研究者の体のメンテナンス

博士の日常

2023年になりました。皆様は楽しい年末休暇をお過ごしになりましたでしょうか?

 筆者に関しては、大晦日でも共同研究者からのメールが飛んできたりして、自分の気持ちがなかなか休まらないと同時に、日本の(そして世界の)研究者のみなさんは十分にリラックスできたのか、という疑問を持ちました。

 過去のイメージでは、大学教員は週の数回だけふらっと教室に現れて授業をして、その後は優雅に本を読んだり研究を行ったりする、時間的にのんびりとした生活スタイルを送っているように思われていました。しかし、今ではとてもそんな感じではありません。日々忙殺される研究者はさまざまな身体上のトラブルを抱えがちです。

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研究者にありがちな身体上のトラブル

 仕事柄からどうしてもデスクの前に座ってパソコン作業をしたり、読み書きしたりすることが多いため、デスクワークがもたらす職業病的なトラブルはとても多いです。

 例えば、筆者が知っている研究者のほとんどが首凝り・肩凝り・腰痛を抱えているようです。場合によっては椎間板ヘルニアなどといった深刻な状態になることもあります。

 同じくパソコン作業に伴う問題として、手首などの関節に見られる腱鞘炎や、眼精疲労なども多発しています。

 他には運動不足による肥満傾向や、高血圧・高コレステロールなどといった生活習慣病も決して少なくありません。

 また、多忙なゆえに生活のスケジュールが崩れてしまい、睡眠不足や、ストレス・食事の不規則による胃痛などを抱える人も多いです。

体のメンテナンスの種類

 これらの問題に対する対処法は、大きく分ければ運動身体矯正の2つがあります。

運動

 運動を行う人は、関節や筋肉の凝りをほぐすことや、体力をつけること、生活習慣病の改善などの目的があります。それぞれの人の体力の状況や、取れる時間帯、好みなどによって、運動の内容が大きく変わります。

・ウォーキング

 ウォーキングをしたり、日頃の移動の中でなるべく階段を使ったりして、低強度の運動を生活に取り入れることは、最も運動のハードルが低いです。なんといっても手軽さが最も魅力的ですよね。日常に取り入れているので、あえて時間や場所を取る必要がありません。かつ、汗が出て着替える必要もないので、いつでも取り掛かかることができ、続けやすいです。また、ポケモンGOなどといったスマホのGPS位置情報サービスを活用したウォーキング促進系ゲームで自分を動機づけることによって、歩く距離を増やしたりする人も、研究者の中で散見されます。

ランニング

 ウォーキングから強度を上げ、ランニングに取り組む人も多くいます。カロリー消費だけではなく、持久力の増加や心肺機能の向上などの効果もあります。シューズさえあれば基本はいつでもどこでも行うことができますし、1ヶ月でも続ければ効果がはっきり見えてくるので、とても人気の高い運動といえます。十数分〜三十分ほどゆっくり走るのもよし、フルマラソンを走るほどの本格運動にするのもよし。月に300kmもマラソンの練習を行う、ノーベル賞受賞者である山中伸弥先生のような「ガチ勢」もいるのが、ランニングの奥深いところを語っているかもしれません。

・筋トレ

 シェープアップを考えたり、パワーをつけたりしたい人にとっては、筋トレ・ウェイトトレーニングも人気の選択肢です。日本でも筋トレブームが到来していますが、体力が貧弱というステレオタイプを持つ研究者の中にも、実は筋トレで自分を絞り上げている人は少なくありません。日々の研究と生活はとても忙しいですが、通勤途中で街中のスポーツジムに通ったり、大学が提供するジムを活用したりしています。また、自宅や研究室でも、スクワットなどならいつでもできますし、小さなダンベルを置いておけば、さらにトレーニングの幅も増えていきます。

サイクリング

 サイクリングは効率よく移動できるため、通勤と運動の兼ね合いで行っている人や、週末のお出かけで気持ちを晴らしたりしている人は多いです。運動量はそこそこ大きいですが、上半身・腰は一定のポーズを保ち続けるので、逆に痛めてしまわないように注意することも必要です。

・ヨガやストレッチ

 あまり心拍数を上げたくない人はヨガを選ぶことが多いです。特に柔軟性を上げたり、骨や筋肉の位置を調整したりする効果もあるので、研究者にとっても非常に実用的な運動となります。ホットヨガなどの特殊な種類でない限り、場所も取らず機材もほとんどいりませんので、こちらも非常に手軽です。仕事の合間で数分間だけ簡単のヨガのポーズ、もしくはストレッチを行えば、デスクワークの疲労もだいぶ軽減されます。

・他の運動

 他にもバラエティ豊かな運動が行われています。例えばボルダリング、ダンス、水泳、格闘技、各種球技など、さまざまな運動に打ち込む研究者がいらっしゃいます。

身体矯正

 運動は素晴らしいのですが、継続していくのはなかなか難しいです。また、運動による予防効果を期待するのはよいですが、すでに発生してしまった体のトラブルに関しては、応急措置が必要になってくることもあります。この場合、身体に対する矯正が効果的です。

健康グッズ

 日本のバラエティショップに行くと、健康グッズコーナーの商品の多さにびっくりしますが、研究者の中にも健康グッズを所持している人はとても多いように思えます。

 筋肉の凝りを解消したいのか、最も主流となっているのがさまざまなマッサージ器具です。やはり、使ったらすぐに凝りが緩和されるような即効性が魅力になっているのではないかと思います。

 種類としては、足ツボ踏み板のような、使用者が自分で力をかけるようなものから、電動マッサージクッションのような電動式のものまで、いろいろな種類があります。大体の人は一つだけ所持するのではなく、複数の種類を買ってしまうようです。

 こうした最新グッズの情報は、研究者仲間の雑談で時々交流されます。ちなみに筆者も知り合いに紹介され、年末のセールでハンディタイプのマッサージガンを入手しました。

整骨院・各種マッサージサービス

 自分で器具を使うのは限界があり、かつ全体の改善を自力でやり遂げるのは難しいため、整骨院・カイロプラクティック・各種マッサージに通い、専門家に体を矯正してもらう方が効率的です。特にデスクワークによる猫背や首の前傾、腰の反りなどといった姿勢の問題に関しては、客観的に判断してもらいながら矯正していくことが必要です。

 残念…ともいうべきかもしれませんが、研究者の中では慢性的に首や腰を痛めてしまって、定期的にこれらの専門家に通っている人も少なくありません。筆者自身の経験からしては、こうした定期的なメンテナンスの効果は著しいといえます。専門家の手を借りて自分のコンディションを良い状態に保つことが、生産性の向上にもつながりますので、もはや「設備投資」と思ってもよいのではないでしょうか?

 もちろん、体のメンテナンスをするサービスはさまざまあり、その手法や理念は異なります。また、施術者との相性もありますので、自分に合うものを見つけるのにトライ・アンド・エラーを繰り返すこともあります。根気よく探していきましょう。

・お風呂/温泉/セルフ足湯

 ほとんどの家に湯船がある日本では、お風呂に浸かることが最も身近で手軽な体のメンテナンスかもしれません。体を温め、自律神経の働きを整える効果がある入浴は、体が冷えている時はもちろん、疲労が溜まっている時、緊張している時、睡眠の質がよくない時など、さまざまな場面で助けてくれます。

 そして、実際に温泉に出向き、バラエティ豊かな泉質を楽しむのも温泉大国である日本ならではの愉しみでしょう。温泉地で開催される研究会や学会も少なくありませんが、温泉パワーからか、いつもより議論が活発に行われるように思えます。 一方、日本ではあまり浸透していませんが、深めの桶にお湯を張り、足湯に浸かることは、中国などでは古くからの健康法として実践されています。こちらも体を温めたり自律神経を整えたりする効果があると言われています。ゆっくり浸かる時間がない、一人暮らしでお風呂にお湯を張るのは光熱費が気になる、などの理由で湯船に浸かる機会が少ない人にとっては、こちらも実践してみる価値があるかもしれません。

[文責:LY / 博士(文学)]

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