実験や研究、後輩指導や学会の準備等、ただでさえ多忙を極める大学院生にとって、大きな壁の一つとなるのが就職活動です。
就職活動を進める中で漠然とした不安を抱え、「なぜこんなにつらいのだろう」「つらいと感じたときはどうしたら良いのだろう」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
中には、研究などと就職活動の両立の困難さから心や体の調子を崩してしまう人もいます。
では、つらい気持ちを切り替えて内定を目指すためにはどうしたら良いのでしょうか。
この記事では、就職活動が辛いと感じる大学院生ならではの理由と、その対処法についてご紹介していきます。
就活がつらいと感じる人は多い
就活生や、就活を経験した社会人の多くは、就職活動に不安を感じたり、もう就職活動をしたくないと思ったりしています。
不安や「もう就活をしたくない!」という気持ちを抱えてしまう理由は人によって様々ですが、代表的なものとしては
- 自分のやりたいことがわからない
- 優秀な人と自分を比べて劣等感を抱いてしまう
- 面接でうまくいったと思ったのに不採用通知をもらってしまった
- 新型コロナウイルスの影響で志望していた業界へ入るのが難しい
などが挙げられます。
就活生であれば誰でも当てはまってしまう可能性のある上記のような理由に加え、大学院生が就職活動をつらいと感じてしまうのには、他にも理由がある場合があります。
次の章では、大学院生特有の理由について見ていきます。
大学院生にとって就活がつらいと感じる理由4選
多くの就活生や就職活動経験者が就活に対してつらいという気持ちを抱いています。
それは、世間一般ではかなりレアな存在である大学院生にとっても同じことです。
しかし、大学院生が就活をつらいと感じる理由には、一般的なものに加え、大学院生特有のものもあります。
この章では、大学院生が就職活動をつらいと感じる代表的な理由を4つご紹介します。
就活と研究の両立が難しいから
大学院生の本業である研究と就職活動を両立しようとすると、かなり多忙であるというのが実態です。
研究室によっては平日に毎日8時間程度のコアタイムが設定されており、学会や研究発表の日程が近づくと普段以上に時間をかけて作業を行う必要があります。
また、土日や平日の夕方以降にアルバイトをしている人もいます。
このように、普段から平均的な学部生等に比べて忙しい生活をしている大学院生にとって、就職活動をスケジュールに組み込む余裕がほとんどありません。
平日の昼間に行われるインターンシップや説明会に参加するのが難しい場合もあります。
加えて、学生の就職活動にあまり理解がなく、研究より就職活動をしようとするといい顔をしない教授もいます。
これらのことから、就職活動と研究の両方を全力で行うことが難しく、心身ともに疲れてしまい、つらいと感じてしまう大学院生がいます。
求められるレベルが高く、プレッシャーを感じるから
企業によっては修士卒・博士卒の初任給を学部卒と比べて高く設定している場合があります。
その場合は特に、学部卒見込みの就活生よりも「優秀であること」が求められます。
大学院での研究分野の知識を活かせる業界を志望する場合は、大学院で身に着けた専門性をそのまま就職活動に活かすことができます。
一方、大学院での研究と異なる分野の業界を志望する場合にも、「学部生ではなく、大学院生であるあなたに内定を出す理由」を企業に与えなくてはなりません。
これが難しいと感じて自信を失ったり、プレッシャーに感じてしまう大学院生がいます。
ちなみに、大学院での専門に近い分野の企業等に就職を希望する場合も、異なる分野の業界を志望する場合にも、就活において「大学院でどのような研究をしてきた(している)のかを分かりやすく説明してください」と言われることがよくあります。
筆者も実際に面接担当者に「小学生でもわかるように教えてください」と言われました。
この質問では、「研究内容を分かりやすく人に伝えるコミュニケーション能力があるかどうか」も見られています。
専門用語を連発せず、全くその分野の知識がない人も分かるように研究内容を伝える練習を行っておくとよいでしょう。
周りに就活仲間が少なく、孤独を感じるから
学部生の場合はサークルの仲間や同じ授業をとる友人たちと情報交換や進捗状況の報告を行いながら就職活動を進めるという人が多いでしょう。
しかし大学院生は、普段研究で忙しいということもあり、周囲に自分と同じ時期に就職活動を進める仲間と知り合う機会が少ない傾向にあります。
就活仲間が同じ研究室に所属している同期の数人、もしくはいないという場合もあります。
そのため、他の就活生の状況が全く分からず必要以上に焦りを感じてしまったり、相談をできる相手がおらず不安や孤独を感じてしまったりする人がいます。
情報が少なく、正解がわからないから
そもそもの人口が学部生と比べてかなり少ないということもあり、大学院生向けの就活情報は学部生へのものに比べて少ないのが現状です。
同じ大学院生でも、専門分野によって就活に割くことのできる時間の長さや就職先の業界、普段のスケジュールが大きく異なるため、自分に合った情報を探すのに一苦労という場合も多くあります。
そのような中、元々万人にとっての「正解」が存在しない就職活動に挑み、「自分はどうしたらいいのだろう」と悩んでしまう人もいます。
就活がつらいと感じたらやるべきこと
前章では、大学院生が就活をつらいと感じる理由についてお伝えしてきました。
普段研究に没頭している大学院生だからこそ感じてしまう不安感やつらさがあるということをお分かりいただけたのではないかと思います。
では、就職活動を行っていてつらいと感じる場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
この章では、就職活動お行っていてつらいと感じる場合の対処法を4つご紹介します。
自分の状況に合っていると思うものを選んで、実行してみてください。
なお、眠れない、食欲がないなど、就活への不安感やストレスから体調に支障が出ているという場合は無理をせず、十分な休息をとったり、医師に相談したりしてください。
一度就活から離れ、気分転換をする
1つ目の対処法は、一度就職活動から離れてみて、気分転換をすることです。
就職活動をしていると「早く内定を貰わなくては」と焦ってしまう人もいますが、就職活動は早く決まった者勝ちのゲームではありません。
モヤモヤとした気分で就職活動を続けるよりも、
- 人と話す
- 映画を見る
- ランニング等で体を動かす
このような方法でリフレッシュし、気持ちを新たにしてから就職活動を再開すると、うまくいくこともあるでしょう。
就活仲間を作る
2つ目の対処法は、普段の研究生活で関わるコミュニティーのメンバー以外に就活仲間を作ることです。
お互いに励ましあったり、スケジュールや面接対策などの情報交換を行ったりすることで、多少安心して就職活動に臨むことができるようになります。
また、仲間が頑張っている姿を見て「自分も頑張ろう」と思うきっかけになったり、苦戦している姿を見て「皆大変なんだな」と知るきっかけになったりして、自分を客観的に見やすくなるというメリットもあります。
就活仲間を作るには、企業や大学、学生団体等が主催する就活イベントへの参加や、SNSでの交流などの方法があります。
なお、特にSNSでは、他の就活生の内定報告などがつい目に入り、焦りや劣等感を感じてしまう可能性もあるため、注意して利用することをお勧めします。
キャリアセンターや教員に相談する
3つ目の対処法は、大学のキャリアセンターや就職課、大学の教員に話してみることです。
大学のキャリアセンターや就職課では、キャリアに関する相談や面談、エントリーシートの添削、就活イベントの開催などが行われており、修士・博士の学生も気軽に参加することができます。
また、大学の教員も、これまで数多くの学生や研究員、企業の人等と接してきた経験から、アドバイスができたり、何らかのつながりを持っている場合があります。
就職活動に協力的な教員が身近にいる場合は、声をかけてみるとよいでしょう。
ちなみに筆者も、ゼミの指導教員に就職活動の相談をしてみたら、ゼミのOBOGの就職先を教えてくれたり、連絡先を教えてくれたりしたという経験があります。
一人で頑張るのではなく、「頼れる人には頼り尽くす」という気持ちで色々な人に相談してみると、新たな発見やチャンスが得られるかもしれません。
就活に没頭する
最後にご紹介する対処法は、就活のみに集中する期間を設け、その期間は就活に没頭することです。
研究の進捗が個人に任されている場合に限りますが、しばらく研究を中断またはペースダウンして就職活動に専念することで、
- 就職活動の期間を長引かせずに済む
- 研究も就活も中途半端になる状況を避けられる
- 短期集中的に数をこなすことでES作成や面接に慣れ、通過率が上がる
- 選考結果等についてあれこれ考えてしまう時間を減らせる
といったメリットがあります。細く長く続けていると余計に精神的によくないと感じる人は、この方法をとってみると良いでしょう。
まとめ
この記事では、
- 就職活動をつらいと感じている人は沢山いること
- つらいと感じる理由は人それぞれだが、大学院生には特有の理由もあること
- 就活がつらいと感じたときに、どのように対処するべきか
についてお伝えしてきました。
記事内でも述べた通り、就職活動は早く内定をもらうことがゴールではありません。
自分に合ったやり方を見つけ、自分のペースで進めていってください。