英語論文の執筆に役立つ表現や注意すべき表現を解説!

研究・大学生活

研究者たるもの、研究を通して得られた成果を学術誌に投稿し、世界に発信する責務があります。

今回の記事では、学術誌に投稿する英語論文の執筆に役立つ表現や注意すべきポイントについて解説していきます。

この記事を読んで皆様の論文執筆に役立てていただけると幸いです。

今回の記事では英語論文を構成する、「序論」、「実験材料/方法」、「結果」、「考察」の4つのパートに分けてそれぞれのパートで役に立つ表現をまとめていきます。

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序論を書くときに役立つ表現

まず始めに、序論を書くときに役立つ表現を解説していきます。

序論とは論文の冒頭のパートであり、

  • 研究背景
  • 先行研究に不足する点・課題
  • 研究目的

について触れ、読者を自分の研究内容に引き込む役割があります。

それぞれの内容を英語で表現する際に役立つ表現を見ていきましょう。

研究背景を説明する表現

研究背景では、既知の事実やこれまでの研究から既に明らかとなっている事柄について触れていきます。

情報の確かさに応じて以下の表現がよく使われます。

<当該の研究領域での常識に近いような事実>

  • it is well-known that … (…であることがよく知られている)
  • it has long been known that … (…であることが長く知られている)

<主張の一致した報告がいくつかあるような場合>

  • it is considered that … (…であると考えられている)

<報告はあるが数は少ない場合(1,2報程度)>

  • it is reported that … (…ということが報告されている)

線引きが難しい部分であり判断に困ることもあるかと思います。

その場合は、先行研究の論文を読み、どのような表現が使われているのかを確認することをお勧めします。

研究における課題や不足する点を述べる表現

次に、先行研究における課題や不足する点を述べる表現を紹介します。

例えば、

  • Few reports are available on … (…に関する報告はほとんどない)

とすることで、ある事柄について研究があまり進んでいないことを表現できます。

また、

  • … remain to be clarified (…は解明されていない)
  • … remain subject to debate (…は議論すべきテーマとして残っている)

とすることで、未解明の点について問題提起することができます。

研究の目的を述べる表現

研究背景と課題を述べた後に、自身の研究の目的を述べます。

研究目的はto不定詞を使うことで表現することができます。

  • We did … to clarify〜 (私たちは〜を明らかにするために…をおこなった)
  • the purpose of this study is to do … (この研究の目的は…することだ)

といった表現を使うことができます。

実験材料・実験方法を書くときに役立つ表現

序論の後には実験材料・実験方法のセクションが続きます。

このセクションでは、読んで字のごとく、研究で使用した試薬や細胞・動物、実験の手順について書きます。

読んだ人が実験を再現できるように具体的に丁寧に書く必要があります。

注意点として、実験材料・実験方法は過去形で書きます。

論文内で実施したこと(過去のこと)について書くからです。

測定単位の記述方法で注意すべき点

実験材料・実験方法では使用した試薬の濃度や曝露時間などの数値情報を記載していくことになります。

ここでは、その際に注意すべきポイントを2点説明します。

1つ目は数字と単位の間にスペースを空けるということです。

例えば、「100mm」や「3kg」ではなく、「100 mm」や「3 kg」というように、数字と単位の間にスペースを空けましょう。

ただし、パーセント(%)を記述する際には、スペースは不要であるとする論文誌も多いため、「50 %」ではなく、「50%」とします。

このような例外は、パーセントの他にも角度の度数(°)や、時間を表す分(’)、秒(”)などがあります。

2つ目に注意するべきポイントは摂氏(°C)などの特殊文字を記入する方法です。

特に、英語論文で記述する際には全角の特殊文字「℃」(「ど」と入力して変換した文字)にならないように気をつけましょう。

武田・石井(2017)によれば、英数字専用フォントを用いることで半角英数字に変換できることもありますが、環境によってはうまく変換されないこともあるようです。

その場合の代替案としては、アルファベットの小文字の「o」を上付き文字とアルファベットの大文字の「C」を並べることで「oC」を表現します。

ただし、これらの測定単位の記述方法の規定は、実際には投稿する論文誌によって異なるため、必ず投稿予定の論文誌の投稿規定をご確認ください。

参考:武田 湖太郎・石井大典 (2017) 「論文を書くときの注意点」脳科学とリハビリテーション 17巻 

結果を書くときに役立つ表現

続いて、結果を書く際に役立つ表現を紹介します。

結果では、論文内で実施した実験結果を文章として記述します。

論文では図を載せますが、図はあくまで結果の理解を助けるものです。

図だけでは結果の説明として不十分であり、文章として記述して初めて意味を成します。

そのため、図として載せるものに関しては必ず文章で説明することが原則となります。

また結果では、ある処置により値が増えた・減ったことを記述することが多いですが、その際は、具体的な数値として記述します。

単に増えた・減っただと主観的な解釈が混じるため、可能な限り客観的な指標を用います。

結果も、実験材料・実験方法と同じく過去形で記述します。

結果の基本的な書き方は、

  • ZZZという目的でXXXをおこなったところ、YYYであった。
  • XXXの結果、YYYであった。

となります。

例えば、

To clarify the ability to do…, we performed XXX. As a result, YYY.

(…する能力を明らかとするために、我々はXXXをおこなった。その結果、YYYであった。)

The result of XXX showed that YYY. 

(XXXの結果、YYYであった。)

というような書き方が基本型となります。

基本的な書き方で示した、ZZZに該当する部分で使える表現として、

  • To ask whether …, (…であるかどうかを確かめるために)
  • With the expectation that …, (…であることを期待して)

などもあります。

また、同じ表現ばかりが使われている論文は、チープな印象を与えかねないので、いろいろなパターンを覚えておくことをおすすめします。

YYYに該当する部分でよく出てくる表現としては、increase/decrease (増加する/減少する)があります。

これに、significantly (顕著に) を修飾語として入れることで、

  • A was significantly increased/decreased. (Aは顕著に増加した/減少した)

とすることができます。

あるいは、high/lowという単語を使って、

  • A was significantly higher/lower in XXX than those observed in YYY. 

(AはYYYと比べてXXXで顕著に高い/低い)

とすることも可能です。

考察を書くときに役立つ表現

結果の後には考察が続きます。

考察では、その実験や調査で得られた結果から導かれる主張を述べたり、研究の応用可能性、あるいは研究の限界や今後に向けた課題などを記述します。

得られた結果から導かれる主張を書くときに使う表現

結果から導かれる主張を記述する際には、suggest(示唆する)やspeculate(推測する)という単語を使うことができます。

簡単な例として、

  • This result suggested that … 

(この結果は…ということを示唆している。)

と書くことができます。

あるいは、少し表現を弱めて、

  • Although we cannot state so categorically, it can be speculated that …

(断定的に言うことはできないが、…であると推測できるかもしれない。)

とすることもできます。

現研究での限界やさらなる研究の必要性を述べる表現

研究の現時点での限界や今後の課題を述べる際には、以下の表現を使うことができます。

  • It should be mentioned that … (…ということを述べなけらばならない)
  • It should also be borne in mind that … (…ということも頭に入れておかなけらばならない)
  • A is needed to be addressed in future studies. / A should be pursued.
    (将来の研究でAに取り組む必要がある。/ Aを追い求める必要がある。)

研究の応用可能性を述べる表現

研究成果の応用可能性を述べる際には、apply(応用する)やlead(導く)という単語を使って以下のように表現することができます。

  • Our newly developed method can be applied to XXX. (我々が新たに開発した方法は、XXXに応用できるかもしれない。)
  • Our results could eventually lead to XXX. (我々の結果は最終的にXXXにつながるだろう。)

まとめ

今回の記事では英語論文の執筆に役立つ表現や注意点についてまとめました。

序論、実験材料・実験方法、結果、考察のそれぞれのセクションごとに記述すべき内容があることにも触れてきました。

簡単におさらいすると、

  • 序論では、研究背景・先行研究の課題・研究の目的を記述する
  • 実験材料・実験方法では、単位に注意が必要
  • 結果は、数値ベースの客観的指標を使って過去形で記述する
  • 考察では、自身の主張・今後の課題・応用可能性について述べる

それぞれのトピックについて英語で表現する際に役立つ表現を紹介しました。

この記事の内容が皆様の役に立てば幸いです。

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アカリクリポーターズとは、大学院生としての経験や知識を「リポート」するライター集団です。全員大学院在籍経験があり、これまでの研究経験や知識を活かして、大学院生の皆様に役立つ情報をお届けしています。専門分野は工学・化学・生命科学・心理学・社会学等様々です。

【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
博士号所持者/博士課程在籍経験のある編集者が監修しています。

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