大学生の就活と、博士課程の大学院生の就職活動(以下、就活)は、どのように異なるのでしょうか? 同じ新卒としての就活のはずですが、扱いや動き方、それに伴いスケジュールも大きく異なってきそうです。本コラムでは、大学生(学部生)と博士課程の大学院生(特定の分野を想定していません)を比較して、それぞれの就活の特性や違いを挙げていきたいと思います。
なお、私自身は大学時代も博士院生の時も、新卒としての就職活動はほとんどしていないため、会社員として見ている部分を元に記述しています。そのため、ここ数年の状況がベースとなっています。
【大学生の場合】
大学生の新卒としての就活は、規模がとても大きくなります。大企業は何百人もの新卒を採用するために何万人もの応募を捌いていく必要があるので、効率よく評価をするために、企業側で採用スケジュールを決めて、学生側がそれに従う形になります。学生は入りたい企業が定めたスケジュールにあわせて動くしかありませんので、どうしても大学の授業その他を犠牲にすることになります(これは問題になっていますね)。裏を返せば、授業を休むことができれば日中も就活の時間が取れる、ということになります。
また、これまでは経団連による採用選考指針により、新卒採用の開始時期が定められていましたが、現行ルールは暫定的に22卒までとなっており、その後の方針は現時点では定まっていないようです。この現行ルールはそもそも経団連に加盟していない企業には関係がないので、これらの企業は自由に採用を進めていますし、特に強制力が無いため加盟企業でも守っていないなど、形骸化が進んでいます。
そのため、今後は新卒採用がどんどん前倒しになる可能性が出てきます。その分、学生側が就活をする時期を決められるようになれば、大学生活を圧迫される必要が無くなってくるように思います。学生側の負担が少ない就活形態が推進されるべきですし、学業を尊重する企業が学生側からも高く評価されるような風潮ができるとよいと思います。
【博士院生の場合】
博士課程の大学院生が3年で課程を修了すると考えると、就活の時期は博士論文の執筆に集中したい時期になってしまい、一番頑張らなければならない時期が、就活と重なってしまいます。ただ、民間企業で多くの博士卒人材を採用しているところは、研究機関以外はまだ少ないのが現状です。学部生と同じような規模で、修士卒の大学院生を多数採用する企業は、効率化のために会社でスケジュールを切って一括採用を進めていますが、そうでないところは規模が小さいため、通年採用としている場合が多いように思います。そのため、採用スケジュールが決まっていない場合には、学部の就活よりずっと先に就活が終わるケースもあり得ます。遅くとも、内定式が行われる前年の10月までには間に合わせたい、と思う企業が多いかと思います。よって、博士課程の間に企業への就職を考え始めた場合は、なるべく早く動き始めるのをおすすめします。博士卒の院生の採用経験が薄い企業の場合は、インターンとして少し働いてみて、自分との相性を見てみるのもおすすめです。
院生を採用してみたいと思っていても、大々的に募集しているわけではなく、採用情報サイトのみでこっそり募集しているところもあります。その場合は、その情報をもっている採用支援機関に連絡を取るのが最も早く、その機関が企業へ繋いでくれます。興味があるけれど採用情報が一切見つからない場合は、思い切って直接企業へコンタクトを取ってみるのも一つの手です。採用をしていなければその旨を教えてくれると思いますし、適切な窓口が他にある場合は、紹介してくれるはずです。
[文責・平田 佐智子(博士(学術))]
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