学部生と大学院生の数を比較すると、もちろん大学院生の方が少ないのですが、どれくらい少ないのでしょうか?また、専攻する分野によってどの程度異なるのでしょうか?政府が毎年行っている「学校基本調査」の最新データを分析してみました。
(本記事は2021年6月14日に更新されました)
学部生と大学院生の割合
「大学院生はレア・珍しい」ため、企業側にも大学院の実情について知らない方が多く存在します。では、実際にどれくらいレアなのでしょうか?
文部科学省が毎年行っている「学校基本調査」には、現在日本国内にどの程度学生がいるのか、またその内訳はどうなっているのか、調べた結果が統計データとして公開されています。今回はその最新データである令和2年度版を見ていきましょう。
日本国内の学生のうち、大学生・大学院生(修士課程・博士課程)の内訳は以下のグラフのようになりました。
なんと、全体の9割以上が大学生(学部生)であり、修士課程は5.6%、博士課程に至っては2.6%しかいないことがわかりました。自分が大学院生だと、周りに他の大学院生がいますので、あまり自分がレアだと感じることは少ないかもしれませんが、一般的に見て、大学院生はまだまだレアであることがわかります。
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分野別に見た学士・修士・博士課程の学生数
次は、学士・修士・博士それぞれの課程に在籍する学生が、どの専門分野に所属するのかを見ていきましょう。学士課程は以下のようになっています。
圧倒的に社会科学の人口が多いことがわかります。また、一般的に「文系」と呼ばれる人文科学・社会科学・教育学分野を足し合わせると、約6割を占めることがわかります。学士課程においては、文系の方が学生数が多いのですね。
では、大学院生の修士課程はどうでしょうか。
修士課程になると、学士課程で約6割を占めていた文系が一気に減ってしまい、工学分野が4割を占める内訳になっています。
このような状況ですと、一般の方も工学系の修士課程院生に触れる機会が多く、「大学院生修士と言えば、工学系!」という認識が強まってしまうことは否めません。
学士課程では大多数を占めていた文系学生は、大学院生になった途端に少数派になってしまうため、一般の方々に自らの立場を伝える際には、より具体的・効果的に伝える必要があるといえます。
それでは最後に、博士課程の大学院生数を分野別にみてみましょう。
今度は保健学が圧倒的大多数になってしまいました。
元々母数が少ない博士課程の学生ですが、その中でも半数は保健学を専攻している方々であることがわかりました。
修士課程では多かった工学分野の方も2割程度になり、文系博士課程学生は修士とほぼ変わらず、2割程度になっています。
博士課程は、母数が非常に少ないこともあり、企業側も「博士課程は何をするところで、どのような能力を博士は持っているのだろう」と常々感じています。
博士の場合は、自身の研究が修士のときよりもさらに深く、狭い対象になっていることが多いです。
そのため、就職活動などの一般の方々と話す際は、専攻分野にかかわらず「一般向けに研究を語る」テクニックにより磨きをかける必要があります。
【参考】
研究を一般向けに語る際に気をつけていること
いかがでしたでしょうか。自分について客観的に知りたい場合は、周りの様子を調べてみることから始めるのも第一歩です。学校基本調査には他にも様々なデータが含まれていますので、ぜひご覧になってみてください。
【参考】
文部科学省 学校基本調査
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