みなさんは論文執筆にLaTeXを使っているでしょうか。
LaTeXは論文執筆の標準ツールで章番号や箇条書き、文献番号などを自動的に振ってくれたり、書式を簡単に統一し、あとから一括で変更することができたり、複雑な数式を美しく出力することができるなど、論文の執筆に便利な機能がたくさん存在します。
今回の記事では、LaTeXを使って作成した論文原稿を受け入れている国内学会誌をまとめました。
論文はLaTeXで書くのがおすすめ
ひと昔前はLaTeXで論文を執筆するのが当たり前でしたが、最近ではWordの機能も進んでおり、LaTeXを使わないという人も多くなっているようです。しかし、LaTeXを使ったことがない人にとっては少し敷居が高いかもしれませんが、書式と本文を別々に管理するLaTeXは論文執筆に最適なツールです。
Wordの場合は文書が長くなってきたり画像が多くなってくると動作が重くなりますが、LaTeXの場合、執筆時には紙面の調整を行わないので軽快に執筆を進めることができます。また、Wordと比べて番号付けが得意で、文献番号や章番号を自動で振り、それを簡単に参照することができます。
LaTeXのWordとの比較や機能についてはこちらの記事もチェックしてみてください。
LaTeXで作成した原稿を受け付けている国内学会
LaTeXで作成した論文原稿を受け付けている国内学会のうち、代表的なものをまとめました。
なお、2022年10月末現在で各学会ウェブサイトに掲載されている情報を基にしています。
日本物理学会
学会誌「日本物理学会誌」用のLaTeXスタイルファイル及びテンプレート、「大学の物理教育」、欧文誌「Journal of the Physical Society of Japan」用のLaTeXクラスファイル及びテンプレート、オープンアクセス誌「Progress of Theoretical and Experimental Physics」用のLaTeXスタイルファイル及びテンプレート、国際会議プロシーディングス誌「JPS Conference Proceedings」用のLaTeXクラスファイル及びテンプレートを配布しています。
参考: 日本物理学会「日本物理学会誌スタイルファイル」
参考: 日本物理学会「『大学の物理教育』誌 原稿募集のご案内」
参考: Journal of the Physical Society of Japan 「Guidelines」
参考: Oxford University Press 「Templates and Style Files」
参考: JPS Conference Proceedings 「Information for Authors of JPS Conference Proceedings」
日本数学会
和文誌「数学」用のLaTeXクラスファイル、欧文誌「Journal of the Mathematical Society of Japan」用クラスファイル、「Advanced Studies in Pure Mathematics」用クラスファイルが提供されています。
なお、欧文誌「Japanese Journal of Mathematics」についてはps形式またはpdf形式での投稿となっており、TeXで原稿を作成した場合は掲載決定後にTeX形式の原稿を提出することとなっています。
参考: 日本数学会「『数学』用クラスファイル他」
参考: Journal of the Mathematical Society of Japan 「Submission」
参考: 日本数学会「ASPMの著者へ」
参考: Japanese Journal of Mathematics 「投稿の案内」
日本応用数理学会
学会誌「応用数理」用のLaTeXスタイルファイル、論文誌「日本応用数理学会論文誌」用のLaTeXスタイルファイル、「JSIAM Letters」用のLaTeXクラスファイルが提供されています。
Japan Journal of Industrial and Applied Mathematicsにおいては専用の様式が用意されていませんが、出版社であるSpringer Nature社のLaTeXスタイルファイルが利用できます。
参考: 日本応用数理学会「学会誌『応用数理』」
参考: 日本応用数理学会「論文誌『日本応用数理学会論文誌』」
参考: 日本応用数理学会「JSIAM Letters」
参考: Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics 「Submission guidelines」
応用物理学会
欧文レター誌「Applied Physics Express」、欧文誌「Japanese Journal of Applied Physics」のLaTeXテンプレートが用意されています。
また、講演大会の予稿についてもテンプレートが用意されています。
参考: IOPscience 「About the journal – Applied Physics Express」
参考: IOPscience 「Author Guidelines – Japanese Journal of Applied Physics」
参考: 応用物理学会「登壇申込申込システム テンプレート」
参考: 谷田純(2003)「TeX/LaTeXのすすめ」光学, 32, 336.
情報処理学会
論文誌「情報処理学会論文誌」、論文誌「トランザクション」、欧文論文誌「Journal of Infromation Processing」、学会誌「情報処理」に用いる専用のLaTeXスタイルファイルが配布されています。
また、研究発表会の報告原稿についてもLaTeXでの作成が可能です。
参考: 情報処理学会「LaTeXスタイルファイル、MS-Wordテンプレートファイル – 情報処理学会」
電気学会
論文誌「電気学会論文誌」及び共通欧文誌「IEEJ Transactions on Electrical and Electronic Engineering (TEEE)」の原稿を作成するためのスタイルファイルを用意しています。
参考: 電気学会「電気学会論文誌への投稿【電子投稿・査読システム】」
参考: The Institute of Electrical Engineers of Japan 「Paper Submission」
電子情報通信学会
和文論文誌「電子情報通信学会論文誌」、英文論文誌「IEICE TRANSACTIONS」、オンラインジャーナル「IEICE Electronics Express」(ELEX)、「Nonlinear Theory and Its Applications」(NOLTA)、「IEICE Communications Express」(ComEX)のいずれについてもLaTeXスタイルファイルを配布しています。
なお、電子情報通信学会の論文誌においては投稿原稿がLaTeX形式かWord形式かによって掲載料が異なります。
参考: 電子情報通信学会「論文の投稿 和文・英文」
参考: 電子情報通信学会「和文論文誌 投稿のしおり」
土木学会
「土木学会論文集」の原稿作成用の「LaTeXサンプルファイル」が公開されています。
なお、欧文誌「Journal of Japan Society of Civil Engineers」用の原稿はWord形式のサンプルファイルのみが公開されています。
参考: 土木学会 土木学会論文集編集委員会「各種書式」
参考: 土木学会論文集編集委員会「Formats」
日本機械学会
和文誌「日本機械学会論文集」並びに、欧文誌「Mechanical Engineering Reviews」、「Mechanical Engineering Journal」、「Mechanical Engineering Letters」、「Journal of Fluid Science and Technology」、「Journal of Thermal Science and Technology」、「Journal of Biomechanical Science and Engineering」、及び「Journal of Advanced Mechanical Design, Systems, and Manufacturing」に用いるLaTeXテンプレートを公開しています。
参考: 日本機械学会「TRANSJSME For Authors」
参考: 日本機械学会「MER For Authors」
参考: 日本機械学会「MEJ For Authors」
参考: 日本機械学会「MEL For Authors」
参考: 日本機械学会「JFST For Authors」
参考: 日本機械学会「JTST For Authors」
参考: 日本機械学会「JBSE For Authors」
参考: 日本機械学会「JAMDSM For Authors」
日本原子力学会
欧文誌「Journal of Nuclear Science and Technology」への投稿に用いることができるTaylor & Francis仕様のLaTeXテンプレートが配布されています。
参考: 「Submit to Journal of Nuclear Science and Technology」
計測自動制御学会
論文集「計測自動制御学会論文集」及び学会誌「計測と制御」用のLaTeXファイル一式(classファイル及びテンプレート)を配布しています。
参考: 計測自動制御学会「計測自動制御学会論文集|論文投稿用スタイルファイル」
参考: 計測自動制御学会「会誌用LaTeXクラスファイル及びMS-Word用テンプレートファイル」
日本航空宇宙学会
和文誌「日本航空宇宙学会論文集」、欧文誌「Transactions of JSASS」、オンラインジャーナル「航空宇宙技術」、「Aerospace Technology Japan」のいずれについてもTeXテンプレートが提供されています。
ただし、和文誌のテンプレートについては「参考としての提供」としています。
参考: 日本航空宇宙学会「論文投稿」
日本ロボット学会
「日本ロボット学会誌」の論文・一般記事投稿用のLaTeXクラスファイル及びテンプレートを提供しています。
なお、LaTeXクラスファイルを使用した場合は論文掲載料が安くなります。
参考: 日本ロボット学会「論文・一般記事投稿用クラスファイル」
化学工学会
専用のLaTeXテンプレートを用意していませんが、欧文誌「Journal of Chemical Engineering of Japan」においてLaTeX形式の原稿も投稿に使用することができます。
参考: Journal of Chemical Engineering, Japan 「Preparing and Submitting Manuscripts」
Cloud LaTeXで論文を書こう!
「Cloud LaTeX」では、LaTeXを使って論文をオンライン上で執筆することができます。
いくつかの学会テンプレートが予め用意されているほか、Cloud LaTeXでは現在非対応の学会誌も、スタイルファイルやクラスファイルをアップロードすることで、様式に沿った原稿の作成が可能です。
まとめ
今回の記事ではLaTeX形式の論文原稿を受け入れている国内学会をご紹介しました。
多くの学会で論文原稿をLaTeX形式で投稿することができることがお分かり頂けたのではないでしょうか。
数学系の学会ではLaTeX形式を指定している場合もあり、分野によっても対応が大きく異なります。
ご自身が投稿される学会の執筆要領をよく確認し、LaTeX形式での投稿が可能であれば、ぜひ「Cloud LaTeX」の利用を検討してみてください。