研究生とは?研究生になる方法やメリット・デメリット、注意点を紹介

研究・大学生活

「研究生」ということばは、「研究員」とよく混同されがちですがその内容は異なります。

大学院に在学している方や、これから大学院進学を目指している方にとっては、知っておくとよい内容と言えるかもしれません。

今回のコラムでは、「研究生」とはどういった立場なのか、また「研究生」になる方法やメリットやデメリット、収入源・奨学金・年金の扱いについて解説していきます。

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研究生とは

「研究生」とは、厳密には大学生・大学院生といった正規の学生とは身分が異なります。

大学院の修士課程以前の場合に研究生として在籍する場合もあれば、修士課程を修了したあとに博士後期課程の学生としてではなく研究生として在籍するときもあります。

それでは、研究生は大学院においてどのような立場になるのでしょうか。

研究生の大学院における立場や、社会的な身分について詳しく見ていきましょう。

研究生と大学生・大学院生のちがい

大学院における「研究生」とは、「研究科や研究所等で特定の専門分野についての研究をすることができる制度」です。
また、「特定の専門事項について指導教員のもとに研究を行う者」のことを基本的に指します。

留学生が大学院に入学する前に準備期間として、研究生になることもあります。

つまり、研究生とは、大学院における修士課程や博士課程への進学を検討する大学生・大学院生・社会人が研究準備期間として「非正規学生」で身分で大学院に在籍する人のことを指します。

また、大学・大学院で専攻していた分野とは異なる分野で修士課程・博士課程に進学する際に、基本的な知識習得のために研究生の身分をとる場合もあります。

「正規学生」の大学生や大学院生とは異なり、「非正規学生」となるので、学位が修得できないことや、学内の施設利用制限等があります。

そのため、社会的にも「学生」の身分ではなくなることから、学生割引や勤労学生といった免除等は受けられないことになります。

参考:京都大学「研究生
参考:筑波大学「研究生

研究生になる方法

非正規学生といえども、研究生になるには出願手続きと大学院側の承認が必要になります。まず研究生になる条件として、大学(学士課程)卒業であることや、大学院(修士課程)修了者であることなどが挙げられます。

いずれにしても、研究生の多くは修士課程や博士課程に進学予定の人が在籍する傾向にあるようなので、学士課程を卒業していることは最低条件と言えるでしょう。

基本的に、正規学生と同様、入学時期は4月の春入学か、大学院によっては9〜10月の秋入学と決まっています。そのため、出願期間は、春入学の場合「2月頃」、秋入学の場合は「8月頃」から始まることが一般的です。

学費の納入は、入学が決定してからとなります。

研究生出願の日程の詳細は各大学院のホームページ上で公開されていますので、検討している大学院について早めに調べましょう。

ホームページ上では、募集要項とともに出願に必要な書類が記載されています。

必要な書類についても、各大学院で異なりますが基本的には以下のような書類が求められることがあります。

  • 大学院書式の志願書
  • 履歴書
  • 最終出身大学等の成績証明書
  • 卒業(見込)証明書
  • 研究計画書 等

他にも、出願の時点での指導教員の希望届けや、履修科目に関する書類が求められることもあります。

出願の際には書類の不備がないように提出するよう注意するようにしましょう。

研究生になるメリット

大学院によって異なりますが、研究生になると指導教員のもとで専門分野の研究を進めることができるようになります。

この点は、正規学生と変わらない研究活動と言えます。

また、大学・大学院で開講されている授業を履修することができます。
そのため、これまで専門としていなかった分野の場合でも、基礎から学び直すことができます。

出願の際に指導教員を予め決めて当該教員に承認されたうえで合格した場合、研究課内・研究課外においても研究・論文指導を受けることもできます。
そのため、非正規学生という立場でありながら、論文の執筆が可能で、ジャーナルへの論文投稿や学会発表にもエントリーすることができる場合もあります。

学会の入会については、非正規学生のため学生割引を受けられないことがありますので、各学会の事務局へ問い合わせが必要となる場合もありますが、学会によっては大学院生として扱っている場合もあります。

研究生になるデメリット

非正規学生であるため、正規の学生とは異なる対応を受ける場合もあります。

大きなデメリットとして、研究生の身分のままでは学位を修得できないことです。

授業の履修、成績の公表はありますが学位は与えられません。
あくまで専門分野を研究するという点に尽きるので、授業履修と研究活動に限られます。
また、大学によっては履修できる授業が限られる場合もありますので募集要項を確認することが重要です。

また、学内の施設利用に制限がある場合があります。
正規学生であれば利用できる施設を研究生が使用できないことがあります。
しかし、研究に欠かせない資料の書庫・図書館については広く利用できるようです。
その点、特段研究に支障はないと思われます。

他に、定期券等の学生割引が利用できないことや、アルバイトにおける「勤労学生」に該当しないこと、奨学金の返還開始、国民年金保険料の支払いが始まることなどがデメリットとしてあります(奨学金、国民年金保険料についての免除・減免方法は後述)。

研究生の生活(一日の過ごし方)

研究生の生活は、正規の大学院生と同様に授業を履修することになるので、大学院生と変わらない日常を送ることになります。

指導教員の授業をメインに履修しながら、研究を進めていきます。

大学院の授業では、「ゼミ形式」の少人数の授業が多いため、英語論文・文献講読における報告や自身の研究内容に関する報告等の機会があります。

正規の大学院生と混ざって授業に参加します。

授業内において、研究生であることによって他の学生と扱いが変わることは少ないと考えて良いでしょう。

研究生で収入が必要な場合は、アルバイトがメインになることが考えられます。

非正規学生であっても、学費の納入が必要となります。

非正規学生のため貸与・給付を受けられる奨学金は限られます。

そのため、自分で学費を工面する場合はアルバイトと両立することになります。

学費・奨学金・国民年金保険の取り扱いについて

正規学生と比べて、非正規学生の場合、経済的な状況も変化します。

正規学生の間は、履修科目の数によって学費が変動することもなく、また奨学金の貸与を受けることができたり、国民年金においては学生納付特例を受けたりと様々な対応を取ることができます。

一方で研究生になった場合、学費や奨学金の貸与・返還、年金の納入についてどのような対応をとることになるのか解説します。

学費

学費については、各大学院によって対応が異なりますが、学費の納入を必要とする大学院の場合、指導料・履修料・施設利用料等を収めることとなります。

正規学生と大きく異なるのは、履修料が存在することです。

単位ごとに価格が決められており、履修する単位分だけ納入金額は変動することになります。
多くの授業を履修する場合には、その分だけ学費が高くなりますが、履修科目を少なくすれば学費を抑えることができます。
慶應義塾大学を例にすると、1単位あたり36,000円なので1科目2単位とすると、72,000円を履修料として納入することになります。

また、学費の納入方法については、慶應義塾大学のように春学期(前期)・秋学期(後期)で分納できる場合があります。
そのため、経済的に厳しい場合や、先の履修状況や研究生として在籍するかどうか決めかねている場合には、分納制度の有無を確認するとよいでしょう。

参考:慶應義塾大学「特別学生(科目等履修生・特別聴講生・研究生)」 

奨学金

研究性は非正規学生のため日本学生支援機構の奨学金を受けることができません。
また、学生でなくなるので奨学金の貸与を受けていた場合には返還がスタートします。
そのため、この点においては研究生になることのデメリットと言えるかもしれません。

しかし、奨学金の返還については免除を受けることができる可能性があります。
日本学生支援機構のから貸与を受けていた場合には、免除・減免制度が存在します。
研究生として在籍しながら返還が厳しいときには、選択肢として検討してみるとよいでしょう。

参考:日本学生支援機構「進学後(在学採用)の第一種奨学金の申込資格
参考:日本学生支援機構「返還が免除となる場合(返還免除)

国民年金保険料

正規学生の間は、「学生納付特例」として、国民年金保険料の納付を免除されますが、研究生の場合には当該特例は受けられません。
よって、年金事務所から納付開始の知らせと納付のための払込票が届くことになります。

しかし、大学院進学を目指して研究生となっている人の場合、正社員として働いていないことも多く、納付が厳しいということも考えられます。
その場合、日本学生支援機構の奨学金と同様に免除・減免の申請が可能です。

ただし、免除・減免の決定基準は基本敵に昨年度の年収を含めた総合的な判断になります。

書類の作成と市役所・区役所での手続きが必要になるため、詳細は日本年金機構ホームページを確認する必要があります。

参考:日本年金機構年金「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

研究生の進路

研究生の進路としては、大学院の修士課程や博士課程への進学が多いと考えられます。

それは、研究生になる際の動機に由来しています。

研究生になるという選択肢は、大学院進学の準備期間として選び取る場合もあれば、修士課程・博士課程への試験で不合格となってしまった場合に研究生として浪人する方が多い傾向にあります。

また、留学生の場合には正規の大学院生になるために研究生を経ることが決められている場合もあります。

よって、研究生を経た後、再度大学院試を受験し、進学する例が多く見られます。

他方で、研究生として専門分野を研究する中で、実務経験を経たいと考え、第1新卒・第2新卒として民間企業や公務員に就職する例も見られます。

また、指導教員が適性を見極めて就職を勧める例も考えられます。

まとめ

この記事では「研究生」について解説してきました。

以下に、本記事で紹介した内容についてまとめます。

  • 大学(大学院)卒業(修了)が条件となることが多い
  • 非正規学生である(正規学生ではない)
  • 正規学生と同様の授業内容を受けられる(履修できる授業が限られる場合もあり)
  • 学内施設利用の制限がある可能性がある
  • 学割等が受けられない場合が多い

研究生になることを検討されている方は、早めに志望する大学(大学院)の募集要項を確認し、手続きを進めるようにしましょう。

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