文献レビューの書き方と注意すべきポイントを解説!

研究・大学生活

みなさんは文献レビューを読んだこと・書いたことはありますか?

今回の記事では、文献レビューとは何かを解説した後に、文献レビューの書き方をまとめていきます。

文献レビューの執筆を任された若手研究者や大学院生の方は、是非この記事を読んで参考にしていただければと思います。

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文献レビューとは

まず、そもそも文献レビューとは何か、何のために文献レビューを読むのか、あるいは書くのか、ということから説明していきます。

文献レビューとは、あるテーマに関する先行研究を評価・批判しながらまとめたものです。

文献レビューでは、当該する研究領域のトレンドや課題、どこまでが既に明らかとなっていて何がまだ分かっていないのかを指摘します。

文献レビューは当該の研究領域における先行研究が網羅されているため、文献レビューを読むことで分野全体の概要を俯瞰することができます。

文献レビューを読んだことがある学生・大学院生の方は多いと思います。

研究室に配属された直後に、「とりあえず自分の研究テーマに関する学会誌に載っているレビュー論文を読んでみて」という形で指導教授から渡されたことがある方もいることでしょう。

レビュー論文とは、ある研究領域について現状での理解をまとめられた(つまり、文献レビューを行っている)論文のことです。

文献レビューは上述のとおり研究分野の概要を捉えるのに適しています。

したがって、研究を始めるにあたって、その分野における基礎的な知識を身に着けるという目的で文献レビューを読むことがあります。

また、文献レビューを読むことは自分の研究の方向性を決定する際にも役立ちます。

自分がこれからやろうと考えている研究が既に他の誰かがやっていたことだとしたら、その研究には新規性がないということになります。

文献レビューでは先行研究で明らかとなった成果がまとめられています。

したがって、文献レビューを読むことで研究の被りを避けることができます。

加えて、文献レビューでは研究分野における課題にも触れられています。

その課題を解決するアプローチを考えることで、その研究分野をさらに発展させることができるかもしれません。

このように、文献レビューを読むことでその研究分野における知識の獲得や研究テーマの設定に役立てることが可能となります。

文献レビューの書き方

次に、どのようにして文献レビューを書くのか見ていきましょう。

文献レビューを書く流れは以下のように分けることができます。

  • 研究テーマを設定する
  • 文献を集める
  • 文献を管理する
  • 文献を読む
  • 文献レビューの構成を決める
  • 執筆する

それでは各ステップについて解説していきます。

研究テーマを設定する

まずは、研究テーマを設定します。あなたが興味のあるトピックを洗い出し、何について文献レビューをおこなうのか明確化します。

研究テーマが思いつかない、という方はこちらの記事をご覧ください。研究テーマを発想するヒントがまとめられています。

文献を集める

研究テーマが決定したら、その研究テーマに関連する学術論文を集めていきます。

文献の収集にはPubMedやGoogle Scholarを活用します。

Google Scholarを使った文献収集の方法はこちらの記事が詳しいので参考にしてみてください。

Google Scholar以外の文献収集サイトはこちらの記事を参考にしてみてください。

ここでは、文献収集する上で役に立つポイントを解説します。

関連語・類義語で検索する

1つ目のポイントは、1つのキーワードに拘るのではなく、関連するキーワードや類義語を使って検索することです。

例えば脳腫瘍の1つであるグリオーマ(Glioma)について文献収集するとしましょう。

しかし、グリオーマの中にはグリオブラストーマ(Glioblastoma)やアストロサイト―マ(Astrocytoma)などの細分類があります。

そのため、これらのキーワードで検索した方が欲しい論文が見つかる可能性があります。

このように、キーワードを別の言葉で言い換えたり、より細かな定義で検索をかけることで自分が欲しい文献を見つけられるようになります。

レビュー論文で引用されている論文を探す

2つ目のポイントは、レビュー論文(研究領域について現状での理解をまとめた論文)で引用されている論文を読んでみることです。

文献収集を進めていく中で、レビュー論文に出会うことがあると思います。

その論文で引用されている論文は有用な情報源となります。

自分で一から探すよりも効率的に文献を収集することが可能となるため積極的に活用しましょう。

ピックアップした論文と同じ著者の論文を探す

上述のようにして何か1つ論文を見つけたら、同じ著者が書いている別の論文を探してみましょう。

おそらくその著者はあなたが興味を持っている研究領域でこれまで研究をしてきているはずです。そういった研究者の研究成果は有用な文献となり得ます。

文献を管理する

次に、集めた文献を管理する方法を解説していきます。

文献をうまく管理することで執筆の効率化を図ることができます。

文献管理におすすめなツールとして以下のものがあります。

  • EndNote
  • Mendeley
  • PaperPile
  • Zetero

EndNoteは文献管理ソフトとしてもっとも有名で多くの研究者の方が使っています。

ただし、それなりの価格であるため学生が個人で利用するのはあまり現実的でないかと思います。

そこで、無償か比較的低価格で利用できるソフトとしてMendeleyやPaperPile、Zeteroをお勧めします。

文献管理ソフトについてはこちらの記事が詳しいので是非読んでみてください。

文献を読む

文献を集めたら、その文献をじっくり読みこんでいきます。

文献を読むにあたっては、その研究の目的と明らかとなったことは何かを意識して読むといいでしょう。

特に、文献レビューを執筆するために論文を読む場合には、様々な研究がある中でそれぞれの研究の長所や短所をできるだけフラットに読み込むことが重要となります。

文献の読み方についてより詳しく解説した記事はこちらになります。是非読んでみてください。

文献レビューの構成を決める

研究テーマの設定・文献集め・読み込みが終わるといよいよ執筆の段階に入っていきます。文献レビューを執筆する前段階としてレビューの構成を決めていきます。

研究領域や専門分野によって構成が変わる場合もあるかと思いますが、基本的な構成は以下の通りとなります。

  • 概要
  • 序論
  • 本論
  • 考察
  • 参考文献

概要ではその文献レビューの大まかな内容について書きます。

序論では研究の背景について書きます。

本論は論文のメインとなる部分で、当該研究分野における研究の流れを時系列に書くパターンと、テーマごとに分けて書くパターンに分かれます。

考察では本論の内容を受けて課題や展望を書きます。

参考文献では引用した論文の一覧をまとめて記載します。

執筆する

ここまで来たら、いよいよ上記の構成に従って執筆をしていきます。

基本的な論文執筆のポイントとして

  • 簡潔な文体を心がける
  • あいまいな表現を使わない(数値ベースで具体的に示す)
  • 根拠を示す

などが挙げられます。日本語英語に関わらずこれらのポイントを押さえて執筆に取り組みましょう。

英語で論文執筆する際の注意点や書き方はこちらの記事が詳しいので、英語で文献レビューを書く場合は参考にしてみてください。

参考文献として引用をつける際の注意点はこちらの記事をご覧ください。

まとめ

今回の記事では、文献レビューの概要と実際に文献レビューを書く手順を解説してきました。

文献レビューを書く手順を改めてまとめます。

  • 研究テーマの設定
  • 文献を集める
  • 文献を管理する
  • 文献を読む
  • 文献レビューの構成を決める
  • 執筆する

是非この記事を参考にして文献レビューの執筆に役立ててください。

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