研究概要を書かなければいけなくなった学生の方は「どうやって書けばいいの?要点をおさえてきちんと書きたい。」と思うことがあるのではないでしょうか。
大変な作業をこなさなければいけないと感じるかもしれませんが、ポイントを押さえればそこまで難しいものではありません。
本記事では、研究概要を作る際に知っておきたいことや注意点、書き方の流れについて大学院生&理系学生に特化した就活サイト「アカリク」のアカリクリポーターズがまとめました。
紹介する内容に基づいて作成すれば、読み手に評価される研究概要に仕上がるはずです。これから研究概要を作成しなければいけない方は、ぜひ参考にしてください。
研究概要書とは
「そもそも研究概要って何?」と考えている人のために、研究概要書とはどんなものなのか、どんなシーンで必要となるのかなど基本的な情報を解説します。
研究の全体像を簡潔にまとめたもの
研究概要書とは、学生が大学・大学院に在学中に専攻していた研究に関する全体像をまとめたものです。特に理系の学生に必要とされ、どのようなテーマで研究をして、成果はなんだったのか、またそこから何を得たのかを簡潔に記載します。
特に大学院生は就活などに用いることも多い
大学院生の場合、就活において企業から研究概要の提出を求められることが多くあります。エントリーシートと同じように、企業が学生の能力や伝達スキルなどを見るために必要となるためです。ただし就活の場合は、同じ分野を専攻していた人が研究概要を読むとは限りません。
そのため相手に伝わりやすく、専門外の人でもわかるような内容にすることが大切になります。また研究に関する内容だけでなく、就活において求められるポイントを盛り込むことも重要です。
研究概要書の主なタイプ
研究概要書にはいくつか形式があり、提出先の企業が指定するフォーマットがあったり、自分たちで自由に記述したりするなど様式はさまざまです。よくあるパターンを項目に分けて解説します。
文字のみで書くタイプ
まずは文字のみで記述するタイプです。A4用紙などに内容を記していくため、字がずらっと並ぶことになり、構成や文章の論理がしっかりしていることが問われます。文字のみの場合はMicrosoft Wordなどに記すことになるので、大学院などで記述している論文に似たようなイメージを持つ人もいるかもしれません。
PowerPointでまとめるタイプ
2つ目はPowerPointでまとめるタイプです。PowerPointの場合は、グラフやイラストを入れやすく見やすい資料が作りやすくなります。ただ、色使いやフォントのデザインなどを派手にしすぎると逆に見づらくなるので注意が必要です。学会などのプレゼンテーション資料をイメージすると作りやすいでしょう。
しかし実際に研究概要を読む人に直接説明できるわけではないので、資料を見ただけで内容が伝わるようにしなければいけません。
自由形式タイプ
3つ目は自由形式タイプです。フォーマットを問わず、学生が使いやすいソフトで資料を作ることになります。この場合はWordやPowerPointを使うことが一般的ですが、相手にとって読みやすいものであれば別のソフトを利用しても問題ありません。
自由形式の場合は、企業側は学生の個性を見ていることが多く、派手すぎたり特殊すぎたりする場合はマイナス評価になる恐れがあります。形式に迷った場合は、WordやPowerPointのどちらかにすることをおすすめします。
研究概要書は提出先によって書き方が異なる
このように、研究概要書は提出先の指示によって書き方が異なります。どのフォーマットであっても書けるように、それぞれのソフトはきちんと使えるようにしておいてください。また文字数やフォントも指定されるケースがあり、その場合は企業が定めたルールに従い作成することになります。
いずれにしろ、企業の指定によって様式は変わり、もし指定がない場合でもビジネスシーンを想定したフォーマットにするのが望ましいといえるでしょう。何を使えばいいかわからない人は、Microsoft WordでA4用紙にまとめることをおすすめします。
研究概要書で相手が知りたいこと
研究概要書は就活で企業に出すことがほとんどです。では、企業の担当者は研究概要書を読んで何を知りたいのでしょうか。作成する際に盛り込むべき内容を知るために、企業に見られることをチェックしましょう。
どんなことをしたどんな人なのか
最初に見られているのは「この学生はどんなことをしたんだろうか?」ということです。企業の担当者は学生のことを全く知らない状態ですから、どの分野を専攻していて何について研究したのか、基本的な情報を知る必要があります。
そのうえで、研究においてどんな成果を上げたのかを見ています。たとえば論文が大きく取り上げられてメディアに掲載されたり、他大学と共同研究を行うことになったりするなどです。大きなことでなくても構いませんので、どんなことに取り組み何を生み出したのかを書くと、企業の担当者に自分の情報が伝わりやすくなります。
理論的なまとめ力
次に見られているのは理論的にまとめる力です。文章と面接に共通することですが、ロジカルに意見や考えを伝えられる人は、企業にとって重宝されます。自分の話したいようにダラダラ続けてしまったり、何が言いたいのかわからなかったりすると、ビジネスの場では「時間を浪費している」と捉えられるからです。
そのため研究概要書においても、理論的に内容をまとめることは必須です。最初に結論を述べて、その後に根拠や具体例を述べること。そして一文一文が簡潔でありわかりやすくまとめっていることが大切になります。文章のまとめ方に不安がある人は、ロジカルな文章の書き方に関する書籍などを読んでみると、基本的な知識を習得できるでしょう。
問題解決能力
最後に大切なのは問題解決能力です。会社では、顧客が抱えているニーズや社内にある問題を見つけて解決していくことが売上拡大につながります。したがって、研究概要においても「この学生は研究を通して問題を解決してきたのか?そのスキルがあるか?」に焦点が置かれます。
たとえば研究の進め方にミスがあり、解決できる仕組みを整え、新しい研究を無事に終えられたなど、研究をするにあたってぶつかった壁を乗り越えたエピソードを盛り込むとよいでしょう。またその時に何を考えて新しい行動を取ったのか、根拠もあわせて記載すると、より自身のスキルをアプローチしやすくなりますよ。
研究概要書でNGなこと
研究概要書はただ自分のあげた成果や頑張ったことを書けばいいわけではありません。要点を押さえずに長く書いてしまうことや、読み手を意識していない文章は内容をすべて読む前にマイナスの評価になってしまいます。書いてはいけないNG例をまとめましたので、以下の点に当てはまっていないか注意しながら作成に入りましょう。
要点を押さえずに長くなる
気を付けたいことの1つとして、要点を押さえずにダラダラ書いてしまうことがあげられます。ビジネスでは、結論を最初に述べることが基本です。各段落では相手に伝えたいことを最初に述べ、その後に理由・具体例を記述しましょう。
また一文が長すぎると言いたいことがわからなくなるので、長文になりすぎないよう注意してください。文章が長くなりすぎないためには、一度書いた内容を時間を置いて見直してみることをおすすめします。見直すことでわかりづらい部分に気づきやすくなり、読者に要点が伝わる研究概要を作ることができますよ。
自己満足で書く(読み手を意識していない)
次に注意したいのは、読み手を意識せず自分の書きたいことを述べてしまうパターンです。たしかに研究概要は自分が頑張って取り組んだことや、得たスキルや成果をアピールする書類であることは間違いありません。ただ、自己満足で書いてしまうと企業担当者は「この学生は相手のことを考えられない人」と評価してしまいます。
自己満足の内容にならたないためには、先ほど述べた「問題解決能力」「理論的にまとめる力」など、企業担当者が見ていることを伝えられる内容にしましょう。スキルや成果をアピールすること自体は問題ありませんが、それが相手の要望とマッチしていることが前提です。自分が書いた文章は相手の目線に合っているか、企業で役立つスキルなどを含められているか入念に確認してみてください。
専門用語のオンパレード
理系の学生にありがちなのが、専門用語を使いすぎてしまい読み手に内容が伝わらなくなってしまうことです。自分たちはよく使っている言葉のため問題ないと思っていても、文系の人などその分野を知らない人にとっては、まったく知らない単語である可能性があります。
そのため、できる限り易しい言葉を使って、専攻分野に関することは中学生でもわかるような内容にすることを心がけてください。もし自分が書いた内容が伝わるか自信がないときは、文系の友人などに研究概要書を読んでもらい、意味が伝わるか第三者にチェックをお願いしましょう。
自分の視点が入っていない
研究概要でありがちなのが、専攻分野や取り組んだことだけを述べており、自分の視点が含まれていないことです。もちろん研究概要は研究への取り組みを記すものではあるのですが、それだけでは自分の人柄やスキルを伝えるには不十分といえます。
研究概要を作成する際は、研究をしたことで何を考えたのか、成果を出してどう思い次の行動につなげたのか、自分で考えたことを記載するのを忘れないようにしてください。自分の視点を書くことは、企業の担当者にとって学生の潜在能力を見つけるきっかけになります。マニュアルのような内容になっていないか、個性がきちんと含まれているかを意識しましょう。
語尾がバラバラ(ですます、だ、など)
「です・ます調」や「だ・である調」などの語尾がバラバラになっていると、それだけで研究概要の評価はマイナスになってしまいます。企業から指定される場合や自分で決められるケースなど、書き方はそれぞれですが必ずどちらかに統一しましょう。
もし企業から「です・ます調で書くように」と指定があったにも関わらず、研究概要の語尾がバラバラな場合「きちんとルールを読み込んでいない学生」とみなされてしまいます。語尾の指定がない場合はどちらを使っても問題ありませんが、語尾を統一するのは最低限やっておきたいマナーです。
研究概要書の書き方の流れ
研究概要書の書き方を迷っている人向けに、全体の構成と各パートに盛り込む内容をご紹介します。これから研究概要を作成される人は、以下の内容を参考にして構成を作ってみてください。
タイトル
まずはタイトル付けです。自身が研究している内容を簡潔に表現しましょう。この時に気を付けたいのは、ゼミや研究室が扱っているテーマではなく、自身が研究している内容がわかるように書くことです。長くなりすぎず、見ただけで研究内容の全容がわかるようなタイトル付けをしましょう。
研究背景
次に書く内容は研究背景です。なぜそのテーマを扱おうと思ったのか、あなた自身が考えたことを記載するのがポイントになります。また研究をしたことでどのような成果が出て、何が得られるか、予想した内容を書くことで全体的に奥深さが出てきます。
読者はそもそもそのテーマについて詳しくない可能性があるので、初心者でもわかるよう一から説明することを意識してください。
そもそも他の研究結果などを元にテーマを決めた場合は、元となっている研究のデータをグラフなどで入れると読みやすくなるのでおすすめです。読者のことを配慮して、見やすく初心者にも伝わる内容を心がけましょう。
研究方法
次は具体的にどのような方法で研究を行ったのかを記載します。ポイントとしては、取り組んだ内容だけでなく、自身がその過程で考えたことや、より良い結果を得るためにやったことを書くことです。
企業は研究方法そのものではなく「学生が何を考えながら取り組んだのか」を重視しています。仕事をする際に、言われたことだけをやる社員よりも、自分で考えながら業務に取り組める人のほうが評価されるのと同じです。
あくまでも研究について説明するのではなく、自分をアピールできる場だと考えて、企業に貢献できるスキルや考え方を盛り込むようにしましょう。
課題とその解決策
研究を進める中でぶつかった課題と、それに対する解決策を書きます。このパートでも、自身がどのように考えて、なぜその解決策を選んだのかを記すことが大切です。先ほど述べましたが、企業の担当者は研究概要を読んで「問題解決能力があるかどうか」を見るので、特に重要なパートとなります。
たとえば研究を進めて思うような結果が出なかったとき、どこに原因があるのか見直しをして改善しているはずです。そのようなエピソードを入れると「問題意識を持って取り組める人間である」ということがわかります。
仕事を進めるうえでは必ず問題にぶつかり、解決しながら業務を進める必要があります。そのため、研究を通して問題を解決した実績は就活においても大きな武器となるはずです。積極的に記載して、仕事でも活かせるスキルであることをアピールしてください。
研究結果・研究成果
次は、研究から得られた成果を書きます。結果は文字だけでなく、数字に表してグラフに起こすと、誰が見てもわかりやすくなるのでおすすめです。そして成果から何がわかったのかを詳しく書きましょう。
ここで気を付けたいことは、研究結果を書く段階では、あくまでも成果を書くだけに留めて、自身の考えや意見は考察で述べることです。自分の考えなどを含めると、得られた成果に対して個人的な解釈が加わってまぎらわしくなるためです。研究結果に関しては、複数人が見ても同じ解釈ができる内容にすることを意識してください。
考察・今後の展望
最後に考察と今後の展望を記載します。こちらは就活においては非常に重要な部分であり、自身の考え方やスキルをしっかり書けるパートです。研究結果から何を得て、今後どう活かしたいと考えているかを記述します。
研究で得たスキルや考え方は、さらなる次の研究に活かせるはずです。さらに、そのスキルや経験が「就職した後に会社に貢献できる」という流れにすると、より好印象になるでしょう。
基本的な書き方をおさえて研究概要書をまとめよう
研究概要の書き方や注意点、全体の構成などについて解説しました。内容を簡単にまとめると以下の通りです。
- 研究概要は自身の取り組みや得た成果をまとめるもの
- 文字だけやPowerPointなど形式は提出先によって変わる
- 企業は論理的な伝え方や問題解決能力を見ている
- 語尾のばらつきや要点がまとまっていない内容はNG
- タイトル、研究背景、研究方法、課題と解決策、研究結果、考察の順に書く
研究概要は基本を押さえれば、そこまで難しいものではありません。相手が求めていることや要点をつかんで、好印象を与えられるような仕上がりにしてくださいね。
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