技術職・研究職を目指す大学院生にとって、「技術面接」は自分の専門性や考え方を直接伝えられる絶好の機会です。しかし、専門的な内容をどの程度話すべきなのか、どのように伝えるべきなのかと迷う方も少なくないでしょう。
本記事では、技術面接の概要をはじめ、他の応募者と差をつけるために知っておきたい7つの対策ポイントを詳しくご紹介します。研究成果に至るまでの経験や思考のプロセスも含めて、自分の強みを伝えられるよう、万全の準備をしていきましょう。
技術面接とは
技術面接とは、学生時代における研究内容や応募者の技術的な知識・思考力を評価する面接です。主に、IT企業やメーカーなどの技術職・研究職に応募する際に実施され、大学院での研究を軸に、次のようなさまざまな観点が評価されます。
- プレゼンテーション能力
- 技術力・専門性
- 論理的思考力
- 課題解決力
- コミュニケーション能力
技術面接の特徴は、次のとおりです。
- プレゼンテーション形式での発表が実施される
- 研究内容を中心に評価される
- 学部生でも実施される場合がある
- 面接官は人事担当者や技術系社員が含まれる
- 成果よりも研究過程や思考プロセスが重視される
選考では、提出済みの研究概要書やエントリーシートに沿って質問が展開されることが多く、企業によってはスライドを用いたプレゼンテーション形式の面接を実施するケースもあります。
このような形式の面接では、研究内容をただ羅列するのではなく、専門外の相手にもわかりやすく伝える力が試されます。そのため、事前の資料準備や構成力も重要なポイントです。
特に注目すべきなのが、人事担当者以外に、実際の現場で働く技術者や研究者が面接官として同席することです。入社後に配属される可能性のある部署の担当者が実務に照らした観点で応募者を評価するため、質問内容も具体的かつ実践的なものとなります。
つまり、技術面接は、単なる研究報告の場ではなく、「自分の強みや考えを伝えるプレゼンテーションの場」といえるでしょう。
技術面接の目的とは
技術面接は、自社の業務と応募者の技術的なバックグラウンドが、どの程度マッチするかを判断するために実施されます。
研究分野の専門性はもちろん、「これまでにどのような手法やツールを使って課題に取り組んできたか」「どのような成果を出し、どこに課題を感じているか」といった点から、実務に活かせるスキルや論理的な思考力があるかを判断するのが大きな目的です。
また、研究内容の話を通して、プレゼンテーション能力やコミュニケーション力といったソフトスキルも評価対象となります。 企業は、入社後にチームの一員としてスムーズに連携できるかどうかも重視しているため、研究経験をどのように伝えるかも重要な判断材料の一つといえるでしょう。
他の応募者と差をつける!技術面接を成功させるの7つのポイント
技術面接では、「研究成果そのもの」よりも、そこに至るまでのプロセスが重要視されます。企業の面接官がチェックしているのは、成果の規模や論文の数ではなく、「どのように課題に取り組み、困難をどう乗り越えてきたか」といった思考力・行動力・人柄など、応募者の本質的な資質を見極めようとしています。
技術面接を受ける際は、次の7つのポイントを意識して、自分の研究内容や取り組みを語れるように準備してください。
- 技術面接の目的を理解して話す
- 相手の専門レベルに応じて説明する
- 研究の全体像から各論へ順序立てて説明する
- 資料・スライドの構成と見やすさを意識する
- 具体的なエピソードで説明する
- WHATだけでなくHOWを丁寧に説明する
- 丁寧な話し方や正しい言葉遣いを意識する
それぞれの内容について、詳しくみていきましょう。
①技術面接の目的を理解して話す
技術面接では、単なるスキルチェックにとどまらず、「この人と一緒に働きたいかどうか」が判断されます。企業は、知識やスキルだけでなく、協働性や柔軟な姿勢、成長意欲も重視しているためです。
研究の成果だけではなく、「なぜその研究に取り組み、どう向き合ってきたか」を語る姿勢が評価されると理解した上で、自分の経験を語れるように準備しましょう。
②相手の専門レベルに応じて説明する
面接官が必ずしも自分と同じ分野の専門家とは限りません。そのため、専門用語を多用せず、相手の理解度に応じて言葉を選べるかどうかも評価ポイントです。
研究概要の資料を用意する場合も、説明する相手を想定したうえで、ポイントを絞ったわかりやすい構成に仕上げましょう。
③研究の全体像から各論へ順序立てて説明する
技術面接では、いきなり専門的な話から始めるのではなく、次のような流れで順序立てて説明するように心がけてください。
- 研究の背景や社会的意義
- 目的
- 手法
- 結果
- 考察
概観から詳細という構成を組むことで、相手の理解度をより高められるでしょう。
④資料・スライドの構成と見やすさを意識する
面接で使用する資料は、面接官の方に伝わる内容であるかが重要なポイントです。
「1スライド1メッセージ」を基本とし、1スライドあたり1分程度でプレゼンできるような内容で構成しましょう。細かい字を詰め込むのではなく、図表を用いながら視覚的に分かりやすい資料作成を心がけてください。
⑤具体的なエピソードで説明する
研究を通じて「どのような困難があり、どのように乗り越えたか」といった具体的なエピソードを踏まえながら語ることで、より説得力が増します。
例えば、「失敗から何を学んだか」「研究を効率化する工夫をしたか」など、具体的なストーリーはあなたの人間性を伝える大切な材料となるでしょう。
⑥WHATだけでなくHOWを丁寧に説明する
「研究テーマや結果」といった「WHAT」の部分のみをただ羅列して話を展開してしまうと、どうしても内容が伝わりにくく、抽象的になりがちです。「どのように課題に取り組んだのか」といった「HOW」の部分を丁寧に説明することで、問題解決力や論理的思考力の高さをアピールできます。
⑦丁寧な話し方や正しい言葉遣いを意識する
技術面接といえど、ビジネスシーンの延長線上にあることを忘れてはいけません。面接官が「一緒に働きたい」と思えるかどうかは、話し方や態度にも大きく左右されます。
上から目線や高圧的な話し方は避けるのはもちろん、丁寧な言葉づかいや笑顔、うなずきなどの非言語的コミュニケーションも含めて、謙虚な姿勢を大切にしてください。
技術面接でよく聞かれる質問3選と答え方のコツ
技術面接では、あらかじめ想定された質問に対して、どのように答えるかが評価に大きく影響します。
ここでは、技術面接でよく質問される内容や答える際のポイントをまとめて紹介しましょう。
①研究テーマについて簡潔に説明してください
応募者の研究内容を理解すると同時に、「説明力」や「論理的な構成力」を評価するための質問です。
説明する際に押さえるべきポイントは、次のとおりです。
ポイント | 具体的な内容 |
背景・問題意識 | なぜこのテーマに注目したのか |
目的 | 研究を通して何を明らかにしたいのか |
手法・成果 | どんな方法で、どのような結果を出せたのか |
意義・応用 | 研究成果がどのように役立つのか、今後どのように発展するか |
上記の構成を意識することで、研究内容以外の内容も網羅できます。30秒から1分程度で簡潔にまとめるように意識しましょう。
②最も苦労したことは?どう乗り越えたか?
研究を通じて困難な状況にどのように向き合って乗り越えたかを知ることで、応募者の課題解決力や主体性、継続力を評価する質問です。単に失敗談をシェアするのではなく、課題を解決したプロセスやその経験で得た学びを伝えることが求められます。
このような質問に対しては、「STAR法(Situation/Task/Action/Result)」を活用しましょう。STAR法とは、経験や事例を整理・分析するためのフレームワークです。自分の経験を論理的に説明する際に有効です。
内容 | |
Situation | どのような状況・課題だったか |
Task | 課題における自分の役割やタスク |
Action | 課題を解決するためにどのように考え、どのような工夫や行動をとったか |
Result | アクションを起こしたことで、どのような結果になったのか、その課題を通して何を学んだのか結果どうなったか |
事実と感情をバランスよく組み合わせて伝えることで、「この人なら現場でも粘り強く取り組んでくれる」という期待感を与えられるでしょう。
③研究での工夫や独自性を教えてください
研究にどのような創意工夫や独自の視点を持って取り組んだかを知ることで、主体性・柔軟な発想・技術的応用力を判断するための質問です。
質問に答える際は、次のような構成を意識してください。
構成 | 内容 |
背景 | 既存の手法や前提が抱えていた課題 |
工夫・独自性 | それに対して自分が加えた改善、独自のアイデア |
結果 | 工夫したことで得られた成果や影響、他メンバーとどのように連携をしたか |
大きな工夫でなかったとしても、自ら課題を見つけて、小さな改善を重ねた経験は、技術職として活躍するための大きな強みになります。地道に努力をした経験をもとに、自分の強みとして効果的に伝えていきましょう。
まとめ
技術面接では、学生時代の研究成果そのものだけでなく、応募者自身の考え方や取り組んできた姿勢、伝える力など、さまざまな観点で評価されます。特に大学院生の場合、自分の専門性をどのように企業の現場に活かせるかを、論理的かつわかりやすく伝えることが重要なポイントとなるでしょう。
技術面接の目的や流れを理解したうえで、対策のポイントを押さえて準備を進めることで、自分の強みをより効果的にアピールできるはずです。研究の「中身」だけでなく、「どのように語るか」にもこだわってください。
この記事を参考に、自分の経験を振り返り、実際の質問にどう答えるかを書き出して、準備を進めてみましょう。
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