ポスドクにとっては、保育の確保、いわゆる「保活」についても、一般的な会社員とは別のアプローチが必要になる部分もあります。
地方自治体によっても年度によっても制度はそれぞれに異なりますし、ポスドクの勤務形態もまたそれぞれです。
「こうすれば大丈夫」という必勝法を示すことはできませんが、こちらでは大学の非常勤講師と日本学術振興会特別研究員の身分で行った我が家の「保活」事情について、数回に分けて体験談をご紹介したいと思います。
わたし自身、似たようなケースがないか、情報収集に苦労した経験があるので、助けになるかわかりませんが、なにか少しでも参考になる部分があれば幸いです。
結論からいいますと、我が家の場合は、
第一子が、2才のときに初めて申請した認可園に落ち、
認可外園の2歳児クラスに1年間在園、
私立保育園年少に1年間在園を経て、
第二子妊娠中に認定こども園の抽選枠に通り、
こども園で年中、年長を過ごしています。
その経験を踏まえた(?)上で、第二子は、
認可外園の0才児クラスに8ヶ月間在園後、
念願の自治体の選考を通り、
認定こども園の1才児クラスに入園がかないました。
この連続記事では、認可園の申請についてまとめていこうと思います。
夏からはじめた最初の「保活」
わたしがはじめて子どもの保育の確保を意識したのは、第一子が2才のときです。
保育園は最も募集人数の多い0才児のうちに申し込むのが定石で、持ち上がりで定員が埋まってしまう1,2才児は最も入園が厳しいこと、妊娠中から保活を開始する人や、それを視野に入れて妊娠の時期をコントロールする人もいるという話を知ったのは、保活を開始した後のことでした。
産後、博士課程を満期退学し、大学研究施設で無給ポストについていましたが、幸い、任期付きの有給ポスドクに採用が決まったため、研究に専念するために、保育の確保が必要になりました。
わたしが採用していただいたのは、日本学術振興会(以下学振)の特別研究員RPDです。
現在、学振の特別研究員PDに応募できるのは、博士取得者のみですが、当時は条件により単位取得満期退学者でも応募することができたため、博論を仕上げられないまま育児に突入してしまったわたしにとっては大変にありがたいことでした。
未就学児を自宅で保育しながら論文を執筆することは非常に困難ですが、保育所の入園において優先されるのは親が職についている家庭です。
『職に就くためには学位が必要であり、学位の取得には論文の執筆の時間の確保が必要で、、、』という事情に、産後にやっと気がついたわたしは、学位未取得者が研究に専念できるという夢のようなポストに採用をいただいた以上、なんとかして保育の確保をしなければ、という思いで保活を開始しました。
学振から採用の連絡を受けたのは、前年度の夏です。
ちょうど秋頃から説明会を実施する保育所が多く、すでに8月には見学会を始めているところもあるという時期でした。
「認可園」は高スペックで低コスト?
保育園には、国が定めた基準を満たし、国から補助金を支給されている「認可園」と、それ以外の「認可外」(「非認可園」「無認可園」と表記する場合もあり)があります。
広さや保育士の数のほか、防災や衛生面など最低限の基準が担保されており、しかも補助金が当てられ保育料負担が少ないというのが認可園の特徴ですから、当然入園を希望する家庭は多くなります。
しかし実は、場合によっては、認可外の園のほうが融通が利いたり、ポスドクにとってありがたい部分もあります。
自治体によっては、認可との差額を補助してくれるところも増えているので、はじめから認可にこだわらず、認可外の施設も候補にいれて検討することも重要だと思います。
そのあたりの事情についても、後にまとめていきたいと思います。
「認可外園」の場合はそれぞれの施設が申し込みを受け付け、入園者も園が独自の基準で決めますが、「認可園」は自治体が一斉申し込みを受け、各家庭の事情を鑑みながら優先順位を見極めて、割り振りをする制度になっています。
地方自治体ごとに異なる基準が設けられ、「保育指数」と呼ばれるポイント制により各家庭の保育の必要性が順位付けられるようになっており、その基準は多くの自治体ではウェブサイトなどで公開されています。
「保活」という言葉は、狭義には、この「認可園」への申込みでいかに優先順位を上げるか、という試行錯誤の意味で使われることもあるようです。
[文責・子育てポスドクさん]
<筆者について>
人文科学系のポスドク。大学院博士課程を単位取得満期退学後、任期付きポストと非常勤講師を兼任しつつ研究を続ける。 精神的不健康傾向の会社員のパートナーと、特撮大好きな幼稚園年長の娘、頑なに音声言語を話そうとせずにこの頃ハンドサインの語彙を増やしている一歳半の息子との4人暮らし。
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