文系大学院生の就職率は?就活で活かせる能力についても解説

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文系の専攻で大学院に進学すると、「文系大学院生の就職率は低い」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。実際のところ、文系大学院生の就職率はどうなのでしょうか。

今回の記事では、文系大学院生の就職事情について、理系大学院生と比較しながら解説します。

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文系大学院生の就職率

文部科学省の「令和4年度 学校基本調査報告書」によると、文系修士修了生のうち、無期雇用労働者として就職したひとの割合(就職率)は人文科学分野で46.2 %、社会科学分野で59.2 %となっています。これに対して、理系修士修了生では理学分野で88.8 %、工学分野では92.1 %となっており、大きな開きがあることがわかります。

また、博士修了者に目を向けてみますと、就職率は理系であっても理学分野で42.3 %、工学分野で54.4 %と、修士修了者と比べて減少しますが、文系では人文科学分野で21.5 %、社会科学分野で34.5 %と、更に減少します。博士課程修了者においても文系の就職率が低い傾向にあります。

理系大学院生との違いはなぜ生じる?

このような理系大学院生と文系大学院生の就職率の違いは一体どこから生じてくるのでしょうか。その理由をいくつか挙げ、考えてみたいと思います。

研究で学んできたことが企業でそのまま応用できるようなものではない

例えば、いくら経済系の学問を学んできていても、企画やマーケティングの現場では直ぐには役に立ちません。また、「文系職」と言われる職業の多くは、そこまでの専門技能を必要とするものではありません。そのため学部卒の人なら企業でキャリアを積む時間を、企業活動においては実践的でない勉強にあててしまっていると評価されることがあります。

もしくはステレオタイプのイメージの一つとして、文系の大学院進学はモラトリアムの延長と採用担当者に受け止められる場合もあります。

そもそも理解されていない文系「大学院生」

学校基本調査によれば、全国に大学生は263万人います。そのうち人文社会分野の学生数は約120万人、理工学分野の学生は46万人です。

それに対して、大学院生は修士課程で17万人、博士課程で8万人です。そのうち人文社会分野の大学院生は修士課程で2万人、博士課程では1万人しかいません。理工学分野の大学院生は修士課程で8万人、博士課程で2万人です。この数字から見てもわかる通りそもそも文系大学院生という存在自体が社会的に珍しく、採用担当者も文系大学院生についての理解が浅くなりがちです。

自身の強みをきちんと伝えないと「学部生とどこが違うのだろう」と思ってしまうことにもなりかねません。それゆえ、大学院における研究活動で当たり前のように用いている論理的思考力や仮説検証法などが、「理系」固有のスキルのように見られてしまっているようです。

参考: 文部科学省(2022-12-21)「学校基本調査: 令和4年度 結果の概要

文系大学院生が活躍できる職種

理系分野と比較すると就職で有利とは言い難い文系分野の大学院生ですが、培ってきた能力を活かすことができる職種はもちろん存在します。重要なのは、就職後の人材像を明確にイメージし、自分の強みと結び付けてアピールすることです。

ここでは、文系の大学院生が活躍できる職種をいくつかご紹介します。

営業職

営業職では、業界の動向を調査し、適切なターゲットを設定する必要があります。また、集めた情報を整理・分析したうえで提案書にまとめて提案することになります。

こうした活動では、文系分野の研究で培った能力を発揮することができるはずです。

研究職

大学院で研究を行った経験から専門性を活かすのもひとつのアプローチです。既に述べたように、文系分野の大学院生は少ないことから、高度な専門性そのものが自分自身の強みになりえます。特に金融関係、司法関係の領域では銀行や保険会社、企業の法務部門などで研究者としての求人が行われることもあります。

求められる能力

いずれにしても、大学院を修了した人材に求められるのは論理的な思考力や情報収集能力、プレゼンテーションなども含めたコミュニケーションスキルなどです。いずれも研究活動を通じて養うことが可能な能力です。もし、文系分野で大学院修了後に就きたい職種が決まっている場合や、研究に携わりたいなどと考えているのであれば、こうした能力を伸ばすことを意識すると良いでしょう。また就活においても就職後の人材像と関連付けて積極的にアピールすることが重要です。

文系大学院生の就活についてはこちらの記事もぜひチェックしてみてください。

まとめ

今回の記事では文系大学院生の就活について、理系分野と比較しながら解説しました。データからは、理系に比べて文系の大学院生が就活で苦労している人が多いことが分かります。しかし、自分の培ってきた能力を最大限アピールすれば、さまざまな分野で活躍することができるのもまた事実です。

自分の将来像をイメージしながらスキルアップや就活に取り組むことが重要です。

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著者プロフィール
アカリクお役立ちコンテンツ編集部

株式会社アカリクの15年以上にわたる大学院生・ポスドク・研究者のキャリア支援活動の中で得た知見やデータをもとに、編集部員が記事を執筆しています。

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