素材メーカーの就職偏差値には、公的に統一された算出方法がありません。学校基本調査では、実際に就職した人数を確認できます。募集人数や応募者数は集計されていないため、この調査から採用倍率を判断することもできません。
また、素材メーカーと呼ばれる企業は、統計上では化学工業、鉄鋼業、非鉄金属製造業などの異なる区分です。就職の難しさを一つの順位で示すことはできませんが、区分ごとの就職実績、就職者の専攻構成、若手の給与と労働時間は公的統計で比較できます。
この記事では、就職偏差値だけでは分からない素材メーカーの就職実績と待遇について、統計の対象をそろえながら解説します。
1.就職者数は化学系と金属系で異なるが難易度は示さない
令和7年3月に卒業・修了して素材にあたる企業へ就職した人数は、化学系と金属系という2つの産業区分ごとに、学歴段階別で数えられています。
| 学歴段階 | 化学工業,石油・石炭製品製造業 | 鉄鋼業,非鉄金属・金属製品製造業 |
|---|---|---|
| 学部 | 5,790人 | 4,240人 |
| 修士課程 | 4,625人 | 1,431人 |
| 博士課程 | 534人 | 79人 |
学部では約1.4倍、修士では約3.2倍の差がある
学部の就職者数は、化学系が5,790人、金属系が4,240人で、化学系は金属系の約1.4倍です。文部科学省の学校基本調査によると、修士課程では化学系4,625人、金属系1,431人で、差は約3.2倍になります。学部の人数を1としたときの修士の人数比は、化学系が0.80、金属系が0.34です。
この差は、各区分へ実際に就職した人数の違いを示します。募集人数や応募者数が分からないため、人数の多い化学系が入りやすい、金属系が難しいとは判断できません。志望先を検討するときは、自分と同じ学歴段階からどの程度の就職実績があるかを確認する材料として使います。
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 産業別就職者数」
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 修士課程の産業別就職者数」
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 博士課程の産業別就職者数」
化学系と金属系の区分には石油・石炭製品や金属製品も含まれる
化学系の区分の正式な名称は「化学工業,石油・石炭製品製造業」で、石油・石炭製品製造業も含まれます。金属系の「鉄鋼業,非鉄金属・金属製品製造業」には、金属製品製造業も含まれています。素材と呼ばれる企業のすべてが、この2つの区分に収まるわけではありません。同じ調査では繊維工業が別に集計され、学部1,194人、修士241人が数えられています。
表の人数は就職した人の実数であり、卒業者数に占める割合ではありません。志望先がどの産業区分に数えられる企業かを確かめてから、その区分の就職実績を参照する必要があります。
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 産業別就職者数」
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 修士課程の産業別就職者数」
2.素材メーカーは主な製造工程によって3つの区分に分かれる
化学工業・鉄鋼業・非鉄金属製造業の3つは、主にどんな製造工程を手がける事業所かによって、次のように分かれています。
- 化学工業:化学的処理を主な製造過程とする事業所と、その処理で得た物質の混合や最終処理を行う事業所のうち、ほかの中分類に分類されないもの
- 鉄鋼業:鉱石や鉄くずなどから鉄と鋼をつくる事業所と、鉄と鋼の鋳造品・鍛造品・圧延鋼材・表面処理鋼材などをつくる事業所
- 非鉄金属製造業:鉱石や金属くずなどから非鉄金属を製錬・精製する事業所と、合金製造・圧延・抽伸・押出しや鋳造・鍛造で非鉄金属の基礎製品をつくる事業所
志望企業の区分は主な製品から確認する
志望先がどの区分に入るかは、社名の印象ではなく、その会社が主に手がける事業から判断します。上場企業なら、EDINETで公開されている有価証券報告書の「事業の内容」で、主な事業と製品を確認できます。その製品を日本標準産業分類の説明に当てはめると、たとえば圧延鋼材なら鉄鋼業、アルミニウムの圧延製品や押出製品なら非鉄金属製造業です。
化学工業は化学系、鉄鋼業と非鉄金属製造業は金属系の区分に含まれます。志望企業の区分が分かれば、就職者数は化学系または金属系、賃金と規模別の在籍者数は該当する業種の統計を参照できます。
出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定) 製造業 化学工業」
出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定) 製造業 鉄鋼業」
出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定) 製造業 非鉄金属製造業」
3つの区分に入る会社の例と主な事業
主な事業がそれぞれの区分の説明に当たる会社を、区分ごとに2社ずつ挙げると次のとおりです。
| 区分 | 会社 | 主な事業 |
|---|---|---|
| 化学工業 | 東ソー | 石油化学、クロル・アルカリ(苛性ソーダ、塩化ビニルモノマーなど)の事業 |
| 化学工業 | トクヤマ | 化成品の事業(苛性ソーダ、ソーダ灰、塩化ビニルモノマー、塩化ビニル樹脂など) |
| 鉄鋼業 | 愛知製鋼 | 特殊鋼(熱間圧延材)、ステンレス鋼(熱間圧延材、二次加工品)、型打鍛造品の製造・販売 |
| 鉄鋼業 | 大同特殊鋼 | 特殊鋼鋼材、ステンレス製品の製造・販売 |
| 非鉄金属製造業 | 住友金属鉱山 | 銅、ニッケル、フェロニッケル、亜鉛などと金・銀などの貴金属の製錬、資源開発 |
| 非鉄金属製造業 | UACJ | アルミニウムとその合金の板圧延製品・箔製品、押出製品の製造・販売 |
表の6社は、2026年6月に提出された有価証券報告書の「事業の内容」をもとに選びました。各区分の説明に当たる主な事業を持つ会社の一部であり、規模や順位とは関係がありません。就職者数の表に出てくる人数も、これらの会社への就職だけを数えたものではありません。
同じ非鉄金属製造業でも、住友金属鉱山は非鉄金属の製錬を、UACJはアルミニウムの圧延と押出しを手がけています。どちらも同じ区分に入るのは、非鉄金属製造業の説明が、製錬・精製と、圧延・押出しなどによる加工の両方を含んでいるためです。住友金属鉱山のように、非鉄金属製造業の説明には含まれない資源開発の事業を併せ持つ会社もあります。志望先についても、「事業の内容」に記載された事業のうち、主なものを確認して区分に当てはめましょう。
出典:東ソー株式会社「有価証券報告書 第127期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」
出典:株式会社トクヤマ「有価証券報告書 第162期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」
出典:愛知製鋼株式会社「有価証券報告書 第122期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」
出典:大同特殊鋼株式会社「有価証券報告書 第102期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」
出典:住友金属鉱山株式会社「有価証券報告書 第101期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」
出典:株式会社UACJ「有価証券報告書 第13期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)」
素材メーカーの技術職は製鋼・圧延・製錬や化学プラントの工程を受け持つ
素材メーカーで理系の新卒が就く技術系の仕事には、研究開発のほかに製造の工程を受け持つ仕事があり、会社によって製造技術や生産技術などと呼ばれています。金属系では、鉄鋼業なら製銑・製鋼・圧延の工程ごとに成分や温度などの操業条件を決め、非鉄金属製造業なら製錬の技術を改良します。いずれも、安定した操業と品質を管理する仕事です。化学系では、研究で見つかった反応を工場の設備で量産できる条件へ移す仕事を担います。応募する区分を選ぶことは、入社後に受け持つ工程を選ぶことでもあります。
3.学部と修士では就職者の専攻構成が異なる
令和7年3月に素材にあたる企業へ就職した人の専攻構成は、学部と修士で異なります。次の表は、就職者の内訳を主な学科系統に分けたものです。掲載していない学科系統があるため、内訳の合計は就職者数と一致しません。また、実際に就職した人の構成であり、応募者全体の構成ではありません。
| 母集団 | 就職者数 | 人文科学と社会科学 | 理学 | 工学 | 農学 | 保健 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 学部・化学系 | 5,790人 | 2,725人(47.1%) | 337人 | 962人 | 361人 | 669人 |
| 学部・金属系 | 4,240人 | 2,400人(56.6%) | 78人 | 1,039人 | 50人 | 33人 |
| 修士・化学系 | 4,625人 | 104人(2.2%) | 590人 | 1,996人 | 407人 | 534人 |
| 修士・金属系 | 1,431人 | 49人(3.4%) | 122人 | 970人 | 36人 | 4人 |
学部の就職者は人文科学と社会科学が半数前後を占める
学部で就職した人のうち、人文科学と社会科学の出身は化学系が2,725人で47.1%を占めます。金属系では4,240人のうち2,400人で、56.6%です。素材にあたる企業へ就職した学部卒には、理系以外の出身者も多く含まれています。
ただし、この数字から文系と理系のどちらが選考で有利かは判断できません。専攻別の応募者数や採用率ではなく、就職者の構成を示した結果だからです。
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 産業別就職者数」
修士では工学が中心で化学系には農学・保健も含まれる
修士課程になると、人文科学と社会科学の割合は化学系で2.2%、金属系で3.4%まで下がります。工学が占める割合は金属系で67.8%、化学系で43.2%です。化学系には、このほか農学407人と保健534人も含まれています。
なお、その他として数えられている968人と238人は、学科系統分類の「その他」です。理系か文系かは判別できません。これらの数値は就職者の専攻構成を示しますが、自分の専攻による選考の通りやすさまでは判断できません。
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 修士課程の産業別就職者数」
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4.博士課程の就職者は化学系に多い
博士課程を出て素材にあたる企業へ進む人は、学部や修士に比べて人数が少なく、進んだ先も化学系と金属系で大きく偏っています。令和7年3月に博士課程を修了して就職した人の内訳は、次のとおりです。
- 化学系534人の内訳 保健169人・工学164人・理学77人・農学38人・社会科学6人・家政1人・その他79人
- 金属系79人の内訳 工学57人・理学10人・保健1人・その他11人
製造業へ就職した博士の約3分の1が化学系に含まれる
博士課程から化学系へ就職したのは534人で、製造業へ就職した博士1,628人の32.8%にあたります。同じ表では、金属系へ就職した博士は79人で、同じ分母に対して4.9%です。この2つの割合は、製造業へ就職した博士の人数を分母としています。博士課程修了者の全体を分母とした割合ではありません。博士の素材関連の就職実績は、金属系より化学系に多いことが確認できます。
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 博士課程の産業別就職者数」
化学系の534人には保健や農学の専攻が含まれている
化学系の534人は、保健169人、工学164人、理学77人、農学38人と、専攻が広い範囲に散らばっています。金属系の79人は工学57人と理学10人が大半で、専攻の広がりは化学系ほどではありません。日本標準産業分類では、化学工業の下に医薬品製造業が小分類として置かれています。534人という数字は、素材メーカーとして思い浮かべる企業群とそのまま重なるわけではありません。統計の数字を志望先へ当てはめる前に、その区分が何を含んでいるかを確かめておきましょう。
出典:文部科学省「令和7年度学校基本調査 卒業後の状況調査 博士課程の産業別就職者数」
出典:総務省「日本標準産業分類(令和5年7月改定) 製造業 化学工業 医薬品製造業」
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5.若手の給与は業種と企業規模の両方で差がある
民営事業所で働く大学院修了者の月額給与を、男女計の平均で年齢階級と企業規模ごとに比較すると以下のようになります。
| 業種 | 25〜29歳 企業規模計 | 30〜34歳 企業規模計 | 30〜34歳 1,000人以上 | 30〜34歳 100〜999人 | 30〜34歳 10〜99人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 化学工業 | 約34.7万円 | 約43.8万円 | 約48.9万円 | 約39.7万円 | 約34.8万円 |
| 鉄鋼業 | 約39.6万円 | 約49.9万円 | 約51.8万円 | 約38.4万円 | 約38.3万円 |
| 非鉄金属製造業 | 約36.9万円 | 約42.1万円 | 約44.0万円 | 約37.2万円 | 約28.1万円 |
同じ年齢階級では業種間の差は最大約7.8万円
25〜29歳では、化学工業が約34.7万円、鉄鋼業が約39.6万円、非鉄金属製造業が約36.9万円です。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、30〜34歳ではそれぞれ約43.8万円、約49.9万円、約42.1万円です。30〜34歳で最も差が大きい鉄鋼業と非鉄金属製造業では、約7.8万円の差があります。25〜29歳と30〜34歳は別の母集団なので、同じ年齢階級の中で比較する必要があります。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
化学工業と鉄鋼業では企業規模による差のほうが大きい
同じ30〜34歳でも、企業規模によって給与水準は異なります。1,000人以上と100〜999人の差は、化学工業が約9.2万円、鉄鋼業が約13.4万円、非鉄金属製造業が約6.8万円です。業種間の最大差である約7.8万円と比べると、化学工業と鉄鋼業では企業規模による差のほうが大きくなっています。
志望先の待遇を業界平均と比べる場合は、従業員数に合わせて企業規模計、1,000人以上、100〜999人、10〜99人のいずれかを選びます。ただし、鉄鋼業の10〜99人と100〜999人、非鉄金属製造業の10〜99人は集計対象の労働者数が少なく、この値だけで傾向を断定できません。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
給与差には勤続年数の違いも含まれる
企業規模による給与差は、待遇の条件だけを取り出した数字ではありません。同じ統計表に掲載された平均勤続年数は、鉄鋼業の1,000人以上で7.6年、100〜999人で5.2年です。勤続年数の違いが給与差の原因だとは断定できませんが、同じ年齢階級でも働いてきた年数が異なる集団を比べている点に注意が必要です。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
6.大学院修了者が働く企業規模の分布は業種で異なる
同じ大学院修了者でも、働いている企業の規模の分布は業種で分かれています。次の表に示す労働者数の単位は十人です。丸めのため、内訳の合計が計と一致しない場合があります。
| 業種(大学院・30〜34歳) | 労働者数計(十人) | 1,000人以上 | 100〜999人 | 10〜99人 | 1,000人以上の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 化学工業 | 859 | 413 | 381 | 65 | 48.1% |
| 鉄鋼業 | 172 | 147 | 25 | 0 | 85.5% |
| 非鉄金属製造業 | 121 | 91 | 29 | 2 | 約75% |
1,000人以上で働く割合は化学工業48.1%、鉄鋼業85.5%
大学院修了者のうち1,000人以上の企業で働いている人の割合は、化学工業が413÷859で48.1%、鉄鋼業が147÷172で85.5%です。非鉄金属製造業は91÷121で約75%になります。非鉄金属製造業は内訳の合計が計と一致しないため、割合を概数で示しています。
労働者数は十人を単位として集計された値です。同じ学歴、同じ年齢階級でも、在籍者の企業規模の分布は業種によって異なります。ただし、この分布は企業規模別の採用倍率を示すものではありません。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
化学工業では100〜999人規模にも同程度の人数がいる
化学工業では、100〜999人の企業に3,810人、1,000人以上の企業に4,130人が在籍しています。両者の人数は同程度です。鉄鋼業の100〜999人は250人、非鉄金属製造業は290人で、集計対象が小さいため傾向として扱う必要があります。
大学院修了者が働く企業規模の分布は、ここまでの数値から確認できます。特定の規模の企業へ入りやすいかどうかは、応募者数と採用人数を企業ごとに確認しなければ判断できません。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
7.月額の差には残業代と労働時間の違いが含まれる
月額として公表されている給与額には、残業代を含む数字と含まない数字があり、業種ごとの内訳は表のとおりです。
| 業種(大学院・30〜34歳・企業規模計) | 残業代を含む月額(きまって支給する現金給与額) | 残業代を含まない月額(所定内給与額) | 超過実労働時間(時間) | 年間賞与その他特別給与額(年額) |
|---|---|---|---|---|
| 化学工業 | 約43.8万円 | 約38.3万円 | 18 | 約157.6万円 |
| 鉄鋼業 | 約49.9万円 | 約40.4万円 | 34 | 約224.9万円 |
| 非鉄金属製造業 | 約42.1万円 | 約36.0万円 | 18 | 約127.8万円 |
公表された月額には残業代が含まれる
きまって支給する現金給与額とは、残業代などの超過労働給与額を含んだ月額を指します。ここから超過労働給与額を差し引いた月額が、所定内給与額です。超過実労働時間は、所定労働時間以外に実際に労働した時間数のことで、2つの金額の差はこの時間に対応する給与から生じています。月額の数字を見たときは、どちらの意味の金額かを確かめてください。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
残業代を含まない月額で比べると差は約2.2万円に縮む
鉄鋼業と化学工業の月額の差は約6.1万円です。残業代を含まない所定内給与額どうしで比べると、差は約2.2万円まで縮みます。残りの約4.0万円は約6.1万円の3分の2ほどにあたり、所定内給与額の外側にある部分です。同じ表の超過実労働時間は、鉄鋼業が34時間、化学工業と非鉄金属製造業が18時間でした。年間賞与その他特別給与額は年額なので、月額と足し合わせずに別の数字として見てください。月額の大小だけで比べると、この内訳が見えないまま志望先を選ぶことになります。
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 産業中分類 第1表 年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(E 製造業)」
8.素材メーカーは業種と企業規模を分けて比較する
素材メーカーの比較では、志望企業が化学工業、鉄鋼業、非鉄金属製造業のどこに当たるかを、主な事業から確認します。修士の就職者数は化学系4,625人、金属系1,431人ですが、これは採用枠や選考難易度の差ではなく、実際に就職した人数の違いです。
待遇を比べるときは、業種だけでなく企業規模もそろえる必要があります。大学院修了・30〜34歳では、3業種間の月額差が最大約7.8万円なのに対し、1,000人以上と100〜999人の差は化学工業で約9.2万円、鉄鋼業で約13.4万円でした。月額には残業代も含まれるため、所定内給与額と超過実労働時間も確認してください。
公的統計で確認できるのは、産業区分ごとの就職実績と平均的な待遇までです。企業ごとの応募条件、募集職種、採用人数は採用ページや募集要項で補いましょう。
まとめ
素材メーカーは、化学・鉄鋼・非鉄金属で製造工程が異なり、就職者の専攻構成や待遇も同じではありません。そのため、企業名を一列の就職偏差値で並べても、個別企業の選考難易度は判断できません。志望先の主力事業と企業規模を確認し、公的統計は就職実績と待遇の目安として使い、応募条件や採用人数は各社の募集要項で確かめましょう。










