今回の記事は「大学院進学」を考えている方に向けた記事になります。
みなさんは大学院を選ぶときに「内部進学」にするか「外部進学」にするか、もう決めましたか?
この記事では、内部進学と外部進学のメリットとデメリットをまとめて比較しました。
どちらを選ぶのか比較検討する際に参考にしていただければ幸いです。
内部進学のメリット
まずは、内部進学のメリットから説明します。
実は、この記事を書いている私自身も内部進学で大学院に進学しました。
個人的には、内部進学で「良かった」と感じている部分がたくさんあるので、そのような経験も踏まえながら、内部進学のメリットを説明していこうと思います。
慣れ親しんだ環境なため精神的な余裕がある
慣れ親しんだ環境なため、精神的に余裕をもった状態で大学院生活を送ることができます。
精神的な余裕は研究で苦労しているときや就職活動のときによい方向にはたらきます。
みなさんの中には「博士後期課程」には進まず「博士前期課程・修士課程」を修了した後に就職しようとしている方もたくさんいると思います。
外部進学の場合、新しい研究室の仲間と出会うのは、修士1年の4月です。
しかし、近年新卒就職活動の早期化が進んでおり、修士1年の夏には、インターンシップや会社説明会などが始まります。
そのため、新しい環境に慣れる間もなく、就職活動シーズンに突入してしまいます。
内部進学であれば、研究活動や就職活動における悩みを打ち明けられる仲間も多く、また学部時代から慣れ親しんだ環境であることから、新しいストレスも生まれにくいと思います。
私自身の経験を振り返ってみても、内部進学で慣れ親しんだ環境であったことから、精神的に余裕をもった状態で就職活動に臨むことができたと思います。
院試の対策がしやすい
基本的に院試の問題は教授が作成します。
そのため、学部時代に受けた定期試験と実際の院試の問題が似ている可能性があります。
すなわち、外部進学よりも内部進学の方が有利な立場にあると考えられます。
内部生は、インターネットでは調べられない情報を大量にもっており、大学内のコミュニティや教授とのやりとりを通じて、院試の対策を有利に進めることができます。
院試が免除になる
前項では「院試の対策がしやすい」ことを説明しましたが、内部進学の場合、条件を満たせば院試の一部が免除になることがあります。
私の場合、GPAと取得単位数が基準値を満たしていたので、内部進学する際に必要な「筆記試験」と「TOEICスコアの提出」を免除されており、受けたのは「面接」だけでした。
内部進学の場合、条件を満たせば院試の一部が免除される可能性があります。
もし院試の一部が免除になった場合、その空いた時間を使って新しい研究や長期インターンシップに挑戦することができます。
学部時代の研究を引き続き行うことができる
学部時代に研究を指導していただいた教授のもとで、引き続き研究を行うことができます。
研究の背景や研究の難易度などについて、改めてディスカッションする必要がないため、はじめから研究成果を出すことに集中できます。
学術研究の場合、研究テーマを決めるのにも一苦労です。
学術研究には「新規性・有効性・信頼性」の3つの要素が必要不可欠であり、3つの要素を満たす研究を行うためには、多くの先行研究を調査する必要があります。
内部進学の場合、学部時代の研究を引き継げるのでこの作業を省略できます。
内部進学のデメリットは特にない
内部進学のデメリットは特にありません。
私自身は内部進学に全くデメリットを感じませんでした。
現状に不満を抱いていない人や今の環境でも将来のキャリアにあまり問題がない人は内部進学の方がよいのではないかと思います。
一方で、今の環境では物足りない人やより高いキャリアを求める人は、外部進学を視野に入れた方がよいと思います。
次項からは外部進学のメリットとデメリットについて説明していきます。
外部進学のメリット
ここからは、外部進学のメリットについて説明していきます。
外部進学は、まさに「ハイリスクハイリターン」の世界です。
まずは、外部進学にどのようなメリットがあるのかについて説明していきます。
よりよい研究環境が手に入る
理系学生の場合、研究設備はよい研究を行う上で絶対に欠かせないものです。
高度な研究に取り組みたいという方で、現在の大学の研究設備に限界を感じる場合、外部進学することをお勧めします。
このような理由で外部進学を希望する場合、必ず外部進学先に自分が求める研究設備があるかどうかを確認した方がよいと思います。
研究に打ち込める環境が手に入ることは、外部進学の大きなメリットです。
より興味のある研究ができる
学部時代に研究を始めて「自分のやりたかったことと違った」「今の大学では自分がやりたい研究ができない」と感じる場合、外部進学することをお勧めします。
大学院生活の貴重な2年間は自分がやりたいと思える研究を行った方がよいと思います。
ただし、外部進学のデメリットで述べるように、院試に合格したからといって希望の研究室に入れるかどうかは保証されないので注意してください。
よりよい学歴が手に入る
今後のキャリアによっては、最終学歴が非常に重要になってくる場合があります。
今の大学の学歴では不十分だと感じる場合は、外部進学をした方がよいと思います。
特に、企業の研究職を志望する場合、研究室の教授が企業とコネクションを持っている場合があるので、事前に確認しておくとよいと思います。
外部進学のデメリット
外部進学を希望する人にとって、そのデメリットを確認しておくことは非常に重要です。
特に博士前期課程・修士課程の2年間は非常に短いです。
この2年間という短い期間の中で、研究活動、学会発表、ジャーナル投稿、就職活動などの活動をタイトなスケジュールでこなしていかなければなりません。
外部進学を決心する前に、今後の2年間の大まかなスケジューリングをしましょう。
人間関係を作り直さなければならない
初対面の人と仲良くなることが得意という人もいれば、苦手という人もいます。
外部進学した場合、1から人間関係を作り直さなければなりません。
研究活動、就職活動などにおいては、仲間と協力することが非常に大切です。
特に、研究と就活を並行して行う場合、修士1年の4月に入学した後、5月から7月には、夏季インターンシップの選考がスタート、8月から9月には、夏季インターンシップがスタート、現在では10月以降から本選考をスタートさせる企業も珍しくありません。
このように余裕がない中で就職活動をスタートしなくてはならないため、情報共有したり、悩みを打ち明けられるような人間関係は非常に重要です。
選択を間違えるリスクがある
せっかく外部進学したとしても、以下のような問題に直面するリスクがあります。
- 希望した研究室に入ることができなかった
- やりたかった研究が面白くなかった
- 教授との相性が悪かった
- 人間関係で悩みを抱えてしまった
- 講義が忙しくて研究や就活と両立ができなかった
実際に外部進学してみないと分からないこともありますが、なるべくこのようなリスクに遭遇しないように事前に調査しておくことが大切です。
院試の対策に苦労する
内部進学のメリットでも説明しましたが、内部生は院試において非常に有利な立場にあります。
なぜなら、学部時代の定期テストや、大学内のコミュニティ、教授との会話によって、インターネットでは調べることができない情報をたくさんもっているからです。
それに対して、外部進学を目指す受験生はアドバンテージがない状態で、院試に挑戦しなければならないため、相当の時間を費やして対策する必要があります。
大学院浪人するリスクもある
一般的に、外部進学を希望する場合、内部進学の推薦は受けられないことが多いです。
すなわち「内部進学による滑り止め」がないため、外部進学で不合格になると、浪人する可能性があります。
そのようなリスクに対する保険をあらかじめ考えておかなくてはなりません。
結局、内部進学と外部進学のどちらを選ぶべきか?
まずは、内部進学と外部進学のメリットとデメリットをしっかりと把握することが重要です。
その上で、外部進学に大きなメリットを感じるのであれば、外部進学するのがよいと思います。
逆に、外部進学に大きなデメリットを感じて、リスクを冒してまで挑戦しなくてもよいと思うのであれば、内部進学を選ぶのも1つの手です。
ただ周りに流されるのではなく、自分の頭でしっかりと考えることが重要です。
それでも悩んでしまうときは、周りの人に相談するとよいと思います。
まとめ
最後にこの記事の内容を要約します。
- 内部進学メリット:精神的な余裕がある、院試に有利、院試を免除、前の研究を引き継げる
- 内部進学デメリット:特にない
- 外部進学メリット:よりよい研究設備、興味のある研究内容、よりよい学歴
- 外部進学デメリット:人間関係の作り直し、選択を間違えるリスク、院試に不利、浪人のリスク
大学院進学を検討される方は、充実した大学院生活を送れるように、内部進学と外部進学のどちらが自分に合っているのかをしっかりと考え、後悔のない選択をしましょう。