研究内容が志望先とマッチしていなくても就職可能。研究概要の書き方のコツも解説

大学院生活

自身の研究内容が志望先と合致していないと採用されないのでしょうか。多くの場合、大学における研究内容と企業での仕事が一致することは少なく、専門分野が異なっていても就職は可能です。一方、専門分野が異なっている場合を中心に、研究概要の書き方には注意が必要です

今回は、企業が採用にあたり重視しているポイントや、エントリーシート(ES)における研究概要の作り方について解説していきます。さらに、就活におけるESの研究概要を作成するにあたり研究内容や研究成果がまだあまりない場合の対処法についても解説していきます。

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研究内容が企業とマッチしていなくても採用される?

研究内容が企業とマッチしている方が、企業側も就活生側も面接時などにお互いの研究分野を理解しやすく、就活生の能力の理解もスムーズになるのは事実でしょう。しかしながら現実には

  • 研究内容と関係のないテーマや部署に配属されることが多い
  • 企業の新卒採用選考においてはプロセス(過程)が重視されること

などから、研究内容や専攻が異なる分野の企業であっても十分採用される可能性があると考えられます。

研究内容と関係ないテーマに配属されるケースが多い

民間企業に就職した場合、大学や大学院で行っていた研究内容がそのまま活かせるという例は、ほとんどないと言ってよいでしょう。

多くの場合、就職後に研究・開発職として配属されたとしても

  • 学生時代に行っていた研究内容と異なる研究を行うことになる

ことが一般的であり、場合によっては大学院修士課程などを修了していても

  • ジョブローテーションの関係で研究・開発職以外を担当する
  • 営業職に配属される

ということはよくある話です。

企業の選考ではプロセスが優先される

民間企業における選考では、大学や大学院でどのような研究を行っていたかというよりも、研究課題対して、どのように向き合ってきたかという“プロセス”を重視しています。

大学や大学院における研究生活において、研究課題に向き合うプロセスの中で

  • 論理的な思考能力
  • 調査能力
  • 論理的に説明できる発信力

を得てきているはずです。これらの能力は、どのような仕事・職種に就いたとしても向き合うことになる

  • 正解のない課題

を解決するプロセスに重要な能力であり、企業も就活生の持つこれらの能力に期待しています。 

企業はなぜ研究内容を聞くのか?

企業における面接では、研究内容を尋ねられることが多いでしょう。しかしこの目的は研究内容を知りたいというよりも

  • 説明能力を見極めたい
  • 理論的思考能力を見極めたい
  • 研究プロセスから人物像を評価したい

ためであると言われています。

説明能力を見極める

専門分野が異なる人に対し、専門用語を使ってそのまま伝えても研究内容を理解してもらうことはまず難しいでしょう。これをいかにかみ砕き、相手に伝えることができるかという点が、まず評価されるポイントです。

例えば商品を販売したい場合、相手に価値があるとわかってもらえるように説明できるかどうかによって、契約が成立するか大きく変わってくるのではないでしょうか。

このことから、説明能力はどのような業界や職業でも重要な能力であり、研究内容をいかにかみ砕き、上手く伝えることができるか評価されています。 

論理的思考を見極める

社会人になってからは

  • 正解のない課題の解決

を求められる場面が多々あるでしょう。このような課題の解決には、いかに解決を目指すか、論理的に物事を考える力が必要になってきます。研究課題の解決においても、どのように解決を目指すか、論理的な思考能力というのは重要であることから、これらのプロセスには非常に似たものがあります。

そのため研究課題に対し、どのような戦略を立て解決に導いたか、すなわち研究内容から、物事の解決に向けた論理的思考能力を見極めたいというのも、研究内容を尋ねる目的の1つです。 

研究のプロセスから人物像を見る

さらに、研究内容から

  • 思考回路や物事の考え方
  • トラブルへの対処法

なども評価されることがあります。

研究であっても仕事であっても、進め方は人によって千差万別です。さらにトラブルに対する向き合い方も人それぞれでしょう。物事の解決法、トラブルに見舞われた際の臨機応変さ、発想の転換方法をみることで、自社が求める人物像に合うか評価されることもあるでしょう。 

エントリーシートに記載する研究概要の書き方は?

就職活動を行うにあたり作成するエントリーシート(ES)には、自身の研究テーマや研究概要を記載する欄が設けられている場合があります。

このESにおける研究概要の作成にあたっては

  • 課題解決に対しどのような行動を行っているか論理立てて記載

する必要があります。

さらに、研究概要は面接で質問材料となる可能性がある一方、面接官が専門分野に精通しているとは限らないことから

  • 研究面でアピールできるポイントを専門用語をなるべく使用せず

まとめる必要があるでしょう。

具体的な行動を書く

研究概要を作成する際にまず重要なのは、研究課題の解決に向けたアプローチ、すなわち解決に向けてどのように行動・実験を行ってきたか記載することです。

実際に、実験・研究を始めると多くの難題や新たな疑問にぶつかり、これらを乗り越えてきたというような経験は、多々あるのではないでしょうか。これまでに乗り越えてきた難題や新たな疑問解決に向け実際に

  • どのように解決法を考え
  • どのように進めていったか

ということを具体的なエピソードを交え紹介していくことがおすすめです。

なおesを作る際、研究内容がまだしっかり決まっていない場合や、就活を行う時点で研究成果がまだあまりない場合には

  • どのような課題が想定され
  • どのように解決を目指すか

という側面から、研究概要を作成していくのが良いでしょう。

専門用語を使わない

また、ESにおける研究概要の作成にあたっては、専門用語を可能な限り使用しないということも重要です。

一般に、新卒採用の面接は複数回行われることが多いですが、これらの面接に関わる面接官は、必ずしも専門分野に精通しているわけではありません。

そのため、専門分野以外の人が読んでも理解することができるように、専門用語を使用せずに、研究概要を作成する必要があるでしょう。実際に専門分野以外の人でも理解できるかどうか、自分の専門分野以外の人(家族やサークルの仲間など)に読んでみてもらうというのもよいのではないでしょうか。

なお、やむを得ず専門用語を使用する場合には、注釈をつけ専門用語の意味を併記しておくのが大切でしょう。

論理立てて説明する

さらに、論理的な流れで研究内容を説明することも大切です。

実際の研究概要の作成にあたっては

  • 研究テーマとその背景
  • 具体的に行っている実験・研究内容
  • 研究を進めるにあたってぶつかった課題とその解決法
  • 現状の成果
  • 研究を通じて得た・学んだこと

という流れで作成していくとわかりやすいものに仕上がるでしょう。

なお、ESを作成する時点で研究内容がまだ具体的ではないこともあるでしょう。さらに、就活をするにあたり、まだ研究成果がないこともあるかもしれません。このような場合には

  • 研究テーマとその背景
  • 具体的に行う予定の実験・研究内容
  • 実験を進めるにあたって想定される課題とどのように解決を目指すか

という流れに置き換えると作成しやすいでしょう。

技術面接での質問対象となることを意識する

また、ESに記載した研究内容は、技術面接などで質問対象となることを意識して作成することも大切です。

基本的に面接では、ESに記載されている内容について、深堀りして質問されることがほとんどです。このことから研究概要に記入した内容については、詳しく聞かれた場合にもわかりやすく説明できるよう準備しておく必要があります。

なお、ESに記載された研究内容を中心に面接されるということを逆手にとって、自分自身が得意な分野や、質問にしっかり答えることができる分野を中心に研究概要をまとめることで、面接がスムーズに進むのではないでしょうか。

専門分野にこだわらず、多くの業界・企業をみてみよう

専門分野が異なる企業の選考に通るかというのはよく聞かれる疑問ですが、企業が重視しているのは、専門分野が合致しているかというよりも

  • 説明能力(コミュニケーション能力)
  • 理論的思考能力

など、研究を通じ普遍的に得ることができる能力がどれだけ備わっているかという点です。 

なお、研究概要を作成するとき(特に専門分野以外の企業)には

  • 専門用語を使用しない

ようにし、だれにでもわかりやすい研究概要を作成することが大切となってくるでしょう。

実際のところ、大学での研究内容と企業での仕事が合致している例は少なく、専門分野の異なる企業に応募しても問題ありません。むしろ、自身の専門分野のみにこだわると、可能性を狭めることになってしまうことから、幅広い業界の企業に応募してみましょう。

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アカリクリポーターズとは、大学院生としての経験や知識を「リポート」するライター集団です。全員大学院在籍経験があり、これまでの研究経験や知識を活かして、大学院生の皆様に役立つ情報をお届けしています。専門分野は工学・化学・生命科学・心理学・社会学等様々です。

【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
博士号所持者/博士課程在籍経験のある編集者が監修しています。

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