企業と大学の研究室がタッグを組んで研究を進めていく「共同研究」。大学の研究と比べ、短期的な成果が求められるため大変なイメージがあります。しかしながら、共同研究を行うことで、就活が有利になることをご存じでしょうか。
今回は「企業との共同研究のみ」に焦点を当て
・共同研究の概要
・共同研究のメリット・デメリット
について紹介していきますので最後までお読みください。
共同研究とは
共同研究とは、民間企業等と共に研究を行う事を指すことが多いです。企業以外にも研究機関と共同研究をする場合もありますが、この記事では企業との共同研究について取り上げます。
共同研究では、企業が決めた研究テーマのもと研究を行ったり、新しい製品の開発を行うケースが多いです。研究内容としては、企業の利益に関わるような応用研究を行うことが一般的です。
応用研究は、基礎研究やこれまでの応用研究を用いて「実用化の可能性を確かめる研究」を行う研究のことをいいます。
分野の近い大学の研究室と一緒に研究を行い、専門的な知識や研究スキルを備えた人材を活用することで、より効率良く技術開発ができる点が企業にとってのメリットでしょう。
また、共同研究は、企業がどのような研究を行っているかについて知りたい人におすすめです。企業の研究員と会議を行って研究の方針を決めたり、特許を取ったりなどの経験ができます。
学生が共同研究に参加するメリット
企業と共に研究を行う共同研究は学生にとって大きなメリットがあります。
具体的には、以下のような点が挙げられます。
・就活で有利になる
・企業での研究活動を体験できる
・成果を出しやすい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
就活で有利になる
共同研究を行うことで、就活が有利になることが大きなメリットの1つです。共同研究を通して、研究スキルだけでなくビジネススキルも身につけられるためです。
企業と研究についてディスカッションを行うことで、利益ベースで物事を考えることができるようになります。また研究の知識や経験が多い会社員と話すことで、論理的思考とコミュニケーション能力が身につきます。
他にもさまざまなスキルが得られるため、企業から求められる人材へと成長し、就活で有利になります。
エントリーシート(ES)を作成する際にも「自己PR」や「学生時代に頑張って取り組んだこと」などのネタにでき、面接などでも、共同研究で培ったビジネス的な視点や研究成果を伝えることで、内定がもらいやすくなるでしょう。
また、優秀な研究結果を出すことで、共同研究を行った企業から内定がもらえる場合もあります。もちろん選考は行いますが、一部の選考が免除されたり、就活解禁前に特別に選考を行ってくれる場合もあるようです。そのため、研究職を強く志望している大学院生には共同研究を行うことをおすすめします。
企業での研究活動を体験できる
企業での研究活動を身を持って体験できることも共同研究ならではのメリットでしょう。
共同研究は企業のペースに合わせて研究を行わなければなりません。そのため、企業がどのようなスピードで研究を行っているかを身をもって体験できます。
研究経験の少ない学生にとっては大変ですが、企業の研究職について理解を深められるため、就職した時のギャップが少なくなるという利点もあります。企業や研究員から多くのことを学ぶことができるので、共同研究を通して自身の価値をより高められるでしょう。
また、派遣研究の場合、研究室内に研究員がいるため、研究についてだけでなく、就活に有用な情報も教えてくれる場合があります。自分と違う研究を行っている研究員であっても、一度話してみるといいかもしれません。
成果を出しやすい
企業と研究すると、論文投稿や特許の取得など成果を得る機会が増えるでしょう。
共同研究では、企業の研究員と定期的に打ち合わせが行われます。次の打ち合わせの日が締め切りとなる場合は、その日までに前の打ち合わせで決めたことを実施して結果報告を行わなければなりません。
しっかりとスケジュールが管理されているため、計画的に研究を進めることができます。スケジュールの通りに動くことで着々と研究が進み、一般的な大学院生より、早く成果を生み出しやすくなります。
具体的な商品やサービスの研究開発であれば、携わった研究の成果が実際に世に出回るといった醍醐味を味わうことができます。
学生が共同研究に参加するデメリット
学生が共同研究に参加するメリットはたくさんありますが、デメリットもゼロではありません。
以下のようなものがあるので詳しく見ていきましょう。
・成果に対するプレッシャーが大きい
・対外発表ができないケースもある
成果に対するプレッシャーが大きい
共同研究では企業が成果を求めてくるため、大きなプレッシャーがかかります。企業が多額の研究費を負担していることもあり、成果への期待が常にある状態に置かれます。
定期的に打ち合わせがあることから、その都度プレッシャーを感じることもあります。成果がでないと企業にとっても大きな損失になることもあり、研究員も困ってしまいます。
研究を頑張っているのに上手くいっていないと、人によっては責任に押しつぶされそうになり、気を病んでしまうことも少なくありません。
それでも共同研究をやりたい人は、相当大変なのだということを知ったうえで選択しましょう。
対外発表ができないケースも
共同研究の場合、学会発表を行わせてくれない場合があります。企業の特許や独自のノウハウに関わる研究を行う場合は、外部に研究成果を発表することが禁止されるケースが多いです。少なくとも、特許を取得して、技術が公開されるまでは発表するのは厳しいでしょう。
学会に参加したいのであれば、企業側の人と相談してどこまで発表していいのかをすり合わせる必要があります。ただし、そもそも発表してはいけないとなる場合も少なくありません。
もし就活や奨学金のために学会で発表した実績が欲しいのであれば共同研究を行わない方がいいでしょう。
まとめ
以上、共同研究について紹介しました。
この記事についてまとめると、次のようになります。
・共同研究では、企業が決めた研究テーマや新しい製品の開発を行う
・企業の利益目的のため、応用研究を行うことが多い
・共同研究は企業がどのような研究を行っているか知りたい人におすすめ
・共同研究ではさまざまなスキルが身につくため就活に有利
・共同研究をしている企業から内定をもらえることもある
・定期的な打ち合わせと徹底したスケジュール管理により成果が出しやすい
・成果が求められるためプレッシャーに押しつぶされることがある
・特許などの関係から学会発表できないケースもある
共同研究は厳しい面もありますが、乗り越えることで自己成長を遂げることができます。さまざまなスキルを取得して、自分の行きたい会社に内定をもらいましょう。