかがポイントになりますが、認可外園への申し込みでは逆に、ある程度融通がきくことが有利に働くことがあります。
例えば、
「保育開始月は在宅勤務にし、余裕をもった慣らし保育のスケジュールに対応できる」
「園の都合により保育開始月を多少変更できる」
「職場では常に私用携帯の利用が可能なので緊急時の連絡に対応しやすい」
「夏季休暇期間、正月休みなど、ある程度まとまった日数休暇の取得ができる」
といった情報も、認可外園への申込み時には使えることがあります。
認可園の申し込み時には不利になる場合もあるポスドクの事情が、認可外園の場合には有利になることもあるのです。
[文責・子育てポスドクさん]
<筆者について>
人文科学系のポスドク。大学院博士課程を単位取得満期退学後、任期付きポストと非常勤講師を兼任しつつ研究を続ける。 精神的不健康傾向の会社員のパートナーと、特撮大好きな幼稚園年長の娘、頑なに音声言語を話そうとせずにこの頃ハンドサインの語彙を増やしている一歳半の息子との4人暮らし。
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