大学の卒業時に執筆する卒業論文や、大学院修了時に執筆する修士論文や博士論文。大学や大学院を卒業・修了するためには、これらの論文を執筆する必要があることが大半です。今回は、修士論文に着目し、他の学位論文(卒業論文・博士論文)との違いや、書き方について紹介していきます。
修論・卒論・博論の違い
修論・卒論・博論と呼ばれる論文は、一般に学位論文と呼ばれ、修士・学士・博士の学位を取得するために執筆するものです。また、稀に勘違いがありますが学位論文は、学会誌などに掲載される原著論文とは異なるものです。実際に、それぞれの学位論文はどのようなものか見ていきます。
修士論文とは
修士論文とは、大学院博士前期(修士)課程を修了するにあたり執筆する学位論文です。学部4年次の研究を基盤に、大学院生活2年間で得た成果をまとめる必要があります。
そのため修士論文は、後述の卒業論文と比べ文字数は多く、レベルの高いものとなると考えられます。また、修士論文は大学図書館に収蔵され閲覧できるようになる場合が多いです。
卒業論文とは
卒業論文とは、学部を卒業するにあたり執筆する学位論文です。学部・学科によっては、卒業論文の執筆は必須となっていない例も多く見受けられます。
博士論文とは
博士論文とは、大学院博士後期課程修了時に執筆する学位論文です。なお、博士後期課程修了にあたっては博士論文のみでなく、学会誌に原著論文を投稿・出版されることも修了要件となっていることが大半です。
修士論文と卒業論文の違い
学部生が初めて研究を行う場合、所属した研究室・ゼミで継続的に行っている実験や調査の一部を担うことが多いでしょう。そのため卒業論文では、これまでの過程を理解し指導教官の指示のもと実験・調査を行い、その結果や考えられることを文章化していくことが求められると考えられます。なお引き継ぎの研究も多いことから、過去の先輩方の卒業論文をある程度参考にできる可能性もあるでしょう。
一方、博士前期(修士)課程は、研究者になるための教育課程です。そのため、指導教官の力を得つつ新規性のあるテーマを設定し、トライ&エラーを繰り返していくことが求められます。
うまくいけば新たな理論を構築できていることもあるでしょう。修士論文では、このような内容についてまとめていくことになりますから
- 修士論文の文字数は多くなりやすい
- 卒業論文より高い質が求められる
- 新規性のあるテーマだからこそ、一から論文を作る必要がある
という点が、卒業論文とは大きく異なってくるのではないでしょうか。
修士論文と博士論文の違い
また博士後期課程の場合は、修了するにあたり博士論文に加え、新規知見をまとめ学会誌の投稿・受理されている必要があります。
したがって、博士論文では修士論文の内容に加え、専門分野の課題に対して新規知見についてもまとめていく必要があると考えられます。
修士論文の注意点
修士論文の作成にあたりいくつか注意点もあります。
提出時期は修了時期による
修士論文は、指導教官に手渡しというわけではなく、一般に
- 申請者本人→研究科事務室→審査を担当する主査・副査の先生方
という形で提出例が多いです。そのため、提出日などが厳密に定められており注意が必要です。
多くの場合
- 3月修了の場合は1~2月
- 9月修了の場合は7~8月
が一般的と考えられます。修士論文は不合格になる例は稀ですが、提出を忘れてはどうしようもありませんから、所属研究科事務室からの案内に注意が必要です。
参考文献の引用方法に注意する
論文作成の際には“自分自身の考え”と“参考にした考え”を明確に区別する必要があります。さらに、参考にした考えについては参考文献として論文の文末にリスト化する必要があります。一般に引用方法については
- 研究科からの作成要項
- 指導教官の方針
- 所属学会の論文投稿規定
を参考にするとよいでしょう。また
- 先輩の修士論文を図書館で閲覧
するのも1つの手です。しかし迷った場合には、指導教員や研究科事務室に相談するのがもっともよいと考えられます。
謝辞の入れ方
謝辞もまた、修士論文には欠かせません。実際に記入する内容としては
- 指導教官や副査副審の先生
- その他研究に協力いただいた方
- 進学するにあたり支えてくれた家族
への感謝を修士論文の文末に添えるのが一般的です。
違いを意識して早めに取り掛かろう
修士論文の卒業論文との違いとして
- 修士論文は文字数が多くなりやすく、高い質も求められる
- 新規性のあるテーマだからこそ、一から論文を作る必要がある
- 修士論文は大学図書館で閲覧でき、人の目に触れる機会が多い
- 提出期日が明確であり、守らないと修士論文が通らない
などがあげられます。
このように、卒業論文に比べ求められるレベルが高くなる修士論文ですから、早めに取り掛かることが大切でしょう。