D進がおすすめな人とは?博士課程修了後のキャリアパスとともに紹介

研究・大学生活

博士課程修了後のキャリアパスが分からないため、博士課程へ進学することを迷っている方が多いのではないでしょうか。

今回は、博士課程進学のキャリアパスだけでなく、

博士課程進学のメリット・デメリット、どのような学生にとって博士課程進学がおすすめかについて解説していきます!

修士課程で学んでいる院生だけでなく、大学院進学を検討している学部生の方もぜひ参考にしてみてください。

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D進とは

博士課程進学について調べた時や、修士課程の大学院生の間でD進という言葉がよく出ます。

このD進とは、博士課程への進学という意味です。博士課程=Doctor(ドクター)のため、博士課程への進学を略して「D進」と呼ばれています。

D進の意味を理解しておかなければ、今後博士課程進学について会話をする際や調べる際に話の内容がイマイチ入ってこなくなる可能性もあるため、D進=博士課程への進学ということはしっかり頭に入れておきましょう。

博士課程への進学率

D進の意味を理解したところで、まずは博士課程への進学率について見ていきましょう。

修士課程修了者の進学率は1981年時点では全分野で18.7%ありましたが、2018年では9.3%まで減少しています。

特に、「理学」、「人文科学」、「社会科学」は減少傾向にあります。

しかし、社会人が退職、あるいは会社に籍を置いたままD進するケースは年々増加傾向にあり、2003年には博士課程進学者全体の21.3%でしたが、2018年にはその約2倍の42.7%になっています。

これは、博士課程に進学することでさらに専門性を高めてスキルアップして転職に役立てたい方や特定の研究分野を深めたいと考える方が多いこと、学費を貯めてから退職してD進学する方がいるなど様々な要因があります。

参考:学士課程修了者の進学率の推移(分野別)

参考:高等教育機関の学生の状況

D進するメリット・デメリット

D進を考える際に非常に重要なのがメリットとデメリットを知ることですよね。D進で後悔しないためにもそれぞれ見ていきましょう!

メリット

D進のメリットは大きく分けて3つあります。

1.自分の選んだ研究テーマに専念できる

企業で研究開発職として働いた場合でも特定のテーマに対して研究することができます。

しかし、企業で働く場合はテーマが与えられて定められた期間、研究を行います。企業は、そのテーマに対して研究している間でも人件費という投資をし続けなければなりません。

また、営利団体であるため企業の利益につながる研究テーマのみが与えられます。

企業での研究職は、自分の研究成果が商品やサービス等の形となって世の中に広まりやすいという大きな魅力がありますが、博士課程の研究の方が自分の選んだ研究テーマについて専念できるという点があります。

このようなメリットを理由に、社会人になってから博士課程進学をする方も多くいます。

2.研究スキルや専門性を高めることができる

上記のように、企業で研究開発職として働く場合に比べて一つの研究テーマに没頭できるということもあり、そのテーマの専門性を高めて研究スキルをアップさせることができます。

また、修了課程修了者に比べて就職するまでに研究できる期間が長いため、専門性をアピールするための実績作りもしやすいです。

高い専門性が求められる企業や団体に就職するためには、説得力のある実績は必須となるので大きなメリットと言えます。

3.学位が得られるためキャリアの可能性が広がる

大学教授や一部企業の研究職等の高い専門性が求められる職種では、博士課程修了が採用条件となっている場合があります。

当然、修士課程修了者の中にも高い専門性を持った学生はいますが、研究を行なっている期間がより長い博士課程修了者の方が、高い専門性を持っている傾向があると考えられています。

そのため、採用する側は効率的に高い専門性のある学生を探したいと考えて、あらかじめ博士課程修了者の中から採用活動を行います。

言い換えると、修士課程修了時点では就職することが難しい企業でも博士課程を修了することによって、就職できる可能性が高まる場合があります。

そのため、博士課程を修了することはキャリアの可能性を広げると言えますよね。

デメリット

では続いて、D進のデメリットについて見ていきましょう。

1.生涯収入に差が出る可能性がある

例えば、修士課程修了後に就職して年収が350万円の場合、博士課程修了者が就職する3年後には生涯収入において1,000万円以上の差がつきます。

また、博士課程に進学する場合は学費がかかるため、奨学金を借りて自分で返す場合は、差が開くことになります。

卒業後のキャリアによりますが、この1,000万円以上の差はなかなか埋まりづらいと考えられます。

2.就職する年齢が遅くなることで、ライフイベントが先送りになる場合も

これは、先程の収入にも関わってくる話ですが、博士課程で学んでいる間は研究に専念するため、同年代の修士課程修了者や学部で卒業した方に比べて結婚や子育てに必要な経済的基盤を形成しづらいです。

そのため、結婚や子育ては就職後と考えて先送りになるケースもあります。

このようなライフイベントの時期やペースは人それぞれで周囲と比較するものではないですが、どうしても周囲と比べてしまう場合もあるかもしれません。

D進するのにおすすめな人

メリットやデメリットの提示でD進についてますます悩む方もいるのではないでしょうか。

それでは、D進の特徴を踏まえて博士課程進学におすすめな人をご紹介します。

研究が好きな人

前述のように、博士課程に進学すると自分の志望するテーマでの研究に専念することができます。

そのため、自分の志望するテーマで研究をしたい方にとっては、企業で研究開発職として働く場合に比べて期間などの制限が少ないためおすすめです。

自身の専門分野に将来性がある人

博士課程修了後に就職する場合、少なくとも30歳代近くになっています。

そのため、自身の専門分野に将来性や需要がある場合は、長い期間をかけて専門性を伸ばすことで武器になりますが、逆に自身の専門分野の将来性や需要が見込めない場合は、年齢を重ねていることもあり、なかなか就職することが難しくなる場合もあります。

そのため、D進した後で後悔しないためにも、今自分が行っている分野の将来性を客観視する必要があると言えます。

企業の研究開発職でどのような専門性が求められているかを見てから博士課程進学を検討することがおすすめです。

お金の問題がクリアになっている人

D進で悩む方や後悔する方の多くはこのお金の問題でしょう。

D進によって生涯収入が少なくなる可能性もありますが、それ以上に奨学金の問題が大きいです。

D進によって在学期間が長くなると、それだけ奨学金が多くなるので、貯金などにより奨学金返済の目処が立っているなど、お金の問題がクリアになっていることが望ましいです。

D進の後悔をしないためにも、学費がいくらかかるか、将来の就職志望先の年収などお金の面もしっかり考えていきましょう。

場合によっては、社会人になってお金の問題を解決してから、退職後D進するという方法も視野に入れていましょう。

コミュニケーション能力が高い人

研究というと、黙々と仮説を立証するために実験を繰り返すイメージが持たれがちですが、実際には実験においてもコミュニケーション能力は非常に重要です。

また、高いレベルの研究を行うためには1人で行うだけでなく複数人で共同研究を行う必要があります。

また、博士課程においてチームで共同研究を行った経験がある場合、様々な部署と連携して業務を行うことが前提である企業の研究開発職の面接においてアピールポイントになるので、コミュニケーション能力が高い方はD進することをおすすめできます。

博士課程修了後のキャリアパス

では、D進に悩む方が最も気になる博士課程修了後のキャリアパスについて見ていきましょう!

博士課程修了後のキャリアパスは大きく分けて6つに分かれます。

大学教員

大学教員は最初にポスドクとして就職して助教、講師、助教授などのステップを経て教授になります。

大学教員の主な仕事は、大きく分けて専門分野の研究、学生への指導や講義などの教育、大学運営があります。

募集自体が少なく、狭き門となりますが、学生にとって身近な職業のため働くイメージがしやすい点、年収が高水準という点から非常に人気の職業です。

大学教員の年収やライフスタイル、仕事内容についてより詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

参考:大学教員の仕事内容や年収、ライフスタイルを解説

民間企業に就職

博士課程修了後に民間企業で働く場合は、主に研究開発職や知財、法務、技術改善などの業務を行う場合が多いです。

いずれも企業の基盤を支える専門性の高い分野であるため、給与水準が高いです。また、自分の研究した分野が直接世の中に影響を与えられる可能性が高いので、やりがいを感じられるというメリットがあります。

博士課程修了後の民間企業での就職に関してもアカリクに様々な記事があるので自分の興味のある分野をぜひ探してみてくださいね。

公務員・官僚

博士課程修了後は国家公務員、地方公務員として研究所で働くことも可能です。

国家公務員の研究職は、各省庁管轄の研究所で働くことになり、主に基礎研究を行います。

基礎研究とは、仮説の立証や新たな知見の発見など、中長期的に見て利益になる可能性がある研究です。

水産系やバイオ系、工学系などの理系分野だけでなく財政や法律系などの文系分野もあります。

地方公務員として働く場合には、地方自治体管轄の研究機関で働くことになります。

地方自治体の研究機関は、民間企業の技術支援、施設の貸し出し、民間企業との共同研究などを行います。

こちらも文系、理系ともに活躍できるフィールドがあります。

やはり公務員は安定しているため非常に魅力的ですよね。

博士課程修了後に公務員として働くことについてより詳しく知りたい方はこちら

をご参照ください

参考:研究職の公務員はどんな仕事があるのか?国家公務員と地方公務員の違い

小中高教員

近年では、博士課程修了者のキャリアパスの多様化や、専門性の高い人材の取り込みを目的に、教員採用試験において博士課程修了者を対象に特別選考枠を設ける自治体が増えてきています。

この特別選考枠では、教員免許を取得していない場合でも教育に対しての熱意があれば出願できます。

また、自治体によっては教職専門などの選考一部免除もあります。

専門性の高い人材の需要の高さが分かりますよね。

自営業

博士課程修了を経て身につけた高い専門性を生かして、自営業を行うケースもあります。

具体的には、教材執筆や独自の研究機関を持つことなどが挙げられます。

研究費を自分で調達しなければならない点や自分で仕事を探さなければならない点など、難しい部分もありますが、自由度が高い点が魅力的です。

まとめ

今回は博士課程修了者のキャリアパスやD進のメリット・デメリット、D進がおすすめな方について解説しました。

最後に記事の内容をおさらいしましょう。

1.博士課程進学はD進と呼ばれる

2.D進は自分の選んだテーマの研究に専念できる点や、専門性を高められる点、博士号取得によるキャリアが広がるメリットがある

3.D進は生涯収入が減少したり、ライフイベントが先送りになる可能性があるというデメリットも

4.D進は研究が好きな方、自身の研究に将来性がある方、コミュニケーション学部が高い方おすすめ

5.博士課程修了後は大学、小中高教員や民間企業、公務員、自営業など様々なキャリアの選択肢がある

いかがでしょうか。D進で後悔しないように今回の記事を参考に様々な側面からD進について考えていきましょう。

また、博士課程修了後のキャリアパスをより詳しく知りたい方はアカリクの記事を検索してみましょう!

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