助教授はなくなった?新設された名称や年収とは

アカデミア

大学などの高等教育機関には、「教授」「助教」などの様々な役職があります。

特に、似たような役職名が多いため

「助教授と准教授ってどう違うの?」

「いつから准教授という言葉をよく使うようになったの?」

と感じている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、日本の大学の「助教授」について、「准教授」との違いやそのほかの役職についても解説していきます。

将来的に教授を目指したいけれど、「どういうキャリアステップを踏めばよいのか?」がいまいち分かっていないという方の参考になれば幸いです。

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「助教授」はなくなった

「助教授」は現在なくなっており、代わりに「准教授」という役職名をよく聞くようになりました。

この章では、「助教授」がなくなった理由や、「助教授」に代わる役職について説明していきます。

准教授と助教授どっちが上?

現在では「准教授」が「助教授」と置き換わったため、同等な役職です。

文部科学省によると、「准教授となることのできる者については、法改正前の助教授となることのできる者と同様の資格を定めたこと。」とあります。

参考:資料2-3 大学等の教員組織の整備に係る学校教育法の一部を改正する法律等の施行について(通知) 第2 1.(4) 

資料2-3 大学等の教員組織の整備に係る学校教育法の一部を改正する法律等の施行について(通知):文部科学省

つまり、准教授は法改正前の助教授と同様の職位であるということです。

実際に「准教授」は、「助教授」と同じく、大学などの教育機関において教授の次に役職の高い役職となっています。

助教授が准教授という役職に変わった

2007年の学校教育法改正で、「助教授」は「准教授」という役職に変わりました。助教授という役職名が変更された理由には以下のものが挙げられます。

  • 助教授という職名のもつ印象が実態の業務と合っていない
  • 助教授を英語に直訳するとassistant professerであり、国際的通用性からみて適切とは言い難い

英語圏では、教授に当たるprofesserの次の役職としてassociate professerが用いられ、associate professerを直訳すると准教授になります。

そのため「助教授」という名前のイメージや英訳したときの印象が実際の業務と合っていないと判断され、「助教授」は「准教授」という職名に置き換わりました。

参考: 2.大学教員の職の在り方について https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/houkoku/attach/1342439.htm )

役職「助教」が新設された

2007年の法改正では、「准教授」だけでなく「助教」という役職が新設されました。「助教授」と名前が似ていますが、全く役割や職位の違う役職になっています。

法改正以前は、「助手」が教授や助教授の補助を行っていました。

しかし、どうしても教授や助教授の研究を補助することがメインになってしまい、自分の研究ができず若手研究者が育ちにくいというのが問題になっていました。

そこで法改正では、「助手」を以下の2つに分けることとしました。

  • 研究を主に行う事ができ自分の研究室や講義を持つことができる「助教」
  • 研究の補助を主に行う「助手」

「助教」のほうが「助手」よりも高い役職として位置づけられています。

「助教」の役職が新設されたことで、自分の研究を行いたい若手研究者には今までよりも一層活躍の場が与えられており、教授を目指す方にとっては嬉しい法改正と言えます。

助手・助教・講師・准教授・教授・仕事の違いとは

次に、各役職の行う仕事について見ていきましょう。

助手、助教、講師、准教授、教授の順に役職は上がっていきますので、それぞれどのような仕事を行うのかを解説していきます。

助手の仕事

助手は教授や准教授の補助的な業務を担います。教授や准教授から独立して自分の研究を行うことはできず、自分の研究室を持ったり授業を担当することはできません。

助教の仕事

助教は、教授や准教授から独立して研究を行うことができるのが特徴です。

また、自分の授業を行うこともできるため、学生に自分の研究の魅力を伝えることができます。

大学によっては任期なしの採用もありますが、特に国公立大学では5年の任期付きで採用されることが一般的となっています。

講師の仕事

講師は「専任講師」と「非常勤講師」に分けられます。

「専任講師」は教授と准教授に次ぐ役職となっており、有期雇用・正規雇用様々な雇用体系のある常勤職です。自分の研究室や授業を持つことも可能になっており、一般的には数年で准教授にステップアップする可能性が高くなっています。

一方で「非常勤講師」は「専任講師」とは全く異なる役職で、雇用期間が決まっており、学生向けの授業を行うことが主な業務になっています。その名の通り非常勤の仕事で、大学で研究を行うことは求められていないため、自分の研究室を持ちません。専任講師と違って准教授へとステップアップするということはありません。

准教授の仕事

准教授は、教授に次ぐ役職となっており、こちらも有期雇用・正規雇用様々な雇用体系があります。

自分の研究を行い、生徒に対して授業や論文の指導を行うのが仕事です。

まれに学内のポストに就任することがありますが、自分の研究を行う上では後述する教授とは殆ど差はありません。

教授の仕事

教授は最も地位の高い役職で、こちらも有期雇用・正規雇用様々な雇用体系があります。

准教授の行えることに加えて、教授会と呼ばれる教授のみが参加できる会に参加できたり、学内での重要ポストに就任し、学部学科の運営を任される可能性があるといった特徴があります。

自分の研究を行うだけでなく、学部学科の運営に責任感を持って大きく関わることができる点が准教授との違いになります。

助手・助教・講師・准教授・教授の年収の違い

これから教授を目指す方にとっては、それまでのステップである助手・助教・講師・准教授の年収が気になることと思います。

この章では、それぞれの役職の年収について説明していきます。

助手の年収

助手の年収は、だいたい400~500万円です。所属する教育機関によって差がありますが、概ねこの範囲に収まります。

助教の年収

助教の年収は、だいたい500~600万円です。一般的には助手よりも100万円程度上がります。

講師の年収

講師(専任講師)の年収は、だいたい550~700万円です。助教よりも責任が重くなるため、年収が50~100万円程度上がります。

准教授の年収

准教授の年収は、だいたい700~900万円です。准教授・教授においては、生徒の論文指導を行ったり学内のポストに就任することで手当がはいるため、自分の頑張り次第ではさらに年収を上げることも可能になります。

教授の年収

教授の年収は、だいたい900万円以上です。最も高い役職であり、年収1000万以上もらっている教授も珍しくありません。また、教授にまでなると、本の執筆や講演を頼まれることで所属機関以外からの収入も得られる可能性が高くなります。

(参考: https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003084610 )

准教授になれる年齢は

准教授になれば、継続的な雇用のもとで自分の好きな研究を行えるようになります。

そのような魅力的な役職である准教授には、30~40代で就任することが多くなっており、

実際に准教授の平均年齢は47歳程度となっています。

しかし、最年少だと20代後半で准教授になっている例もあるため、研究実績次第では若い年齢でも准教授を目指すことが可能です。

准教授のやりがいや将来性

大学などの高等教育機関にはたくさんの職種があり、「准教授」は教授の次に高い役職になります。

准教授の仕事内容は、自分の研究以外にも学生の教育・論文指導などを行うことが主なものです。

キャリアアップのために准教授から教授になるためには、自分の研究に興味のある学生に対して教育や指導を行いつつ、質の高い論文を書き続ける必要があるため、忙しい職種と言えます。

しかし准教授になると、継続雇用のもとで腰を据えて自分の研究を行うことができます。

自分の好きな研究を継続することで教授へとキャリアアップできるため、研究好きには大変魅力的でやりがいのある仕事になります。

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アカリクリポーターズとは、大学院生としての経験や知識を「リポート」するライター集団です。全員大学院在籍経験があり、これまでの研究経験や知識を活かして、大学院生の皆様に役立つ情報をお届けしています。専門分野は工学・化学・生命科学・心理学・社会学等様々です。

【監修】アカリクお役立ちコンテンツ編集部
博士号所持者/博士課程在籍経験のある編集者が監修しています。

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