プラント業界とは?種類・職種の特徴と理系院生が専門性を活かせる仕事を解説

プラント業界とは?種類・職種の特徴と理系院生が専門性を活かせる仕事を解説 企業/業界研究
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プラント業界は、エネルギー、化学製品、水、医薬品などを生産・処理するための大規模な設備を、設計・建設し、維持・運営する産業です。エンジニアリング協会は、エンジニアリング企業が、社会インフラやエネルギー、化学、医薬、食品などの生産設備の分野で、設計、建設、運転、メンテナンスを担っていると紹介しています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。

研究で専門的な知識や実験、仮説検証の経験を積んできた理系大学院生にとって、専門性を活かせる可能性のある分野です。「どのような仕事があるのか」「自分の専攻はどの職種と結びつくのか」が分かりにくいと感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、プラント業界の基本的な仕組み、種類、職種、働き方、就活のポイントを、公的機関や各社の公開情報をもとに解説します。

  1. プラント業界とは?基本的な仕組み
    1. プラントの定義
    2. プラントが果たす役割
    3. プラントエンジニアリングとは
    4. プラントメンテナンスとは
    5. プラントエンジニアリングとプラントメンテナンスの違い
    6. EPCとは
    7. プラント業界のビジネスモデル
    8. プラント事業の一般的な流れ
  2. プラント業界の主な種類
    1. 石油化学プラント
    2. エネルギー系プラント
    3. 環境系プラント
    4. 製品系プラント
  3. プラント業界の主な職種
    1. 設計エンジニア
    2. 調達
    3. プロジェクトマネジメント
    4. 施工管理
    5. 試運転
    6. 運転管理
    7. 保全
  4. 理系大学院生が専門性を活かせるプラント業界の仕事
    1. 化学系の専攻
    2. 機械系の専攻
    3. 電気電子系の専攻
    4. 情報系の専攻
    5. 仮説検証の経験を活かす
    6. 研究室での実験経験を活かす
  5. プラント業界で働く魅力
    1. 社会的な意義
    2. 大規模なプロジェクトに関わる経験
  6. プラント業界の働き方
    1. 待遇に関する情報の確認方法
    2. 出張
    3. 現場駐在
    4. 勤務地
    5. 交替制勤務
    6. 若手の育成の仕組み
    7. 入社後のキャリアステップ
  7. プラント業界を取り巻く動向
    1. カーボンニュートラルへの対応
    2. デジタル技術の活用
    3. 国内の既存プラントの改修
    4. 海外のインフラ市場
  8. プラント業界の代表的な企業の分類
    1. エンジニアリング専業の会社
    2. 環境分野に特化した会社
    3. メーカーのプラント部門
    4. ユーザー系のエンジニアリング会社
  9. 理系院生がプラント業界を目指す際の就活のポイント
    1. 研究テーマを実務の課題と結びつけて伝える
    2. 関係者と協働する力を示す
    3. プラント業界に関連する資格
    4. 志望動機の組み立て方
  10. まとめ|理系の専門性を活かしてプラント業界でのキャリアを考えよう
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プラント業界とは?基本的な仕組み

プラント業界を理解するには、プラントとは何か、エンジニアリングとメンテナンスがどう違うのかを押さえておくことが大切です。

ここでは、プラントの定義と役割、EPC、ビジネスモデル、事業の一般的な流れを整理します。

プラントの定義

プラントとは、単一の機械や装置ではなく、反応装置、配管、熱交換器、電気設備、制御システムなどが結びついた、大規模な工業用の生産設備全体を指します。エネルギー、化学、医薬、金属など、社会や経済を支える物資の生産設備として紹介されています(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

プラントは、扱う物質や製品によって、設備の構成や求められる技術が大きく異なります。後述の「主な種類」で、代表的な分類を紹介します。志望企業が扱うプラントの種類を調べると、必要な知識や専攻との関係が見えやすくなります。

プラントが果たす役割

電力、ガス、水道、石油、化学などは、国家サイバー統括室が「重要インフラ」の分野として整理している分野です(出典:重要インフラ対策関連(国家サイバー統括室))。プラントは、こうした分野の生産や処理を担う設備として、人々の生活や産業活動を支えています。

プラントには、安全に、安定して動き続けることが求められます。そのため、建設の段階だけでなく、稼働後の運転や保全も大切な仕事になります。プラントの仕事が、社会のどの部分を支えているかを意識すると、志望動機を考えやすくなります。

プラントエンジニアリングとは

プラントエンジニアリングとは、新しいプラントを建設するために、顧客企業のニーズを踏まえた計画の策定から、設計、資材や機器の調達、建設、試運転までを担う事業です。設計から資材調達、建設までを担う一連の業務はEPCと呼ばれます(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

エンジニアリング協会は、エンジニアリング企業の活動として、設計、建設、運転、メンテナンスを挙げています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。新設のプロジェクトに関わりたい場合は、設計、調達、建設のどの段階を担当する職種かを、募集要項で確認しましょう。

プラントメンテナンスとは

プラントメンテナンスとは、稼働しているプラントが安全に動き続けるための保守、点検、整備、修繕などを行う事業です。設備の改良や、長く使うための取り組みを含む場合もあります。

エンジニアリング協会は、エンジニアリング企業の活動にメンテナンスが含まれることを紹介しています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。企業によって、建設に強みを持つ会社と、運転や保全に強みを持つ会社があります。既存の設備に関わる仕事に関心がある場合は、保全や運転管理の職種の仕事内容を確認してみましょう。

プラントエンジニアリングとプラントメンテナンスの違い

プラントエンジニアリングは、新しい設備をつくることが中心です。一方、プラントメンテナンスは、すでに稼働している設備を維持し、必要に応じて改良することが中心になります。

どちらもプラントの寿命全体に関わる仕事で、つながりのある関係です。志望企業が、どの段階を主な事業としているかを、公式サイトで確認しましょう。

新しい設備の設計に関心があるのか、稼働中の設備の改善に関心があるのかを考えると、志望する職種を絞りやすくなります。研究で、新しい手法をつくった経験と、既存の手法を改善した経験のどちらが多いかも、判断の材料になります。

EPCとは

EPCは、設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)の頭文字をとった言葉で、プラントの設計から資材調達、建設までを担う一連の業務を指します(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

契約の形態として使われることもあり、発注者から、これらを一括して請け負う形を指す場合があります。EPCという言葉は、会社説明や募集要項でも使われます。どの範囲を担う職種なのかを確認しておきましょう。

プラント業界のビジネスモデル

エンジニアリング協会は、エネルギー、化学、医薬、食品などの生産設備を、エンジニアリング企業の対象分野として挙げています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。こうした分野の企業が、プラントの主な発注元になります。

また、上下水道の分野では、水道事業は原則として市町村が経営するとされており(出典:水道法(法令外国語訳データベースシステム))、自治体が重要な関係先になります。例えばメタウォーターは、浄水場・下水処理場・ごみ処理施設向けの設備の設計・建設や、運転管理などのサービスを提供しています(出典:会社概要(メタウォーター 新卒採用サイト))。

プラント事業の一般的な流れ

プラントの建設は、計画から試運転まで、複数の段階を経て進みます。段階ごとに、異なる専門分野のエンジニアが関わります。

企業によって区分や呼び方は異なるため、ここでは一般的な流れを紹介します。千代田化工建設は、新入社員研修で、プラントビジネスの基本知識や、受注から遂行までに各部署が果たす役割などを学ぶとしています(出典:人財開発施策(千代田化工建設 新卒採用))。

計画

発注元の企業が、どのような製品を、どの規模で、いつまでに生産するかを検討し、投資計画や実現可能性調査(FS)を行う段階です。

基本設計

化学反応や物質・エネルギーの流れを計算し、プラントの基本となるプロセスや主要機器の仕様、フローシートなどを決める工程です。

詳細設計

基本設計をもとに、機械、配管、電気、計装、土木、建築などの各専門分野が、図面や3Dモデル、調達のための仕様書を作成する段階です。

調達

詳細設計で決めた仕様を満たす機器や資材を、価格、納期、品質を比較して選び、購入する業務です。

建設

機器や資材を現場に搬入し、土木工事、組み立て、配管、電気配線などを、協力会社と連携して進める工程です。

試運転

建設の終了後、実際の運転を始める前に、各機器が正しく動くかや、全体が設計どおりに連動するかを確認します。性能と安全性を確かめたうえで、顧客に引き渡す工程です。

プラント業界の主な種類

プラントは、処理や生産する物質によって、さまざまな種類があります。ここでは、代表的な4つの区分で紹介します。

分け方に公的な統一基準はないため、本記事での整理です。各社の事業内容は、公式サイトで確認してください。

石油化学プラント

石油化学プラントは、原油などから燃料や、化学製品の原料をつくる設備です。精製や分離、反応などの工程を組み合わせた、大規模な設備が特徴です。化学の知識との関わりが大きい分野です。志望企業が扱う製品や、設備の規模は、公式サイトで確認しましょう。

エンジニアリング協会は、化学の分野の生産設備を、エンジニアリング企業の対象分野として紹介しています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。

エネルギー系プラント

電力や燃料など、エネルギーの生産・供給に関わる設備です。千代田化工建設は、LNG(液化天然ガス)や石油などのエネルギープラントを世界各国で建設する総合エンジニアリング会社として紹介されています(出典:当社新卒採用サイトを全面リニューアル(千代田化工建設))。

LNG関連の設備

天然ガスを冷却して液化したLNGを、貯蔵し、必要に応じて気化して送り出すための設備です。極めて低い温度を扱うため、断熱や熱の制御などの技術が求められます。

発電設備

火力、水力、原子力などによって電力をつくる設備で、タービンやボイラー、変電設備などが組み合わされます。

新エネルギー関連の設備

太陽光、風力、地熱、バイオマスなど、再生可能エネルギーを使う発電設備です。タクマは、ごみ処理プラント、水処理プラントとともに、エネルギープラント(バイオマス発電など)のEPCとアフターサービスを手がけています(出典:広報ライブラリ(タクマ))。

環境系プラント

廃棄物の処理や水の浄化、資源の再生など、生活環境を守るための設備です。

水処理の設備

下水や産業排水を処理して、環境に戻せる状態にする設備や、浄水場の設備などです。メタウォーターは、浄水場・下水処理場向けの設備の設計・建設を行っています(出典:会社概要(メタウォーター 新卒採用サイト))。

廃棄物処理の設備

ごみを焼却して処理し、焼却時の熱を発電などに利用する設備があります。タクマは、ごみ処理プラントを事業の一つとしています(出典:広報ライブラリ(タクマ))。

リサイクルの設備

回収した資源を選別・処理して、再び原料として利用できる状態にする設備です。メタウォーターは、上下水道と資源ごみのリサイクルを主体に事業を展開しているとしています(出典:メタウォーター株式会社のプレスリリース(PR TIMES))。

製品系プラント

金属、医薬品、食品など、特定の製品を大量に生産する設備です。エンジニアリング協会は、医薬、食品などの生産設備を、エンジニアリング企業の対象分野に挙げています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。

メスコは、エネルギー・化学・医薬・金属などを、プラントがつくる物資の例として紹介しています(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

プラント業界の主な職種

一つのプラントプロジェクトには、さまざまな専門分野のエンジニアが関わります。ここでは、代表的な職種と役割を紹介します。

職種の名称や役割の範囲は企業によって異なります。例えば千代田化工建設の新卒採用サイトには、職種紹介のページがあります(出典:千代田化工建設 新卒採用サイト)。

設計エンジニア

プラントの設計を担う職種で、プロセス、機械、配管、電気、計装など、複数の専門に分かれます。計算やシミュレーション、図面の作成を通じて、プラントの仕様を決めていきます。

プロセス設計

化学工学の知識を使い、原料から製品をつくるための反応や、熱・物質の収支を計算して、プラント全体のプロセスを組み立てる業務です。

詳細設計

プロセス設計をもとに、機械、配管、電気、土木、建築などの専門チームが、機器の寸法や配管のルート、強度などを、CADや3Dモデルで設計する業務です。

計装設計

温度、圧力、流量などを測るセンサーを選び、そのデータを制御システムに集約して、自動で安全に運転するための制御を設計する業務です。

調達

設計エンジニアが作成した仕様書をもとに、国内外のメーカーから、価格、納期、品質を比較して、機器や部品を購入する職種です。海外のメーカーとやり取りする場面もあります。

設計の仕様を正しく理解したうえで、複数の候補を比較し、条件を調整する力が求められます。技術的な内容を理解する必要があるため、理系の知識が役立つ場面があります。調達の業務範囲や、海外メーカーとのやり取りの多さは企業によって異なるため、募集要項や社員インタビューで確認しましょう。

プロジェクトマネジメント

スケジュール、予算、品質、安全など、プロジェクト全体を管理し、顧客との調整を行いながら、プロジェクトを進める役割です。千代田化工建設は、PM候補の社員に対する選抜育成プログラムを実施しているとしています(出典:人財開発施策(千代田化工建設 新卒採用))。

プロジェクトマネジメントでは、技術の知識に加えて、関係者との調整や、進捗とコストの管理が求められます。設計や施工管理などの経験を積んだうえで担当する場合もあります。志望企業でのキャリアの進み方は、採用ページで確認しましょう。

施工管理

建設の現場で、図面どおりにプラントが組み上がるよう、安全、工程、品質を管理し、施工を行う協力会社と連携する職種です。プロジェクトによっては、現場の事務所に常駐する場合があります。

現場では、多くの協力会社の作業員と連携して作業を進めるため、安全の確保や、状況に応じた判断、分かりやすく指示を伝える力が求められます。研究室で装置を扱った経験は、安全への意識や、設備への理解につながる可能性があります。現場での勤務の頻度や勤務地は、企業やプロジェクトによって異なります。

試運転

完成した設備に、実際に近い条件で流体などを通し、不具合がないか、設計どおりの性能を満たしているかを、段階的に確認しながら調整する職種です。

試運転では、設計の意図や設備の動き方を理解し、問題が起きたときに原因を整理して対処する力が求められます。研究で、条件を変えながら実験し、結果から原因を考えた経験は、こうした場面と通じる部分があります。担当する時期や、現場での勤務の形は、プロジェクトによって異なります。

運転管理

稼働しているプラントを、中央制御室などで監視し、安定した生産を支える職種です。連続して稼働するプラントでは、交替制で勤務する場合があります。

運転管理では、設備のデータや状態を継続して確認し、異常の兆候に早く気づく力が求められます。安全に関わる仕事のため、手順を守ることや、周囲と情報を共有することも大切です。勤務の形態は、プラントや企業によって異なるため、「働き方」の節も参考にしてください。

保全

稼働しているプラントの設備について、状態を点検・診断し、修繕の計画を立てて、故障や停止を防ぐ職種です。

保全では、設備の状態を点検・診断し、修繕の時期や方法を判断します。機械、電気、材料などの知識が活かせる場面があります。業務の内容は企業によって異なるため、募集要項の仕事内容で確認しましょう。

理系大学院生が専門性を活かせるプラント業界の仕事

プラントの仕事には、化学、機械、電気、情報など、さまざまな専攻の知識が活かせる場面があります。千代田化工建設は、学部・学科によって選考上不利になることはないとしています(出典:採用FAQ(千代田化工建設 新卒採用サイト))。

専攻と職種の対応は、あくまで例です。自分の研究内容に近いものを、参考にしてください。

化学系の専攻

化学工学や応用化学で学ぶ移動現象論、熱力学、反応工学などの知識は、プロセス設計や技術開発の業務で活かせる可能性があります。

プロセス設計では、反応や熱・物質の収支を計算し、プラント全体の処理の流れを組み立てます。研究で反応条件や装置の性能を検討した経験があれば、その考え方を説明できるようにしておくと、志望職種との接点を伝えやすくなります。

機械系の専攻

流体機械や材料力学などの知識は、配管、熱交換器、圧縮機、ポンプなどの設計や強度の評価、設備の状態を診断する保全の業務で活かせる可能性があります。

プラントでは、高い圧力や温度で使われる機器が多く、強度や振動、流体の挙動を考慮した設計が必要です。研究で扱った解析手法や実験装置、材料の知識を、どの業務と結びつけられるかを整理しておきましょう。

電気電子系の専攻

電力を多く使うプラントでは、受配電設備の設計や、モーターなどを動かす制御の設計といった、設備の動力に関わる仕事があります。電気や電子の知識が活かせる場面があります。

研究で扱った回路、制御、信号処理などの経験を、設備の運転や監視の仕事とどうつなげられるかを考えてみましょう。計装や制御の分野でも、センサーや制御システムの知識が役立つ場合があります。

情報系の専攻

メスコは、プラントエンジニアリング業界の課題として、デジタル技術によってEPCを強化することを挙げています(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。センサーのデータを活用する仕組みや、制御システムの開発など、情報系の知識が活かせる場面があります。

研究で扱ったデータの解析、シミュレーション、プログラミングの経験を、設備のデータ活用や制御システムの業務とどう結びつけられるかを整理しておくと、志望動機に活かせます。

仮説検証の経験を活かす

研究で行う「課題の整理、仮説の設定、実験、データの検証、原因の考察」という進め方は、設計の確認や、トラブルが起きたときの原因の調査などで活かせる可能性があります。

面接では、研究で立てた仮説、検証の方法、うまくいかなかったときの見直し方を、具体的に説明できるようにしておきましょう。予想と違う結果が出たときに、原因を整理して対応する力は、現場の仕事でも求められます。

研究室での実験経験を活かす

実験装置を調整し、配管をつなぎ、圧力や温度を計測しながら、安全に実験を進めた経験は、現場での安全への意識や、設備への理解につながる可能性があります。

実験の経験を話すときは、装置の扱い方だけでなく、安全のためにどのような工夫をしたか、トラブルが起きたときにどう対応したかも整理しておくと、現場の仕事とつなげやすくなります。研究室での経験は人によって異なるため、自分の経験を振り返ってみましょう。

プラント業界で働く魅力

プラント業界で働く魅力を、社会的な意義と、プロジェクトの規模の2つの観点から紹介します。

感じ方は人によって異なるため、各社の社員インタビューなども参考にしてください。働く魅力を、具体的な仕事の場面で想像してみると、志望動機にもつなげやすくなります。

社会的な意義

プラントは、エネルギー、水、化学製品、医薬品など、人々の生活や産業活動を支える物資の生産や処理に関わります。自分が設計や運営に関わった設備が、社会に必要な物資を支えていることは、仕事のやりがいにつながる可能性があります。

社会への貢献を実感できる場面は、担当する職種によって異なります。社員インタビューで、仕事のやりがいがどのような場面で語られているかを確認すると、イメージがつかみやすくなります。

大規模なプロジェクトに関わる経験

メスコは、エンジニアリング協会の調査をもとに、2023年度のエンジニアリング産業は、受注高25.7兆円、売上高22.8兆円で、いずれも過去最高を更新したと紹介しています(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

プラントのプロジェクトは、規模が大きく、さまざまな国や地域の関係者と連携して進めることがあります。千代田化工建設の新卒採用サイトには、海外の現場での研修の経験を紹介した社員の声が掲載されています(出典:千代田化工建設 新卒採用サイト)。

プラント業界の働き方

やりがいの一方で、転勤、海外勤務、交替制勤務といった働き方や、入社後の育成の仕組みも、気になるポイントです。

ここでは、各社の公式な採用情報や公的な統計で確認できる範囲で、働き方を説明します。内容は企業によって異なるため、志望企業の最新の情報を確認してください。

待遇に関する情報の確認方法

プラント業界に限った公的な賃金統計は、多くありません。参考として、エンジニアリング業は、日本標準産業分類で「学術研究,専門・技術サービス業」などに含まれる場合があります(出典:日本標準産業分類(令和5年7月告示)分類項目名、説明及び内容例示(総務省))。メーカーのプラント部門は、製造業に含まれます。

令和7年賃金構造基本統計調査では、「学術研究,専門・技術サービス業」の所定内給与額(男女計)は440.3千円で、「電気・ガス・熱供給・水道業」に次いで、全産業で2番目に高くなっています(出典:令和7年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省))。ただし、この数値は産業全体の平均で、プラント業界の水準を示すものではありません。

福利厚生は、企業ごとに異なります。例えば日揮ホールディングスのキャリア採用サイトでは、横浜市内に独身寮があり、家賃は月6,100〜14,100円、原則として32歳未満で、通勤2時間以内に自宅がない場合に入寮できると案内されています(出典:福利厚生制度(日揮ホールディングス キャリア採用サイト))。新卒採用サイトにも、独身寮に関する記載があります(出典:福利厚生(日揮ホールディングス 新卒採用情報サイト))。

出張

設計の打ち合わせ、機器の検査への立ち会い、建設の工程に合わせた現地への出張などは、職種やプロジェクトによってあります。

千代田化工建設は、部署によっては海外とのやり取りや、海外現場への赴任があるため、英語力があると仕事が進めやすいとしています(出典:採用FAQ(千代田化工建設 新卒採用サイト))。

出張の頻度や期間は、職種やプロジェクトによって異なります。調達や施工管理など、現場や海外とのやり取りが多い職種については、募集要項や社員インタビューで、働き方の例を確認しておきましょう。

現場駐在

施工管理や試運転、定期的な大規模修繕などを担当する場合、プラントの現場に長い期間駐在する働き方があります。千代田化工建設は、総合職は部署異動によって、海外現地法人、海外建設現場、国内建設現場に勤務する場合があるとしています(出典:採用FAQ(千代田化工建設 新卒採用サイト))。

日揮ホールディングスの新卒採用サイトでは、海外の現場などに駐在している社員に対して、約2か月に1回、約1週間の連続した一時帰国休暇を取得できると紹介されています(出典:福利厚生(日揮ホールディングス 新卒採用情報サイト))。

勤務地

勤務地は、企業や職種によって異なります。千代田化工建設は、入社後の初期配属は、横浜市みなとみらい地区のグローバル本社、または横浜市新子安地区のオフィスで、本社と子安オフィスではリモートワークが可能としています(出典:採用FAQ(千代田化工建設 新卒採用サイト))。

その後、部署異動によって、現場や海外に勤務する場合があります。勤務地の考え方は、各社の採用ページやFAQで確認しましょう。

交替制勤務

連続して稼働するプラントの運転管理などでは、交替制勤務の職種があります。例えば東京ガスエンジニアリングソリューションズのプラントエンジニアでは、操業チームは8日1サイクルの会社スケジュールに沿った交替勤務になると案内されています(出典:職種紹介(東京ガスエンジニアリングソリューションズ))。

交替制の有無や、シフトの組み方、手当は、企業や職種によって異なります。志望する職種について、採用ページや説明会で確認しておきましょう。

夜勤がある場合の手当や休日の取り方は、企業や職種によって異なります。不安がある場合は、説明会やOB・OG訪問で、1日の流れを聞いてみましょう。

若手の育成の仕組み

千代田化工建設は、入社直後に横浜で一定期間の新入社員研修を行い、プラントビジネスの基本知識や語学力の向上を目的とした研修を実施するとしています。プラント建設現場や海外グループ会社に赴いて行う現場研修も、初期研修の一部とされています(出典:人財開発施策(千代田化工建設 新卒採用))。

また、同じ部署の先輩社員が一人ひとりをサポートする「エルダー制度」があります。企業によって制度は異なるため、志望企業の育成の仕組みを、採用ページで確認しましょう。

研修の内容や期間は、企業ごとに異なります。複数の企業を比べて、自分が成長したいと思える環境かを考えましょう。

入社後のキャリアステップ

千代田化工建設は、個々の能力やポテンシャルに応じて、若いうちから責任ある仕事を任せるとしています。積極的な部署異動によって複数の業務を経験し、入社10年で特定分野のプロを目指すと紹介されています(出典:人財開発施策(千代田化工建設 新卒採用))。

キャリアの進み方は、企業や職種によって異なります。社員インタビューなどで、先輩社員の経歴を確認すると、入社後のイメージがつかみやすくなります。

キャリアの進み方を比較する際は、配属の決まり方、異動の頻度、専門性を高める道があるかなどの観点で整理すると、企業ごとの違いが見えやすくなります。

プラント業界を取り巻く動向

プラント業界を取り巻く動向として、脱炭素への対応と、デジタル技術の活用を紹介します。

ここで紹介する動向は、公的機関の資料や各社の情報に基づく一例です。最新の情報は、志望企業の公式サイトで確認してください。

カーボンニュートラルへの対応

脱炭素に向けて、水素やアンモニア、CO2の回収・貯留(CCS)などの技術が検討されています。プラントのエンジニアリング企業にとっても、関連する設備の設計や建設は、取り組みの分野の一つになります。

水素

資源エネルギー庁の資料(2022年12月)では、発電部門で、2030年までにガス火力への30%水素混焼や水素専焼の導入・普及を目標に、混焼・専焼の実証を進めるとしています(出典:水素政策小委員会/アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会合同会議 中間整理(資源エネルギー庁))。

アンモニア

同じ資料では、石炭火力への20%アンモニア混焼の導入・普及も、2030年までの目標として示されています(出典:水素政策小委員会/アンモニア等脱炭素燃料政策小委員会合同会議 中間整理(資源エネルギー庁))。

CCS

CCSは、排出されたCO2を集めて、地中に貯留する取り組みです(出典:知っておきたいエネルギーの基礎用語 CCUS(資源エネルギー庁))。分離・回収や輸送、貯留に関わる設備の設計や建設が必要になるため、プラントの技術が関わる分野です。

デジタル技術の活用

メスコは、プラントエンジニアリング業界の課題として、デジタル技術によってEPCを強化することや、脱炭素などの環境分野への進出を挙げています(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

設備のデータを活用して、故障の予兆を捉えたり、運転を効率化したりする取り組みが進められています。情報系や電気系の専攻の方にとっては、研究経験を活かせる場面があります。

データを扱う技術は、設備の保全や運転の改善など、さまざまな場面で使われます。研究で使った解析手法やプログラミングの経験を、どの場面と結びつけられるかを考えてみましょう。

国内の既存プラントの改修

稼働しているプラントでは、設備を安全に動かし続けるための保全や、改修が継続的に行われています。エンジニアリング協会も、エンジニアリング企業の活動にメンテナンスが含まれることを紹介しています(出典:エンジニアリング協会とは(一般財団法人エンジニアリング協会))。

脱炭素や省エネへの対応のために、既存の設備を改修する取り組みもあります。新しいプラントの建設だけでなく、既存設備に関わる仕事にも、関心を持ってみましょう。

海外のインフラ市場

メスコは、エンジニアリング協会の調査をもとに、2023年度の海外受注が前年比46.5%増の8.1兆円だったと紹介しています(出典:プラントエンジニアリング業界を知る(メスコ 採用サイト))。

海外のプロジェクトでは、現地の関係者と連携して進める場面が増えます。志望企業の海外売上の比率や、海外勤務の機会は、各社のIR情報や採用ページで確認しましょう。

海外のプロジェクトに関心がある場合は、英語を使う場面、海外勤務の期間、サポートの制度を、採用ページで確認しておきましょう。

プラント業界の代表的な企業の分類

志望企業を考えるために、プラントに関わる企業を、4つの分類で紹介します。

分類に公的な統一基準はなく、1つの会社が複数の分類にまたがる場合もあります。各社の事業内容は、公式サイトで確認してください。

企業の規模や、扱うプラントの種類によっても、仕事の内容は異なります。複数の企業を比較して、自分の関心に合う会社を探しましょう。

エンジニアリング専業の会社

プラントの設計、調達、建設などを、主な事業とする会社です。千代田化工建設は、エネルギー・化学・環境分野を中心に、国内・海外でプラントエンジニアリング事業を展開していると紹介しています(出典:千代田化工建設 新卒採用サイト)。

この分類の会社として、日揮ホールディングスなどがあります。日揮ホールディングスの新卒採用サイトには、職種紹介や職種専攻別マトリクスが掲載されています(出典:福利厚生(日揮ホールディングス 新卒採用情報サイト))。

志望企業を選ぶ際は、手がけるプラントの種類と、担当する工程の範囲に注目して、公式サイトの事業紹介を読み比べましょう。

環境分野に特化した会社

水処理やごみ処理など、環境分野のプラントを中心とする会社です。メタウォーターは、浄水場・下水処理場・ごみ処理施設向けの設備の設計・建設などを行っています(出典:会社概要(メタウォーター 新卒採用サイト))。

タクマは、ごみ処理プラント、水処理プラント、エネルギープラント(バイオマス発電など)のEPCとアフターサービスを主たる事業として展開しています(出典:広報ライブラリ(タクマ))。

環境分野では、公共性の高い仕事に関心があるかどうかも、企業を選ぶ際の軸になります。実際の事業内容は、公式サイトで確認しましょう。

メーカーのプラント部門

重電、機械、鉄鋼などの分野のメーカーの中には、自社の製品や技術を活かして、プラントの事業部門を持つ会社があります。

メーカーのプラント部門は、日本標準産業分類では製造業に含まれます。志望する会社に、プラントに関わる部門があるかは、公式サイトの事業紹介で確認しましょう。

メーカーのプラント部門を志望する場合は、会社の主力の製品や技術が、プラントの中でどのように使われているかを調べておくと、志望動機に具体性が出ます。募集要項で、配属先がプラント部門かどうかも確認しましょう。

ユーザー系のエンジニアリング会社

化学、石油精製、鉄鋼などのメーカーを親会社とする、エンジニアリング会社です。親会社の工場の運転や保全の経験を活かして、プラントの建設や保全を行う会社があります。

会社ごとに、事業の範囲や、親会社との関係が異なります。志望する会社の公式サイトで、事業内容や社員の働き方を確認しましょう。

ユーザー系の会社を志望する場合は、親会社の事業とのつながりや、親会社の工場に関わる仕事の有無を、会社の紹介ページで確認しておきましょう。担当するプロジェクトの範囲は、会社によって異なります。

理系院生がプラント業界を目指す際の就活のポイント

プラント業界を目指す際に、理系大学院生が準備しておきたいポイントを紹介します。

志望する職種や企業によって準備の中身は異なるため、自分に必要なものを選んで取り入れてください。

早い段階から、研究内容の整理と、企業研究を並行して進めておくと、選考の準備がしやすくなります。

研究テーマを実務の課題と結びつけて伝える

大学院での研究内容が、志望企業のプラントとそのまま合致するとは限りません。大切なのは、「どのような課題に対し、どのような仮説を立て、どのような方法で検証し、うまくいかないときにどう考えて修正したか」という研究の進め方を、分かりやすく伝えることです。

課題の捉え方、検証の進め方、修正の仕方は、プラントのトラブル対応や、設計の確認といった場面にも通じます。研究内容の言語化に不安がある場合は、院卒出身のアドバイザーが研究内容の言語化やES添削をサポートする、アカリク就職エージェントを活用する方法もあります。

関係者と協働する力を示す

プラントの建設は、発注者、協力会社、海外のメーカー、複数の設計チームなど、さまざまな関係者の意見を調整しながら進める仕事です。千代田化工建設は、選考で、多様なステークホルダーとコミュニケーションを取ることに意欲的な姿勢を重視しているとしています(出典:採用FAQ(千代田化工建設 新卒採用サイト))。

研究室での共同研究、プロジェクト活動、アルバイトなどから、相手の立場を尊重しながら合意をつくった経験を、具体的なエピソードとして整理しておきましょう。

プラント業界に関連する資格

必要な資格は、職種や企業によって異なります。資格が必須かどうかは、志望企業の募集要項で確認しましょう。

在学中に取得できる資格や、学習を進めている資格があれば、学ぶ姿勢を示す材料にもなります。

技術士補

技術士第一次試験は、公益社団法人日本技術士会が指定試験機関として実施しており、受験の案内は文部科学省が公表しています(出典:技術士第一次試験の実施について(文部科学省))。この試験に合格すると、技術士補となる資格が得られます(技術士制度の概要は日本技術士会で確認できます)。

施工管理技士

施工管理技士の技術検定は、令和6年度以降、1級の第1次検定は、年度末時点で19歳以上であれば受検できるようになりました(出典:「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」等の公布(国土交通省))。管工事施工管理技士や電気工事施工管理技士など、種目ごとに検定があります。

危険物取扱者

危険物取扱者のうち、甲種は、大学などで化学に関する学科を卒業している場合などの受験資格が必要です。乙種と丙種は、受験資格の制限はありません(出典:危険物取扱者試験 受験案内(群馬県))。

英語力の証明

海外のメーカーや現場とやり取りする場面があるため、英語力は役立ちます。千代田化工建設は、英語研修などを活用しながら、入社後に英語力を伸ばしていけるとしています(出典:採用FAQ(千代田化工建設 新卒採用サイト))。

TOEICなどのスコアが募集要項に示されている場合があります。必要なスコアは企業によって異なるため、志望企業の要件を確認しましょう。

志望動機の組み立て方

志望動機は、「なぜプラント業界なのか」「なぜその企業なのか」「入社後にどのような職種で、どう成長したいのか」の3つの順に整理すると、組み立てやすくなります。

「なぜその企業なのか」は、専業のエンジニアリング会社、環境分野に特化した会社、メーカーのプラント部門など、分類ごとの違いを調べたうえで、自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。研究で培った専門知識や行動の特徴を、志望する職種の仕事と結びつけて話すと、伝わりやすくなります。

まとめ|理系の専門性を活かしてプラント業界でのキャリアを考えよう

プラント業界は、エネルギー、化学、水、医薬品などの設備を、設計から建設、運転、保全まで担う分野で、化学、機械、電気、情報など、さまざまな専攻の知識を活かせる場面があります。

志望する職種や企業の働き方は、公式な採用情報や、社員の声で確認し、自分の研究経験をどの仕事に活かしたいかを整理してみてください。研究内容の言語化や企業選びに迷ったときは、アカリクのスカウトサービスや就職エージェントも活用してみましょう。

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株式会社アカリクの20年以上にわたる大学院生・ポスドク・研究者のキャリア支援活動の中で得た知見やデータをもとに、編集部員が記事を執筆しています。

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