データエンジニアに興味がある人は、データエンジニアとはどのような職業で、具体的に何をしているのか気になるのではないでしょうか。データエンジニアはデータサイエンティストとは違い、データの加工や分析基盤の運用などをする仕事です。
今回はデータエンジニアの役割や将来性、必要なスキル、未経験からのキャリアなどを網羅的に紹介します。今からデータエンジニアになりたいと考えている人や、仕事内容に興味がある人はぜひ参考にしてください。
データエンジニアとは
データエンジニアとは、ビジネスに活かすための情報を整理して運用する基盤を作る仕事です。データサイエンティストなど、情報を分析するメンバーと連携してビッグデータやAIといった領域に関わります。
今後、専門スキルのあるIT人材は需要が高まるといわれており、データエンジニアも多くの企業から引っぱりだこになる可能性が高いです。
データエンジニアの役割
データエンジニアとは、企業がビジネスを展開するためにデータを整理して活用するための基盤を作る職業です。パソコンやスマートフォンが普及してから、企業は膨大な情報を抱えるようになり、いかにそれらをビジネスに活かせるかが経営を左右するといわれています。
ここ数年でメジャーになってきた、AWSなどをはじめとしたクラウドサービスも、情報を整理しないことにはサービスとして成り立ちません。
たとえば、情報がたくさん入っているフォルダはあるものの、どこに適切な答えがあるのかわからないことは多いのではないでしょうか。星の数ほどある情報を取捨選択して、ビジネスに必要なものを取り出す仕組みづくりをするのがデータエンジニアなのです。
データエンジニアとデータサイエンティストの違い
データエンジニアと似た職業にデータサイエンティストがありますが、厳密にはそれぞれの役割は違います。データエンジニアは情報を整理する立場で、データサイエンティストは整理された情報を活用するのです。
データエンジニアはインフラの設計や基盤開発・運用まで行うため、高いスキルが求められる職業です。一方でデータサイエンティストは情報の分析がメインのため、主に数理統計の知識が問われます。
両者は切っても切り離せない関係であり、データサイエンティストとデータエンジニアの両方がいて、はじめてデータ活用が成り立つといえるでしょう。
データエンジニアの将来性
データエンジニアは今後も伸びる可能性が高く、将来性のある職業です。経済産業省がみずほ情報総研に委託した調査によると「ビッグデータやAIなど、最先端のITスキルを持った人材は2030年に約55万人不足する」といわれています。
データエンジニアはまさにこれらの最先端分野に携わる職業であり、今後ますます需要が伸びると予想されます。
国内のデータエンジニアは年収1,000万程度といわれますが、海外の企業におけるハイレベルなデータエンジニアだと年収数千万稼ぐ人もいるそうです。
それだけ将来性があり、市場に求められている仕事といっても過言ではないでしょう。
データエンジニアの仕事内容
データエンジニアの仕事内容は、スムーズに分析するためのデータの加工や基盤作りです。クライアントの要望に沿って使いやすいようデータを整頓し、インフラを構築することも含まれるため、仕事の範囲は幅広いといえるでしょう。
具体的にどのようなことをしているのか、例を交えて解説します。
データの加工
データエンジニアは、他の人が情報を利用しやすいように加工を施します。具体的には以下のような作業です。
- 表記を統一する
- 同じ内容のデータを削除する
- 修正が必要なデータを見つけて処理する
蓄積されたデータはそのまま使えるわけではなく、スムーズに分析できるよう加工する必要があります。
また利用方法はプロジェクトにより、マーケティング、営業、経営など分野はさまざまです。クライアントの要望に合わせてデータを使えるよう、アレンジすることもデータエンジニアの重要な仕事です。
データ分析基盤の設計・開発・運用
データエンジニアのもう一つの役割は、分析基盤の設計や開発、運用です。データをデータベースに入れるだけでは不十分なので、どのようなシーンでデータを取り出すのか、実際の使い方を理解してユーザーが使いやすいように設計しなくてはいけません。
そのためにはデータベースやクラウドなどインフラ環境が必要になります。データエンジニアは必要に応じてアプリ開発も行います。
また、データ分析基盤を設計・開発した後は、エラーが起きていないかチェックして随時バグを処理するのもデータエンジニアの仕事です。さらに処理を高速化するための対応など、分析環境を改善するために監視や運用も行います。
このように、データに関わる仕事全般を担当するのが、データエンジニアの役割ともいえるでしょう。
データエンジニアに必要なスキル
データエンジニアになるには、プログラミングスキルやデータベースの知識、機械学習の経験が必要です。どれも専門性が高く、習得するのに時間がかかる分野です。
ただ、一度スキルを身につけたら他にも応用が効きますし、IT分野で重宝される人材になります。それぞれどのようにデータエンジニアの仕事に役立つのか見てみましょう。
プログラミングスキル
データエンジニアにプログラミングスキルは必須です。データベースの作成やシステム開発が業務に含まれるため、主要なプログラミング言語は身につけておくといいでしょう。
たとえば、以下の3つのスキルがあると安心です。
- C++に類似の構文でオブジェクト指向といった性質を持つJava
- ディープラーニングなどでよく使われるPython
- オブジェクト指向言語と関数型言語を扱うScala
これらはITエンジニアのキャリアにも役に立つプログラミング言語なので、IT業界で活躍したいなら習得して損はありません。
データベースの知識や設計スキル
データを整理するために使われるのがデータベースです。データエンジニアはデータベースの基礎知識や設計スキルも必須と考えておきましょう。
特に、データベースの代表的な管理システムであるRDBと、データを出し入れするのに使うSQLの知識は欠かせません。
エンジニアのキャリア経歴としてRDBを使うことはよくありますが、SQLは比較的マイナーなので、必要に応じて独学が求められる可能性があります。
インフラ(サーバー・ネットワーク)に関する知識やスキル
データエンジニアはデータ分析の基盤作りでシステムやアプリの開発をするため、サーバーやネットワークの知識も必要です。
ハードウェアやネットワークなど全体の設計やセキュリティなど、インフラに関する知識は多岐に渡ります。インフラエンジニアと同様のレベルが問われることもあるので、書籍などを使って勉強することも大切です。
また最近はデータベースにクラウドを活用する企業が多く、オンプレミスだけでなくクラウドに関する基礎知識も求められるでしょう。
クラウドに関する知識
データエンジニアはデータの基盤としてクラウドやシステムの設計、開発、運用をします。
システムの種類は企業によりますが、近年は情報を即時連携して、複数の端末から気軽に閲覧できるクラウドが増加傾向です。
代表的なクラウドサービスにはMicrosoft AzureやAWS、GCPなどがあります。いざ基盤構築する際にすぐ取り掛かれるよう、導入実績が多いクラウドの構築方法は勉強しておくとよいでしょう。
分散処理スキル
データエンジニアは膨大な量の情報を扱うので、複数の端末に処理を分散させるスキルが求められます。分散処理とは、何台ものコンピュータを使って大量のデータ処理をすることです。
分散処理スキルがあれば、コンピュータ1台あたりの負荷を軽減でき、処理速度が高速化されてスムーズに処理を進められます。
分散処理の代表的なフレームワークとしては、HadoopやSparkの2つが挙げられます。データエンジニアを目指す際は、これらの2つの機能についても勉強しておくとよいでしょう。
データ分析及び機械学習の経験
データエンジニアとして活躍するなら、データ分析や機械学習の経験があると重宝されます。データエンジニアは直接機械学習の実装や分析をするわけではありませんが、一緒に仕事するデータサイエンティストなどのメンバーが担当する仕事だからです。
実際にどのように機械学習のアルゴリズムが作用してビジネスに使われるのか、仕組みや流れを知っておくだけでも、データエンジニアとしてスキルアップできるでしょう。
データエンジニアは未経験でもなれるのか
データエンジニアに求められるスキルを見て「専門的なキャリアがないと無理だ」と驚かれた人もいるかもしれません。しかし、データエンジニアは未経験からでも十分目指せる職業です。
ここ数年、データサイエンティストや機械学習エンジニアの人気が高まっています。そうした分野の人材を育成するために、プログラミングスクールも機械学習やAI領域に力を入れているのです。
データエンジニアは、データサイエンティストや機械学習エンジニアと求められるスキルが似ています。スクールで必要な知識を学んで、実績を作れば未経験からもデータエンジニアになることは可能です。
もし不安がある場合は、まずITエンジニアを目指しましょう。ITエンジニアとしてプログラミングやインフラ構築のノウハウを得てから、データエンジニアにキャリアチェンジすることも十分可能です。
まとめ
データエンジニアの役割や将来性、なるために求められるスキルをご紹介しました。内容をまとめます。
- データエンジニアは情報を分析するのに必要不可欠な仕事
- データサイエンティストはデータエンジニアが整理した情報の分析を行う
- ビッグデータやAIの分野は拡大中なので、データエンジニアは将来性がある
- データの加工や基盤設計、開発、運用が主な仕事内容
- データエンジニアになるにはプログラミング、インフラ、クラウド、分散処理スキルなどが必要
- 未経験でも、スキルを身につけて実績を積めばデータエンジニアになれる
データエンジニアはまだまだ知名度が低く、まさにこれから伸びる領域です。ぜひ早いうちに目指していただき、第一線で活躍できるデータエンジニアになりましょう。