工学部の学部生の方の中には、就職と大学院進学のどちらを選べきかと迷っている方もいるでしょう。また、大学院に進学することで、就職する際の選択肢がどのように変化するのかと気になる方も多いはずです。就職を考えるのなら、文系就職が可能かどうかもあらかじめ調べておきたいところです。
そこで本記事では、工学部の学部生向けに就職と進学におけるメリット・デメリットや人気の就職先などを詳しく解説します。大学卒業後の進路に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
工学部の大学院進学率
文部科学省が2024年に実施した「学校基本調査」によれば、令和6年(2024年)3月に大学を卒業したのは計59万人で、その内7.4万人が進学しています。学部卒業生全体の進学率は12.6%ということになります。
一方、卒業した工学部生は8.7万人でその内進学したのは3.2万人です。進学率に直すと37%であり、工学部の進学率が高いことがわかります。中でも応用化学関係、金属工学関係、繊維工学関係、船舶工学関係学科では進学率が50%を超えており、繊維工学関係学科の進学率は63%に上ります。
このように、工学部の大学院進学率は大学の卒業者全体と比較してかなり高いことがわかります。
参照:文部科学省 「学校基本調査-令和6年度 結果の概要-」
就職と大学院進学、どちらが有利?
工学部の学生が進路を考える際にまず決めておきたいのは、「就職」、もしくは「大学院進学」のどちらを選ぶかということです。就職する場合、ビジネススキルを早期に身につけられ、経済面でも安定するでしょう。一方で大学院に進学すれば、研究分野を深められ、高い学歴が得られるのが大きなメリットです。
ここからは、大学卒業後に就職する場合と大学院に進学する場合のそれぞれのメリット・デメリットを詳しく紹介します。
大学院に進学するメリット
大学院に進学するメリットは、主に次の3つです。
- 研究を深められる
- 研究職の就職に有利
- 学部卒に比べると就職後の待遇がいい
大学院に進学すると、学部で専攻していた分野をより深いところまで学べるようになります。自分でテーマを考えて一つの研究に時間をかけられるので、専門分野を突き詰めるのが好きな方は大学院進学に向いているでしょう。
また、大学院に進むと、その後の就活の際に研究職のポストに就きやすくなります。学部卒より大学院修了者の方が高いスキルを持っていて、高い専門性が評価されやすいためです。将来的に研究職に就きたいと考えているなら、大学院に進学するのも一つの手でしょう。
学部卒で社会人になる場合と大学院修了後の場合では、企業における待遇が異なります。一般的には、学部卒よりも、院修了者の方が基本給が高く設定される傾向にあり、就職後の待遇が良くなると考えられているのです。
大学院に進学するデメリット
大学院に進学メリットがある一方で、次のようなデメリットも存在します。
- 経済的負担がかかる
- 社会人としての経験が積めない
- 就職先の選択肢が狭まる
経済的負担が増える、社会人としての経験が積めないといったデメリットもあります。それぞれの項目を詳しく解説します。
大学院に通うとなると、どうしても学費が発生します。そのため、就職と比べると経済的負担が大きくなるのがデメリットです。奨学金をもらえればそこまで大きな負担にはならないかもしれませんが、私立の大学院に進学する場合は、金額も高額になる傾向にあります。大学院に進学する場合は、資金があることが大前提です。
2つ目のデメリットは、学部卒と比べて社会人経験が遅れる点にあります。大学院を修了する頃には多くの方が20代半ばになっており、既に社会人として数年の経験を積んでいる学部卒と比較される場面もあるかもしれません。
大学院に進学するということは、特定の分野における専門性を深め、自分の強みを明確にできる点が大きなメリットです。一方で、就職活動においては、その専門性を活かせる職種や業種を志望する傾向が強くなるため、結果として進路の選択肢が実質的に絞られるケースもあります。ただし、大学院進学によって応募可能な企業数が減るわけではなく、あくまで自身の志向やキャリア設計によって選択肢が狭まる傾向があるという点に留意する必要があります。
学部卒で就職するメリット
学部卒で就職する場合は、収入が得られることや社会人としてのスキルを身につけられるなどのメリットが挙げられます。具体的には、次のとおりです。
- 収入を得られる
- 社会人経験が積める
- 大学院進学への道も残されている
また、学部卒で就職すれば、大学院に進学するよりも早く収入を得られるため、経済面では余裕が生まれます。大学院では学費や生活費の負担が大きく、親の援助に頼る場面も増えてしまいがちですが、就職すれば経済的にも自立できるでしょう。
もう1つのメリットは、社会人経験を早く積めることです。新入社員として入社すれば、多くの企業で人事担当や先輩社員からビジネスマナーや仕事の基本を学べる機会があります。早い段階で社会人として必要なスキルを身につけることで、将来的なキャリアアップにも役に立ちます。
また、学部卒で就職したとしても、大学院に進学する道は残されています。まずは企業において実務経験を積み、必要性を感じたタイミングで改めて進学を目指すという選択もできるでしょう。
学部卒で就職するデメリット
学部卒で就職するデメリットは、次のとおりです。
- 研究職に就きづらい
- 大学院修了者に比べると専門性が低い
- 大学院修了者よりも給料が安い
研究職は高度な専門知識と研究実績が求められるため、多くの企業では大学院修了を応募条件にしています。学部卒では応募自体が難しい場合や、選考で不利になるケースも多く、研究職を目指すのであれば大学院進学を検討しましょう。
学部卒では、どうしても大学院修了者より専門性が浅くなりがちです。特に、技術職や開発職などでは、より深い知識や経験を持つ院卒者が優遇される傾向があり、学部卒では希望するポジションに就けない恐れがあります。
さらに、大学院修了者の方が学部卒よりも基本給が高く設定されています。月数万円の差であっても、賞与や昇給を含めると長期的には大きな差になるケースも少なくありません。給与面での将来的な満足度に影響を及ぼす恐れがあるでしょう。
インターンシップの活用と就活準備のポイント
就職活動を控える工学部生にとって、企業での実務を体験できるインターンシップは、将来のキャリアを見極める貴重な機会です。ここでは、インターンシップに参加するメリットやおすすめのタイミングなどを詳しく解説します。
インターンシップとは
インターンシップとは、学生が企業における実際の業務を体験できる制度です。インターンシップの期間や内容は企業によって大きく異なるものの、短期から長期までさまざまなプログラムが存在します。
日本国内では、大学2年生から3年生を対象にしたプログラムが一般的です。しかし、近年では学年問わず参加できるインターンシップも徐々に増えており、大学1年生からチャレンジする学生も珍しくありません。
インターンシップに参加するメリット
インターンシップに参加することで、次のようなメリットがあります。
- 業界・企業・職種に対する理解を深められる
- 企業の社風や企業との相性を確認できる
- 自己分析に役立つ
- 人脈を構築できる
- 内定に直結するケースもある
- 報酬が発生するケースもある
まず、業界や企業、職種に対する理解を深められるのが大きな利点です。実際に現場で働くことで、自分に合っている仕事なのかを体感できます。また、企業の社風や働く人の雰囲気を知ることで、入社後のミスマッチも防げるでしょう。
また、現場での経験を通じて、自分の強みや課題が見えてくるため、志望動機や自己PRにも説得力が増します。
さらに、同じ志を持つ学生や社員との交流から、新たな人脈が広がることもあります。インターン先によっては、成果が認められた場合に内定に直結することもあるため、早期内定を狙う学生には特におすすめです。さらに、長期インターンでは報酬が支払われるケースもあり、実務経験を積みながら収入を得られる点も大きな魅力といえるでしょう。
インターンシップに参加するおすすめのタイミング
インターンシップに参加する時期は、目的や学年によって最適なタイミングが異なります。それぞれが無理なくスケジュールを組み、集中して取り組むことが重要です。
ここでは、インターンシップに参加するおすすめのタイミングを詳しく見ていきましょう。
大学1・2年生:業界研究や企業理解を深めたい方におすすめ
大学1〜2年生は、まず業界研究や企業理解を深めることを目的に、1day仕事体験やオープン・カンパニーに参加してみましょう。短期間で参加できるプログラムは気軽に参加でき、企業と接点を持つきっかけとしておすすめです。早いタイミングから社会や業界に目を向けることで、自身のキャリア意識を高めることにつながります。
大学3年生(修士1年・博士2年)(春〜夏):本格的な実務体験ができる最大のチャンス
大学3年の夏は、多くの企業がサマーインターンを開催する時期であり、実務体験を通じて自分の適性やスキルを試せる絶好の機会です。
数日間の短期インターンから数週間の中期・長期インターンまでさまざまなスタイルのプログラムが存在します。この時期のインターンは採用直結型として開催されるケースも多く、早期選考や内定のチャンスが広がる可能性もあるでしょう。
大学3年生(修士1年・博士2年)(冬):志望企業を絞るための情報収集のためにおすすめ
ウィンターインターンが開催される12月〜2月は、夏の経験を踏まえて志望企業を絞るフェーズに入るタイミングです。選考直前の準備や企業理解を深める手段として、冬のインターンを活用する学生も多く存在します。このタイミングで企業と接点を持つことで、エントリーシートや面接対策にも役立つ有益な情報を得られるかもしれません。
学科別のキャリアパスと就職先の傾向
工学部では、学科ごとに学ぶ内容や専門性が大きく異なるため、卒業後の進路や就職先にも特徴があります。ここでは、電気電子工学系、機械工学系、情報工学系の各学科における主なキャリアパスや就職先の傾向を紹介しましょう。
電気電子工学系の進路
電気電子工学系の学生は、電力会社や電機メーカー、通信事業者、IT企業など、幅広い業界で活躍しています。特に、エネルギーインフラや通信ネットワークの構築・維持に関わる技術者として高い需要があります。また、家電製品や自動車の電装系の開発にも携わることが多く、製造業との関連も深い分野といえるでしょう。
機械工学系の進路
機械工学の基礎知識は汎用性が高く、さまざまな業界で求められています。
そのため、機械工学系の学生は、自動車や航空機、産業機械、精密機器などの設計・開発・製造に関わる企業に就職する傾向にあります。また、エネルギー関連やプラントエンジニアリング、鉄道、建設機械など、多岐にわたる分野で活躍できるでしょう。
情報工学系の進路
情報工学系の学生は、ソフトウェア開発やシステムエンジニアリング、ネットワーク構築、データサイエンス、AI・機械学習など、IT関連の幅広い分野で活躍しています。
近年、金融や医療、製造業などの幅広い業界において、情報技術を活用した業務改革やシステム導入のニーズが高まっており、情報工学の専門知識を持つ人材が必要とされています。そのため、今後も安定した需要が見込まれる分野です。
工学系出身者に人気の業界
ここでは工学系出身者に人気の業界をご紹介します。
建設
主に建造物を作る企業です。
建設業界は下請け構造になっており、ゼネラルコントラクター(ゼネコン)と呼ばれる企業がプロジェクトを統括し、サブゼネコンや工務店が施工を行います。
また、マリンコントラクター(マリコン)と呼ばれる港湾や海底トンネル工事などを専門に扱う建設会社も存在します。
この業界の企業としては、鹿島建設、清水建設、竹中工務店、鴻池組、フジタなどが有名です。
食品・医薬品メーカー
缶詰や調味料、パンや油脂などといった食料品や医薬品、試薬を製造する企業です。ここ数年の感染症の流行で注目を集めた業界です。
この業界の企業としては武田薬品工業、アステラス製薬、日本新薬、ゼリア新薬工業などが挙げられます。
化学メーカー
主に石油を原料として様々な素材を生産する企業です。
化学製品は身近なところで活躍しており、化学メーカーといっても最終製品は多岐に渡ります。
プラスチック、ゴム、ビニールなど石油化学製品のメーカーや石けんや洗剤、ろうそくメーカー、さらには化粧品や医薬品、試薬の製造メーカーが含まれます。
代表的な企業として挙げられるのは、旭化成、大鵬薬品、花王などです。
電機・電子・精密機器・OAメーカー
家電製品や空調、配線器具や変圧器のメーカーです。
近年では中国や韓国など海外メーカーとの競争も激しくなっていますが、日本の技術力が高く評価されてきた業界です。
このページをご覧のデバイスを作っているのもこの業界です。
有名企業としては、シャープや富士通、パイオニア、富士電機などが挙げられます。
自動車・輸送機器メーカー
自動車やバイク、鉄道車両、船舶や航空機の製造業界です。
車やバイクが好きで志望する方も多いようです。
本田技研工業(ホンダ)やトヨタ自動車、川崎重工業、三菱重工業などが有名です。
電気・ガス・エネルギー
電気やガスなどのエネルギーを作ったり販売を行う企業です。
エネルギーそのものは目に見えないので意識することは少ないかもしれませんが、身近な企業です。2016年に電力、2017年には都市ガスの小売りが自由化され、環境が大きく変化している業界です。
業界の企業として、大阪ガスや東京電力、昭和シェル石油、国際石油開発帝石などが挙げられます。
ゴム・セラミック・紙
ゴム・セラミック製品や紙製品のメーカーです。
ゴムやガラスは自動車として使われる割合が多く、環境規制や電気自動車の登場などにより転換期を迎えているといえるでしょう。
セラミックスはパソコンやスマートフォンに使われている半導体にも使われています。
この業界の企業としては、日本板硝子、日本特殊陶業、太平洋セメント、京セラなどが挙げられます。
鉄鋼、非鉄金属
製鉄・製鋼や鋼材メーカーや銅・亜鉛・アルミニウムの精練、加工メーカー、電線・ケーブルのメーカーなどです。
また、これらの鋳物メーカーも含まれます。
日本製鉄(旧 新日鉄住金)や三菱マテリアル、UACJ、フジクラなどが挙げられます。
IT・通信
インターネットや電話を扱う企業です。
スマートフォンの急速な普及により近年規模が大きくなっている業界です。
感染症の流行により、家庭でのインターネットやクラウドサービスの需要も増えています。
今後、5Gの普及やIoT、eSIMなどをキーワードにさらなる変革が予測されます。
また、ITの分野ではソフトウェアやインターネットサービスを扱う企業があります。
これらの業界の企業としてはNTTやIBM、マイクロソフト、ぐるなびなどがあります。
工学系出身者に人気の職種
工学系出身者に人気の職種は研究職、エンジニア、生産管理、建築士などがあります。ここでは、工学系出身者に人気の職種について詳しく見ていきましょう。
研究職
研究職は、工学部の学生から非常に人気の高い職種のひとつです。企業の研究職には主に「基礎研究」と「応用研究」があり、それぞれ役割が異なります。
基礎研究は、まだ存在しない原理や技術を探究する仕事で、新たな知識や発明につながる可能性があります。一方、応用研究は基礎研究で得られた成果を社会に活かす方法を考え、実用化に向けた開発を行うのが特徴です。
研究職では、自身の専門分野を深く掘り下げながら社会貢献ができるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。ただし、応募者が多く競争率が高い点や、専門性が厳しく問われる点は大きなネックといえるでしょう。研究職を目指すのであれば、大学院での研究経験や修了資格が強みとなるはずです。
設計・開発及び機械エンジニア
設計・開発職や機械エンジニアも、工学部出身者に人気のある職種です。製品の設計・開発に加え、機械の動作を支えるメンテナンスや改良など、幅広い技術業務を担当します。
例えば、自動車や電車などの輸送機器から、パソコンやサーバーといった電子機器まで、さまざまな製品を扱うのが特徴です。ときには設計段階から製品開発に関わることもあり、自分のアイデアが形になって世の中に出ていくことで、達成感を味わえるのも魅力のひとつといえるでしょう。
生産管理・品質管理
生産管理・品質管理の仕事も工学部の学生に人気の仕事です。工場など商品を製造している現場を管理しつつ、品質の高いものを社会に出すための計画を行います。一見地味な仕事に思えますが、サービスの提供に関わっている根幹となる重要な仕事でもあるのです。
また生産管理・品質管理の仕事では顧客の要望に基づいて、納期通りにサービスを納品することも求められます。発注された数どおりに商品を製造して、問題なく納品するためには生産管理担当の協力が欠かせません。生産数が多い大きなプロジェクトを終えたあとなどは、達成感を感じられることもあるでしょう。
セールスエンジニア・サービスエンジニア
工学部出身の場合、セールスエンジニアやサービスエンジニアになるのも一つの選択肢です。顧客との接点が多く、人との関わりがあるため技術力とコミュニケーションスキルが問われます。たとえばセールスエンジニアの場合は、営業に同行してクライアントとの商談に参加し、技術的な質問について回答します。
サービスエンジニアは提供中のサービスの運用・保守を行うことが中心で、セールスエンジニアと同様に顧客との会話を通じて、ニーズをくみ取って迅速に対応することが必要です。人と関わるのが好きな人や、コミュニケーション能力に自信がある人は検討してみてください。
プログラマー・システムエンジニア
工学部の学生にとって、プログラマーやシステムエンジニアも人気の職種の一つです。ソフトウェアの開発や、サービスの全体設計を構成するのが主な仕事です。プログラマーやシステムエンジニアはもくもくと仕事をこなす必要があり、一つのものを作り上げることが好きな人に向いています。
プログラム言語を使ってシステム開発などをするので、在学中にそうした技術的な知識を習得した方なら、プログラマーなどの仕事はやりやすいでしょう。デジタル化が進みシステムエンジニアは需要が高まっているので、転職などもしやすい職種といえます。
建築士
工学部出身の学生の中には、建築士を目指す方も多く存在します。
建築士とは、住居やビルなどの建築物を設計する際に、安全性や法規制を考慮して図面を作成する専門職です。自分が設計した建物が実際に形となって社会に残るため、大きなやりがいを感じられる仕事といえるでしょう。
ただし、建築士として働くには国家資格の取得が必要であり、一定の学習と実務経験が求められます。資格を取得すれば、設計や施工監理の分野で活躍でき、将来的なキャリア構築にも有利になるでしょう。学部で建築や構造設計などに関わってきた方は、選択肢の一つとしてぜひ検討してください。
工学部生が就活を成功させるための戦略
工学部生は、専門的な知識や技術力を持っている一方で、それをどのように企業に伝えるかが就職活動を成功させる鍵となります。ここでは、工学部生が就活を成功させるための戦略について詳しく見ていきましょう。
技術スキルを可視化して経験値をアピールする
工学部生は、大学で培った技術スキルやこれまでのプロジェクト経験を具体的に示すことで、企業に対して能力を最大限にアピールできます。
例えば、研究や実験、インターンシップでの成果をポートフォリオとしてまとめることで、視覚的にスキルを伝えられます。また、成果物や解決した課題などを明確に提示することで、企業側に具体的なイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。
チームワーク力を具体的にアピールする
企業は、個人の技術力だけでなく、チームで協力して成果を出すスキルも重視します。そのため、これまでにチームでのプロジェクト経験や協働したエピソードを具体的に伝えることで大きなアピールポイントとなります。
例えば、サークル活動や研究チームでの役割、課題解決のプロセス、得られた成果などを詳細に説明することで、チームワーク力を効果的に伝えられるでしょう。
自己分析を深めて、志望動機に説得力を持たせる
志望動機の説得力を高めるためには、自己分析を通じて、自分の強みや価値観を明確にすることが不可欠です。自分がどのような環境で力を発揮できるのか、どのような価値観を持っているのかを理解することで、自分に最適な企業を見つけられるでしょう。また、客観的な視点から自分を見つめ直すためにも、自己分析ツールやワークシートを積極的に活用してください。
工学系出身者でも専門外就職は可能?
工学部卒でも専門分野以外の業界に就職することは可能です。特に文系の学部から入社する人が多い業界において重宝されるケースも珍しくありません。理系の学生は、研究を重ねて論理的思考や一つのことに打ち込むスキルを既に身につけているという観点から評価される傾向にあります。
それらのスキルは仕事をする上でも役に立ち、もくもくと取り組めてロジカルに業務を進められるのは大きな武器になります。一般的には理系よりも文系の学部からの就職が多いコンサルタントや営業職などでは、数字やデータを扱うことも多く、工学部出身であることが強みになるはずです。
工学部だからといって自分の専門分野にこだわらず、他分野の業界も見てみることが内定をもらうためのポイントです。自分の能力を活かせそうな業界を見つけて、積極的に応募してみましょう。
まとめ
工学部の学部生に向けて就職と大学院進学どちらがいいか、人気の職種はどんなものがあるかを解説しました。内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
- 大学院進学のメリットは専門性を高められて、研究職の就活に有利なこと
- 大学院進学のデメリットは経済面の負担が大きいことと、就活の選択肢が狭まること
- 学部卒で就職するメリットは、社会経験を早期に積めて後から大学院進学も可能なこと
- 学部卒で就職するデメリットは、専門性が低く技術職や研究職の応募は不利になること
- 工学部に人気の職種は研究職、生産管理・品質管理、エンジニア、建築士などがある
それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、どちらが向いているのかよく検討しましょう。必要であれば文系就職も視野に入れながら、納得できる道を探してください。