研究に復帰したい時期はいつか
学振特別研究員の「出産・育児にかかわる採用中断・延長」の制度では、採用中断と再開の時期は自身で選択し、申請することができます。そして、事情があれば再開時期の延長をすることも手続きにより可能です。
採用中断期間中は、給与にあたる研究奨励費を受け取ることはできませんが、「研究再開時準備支援期間」の制度を使えば、研究奨励金の半額を受給することができ、科研費も使えるようになります。
(延長される採用期間も半分になるため、受け取れる総額は変わらないのです)
(参考)
「出産・育児により研究に十分な時間を割けない者や、採用の中断から本格的再開に向け、短時間の研究継続を希望する者は、中断期間内において、当該採用の中断開始日の前日における採用期間の残期間の 2 倍の月数を上限とし、研究再開準備支援を受けることができます。」「特別研究員が出産・育児を理由に研究再開準備支援の扱いを受ける場合には、振興会は、当該特別研究員に関する研究再開支援期間の研究奨励金の半額を支給することとする。」
出典/日本学術振興会 特別研究員 遵守事項および諸手続の手引(令和2年度版)
さらに、学振研究員RPDについては、必要がある場合には、申請者が四半期ごと(1月、4月、7月、10月)に採用開始日を選択することができる制度もあります。
大学の学校暦や研究費の会計年度のことを考えれば、はやり4月復帰が理想的な場合が多いとは思います。しかし産休・育休に入ったタイミングによっては、年度の途中での復帰も視野に入れてみることで、保育確保の可能性の幅も広がるかもしれません。
わたしの場合は、学振採用中に出産した第二子の保活の際、第一子の時の経験上、認可に通るのは希望が薄いとわかっていたので、0才児の4月入園希望の一斉申し込みにはあえて応募せずに、認可外園をあたっていきました。
「年度中は認可園への併願は出さないこと」
「年度途中からの入園が希望で、保育開始月はある程度園の都合に合わせられること」
幸い、このふたつの条件により、第一子が1年間お世話になっていた認可外園で、第二子も9月からの受け入れを約束してもらえました。
通常、認可外園で次年度の入園が内定するのは、認可園への申請の通知を待った後になるので、3月下旬、4月の年度が始まるギリギリになります。しかし、「認可への申込みはしない」ということをしっかり説明していたので、口約束ではありますが、前年の年末にはすでに「来年はよろしくお願いします」という方向で園とお話をすることができていました。
学振研究員の採用再開の時期は後ろ倒すこともできましたが、後期からは非常勤で授業を受け持つことが決まっていたので、早い段階で内定がもらえていたのは安心感があり、大変ありがたかったです。
当然、認可外園なので、世帯の所得によって負担額がかわる認可に比べて保育料は高いです。正直、非常勤のお給料だけでは完全に赤字。学振の「研究再開準備支援」の制度によってトントンになるくらいです。
しかし贅沢はいえません。保育料の補助&保育施設を使う権利 をいただきながら研究を続けられるというだけで十分ありがたいことと割り切りました。
認可園に申し込んでいれば、わずかではありますが、格段に安い保育料で環境の良い園に入園できる可能性もあったわけですが、その場合、入園が内定するのははやくて2月下旬です。
認可に内定した場合、入園した翌月には就労復帰をし、復帰証明書類を提出しなければなりませんが、一方でもしも落選し、認可外園にも決まらなかった場合、逆に予定通りの復帰が困難になります。
わずかな可能性にかけて、忙しい年度末にさらにバタバタするよりは、費用がかかっても安心なほうを選びました。
もっとも、これは授業の開期を選択させてくれた非常勤の大学、学振の再開時期を任せてくれた受け入れ研究者と受け入れ研究機関の協力があって可能になった計画なので、幸運だったとしかいえません。
[文責・子育てポスドクさん]
<筆者について>
人文科学系のポスドク。大学院博士課程を単位取得満期退学後、任期付きポストと非常勤講師を兼任しつつ研究を続ける。 精神的不健康傾向の会社員のパートナーと、特撮大好きな幼稚園年長の娘、頑なに音声言語を話そうとせずにこの頃ハンドサインの語彙を増やしている一歳半の息子との4人暮らし。
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