学生が学生生活を送るうえで、接する機会の多い人として大学教授がいますよね。
大学院生の場合は特に、研究生活の中で特に深く関わる相手でもあるため、将来は自分も同じように大学教授になりたいと考える学生も多いです。
しかし、大学の教員として成功することは難しいという噂や、意外と具体的な仕事内容がわからないことから目指すことを悩むケースもあります。
そこで今回は大学教授になるために必要なことや仕事内容、気になる年収について詳しくご紹介します。
大学教授を目指している方はもちろん、これから就職先を考えていく大学院生にとっても、身近な存在である大学教授のことを知るきっかけになるのでぜひ参考にしてくださいね。
大学教授になるには
大学の教授になることは難しいと言われていますが、実際にはどのようなことが必要なのでしょうか。
大学教授になるにあたってのポイントを見ていきましょう。
公募を確認する
まずは、大学のホームページ等で大学教員の公募の確認をしてみましょう。
教授だけでなく、非常勤講師、助教、講師、准教授、技術職員の公募も見つかるかもしれません。
大学教授になるには、任期付きの非常勤講師、助教、講師、准教授などのポストで大学教員としての経験を積み、その後昇進や教授の公募に応募することになります。
公募の内容には、大学教員の募集要項だけでなく、選考基準や任期、将来的な処遇まで細かく記載されている場合もあります。
大学教員を目指す上では必須の情報が記載されているので必ず公募はチェックするようにしましょう。
応募ができるかはポストの空き次第
自分が働きたい大学で毎年同じように公募されているわけではなく、ポストの空きに応じて募集がかかります。
前述の通り、学生にとって非常に身近な職場であり、特に博士課程を修了する見込みが出た大学院生の多くが公募のかかったポストに応募します。
そのため、競争率は高く、数十倍以上になるケースも珍しくないことから、大学教員になるのは難しいと言われています。
また、昇進によって教授を目指す場合には、所属する学科内の教授が退職し、ポストが空くのを待つことになります。
助教や准教授として公募を探す段階で、その学科の教授の年齢層やライバルになる准教授の研究内容や年齢をチェックしておくとよいでしょう。
助教や准教授についてはこちらの記事もご覧ください。
大学教員の仕事の内容
大学教員の仕事内容について見ていきましょう。
大学教員の仕事内容は主に「研究」、「教育」、「大学運営」の3つに分けられます。
また、大学教員としての学内の仕事とは別で、「学会運営・論文の査読」を行うことが求められることもあります。
一言で大学教員と言っても、様々な仕事を行っています。
ここからは、これらの仕事についてそれぞれ紹介いたします。
1. 研究
教授、准教授、助教なども含む大学教員は大学のほか、科研費や民間財団からの助成金などの外部研究費を獲得し、一定の研究成果を学会発表や論文として発表するという形で研究活動を進めます。
特に、外部資金の獲得実績については大学の運営にも関わることから、評価で重視される項目でもあります。
また、テニュアトラック助教のテニュア採用においては、一定額の獲得が条件とされていることもあります。
2. 教育
大学は、研究を行う組織であると同時に、教育機関としての重要な役割があります。
したがって、大学教員は専門分野の研究以外にも学生への指導や教育も行っています。
人文社会系や語学に関する一般教養科目の講義を支えているのは、非常勤講師が中心ですが、専門科目については各学科の教員が担当し、特に重要な科目は教授が担当することが多いです。
非常勤講師についてはこちらの記事もぜひこちらもご覧ください。
3. 大学運営
大学教員は大学の管理運営も行っています。
学生にも身近なものでは、転学科や編入、修了判定などを担う「教授会」が挙げられます。
こうした大学運営に教員が関わるのは、研究や教育の方針についての会議では学術的知見も必要とされるからです。
大学運営のトップは学長で、多くの場合は学内の大学教授から選ばれますが、私立大学の場合は民間企業出身の経営者が就任することもあります。
4. 学会運営・論文の査読
学会では、会員の管理や経費の管理などの庶務は事務局として行われることが多いですが、講演大会やセミナー、研究会などといったイベントの企画や運営は学会の委員を務める企業の研究者や大学教員が担うことになります。
また、学会誌の編集や投稿論文の査読などの仕事も、専門家の一員として依頼されることがあります。
大学教授の働き方やライフスタイル
次に、職場を選ぶ上で非常に重要な待遇や働き方について見ていきましょう。
ライフワークバランスは?
大学教授の仕事は上記の通り多岐にわたるので、スケジュール管理次第では就業時間が長くなることがあります。
しかし、民間企業の研究職に比べて比較的自分の知りたい分野の研究ができるというメリットがあるため就業時間の長さが苦にならない場合も多いです。
また、最近では研究室のボスである研究主宰者(PI)の人件費や研究以外の業務を研究費から支出すること(いわゆるバイアウト)が認められるようになり、時間の使い方をある程度自由に決められるようになってきました。
参考: 文部科学省(2020-10-09)「競争的研究費の直接経費から研究代表者(PI)の人件費の支出について」
参考: 文部科学省(2020-10-09)「競争的研究費の直接経費から研究以外の業務の代行に係る経費の支出について」
年収・給与・収入は?
大学教員の年収は非常に高水準です。
2019年度版の賃金構造基本統計調査によると、准教授の平均年収は約872万円、大学教授の平均年収は約1,100万円です。日本のサラリーマンの平均年収は441万円程度となっているので、かなり高い水準である事が分かります。
大学院に進学する人の中には一定数、大学教員を目指している方もいると思いますが、これだけ大学教員の年収が高ければ、大学教員になりたいと考える人が多いのもうなずけますよね。
まとめ
今回は、大学教員になりたいと考えている方に向けて大学教員になるためのポイントや仕事内容、年収などの待遇について解説しました。
- 大学教員になるにはまず、公募をチェック
- 大学教員は研究・教育・大学の運営や管理の3つの業務がある。また、学外の活動として、学会運営・論文の査読がもとめられることもある。
- 大学教員は年収が高水準なことが多い
ぜひ今回の記事を参考に大学教員の仕事内容を理解していただければと思います。