就活で研究概要の提出を求められたものの、何をどう書けばいいか分からないという方は多いのではないでしょうか。研究概要は提出先によって形式も文字数も異なるため、ルールを把握しないまま作成すると、見当違いな内容になってしまう場合があります。
本記事では、研究概要の意味・企業が見るポイント・形式別の書き方から、例文・テンプレート・よくある失敗まで、就活に必要な情報を網羅的に解説します。
研究概要とは何か

研究概要とは、大学や大学院で取り組んでいる研究の内容・目的・成果を簡潔にまとめた資料です。エントリーシートの一部として文章で提出するケースと、A4 1〜2枚の書類として別途提出するケースがあり、企業によって形式や文字数が異なります。理系はもちろん文系学生でも求められるケースが増えており、自分の思考力・課題解決力・論理的な表現力をアピールする就活書類の一つです。
企業が研究概要を求める理由
企業が研究概要を求める理由は一つではありません。採用担当者は研究概要を通じて、複数の観点から学生を評価しています。ここでは代表的な3つの理由を整理します。理由を理解することで、何を書くべきかの方向性が定まります。
論理的思考力と問題解決力を確認するため
研究では、問いを立て、仮説を設定し、データで検証し、結論を導くというプロセスを繰り返します。企業はこのプロセスを研究概要から読み取ることで、学生の論理的思考力と問題解決力を評価します。特に「なぜその方法を選んだか」「行き詰まったときにどう対処したか」という部分が、採用担当者が最も注目するポイントです。研究の成功や失敗そのものではなく、困難に向き合ったプロセスで得られた力が評価の対象になります。研究概要を書く際は、成果の報告だけでなく、思考と行動のプロセスを意識的に盛り込みましょう。「なぜその方法を選んだか」「行き詰まったときにどう対処したか」という部分が採用担当者が最も注目するポイントです。
コミュニケーション力を確認するため
研究概要は、専門知識のない採用担当者に対して複雑な内容を分かりやすく伝えるための書類です。そのため「相手の立場に立って情報を整理し、伝わる言葉で表現できるか」というコミュニケーション力が問われます。専門用語を使いすぎて内容が伝わらない、論理の流れが崩れていて読みにくいといった研究概要は、それだけで評価が下がります。逆に、難しい研究テーマを専門外の人にも分かりやすく説明できると、入社後の業務でも相手に伝える力がある人材として評価されます。研究概要のコミュニケーション力は、提出書類の段階から評価されています。難しい研究内容を分かりやすく説明できる力は、入社後のあらゆる業務でも求められる汎用的なスキルです。
入社後の業務適性を確認するため
研究概要は面接での質問に活用されることが多く、「課題に対してなぜそのように対処したのか」「研究で得た経験が仕事にどう活かせるか」という深掘りに使われます。また研究内容が志望職種に直結する場合は、即戦力としての専門性を測る材料にもなります。採用担当者は研究概要を通じて、入社後にどんな仕事を任せられるか、どんな強みを持った人材かを判断しています。単なる研究の報告書ではなく、自分の仕事への適性をアピールする書類として捉えて作成しましょう。研究概要は面接での質問のもとになることが多いため、面接での深掘りを想定した記述を心がけることも重要です。採用担当者は研究概要を通じて入社後の業務適性を判断しているため、自分の強みと志望先の接点を意識して書きましょう。
企業が研究概要で見るポイント
企業が研究概要を見る際の評価軸は、研究内容が志望職種と一致しているかどうかによっても変わります。自分がどちらのケースに該当するかを把握したうえで、書き方の重点を変えましょう。まずどちらに当てはまるかを確認してから読み進めてください。
研究内容が志望職種と一致している場合
研究内容が志望職種や業界に直結している場合は、研究で得た知識・スキルが業務の成果にどれだけ直結するかが評価されます。また研究の質や、新しい視点をもたらす可能性も確認されます。この場合は専門性を前面に出しながら、研究内容と志望職種の接点を明確に示すことが重要です。「この研究で得た知識が御社の〇〇業務で具体的に活かせる」という形で記述すると、即戦力としての評価につながります。専門性を持つ人材として他の候補者と差別化できる部分のため、ここを最も丁寧に書きましょう。「この研究がなぜ重要か」という社会的な文脈と、「自分がどう貢献したか」という主体性の両方を示すと説得力が増します。即戦力としての評価が高まるため、研究内容が一致している場合はこの部分を最も充実させましょう。
研究内容が志望職種と一致していない場合
研究内容が志望職種と直接関係がない場合は、研究を通じて身につけた能力を示せているかが重要になります。論理的思考力・問題解決能力・粘り強さ・データ分析力など、ビジネスに役立つスキルがあるかを研究内容を通して伝えることが求められます。「研究テーマは〇〇ですが、この研究を通じて身につけた〇〇という力が御社の〇〇という仕事で活かせると考えています」という形で、研究と志望先を橋渡しする文章が効果的です。この形で書けると、研究テーマと志望先が一見関係ない場合でも説得力のある研究概要になります。研究テーマではなく研究プロセスで得た力を軸にして書くことを意識しましょう。この視点を持つことで、どんな研究テーマでも企業に伝わる研究概要が書けるようになります。
研究概要の提出形式
研究概要の提出形式は、ES記入欄への文章形式・A4書類形式・自由形式の3種類があります。自分の状況に合った形式を把握したうえで、指定の形式に合った資料を作成しましょう。それぞれの特徴と注意点を把握しておきましょう。
ES記入欄の文章形式
エントリーシートの研究内容欄に文章で書き込む形式です。文字数は企業によって200字・400字・800字など様々で、指定の文字数に合わせてエッセンスを凝縮する力が試されます。図や表が使えないため、文章の構成と論理の流れが重要になります。各段落の冒頭で最も伝えたいことを先に述べる「結論ファースト」を徹底し、「1段落1メッセージ」の原則を守ると読みやすくなります。まず骨格となる構成を決めてから文章を肉付けしていく方法が効率的で、書いた後に各段落の一文目だけを抜き出して読むと論理の流れが確認できます。一文目だけで内容の骨格が伝わるようなら、結論ファーストが実現できています。
A4書類形式
Word・PowerPoint・Googleドキュメントなどで作成するA4サイズの書類形式です。1枚または2枚を求められるケースが一般的です。図や表・グラフを使ってビジュアルで研究内容を伝えられるため、複雑な内容でも伝わりやすいのが利点です。文章と図のバランスは「文章6:図4」程度を目安にすると読みやすい仕上がりになります。また相手が印刷物で見る場合もあるため、白黒印刷でも内容が伝わるかどうかを確認しておきましょう。見出しを付けて各セクションを区切ると採用担当者が読みやすくなります。図を入れる場合は説明文を必ず添えましょう。白黒印刷でも内容が伝わるよう、色だけで情報を区別しないことも重要です。
自由形式
「自由形式」と指定された場合は、ES文章形式とA4書類形式のどちらかを自分で選んで作成すれば問題ありません。形式の指定がない分、見た目の自由度は高いですが、派手すぎるデザインや凝りすぎたレイアウトはかえってマイナスになる場合があります。内容の分かりやすさと読みやすさを優先し、奇抜な見た目よりも論理の流れを大切にした作りにしましょう。迷った場合はWordで文字形式(ES記入欄と同じ構成)を作成するのが最も無難です。理系の研究開発職・技術職など、研究実績を重視する職種への応募では、論文・学会発表・制作物などをまとめたポートフォリオ形式で提出することも選択肢の一つです。ただし企業が求める形式をよく確認したうえで判断しましょう。「採用担当者が短時間で理解できるか」を唯一の基準にして作成することをおすすめします。自由形式はどの形式で作るかより、内容の質で差がつきやすいため、準備に時間をかける価値があります。
研究概要を書く前にやるべき準備
いきなり文章を書き始めると内容が散漫になりがちです。事前に準備を整えることで、スムーズに書けるようになります。準備の質が研究概要の完成度を決めます。まずこの2つの準備から始めましょう。
書き出す前に答えておく5つの問い
研究概要を書き始める前に、以下の5つの問いに箇条書きで答えを書き出しておきましょう。この作業が終わると、何をどの順で書くべきかが明確になります。1つ目は「なぜこのテーマを選んだか」という背景です。2つ目は「どのようなプロセスで研究を進めたか」という手法です。3つ目は「苦労した点や工夫した点は何か」という課題と解決策です。4つ目は「研究の結果からどんなことが分かったか」という成果です。5つ目は「この研究でどんな力が身についたか」という学びです。この5点が整理できれば、あとは構成に沿って文章化するだけです。箇条書きの状態で友人に見せて、内容が伝わるかを確認しておくとより完成度が高まります。
読み手を想定する
研究概要を書く際に最も重要な準備が、誰が読むかを想定することです。人事担当者は研究の専門家ではない場合がほとんどで、技術系の面接官でも専攻が異なることがあります。中学生でも意味が伝わるような言葉で書くことを意識し、専門用語が必要な場合は初出で括弧内に簡単な説明を添えましょう。自分が書いた内容が伝わるか自信がないときは、文系の友人や家族に読んでもらうことをおすすめします。読み手への配慮が、研究概要の質を決めます。書き終えたら一度全文を声に出して読んでみると、伝わりにくい箇所に気づきやすくなります。
文字数別の書き方のポイント
研究概要は文字数によって盛り込める情報が大きく変わります。文字数別に何を優先して書くかを把握しておきましょう。企業からの指定が来てから慌てないよう、複数のバージョンを用意しておくことをおすすめします。
ES内 200字から400字の場合
200〜400字では全ての研究内容を盛り込むことはできないため、「何の問題に取り組み、どんなアプローチで、どんな結果が出たか」という核心を一つに絞って書きます。背景・目的・手法・結果を1〜2文ずつに圧縮し、最後に「この研究を通じて〇〇という力を身につけた」という自己PRの一文を加えると、研究内容と人物像の両方が伝わります。「一番伝えたいことは何か」を先に決めてから文章を作る順序で進めましょう。400字でも200字でも、「最も重要な1つのメッセージ」を先に決めることが説得力のある短文を書くカギです。専門用語の言い換えに注意し、採用担当者が初見で意味を把握できる表現にすることが最重要です。200〜400字は短いからこそ、一文一文の密度が重要になります。
A4 1枚の場合
背景・目的・方法・結果・考察・今後の展望という研究の流れを一通り書ける分量です。構成の骨格を作ってから文章を埋めるアプローチが有効です。図や表を1〜2点入れられる場合は研究結果を視覚的に示すと効果的です。文章全体で「問題の重要性→自分のアプローチ→成果→意義」という論理の流れが崩れないように注意しましょう。A4 1枚は最もよく指定される分量のため、このバージョンを最初に完成させると他の文字数への対応が楽になります。A4 1枚ができていると、200字・400字への短縮も、A4 2枚への拡充も比較的容易にできます。まずA4 1枚版を丁寧に作ることが、複数社への対応を効率化するカギです。
A4 2枚の場合
より詳細な説明が可能です。1ページ目は研究の全体像(背景・目的・手法・結果)、2ページ目は詳細な実験内容・考察・今後の展望という構成が読みやすい設計です。図・表・グラフを積極的に活用し、文章と図のバランスを意識しましょう。最も重要なメッセージを決めてから逆算して内容を組み立てることが大切で、1枚目と2枚目のつながりを意識した構成にすると読み通したときに一貫したストーリーが伝わります。2枚に分かれていても「1つのメッセージ」を貫くことで印象に残る研究概要になります。A4 2枚は情報量が多くなりやすいため、不要な情報を削る勇気も大切です。
研究概要の基本的な書き方
形式と文字数が決まったら、実際に書く手順を整理します。以下の流れに沿って書くことで、論理の一貫した研究概要が作れます。タイトルから順に埋めていくと構成が崩れにくくなります。
タイトルを分かりやすく設定する
指導教員が付けた専門的な研究タイトルをそのまま使うのは避けましょう。「〇〇を用いた〇〇の高効率化に関する研究」という論文的なタイトルを、「〇〇の問題を〇〇で解決する新しいアプローチ」という社会的な意義が伝わる言葉に言い換えましょう。技術名と社会的意義を組み合わせた一文がタイトルの理想形です。タイトルで採用担当者の関心を引けると、その後の本文まで集中して読んでもらいやすくなります。タイトルを変えるだけで研究概要全体の印象が大きく変わるため、最後に見直しの時間を確保しましょう。まず研究タイトルの言い換えから始めると、その後の文章も書きやすくなります。
研究の背景と目的を書く
「なぜこの研究をしているのか」という背景と「何を明らかにしようとしているか」という目的を書きます。社会的な課題や先行研究の問題点を出発点にすると研究の意義が伝わりやすくなります。背景と目的が明確に書けていると、その後の方法・結果の説明にも一貫した説得力が出ます。まず背景と目的を書いてから文系の友人に読んでもらうと、分かりにくい箇所が見つかりやすくなります。「なぜこの研究をしているのか」を自分自身が明確に説明できることが、採用担当者への説得力につながります。
研究の方法と課題・解決策を書く
目的を達成するためにどのような手法を用いたかを書きます。「なぜその方法を選んだか」という選択の理由も加えると、論理的な思考力が伝わります。さらに重要なのが、研究のプロセスで発生した問題や課題と、その解決策をセットで書くことです。企業はここから課題解決力を評価します。「〇〇という課題に直面し、〇〇という原因を特定して〇〇という方法で対処した」という形で、自分がどう考えてその行動をとったかを明確に書きましょう。課題と解決策のセットは、研究概要の中でも企業が最も評価する部分の一つです。課題が発生したことをマイナスに感じる必要はなく、そこから何を考えてどう行動したかを語ることが評価につながります。
研究の結果と考察を書く
研究で得られたデータや成果を具体的に示します。「精度が向上した」という抽象的な表現より「従来手法と比べて精度が15%改善された」という数値を使った表現の方が伝わります。考察では、その結果が何を意味するのかを論理的に説明します。グラフや表が使える形式であれば図を入れると視覚的に伝わりやすくなります。研究がまだ進行中の場合は、現時点での中間結果と今後の見通しを正直に書いて構いません。
研究の意義と今後の展望を書く
この研究が社会や学術的にどんな意義を持つかを書きます。さらに「この研究を通じて身につけた力が入社後にどう活きるか」という視点を加えると、研究内容が自己PRとして機能します。研究内容と志望する企業・職種の接点を意識したまとめにすると、採用担当者に「この学生を採用する意義」が伝わりやすくなります。「この研究→この力が身についた→御社でこう活かす」という一本のストーリーが全体を通じて見えることが理想です。この締めの一文を最も丁寧に作ることで、採用担当者の印象に残る研究概要になります。
研究概要を書くうえでのポイント
形式や構成が整っていても、以下のポイントが抜けていると評価が下がる場合があります。提出前のセルフチェックとして活用してください。特に「専門用語」と「自分の視点」は見落としやすいため注意が必要です。
専門用語はできる限り使わない
理系の学生に最もありがちなのが、専門用語を使いすぎて採用担当者に内容が伝わらなくなることです。専門用語はできる限り易しい言葉に言い換え、専攻分野に関する説明は中学生でも理解できる内容にすることを意識しましょう。どうしても専門用語が必要な場合は初出の箇所で括弧内に簡単な説明を添えます。使っている専門用語を一覧にして言い換えを並べる練習をすると、作業が効率的に進みます。言い換えリストを1枚作成しておくと、複数社への提出でも一貫した表現が使えます。自分が書いた内容が伝わるか自信がないときは、文系の友人や家族に読んでもらいチェックしてもらいましょう。
結論から書く
各段落の冒頭で最も伝えたいことを先に述べ、その後に理由・具体例を続ける「結論ファースト」を意識しましょう。採用担当者も最初の一文で「この人は何を言いたいのか」を把握しようとしています。各段落で「1段落1メッセージ」の原則を守ると、論理が整理されて読みやすくなります。書いた後に各段落の一文目だけを抜き出して読んでみると、全体の論理の流れが確認できます。一文目だけで内容の骨格が伝わるようなら、結論ファーストが実現できています。要点をダラダラと後半に置く書き方では最後まで読んでもらえない可能性があります。
自分の視点と考えを必ず入れる
研究の内容や事実だけを述べており、自分の考えや視点が含まれていないことはよくある失敗です。採用担当者は研究内容そのものより、研究を通じて学生が何を考え、どう成長したかを知りたいと思っています。失敗や行き詰まりをどう分析して次の行動につなげたかという、自分の言葉で語られた視点を入れることが重要です。「この研究で最も困難だったことは何か、それにどう対処したか」を一文加えるだけで人柄が伝わります。採用担当者は研究の成功より「うまくいかなかったときにどう考えたか」に最も関心を持っています。
文体と表記を統一する
「です・ます調」か「だ・である調」かを最初に決め文書全体で統一しましょう。なお研究概要書のみで提出する場合は「だ・である」の論文調、ESの研究内容欄など他の項目と合わせる場合は「です・ます調」が一般的です。語尾が混在しているだけで評価はマイナスになります。数字の表記や専門用語の表記ゆれも統一し、提出前に必ず全文を通して音読しながら確認しましょう。表記の統一は、細部まで丁寧に仕事ができる人材であることを示す場にもなっています。研究概要書のみで提出する場合は「だ・である」調、ESの他の項目と合わせる場合は「です・ます」調が一般的です。
面接での深掘りを想定しておく
研究概要書は面接での質問に活用されることが多いため、作成段階から面接での深掘りを想定しておきましょう。「研究手法の今までとは違う点は?」「課題に対してなぜそのように対処したのか?」「研究で得た経験が仕事にどう活かせるか?」などは典型的な深掘り質問です。記載した内容について詳しく話せるよう準備し、研究室外の友人に質問してもらう練習を重ねておくと面接での回答の質が上がります。研究概要と面接の回答に矛盾がないよう、提出前に改めて確認しておきましょう。研究概要を手元に置いて声に出して説明する練習をすると、本番での回答がスムーズになります。
研究概要の例文とテンプレート
実際の書き方のイメージをつかむために、理系・文系それぞれの例文とテンプレートを紹介します。自分の研究に合わせてアレンジして使ってください。例文のポイントを把握したうえで自分の研究に当てはめてみましょう。
理系・ES用 200字の例文とテンプレート
例文
「私は光触媒を用いた水質浄化の効率化に関する研究を行っています。水中の有害物質を光と触媒の化学反応で分解する手法で、従来よりも低コストでの浄化を目指しています。現在までに特定の有害物質の分解速度を30%改善することに成功しました。この研究を通じて、試行錯誤を繰り返しながら成果を出す力を身につけました。」
テンプレート
- 研究テーマの一言要約:技術名+解決する問題を組み合わせた一文で書く
- 研究の目的:どんな問題に取り組んでいるかを1〜2文で書く
- 研究の手法と成果:どのような方法でアプローチし、どんな結果が出たかを数値を使って1〜2文で示す
- 自己PRへの接続:「この研究を通じて〇〇という力を身につけました」で締める
理系・ES用 400字の例文とテンプレート
例文
「私はAIを用いた医療画像診断の精度向上に関する研究を行っています。現在の医療現場では画像診断を担う医師の不足が深刻な課題となっており、AIによる自動診断技術の開発が求められています。私は深層学習を用いて医療画像からがんの疑い箇所を自動検出するモデルを構築しました。研究の途中、学習データの偏りによってモデルの精度が特定の症例に偏る問題が発生しましたが、データ拡張の手法を組み合わせることで精度を均質化することができました。現在までに既存のモデルと比べて検出精度を12%改善しています。この研究を通じて、問題の原因を仮説に基づいて特定し、改善策を検証する力が身につきました。御社の医療機器部門において、このデータ分析と問題解決の力を活かしたいと考えています。」
テンプレート
- 研究テーマの一言要約:技術名+解決する社会課題を組み合わせた一文で書く
- 研究の背景と目的:社会的な課題または先行研究の問題点を出発点に、何を明らかにしようとしているかを2〜3文で書く
- 研究の手法:どのような方法でアプローチしたかを書く。なぜその方法を選んだかの理由も加える
- 課題と解決策:研究中に直面した問題と、どのように考えて解決したかをセットで書く
- 研究の成果:数値を使って具体的に示す。進行中の場合は現時点の進捗を書く
- 自己PRへの接続:「この研究を通じて〇〇という力を身につけました。御社の〇〇業務でこの力を活かしたいと考えています」で締める
理系・A4 1枚用の例文とテンプレート
例文
「研究テーマ:光触媒による低コスト水質浄化システムの開発。背景として、発展途上国における安全な飲料水の不足という社会課題に注目した。既存の水質浄化技術はコストが高く普及が難しいため、光と触媒を用いた安価な浄化法の開発を目的とした。酸化チタンを触媒として用い、紫外線照射による有害物質の分解効率を測定した。実験中、触媒の分散が不均一になる問題が発生したが、攪拌条件を最適化することで解決した。現在までに分解速度を従来比30%改善した。この研究を通じて、問題の原因を論理的に特定し改善につなげる力が身についた。御社の水処理事業において、この力を直接活かせると考えている。」
テンプレート
- 研究タイトル:技術名+社会的意義を組み合わせた一文にする
- 研究の背景と目的:社会的な課題または先行研究の問題点を起点に、何を明らかにしようとしているかを2〜3段落で説明する
- 研究の手法:どのような方法で目的にアプローチしたか。なぜその方法を選んだかの理由も加える
- 課題と解決策:研究中に直面した問題と対処をセットで書く。採用担当者が最も注目するポイント
- 研究の結果と考察:得られた結果を数値や図で示す。結果が何を意味するかを論理的に説明する
- 今後の展望・社会的意義:研究の意義と今後の方向性、入社後への接続を意識して書く
文系・ES用 200字の例文とテンプレート
例文
「私は地方移住促進施策の効果に関する研究を行っています。移住補助金の支給額より、移住後のコミュニティ参加機会の充実度が定住率に大きく影響することを定量分析で明らかにしました。この研究を通じて、複雑な社会現象をデータで分解し、政策的な示唆を導く力を身につけました。」
テンプレート
- 研究テーマの一言要約:研究対象と問いを分かりやすい言葉でつける
- 研究の手法と成果:どのような方法でアプローチし、何が明らかになったかを1〜2文で書く
- 自己PRへの接続:「この研究を通じて〇〇という力を身につけました」で締める
文系・ES用 400字の例文とテンプレート
例文
「私は日本の地方創生政策における移住促進施策の効果について研究しています。近年、政府は地方への移住を促す補助金制度を拡充していますが、実際の定住率や地域経済への効果は十分に検証されていません。そこで私は2020年から2024年にかけて実施された移住支援事業のデータを収集・分析し、施策の効果を定量的に測定しました。当初は自治体からのデータ入手が難しく、研究が停滞する場面もありましたが、複数の情報開示請求を組み合わせる方法で必要なデータを揃えました。分析の結果、補助金の支給額よりも、移住後の地域コミュニティへの参加機会の充実度が定住率に大きく影響することが明らかになりました。この研究を通じて、不確実な状況下でもデータを丁寧に積み上げて仮説を検証する力を身につけました。御社での政策立案・調査分析業務においても、この力を活かして貢献したいと考えています。」
テンプレート
- 研究テーマの一言要約:研究対象と問いを分かりやすい言葉でつける
- 研究の背景と問題意識:社会的な課題や先行研究が解決できていない問いを1〜2文で書く
- 研究の手法:アンケート・インタビュー・文献分析など、具体的な方法を1〜2文で書く
- 直面した課題と解決策:研究中の困難と対処をセットで書く。課題解決力のアピールになる
- 研究の結果:得られた知見を具体的に示す。数値があれば使う
- 自己PRへの接続:「この研究を通じて〇〇という力を身につけました。御社の〇〇業務でこの力を活かしたいと考えています」で締める
文系・A4 1枚用の例文とテンプレート
例文
「研究テーマ:SNSインフルエンサーが若年層の購買行動に与える影響。背景として、インフルエンサーマーケティングが拡大しているが、購買意欲への影響を定量的に検証した研究は限られていた。大学生を対象にアンケート調査を実施し、インフルエンサーへの信頼度と購買意欲の関係を統計分析した。当初はサンプル数の確保に苦労したが、SNSを通じた協力依頼を工夫することで300名以上のデータを収集した。分析の結果、専門知識を持つインフルエンサーへの信頼が購買意欲に強く影響することが分かった。この研究を通じて、データを丁寧に積み上げて仮説を検証する力と、相手に伝わる分析結果の示し方が身についた。御社のマーケティング部門において、消費者インサイトの分析業務でこの力を活かしたい。」
テンプレート
- 研究タイトル:研究の対象と問いが伝わる言葉でつける
- 研究の背景と問題意識:社会的な課題や先行研究が解決できていない問いを起点に、なぜこの研究をしているかを書く
- 研究の手法:アンケート調査・インタビュー・文献分析・統計分析など、どのような方法で問いに向かったかを書く
- 直面した課題と解決策:研究のプロセスで生じた困難とどう対処したかをセットで書く
- 研究の結果と考察:得られた知見を具体的に示す。数値があれば積極的に使う
- 学びと今後への接続:この研究で得た力と、志望先の仕事への接続を明確に書く
学部生・修士・博士別の書き方のポイント
アカリクは大学院生・研究者の就活を専門とするサービスです。ここでは、学部生・修士・博士それぞれが研究概要を書く際の特有のポイントを整理します。自分の学年・学歴に合った箇所を参考にしてください。
学部生の場合
学部生は、卒業研究が始まっていない段階で研究概要を求められる場合があります。まだ研究が始まっていない場合は、所属するゼミや研究室での学習内容・取り組んでいるテーマの概要を書きましょう。「現在〇〇ゼミで〇〇について学んでおり、卒業研究では〇〇に取り組む予定です」という形で、研究の方向性を示して構いません。また卒論研究が進んでいる場合は、結果が出ていなくても現時点での問い・方法・進捗を正直に書けば問題ありません。研究概要に書ける内容が薄いと感じる場合は、ゼミ発表やグループワークで培った力を研究プロセスとして語ることも有効です。
修士の場合
修士は、2年間の研究経験を軸に研究概要を書ける立場です。アカリクの自社データでも、理系修士の学生は研究内容を就職活動の核にしている場合が多く、専門性と論理的思考力を具体的な数値・実験結果で示せることが強みになります。修士の研究概要では、「指導教員の研究を引き継いだ」のではなく「自分がどの問いを立て、どのアプローチを選んだか」という主体性を前面に出しましょう。研究が志望職種と直接関係ない場合でも、研究プロセスで得た論理的思考・データ分析・問題解決力は全ての職種で評価されます。主体性と専門性を両立した記述が、修士の研究概要の強みになります。修士の研究プロセスで得た論理的思考・データ分析・問題解決力は全ての職種で評価されます。
博士の場合
博士は、研究の深度・独自性・社会的インパクトを最も強くアピールできる立場です。企業の研究開発部門や特許事務所・特許庁など、博士の専門性が高く評価される職種では、研究の学術的な貢献を明確に示すことが重要になります。一方で博士だからこそ陥りやすいのが「研究内容の詳細説明に偏りすぎる」失敗です。専門外の採用担当者にも研究の価値が伝わるよう、「社会にどんな意義をもたらすか」という視点を常に意識しましょう。また博士の場合は守秘義務がある研究が多いため、何を開示できるかを事前に指導教員と確認しておくことも重要です。博士の研究概要は専門性が非常に高いため、特に院卒アドバイザーによる添削が有効です。
研究概要のNG例と改善策

多くの学生が陥りやすいNG例を、改善策とともに紹介します。自分の研究概要がNG例に当てはまっていないか確認しましょう。提出前の最終チェックとして活用してください。
NG例1 専門用語の羅列で内容が伝わらない
NG例:「ゾルゲル法を用いてナノ粒子径のTiO₂薄膜を作製し、光触媒活性をXRDおよびBET法で評価した。」
改善例:「特殊な化学的手法を用いて超微細な酸化チタンの薄膜を作り、光による汚染物質の分解効果を複数の測定方法で確認した。(XRD・BET法を用いて定量評価)」
専門用語が必要な場合は、まず一般的な言葉で説明してから括弧内に専門用語を補足するスタイルにすると、専門家にも非専門家にも伝わりやすくなります。NG例を参考に、自分の研究概要に同様の表現がないかチェックしてみましょう。専門用語の言い換えは練習を重ねるほど短時間でできるようになります。
NG例2 事実の羅列で自分の視点がない
NG例:「〇〇の実験を行い、〇〇のデータを取得した。その後〇〇の分析を行い、〇〇の結果が得られた。」
改善例:「最初の実験では期待した結果が得られなかった。原因を分析した結果、〇〇という条件設定に問題があると仮定し、〇〇の方法で再実験を行ったところ、〇〇の成果が得られた。この経験から、仮説が外れたときに素早く原因を特定して改善する力が身についた。」
採用担当者は「うまくいかなかったときにどう考えたか」に最も関心を持っています。課題と解決策のセットを入れることで、課題解決力と自己PRが同時に伝わります。NG例と改善例を比べると、伝わり方の違いが一目で確認できます。自分の研究概要にNG例に該当する部分がないか、提出前に必ず確認しましょう。
NG例3 文字数オーバーまたはアンダー
指定文字数の大幅な超過や不足は、ルールを守れない印象を与えます。指定文字数の±10%を目安に調整し、削る場合は「研究にとって最も重要な1つのメッセージ」を軸に情報を絞り込みましょう。複数の企業に提出する場合に備えて、200字・400字・A4 1枚の3バージョンを用意しておくと便利です。文字数の調整に慣れるためには、同じ研究内容を文字数を変えて書く練習が有効です。文字数制限を守ることは、ビジネスにおけるルール遵守の姿勢を示す場にもなっています。文字数を削る作業は「最も重要な1つのメッセージ」を決めてから行うと効率的です。書き終えたら必ず文字数を確認し、指定範囲内に収まっているかチェックしましょう。
研究状況別の書き方
研究概要を提出する時点での研究の状況は学生によって異なります。よくある2つの状況への対処法をまとめます。どちらも正直に状況を開示しながら対応することが重要です。
研究が進行中で成果が出ていない場合
面接時点で研究が完成していない場合でも、正直に現状を書いて構いません。「現在〇〇を検証している段階で、これまでに〇〇というデータが得られています。今後は〇〇という仮説を検証し、〇〇への応用を目指しています」という書き方が有効です。研究の完成度より、研究への向き合い方と思考の質が評価されます。進行中の研究だからこそ語れる「今まさに取り組んでいること」を正直に書くことが、採用担当者の関心を引くことがあります。研究の完成度より、研究への向き合い方と思考の質が評価される点を覚えておきましょう。進行中の研究でも、自分が今どこまで考えているかを正直に語れれば十分に評価されます。
研究に守秘義務がある場合
企業との共同研究や大学からの秘密保持に関する取り決めがある場合、研究の詳細を記載できないことがあります。その場合は「守秘義務の関係上、詳細な記載を控えさせていただきますが、〇〇という分野の研究に取り組んでいます」と明示したうえで、開示できる範囲で概要を書きましょう。守秘義務がある場合でも「研究を通じて身につけた力」については自由に語れるため、そちらに重心を置いた構成にすることをおすすめします。何を開示できるかは事前に指導教員に確認しておきましょう。守秘義務を正直に伝えることで採用担当者からの信頼を損なうことはありません。面接でも同様に守秘義務がある旨を最初に伝えれば、採用担当者の理解を得やすくなります。
研究概要に関するよくある質問
研究概要の作成でよく寄せられる疑問に答えます。自分の状況に近い質問を参考にしてください。迷ったときは院卒アドバイザーへの相談も有効です。
研究内容が志望先の仕事と関係なくても大丈夫か
問題ありません。企業が研究概要で見ているのは研究の専門性だけでなく、問題に向き合うプロセスで身についた力です。「研究テーマは〇〇ですが、この研究を通じて身につけた〇〇という力が御社の〇〇という仕事で活かせると考えています」という話し方で、研究と志望先の橋渡しができます。
研究らしい研究がない文系の場合はどうするか
「研究らしい研究をしていない」と感じている文系学生も大丈夫です。企業が見ているのは「何をやったか」よりも「どう取り組んだか」です。ゼミの発表・グループワーク・卒論のテーマなど、少しでも取り組んだ内容を深掘りしましょう。テーマを選んだ理由・プロセスでの工夫・得られた学びという3点を整理するだけで、研究概要として十分に機能します。
学部生で卒業研究が始まっていない場合はどうするか
卒業研究がまだ始まっていない場合は、所属するゼミや研究室での学習内容・取り組んでいるテーマの概要を書きましょう。「現在〇〇ゼミで〇〇について学んでおり、卒業研究では〇〇に取り組む予定です」という形で、これからの研究の方向性を示しても問題ありません。
研究概要と面接での説明は一致させるべきか
基本的に一致させる必要があります。研究概要に書いたことは面接で深掘りされることが多く、書いた内容と異なることを話すと信頼性を損ないます。研究概要を提出した後は、そこに書いた内容を改めて読み直し、面接で質問された際に詳しく話せるよう準備しておきましょう。
研究概要は研究内容の報告書ではなく自己PRの書類
研究概要は、形式・文字数・企業の指定に合わせた構成を作り、専門外の採用担当者にも伝わる言葉で書くことが最重要です。研究が途中でも、志望先と直接関係がなくても、研究プロセスと自分の視点を盛り込むことで採用担当者に響く内容になります。院卒出身のアドバイザーへの添削相談はアカリク就職エージェントをご活用ください。








