「データサイエンティストって具体的にどんな仕事なの?」
「理系の自分でも目指せる?」
こちらではそのような疑問を持つ理系学生・大学院生のみなさんに向けて、データサイエンティストの仕事内容や必要スキル、年収や将来性、未経験からデータサイエンティストを目指す方法を解説します。
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1. データサイエンティストとは
こちらでは、データサイエンティストという職種の定義と、実際の仕事の流れを紹介します。
職種の定義
データサイエンティストとは、ビッグデータの解析を通じて企業の意思決定を支援する専門職です。大量のデータから意味のある情報を引き出し、経営戦略や事業改善に活かせる知見を導き出します。必要なスキルは統計・分析の知識、プログラミング、IT知識、そしてビジネス感覚の4領域にわたります。
一般的には「データサイエンティスト」という呼称に加え、データアナリスト・機械学習エンジニア・データエンジニアといった関連職種と区別されることもあります。データアナリストが過去データの可視化・報告を主とするのに対し、データサイエンティストは統計モデルや機械学習を活用して未来の予測や意思決定の自動化まで担う点が大きな違いです。
仕事の流れ
データサイエンティストの日常業務は、大まかに分けて以下の6つです。
- 課題抽出: ビジネス部門と連携し、解決すべき経営課題・問いを定義する
- データ収集: 社内DBやAPI・外部データなど多様なソースからデータを取得する
- データ加工: 欠損値補完・外れ値処理・特徴量エンジニアリングなどの前処理をおこなう
- 分析・モデル構築: 統計分析や機械学習モデルを適用し、予測・分類・クラスタリング等を実施する
- 可視化: 分析結果をダッシュボードや図表で表現する
- 提案・実装: 経営陣や現場への提言、またはモデルのシステム組み込みをおこなう
この一連のプロセスを一人でこなすケースもあれば、データエンジニアやMLエンジニアと分業するチーム体制のケースもあります。
2. データサイエンティストに必要な3つのスキル
こちらでは、一般社団法人データサイエンティスト協会が定める、データサイエンティストの3つのスキルカテゴリを紹介します。
ビジネススキル
ビジネス課題をデータで解ける問いに落とし込むスキルは必須とされています。ここには、課題発見力・仮説立案力・コミュニケーション力・ドキュメント作成力が含まれます。いかに精度の高い分析モデルを作っても、その結果をビジネス文脈で適切に説明できなければ意思決定には活かされません。データサイエンティストにとってビジネススキルは、技術力と同等かそれ以上に重視される能力です。
なお、大学院生が論文執筆を通じて培ってきた「問いの設定→仮説→検証→考察→発表」のプロセスは、このビジネススキルの素地として企業から高く評価される場面があります。
データサイエンススキル
統計学・機械学習・数理最適化などの知識と実装力も必要です。複数のプログラミング言語を習得し、PandasやNumPy・Scikit-learnなどのライブラリを活用してデータを分析できる能力が求められます。近年は深層学習(TensorFlow・PyTorch)にこれらのスキルを活用する場面も増えています。
データサイエンティスト協会はスキルを4段階(ユーザー・アシスタント・ミドル・ハイエンド)で定義しており、どのレベルを目指すかによって習得すべき知識の深さが変わります。スキルの習熟度を確認したい方は、協会が無料公開しているスキルチェックリスト ver.6(2025年11月発表、2025年度版)を活活用しましょう
出典: 一般社団法人データサイエンティスト協会「スキルチェックリスト ver.6」
データエンジニアリングスキル
データエンジニアリングスキルとは、データを収集・蓄積・処理するインフラを構築・運用する能力のことです。データベース設計・SQLによる集計・ETL処理が基本となり、加えてAWS・GCP・AzureなどのクラウドプラットフォームやBigQuery・Hadoopなどのビッグデータ処理ツールの知識も求められます。
新卒・若手段階でエンジニアリングスキルまで高度に習得している必要はありませんが、データがどのように流れてくるかのイメージを持っておくと、分析業務がスムーズにおこなえるでしょう
3. データサイエンティストの年収
厚生労働省のjob tagによると、データサイエンティストの平均年収は約570万円前後とされています。これは正社員の平均給与(令和5年分民間給与実態統計調査: 530万円)を大きく上回る水準です。求人票ベースでは、600万〜700万円台の案件が多く見られます。
また、データサイエンティスト協会の調査では700万円台の回答が多いという傾向が報告されています。個人の経験年数・専門領域・業種によって400万円台から1,000万円超まで幅があると理解しておきましょう。
新卒・院卒の初任給目安
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、大学院卒(修士)の初任給は月額28.7万円台で、学部卒(24.8万円台)より約4万円高い水準です。データサイエンス系の専門性が評価される企業では、院卒の技術力を前提とした初任給設定をしているケースもあります。
あわせて読みたい記事: 大学院卒の平均年収はどのくらい?初任給・生涯年収・キャリアパスを徹底比較
4. データサイエンティストの求人状況と業界別需要
こちらでは、データサイエンティストの求人市場の現状と、とくに需要が高まっている業界を紹介します。
未経験者からは難しいが「ポテンシャル採用枠」もある
データサイエンティストの有効求人数は増加傾向にありますが、即戦力を求める企業が多く、未経験からの採用は容易ではないのが実態です。2026年の市況では、ポテンシャル採用は縮小傾向にあり、入社前後に一定のスキルを示せる候補者が優遇されることが多くなっています。
一方で、理系大学院生を対象としたポテンシャル採用枠を設ける企業も引き続き存在します。統計知識・プログラミング経験・論理的思考力を持つ院生は、未経験であっても「素養あり」と評価されるケースがあります。
業界別の需要
こちらでは、データサイエンティストの需要が高い主な業界を紹介します。
- 金融・保険: 与信管理・不正検知・保険料算出モデルなど、データ活用の歴史が長く求人数も多い
- 製造業(IoT活用): 設備予知保全・品質管理・サプライチェーン最適化などでデータ分析需要が拡大
- 医療・ヘルスケア: 電子カルテの解析・創薬・臨床試験データ解析で専門性の高い人材が求められる
- 小売・サービス: 購買データ・EC行動ログを活用したレコメンドやマーケティング最適化
- 通信: ネットワーク障害予測・顧客解約予測など大規模データの処理が日常的
あわせて読みたい記事: 理系院卒での就職と理系学部卒の就職はどう違うか?それぞれの特徴
5. 理系大学院生・理系学生ならではの強み
こちらでは、理系学生・大学院生がデータサイエンティストを目指す際に有利な点を紹介します。
研究経験がそのまま強みになる
大学院での研究活動で鍛えられたスキルは、データサイエンティストに求められる能力と多くの共通点があります。
- 仮説検証のサイクル: 先行研究のレビュー→仮説立案→実験設計→データ収集→解析→考察の流れは、ビジネスでのデータ分析プロセスと本質的に同じ
- 統計処理の経験: 実験データの統計解析や論文での有意差検定など、統計の実践的活用経験を持っている方が多い点は大きなアドバンテージ
- ドキュメント作成力: 論文執筆を通じて培った「論理的な文章で知見を伝える力」は、ビジネススキルの中核となるドキュメント作成力に直結する
- ドメイン知識: 化学・物理・生物・情報などの専門知識は、金融・製造・医療・通信各業界でのデータ分析に活かせる
大手企業の院卒採用の傾向
大手の一部ではデータサイエンス関連職で院卒中心の募集をおこなっている事例が見られます。修士・博士課程で専門的な研究をおこなってきた方は、このような採用ルートも視野に入れて就活を進めるとよいでしょう。
あわせて読みたい記事: 【例文付き】研究経験を活かす自己PRの書き方|理系学生の就活対策ガイド
6. 未経験からデータサイエンティストになる前にやっておきたいこと
こちらでは、データサイエンティストを目指す方が就活前に取り組んでおきたい準備について解説します。
基礎知識の習得
まず、統計学とPythonを中心とした基礎スキルを身につけましょう。独学の入門としては、統計検定2級・3級の参考書、Kaggleのチュートリアル、Udemy等の動画講座が活用されています。研究でRやMATLABを使ってきた方は、Pythonへの移行はスムーズなケースが多いです。
M1の段階では「Pythonでデータを読み込み、簡単な可視化と基本統計量を出す」レベルを目標に、M2就活前にはKaggleのNovice〜Silver程度のスコアを一つの目安としましょう。
データサイエンティストに役立つ資格を取得する
就活時に評価されやすい資格・検定は以下の通りです。取得難度とROIのバランスを考えて、優先順位を付けて取り組みましょう。
- データサイエンティスト検定™ リテラシーレベル: 協会公認の入門資格。2026年試験の受付は4月20日〜5月22日を予定。エントリーレベルの知識証明として有効
- 統計検定 データサイエンス基礎: データ分析の実務的な統計知識を問う検定。統計的素養をアピールしやすい
- Python 3 エンジニア認定基礎試験: Pythonの文法・基礎を問う資格。プログラミング経験の証明に使える
- データサイエンス数学ストラテジスト中級: 数学的基礎(線形代数・確率・微積分)の理解を示せる
- G検定: AI・ディープラーニングの基礎知識に関する検定。生成AI時代の関心を示す意味でも取得価値あり
スキルチェックで自身のレベルを確認する
データサイエンティスト協会が公開しているスキルチェックリスト ver.6(2025年11月発表、2025年度版)を活用すると、自分の現在地と伸ばすべき領域が明確になります。協会の公式サイトから無料でダウンロードできます。
一般社団法人データサイエンティスト協会「スキルチェックリスト ver.6」
7. データサイエンティスト職の探し方
こちらでは、データサイエンティストとして就職・転職先を探すための手段を紹介します。
就職・転職サイトからの応募
まず紹介するのは、理系学生・大学院生向けの就活サイトや、IT・データ系に強い転職サービスを活用する方法です。アカリクでは理系・院生に特化した求人情報を掲載しており、研究内容を活かせるデータサイエンス系の企業との出会いが期待できます。一般的な就活ナビサイトと並行して活用するとよいでしょう。
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SNSを活用
X(旧Twitter)やLinkedInを通じて、データサイエンス分野の情報収集や企業・研究者とのつながりを作る方法も効果的です。技術的なアウトプット(分析結果の公開・Qiita記事の執筆など)を積み重ねることで、スカウトや直接連絡につながるケースもあります。
KaggleやSIGNATEなどのコンペを活用
データ分析コンペへの参加は、実践的なスキルの証明と就活の両方に影響を与えます。KaggleやSIGNATEのスコアは、採用担当者が客観的にスキルを評価できる指標として注目されています。一部の企業ではKaggle上位入賞者を対象にした採用枠を設けているケースもあると言われています。コンペへの参加は、業界への関心とスキルを同時にアピールできる有力な手段のひとつです。
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8. 生成AI時代におけるデータサイエンティストの将来性
こちらでは、生成AIの普及がデータサイエンティストに与える影響と、今後の展望について解説します。「AIに仕事を奪われるのでは?」という不安を持つ方は、ぜひご覧ください。
需要は拡大傾向、ただし役割は進化している
複数の調査・報告でデータサイエンティストの需要は引き続き増加傾向にあると言われています。業界の人材不足も依然として続いているため、即戦力人材の採用競争は激しい状況です。
一方で、生成AIツールの普及によって「データをとりあえず分析する」レベルの作業は自動化が進んでいます。これからのデータサイエンティストに求められるのは、ビジネス課題をデータで解ける問いに変換し、分析結果の意味を解釈して意思決定につなげる「翻訳者・設計者」としての役割です。
生成AI時代に求められるスキルの変化
2026年以降のデータサイエンティスト職で注目されているスキルは以下の通りです。
- LLM活用・プロンプトエンジニアリング: 大規模言語モデルを分析パイプラインに組み込む能力
- RAGパイプライン設計: Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)を用いた社内データ活用
- ドメイン知識との掛け算: 金融・医療・製造などの業界知識とデータ分析を組み合わせる能力。汎用的なデータ処理より、ドメイン固有の問いに答えられる専門性が差別化要因となる
- AIエージェント設計: 複数のAIモデルやツールを連携させて自律的に課題解決するシステムの設計・評価
理系大学院生が研究で培ったドメイン知識は、こうした「掛け算」の強みとして今後ますます重要になる要素です。
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データサイエンティストはまだまだ将来性の高い職種
データサイエンティストは、研究で培った仮説検証・統計処理・ドキュメント作成の力をそのまま活かせる職種です。需要は金融・製造・医療をはじめ幅広い業界で拡大しており、生成AI時代においても「ビジネス課題を分析につなげる翻訳者」としての役割はむしろ重要性を増しています。
未経験からでも、Pythonと統計の基礎習得・資格取得・Kaggleなどのコンペ参加をM1〜M2の時系列で計画的に進めれば、十分に内定獲得を狙えるフィールドです。重要なのは、研究との両立を意識しながら、早い段階で動き出すことです。
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