研究者を目指す上で知っておきたい数字

アカリクコラム
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このノートは大学院生や研究者の就職支援に特化したサービスを提供しているアカリクが事業活動の中で得た知見をまとめたものです。小学生から高校生を対象とした意識調査によると、将来なりたい職業として「研究者」「科学者」「学者」「大学教員」は一定の人気があります。そして大学院まで進学する方の場合はかなりの割合が修了後の進路として希望していると思います。しかし、企業や大学等の研究者、大学教員となることは、やはり容易ではありません。アカデミアでの活躍を目指すためには、情報を正しく認識することが大切です。

 

公的データから見る研究者や大学教員への就職状況

文部科学省が毎年更新している「学校基本調査」を参照すると、全体としての傾向を見ることができます。ここでは卒業・修了直後に「研究者」や「大学教員」などになった人数を中心に見ていきましょう。

以下、それぞれ関係するデータのリンクも併せて紹介します。

参考:文部科学省「学校基本調査-平成30年度結果の概要-

 

大学学部卒業⇒研究者

学部卒業後に就職した人数は約43万6千人いますが、その中で研究者となったのは438人となっています。

また、例外的なケースだと考えられますが、約100人が大学教員となっています。

研究者と大学教員を足しても大卒就職者の約0.12%しかいません。

ちなみに、ここで言う「研究者」とは大学などの研究機関だけでなく企業も含まれていることに注意してください。

詳細までは不明ですが、研究機関で募集される研究関連職は大学院修了者(特に博士号取得者)が条件となることから、学部卒で研究者となった多くは企業に入社していると推測できます。

 

修士課程修了⇒研究者

修士課程を修了後に就職した約5万6千人の内、研究者になったのは2819人、大学教員となったのは503人となっています。

二つを合わせると修士課程修了者の約5.9%となるので、学部卒と比べて60倍近く研究者や大学教員になれる可能性が高まることがわかります。

ただし修士号だけでは助手や助教まで、技術補佐員(テクニシャン)までの職位にしか就けない可能性が高いため、就業後も博士号の取得は目指したほうが良いでしょう。

文部科学省「平成30年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学院

それ以外の修士課程修了者はどのような道を辿るかというと、メーカー等の製造技術者に約2万人、IT業界等の情報処理・通信技術者に約6900人、大学教員以外の教員に約2600人となったことが分かります。

 

博士課程修了⇒研究者

博士課程を修了した15658人の内、就職したのは約1万600人で、研究者となったのが2351人、大学教員が2365人となっています。つまり、就職者の約44.5%が研究を中心とする職業についているということになります。

また、研究者や大学教員を含む「専門的・技術的職業従事者」となったのは9749人であり、博士課程修了者の約92%は専門家や技術者としての道を歩んでいることになります。

ただし内訳をさらに精査すると、「専門的・技術的職業従事者」の内の2530人は医師または歯科医師であり、実際には職歴が元からあった割合も多いことが考えられます。

博士課程修了者の場合は非正規雇用の中でも博士研究員(ポスドク)という研究を生業とするアカデミアの登竜門的な職業があり、平成30年度に1348人がポスドクとなったことが分かっています。

文部科学省「学校基本調査 / 平成30年度 高等教育機関《報告書掲載集計》 卒業後の状況調査 大学院

博士課程の修了者は15658人いるため、就職者とポスドクとなった方以外の約4千人は就職先が見つからずに非常勤講師やアルバイトなどで一時的にしのいでいたり行方不明になっていることも事実です。修了者全体から見ると、研究者や大学教員になった人数は下がって約30%となります。

大卒の場合と異なり20代の終わりや30代となっていることから、気持ちを切り替えて企業就職を目指す方もいらっしゃいます。

 

ここまでの内容を整理

数字に着目してまとめると次のようになります。

就職者の内の研究者や大学教員などの割合
・学部卒⇒研究者:約0.12%(約43万6千人⇒約540人)
・修士了⇒研究者:約5.9%(約5万6千人⇒約3300人)
・博士了⇒研究者:約44.5%(約1万1千人⇒約4700人)
※ただし博士課程修了者全体で計算すると約30%となる

そして、このことから次のように認識すると良いでしょう。

・学部卒で研究者や大学教員を目指すのは現実的ではない
・研究者を目指すなら博士課程を修了するのが最も現実的な方法である
・大学院生は実際に企業からも採用されているので進学は不利にならない
・修士課程まで進むと下位層の研究者や大学教員になれる可能性が高まる
・修士課程修了者の多くはメーカー技術者やIT系エンジニアとなっている
・博士課程を無事に修了できれば4割ほどが研究者や大学教員となれる
・博士課程の修了者はほとんどが専門職に就いている
・博士課程の後の進路については対策を練っておくことが求められる

非専業やアマチュアの研究者として生きる道もある

ここまでは生きていくためのプロフェッショナルな仕事として「研究者」や「大学教員」についてデータを見てきました。しかし、「研究者」というのは本来的には職業というよりも、その人の物事に対する姿勢や生き方を説明する言葉と捉えるのが良いでしょう。つまり、仕事ではなく趣味や余暇の過ごし方にすることもできるのです。

もちろん、大掛かりな機材や人員が必要なものは難しいですが、いわゆる「在野の研究者」「アマチュア研究者」は意外と多いものです。彼らは例えば趣味の天体観測で新しい星を発見したり、近くの野山にいる生物の詳細な観察記録を取っていたりするでしょう。

実は、遺伝学の祖とされるメンデルは司祭としての仕事の傍らで遺伝の法則を発見しました。また、特殊相対性理論を発表した当時のアインシュタインは名も知られていない一介の特許局員でした。

どちらも成果が認識されるまでに時間がかかっていますし、時代や国が違うので一括りにするのは難しいですが、現代日本でも高校生が大発見をすることがあったりもします。

不断の努力やある程度条件が揃うことなどが求められますが、「研究者」や「科学者」となるチャンスは誰もが持ち得るのです。例えば、「Co-LABO MAKER」のように実験機器を借りたり、分析を委託することができるサービスも存在しています。このようにして、アマチュアとして研究を続けることで満足できる方も少なくないでしょう。

参考:Co-LABO MAKER

 

学生のままできる研究で小さくとも成果を出そう

大学院生であれば研究が生活の大部分を占めているので、研究することが当たり前です。しかし、大学院進学を待たずに学部生で研究することも不可能ではありません。

研究活動の費用は文部科学省や経済産業省の助成金が主流ですが、「コラボリー」等で民間の財団などの助成金の情報を探したり、「academist」のクラウドファンディングで資金を調達するといったことも出来るでしょう。

萌芽的で小さな研究によってはずみを付けて、より大きな研究費を獲得するというのは、大型の研究費を獲得している研究者がよく行っているやり方です。反対にいきなり大きな研究が出来る方はあまり多くないでしょう。

参考:academist(アカデミスト)
参考:コラボリー

 

情報を制するものが優位となる

ここでは大きな数字と全体的な内容を扱いましたが、さらに深掘りしていくと、分野ごとの状況を知ることもできます。

また、今回は「学校基本調査」のデータを使いましたが、他にも各省庁で様々な統計データが公開されています。例えば、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」では研究者や大学教員を含む様々な職種別の給与などを調べることもできます。

厚生労働省(平成29年)「賃金構造基本統計調査 / 平成29年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種

是非こうした情報を読み解く力を強化しましょう。
大学生でも頑張ればできますし、大学院生なら十分に出来るはずです。

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