ベンチャー企業に就職するメリットとは？大企業との違いと向いている人の特徴も紹介

「ベンチャー企業へ行こうか大企業へ行こうか迷っている」

という就活生もいらっしゃるのではないでしょうか？
そこで今回は、ベンチャー企業で働くメリットや、中小企業・大企業との違い、ベンチャー企業に向いている人の特徴についてもお伝えします。
この記事が今後のキャリアプランの参考になれば幸いです。

ベンチャー企業とは？

ベンチャー企業には明確な基準や定義はありません。
人によって様々な解釈がありますが、一般的に以下のような企業はベンチャー企業と呼ばれることが多いです。

• 独自のアイデアや技術をもとにして、新しいサービスやビジネスを展開する企業
• 設立直後で規模や経営基盤などが小さい新興企業
• 成長過程にある企業
• ベンチャーキャピタルなどの機関投資家から投資や融資を受けている企業

いわゆるベンチャー企業と言われる会社の規模は、小規模から中規模がほとんどです。

ベンチャー企業と中小企業の違い

中小企業は、中小企業基本法という法律で業種によって分類され、資本金の額や従業員数が定められています。

これに対してベンチャー企業は、企業の規模に関わらず「独自のアイデアや技術をもとに新しいサービスやビジネスを展開する企業」のことを指します。
つまり、「ベンチャー企業でありながら中小企業でもある」というケースも存在するのです。
実際に、ベンチャー企業の多くは小規模から中規模なので「中小企業のベンチャー企業」は数多くあります。

ベンチャー企業とスタートアップの違い

スタートアップとは「新たに立ち上げられた勢いのあるビジネス」のことを指します。
たった数年で世界を変革するような破壊的イノベーションを起こすような企業もあるのです。
既存のビジネスではなく「新規に立ち上げられたビジネス」である点がスタートアップの大きな特徴と言えます。

ベンチャー企業と社内ベンチャーの違い

社内ベンチャーとは、「企業が新規事業を作り出すために社内に設けた事業」のことです。
社内ベンチャーはあくまでも企業内の組織で、独立した組織ではありません。
そのため、法人登記なども行われていないのが特徴です。

ベンチャー企業で身につくスキル

ベンチャー企業で身につくスキルは、次のとおりです。

ベンチャー企業で身につくスキル
・自発性
・ビジネスの全体像を把握する力
・課題解決力・実行力

それぞれの内容について詳しくみていきましょう。

自発性

自発性とは、自ら率先して課題を見つけ、考えて、実際に行動を起こす姿勢のことです。

ベンチャー企業では、マニュアルや過去の事例集などが整備されていないケースも多くあります。そのため、上司や先輩からの指示を待つのではなく、自分で何をすべきかを考え、行動に移す力が必要です。

また、ベンチャー企業では、若手にも大きな裁量が与えられることが多くあり、プロジェクトの成功や新規サービスの立ち上げにつながる場面も少なくありません。自ら動く姿勢を持つことで、周囲からの信頼を得やすく、成長やキャリアアップのチャンスも広がるでしょう。

ビジネスの全体像を把握する力

ビジネスの全体像を把握する力とは、企画から開発、販売、顧客対応まで事業の流れを理解する力のことです。研究や開発の業務に限らず、顧客対応や資料作成など幅広い業務を経験することで、優先順位を見極める力や効率的に動く力が身につき、事業全体を見渡す視点が養われます。

さらに、ベンチャー企業では限られた人員で複数の業務を並行して進める場面が多く、自然とマルチタスクスキルも鍛えられるでしょう。

課題解決力・実行力

課題解決力や実行力とは、自ら問題を発見し、原因を分析して最適な解決策を立て、それを実際に行動に移す力を指します。

研究や実験では、仮説が思い通りにいかないことも多く、原因を突き止めて改善策を考え、再度挑戦するプロセスを繰り返します。このような経験は、予期せぬトラブルや変化への対応力を自然と鍛えてくれるでしょう。

さらに、ベンチャー企業では、限られたリソースの中で複数の課題に対応する場面が多くあります。自ら課題を見つけ、解決策を提案して実行し、成果を出すことでチームの信頼を得て、より大きな裁量や責任あるプロジェクトを任されるチャンスも広がるでしょう。

ベンチャー企業は激務？

「ベンチャー企業での仕事は、かなりハード」
そのような話を聞くことも多いかと思います。

実際、ベンチャー企業は社員数の少ないことが多く、一人の社員がこなさなければならない業務の範囲も広くなりがちです。その結果、激務になることも多いでしょう。
そのため「激務の割に給与が低い」と感じる人も、少なからずいらっしゃいます。

しかし、ベンチャー企業は「激務」というデメリットばかりではありません。
社員が少ないということは、そのぶん裁量が大きく、多様な経験を積みやすい環境といえます。
そのため、早いうちから多種多様な業務に触れて成長していきたいと考えている方にはいい環境と言えるでしょう。

沢山の仕事がある中で楽しく働くためにも、理念に共感し、仕事内容自体に楽しみを見出せることが重要です。
「会社を大きくするのが楽しい」
「将来のために今は経験を積みたい」
ベンチャー企業はそういった方に向いていると言えます。

ベンチャー企業と大企業の違い

ベンチャー企業は、大企業と比べると行き届いた研修制度や教育の体制が整備されていないことも多いです。
しかし、だからこそ、経験を重ねながら、自分で考えてビジネスを回していく感覚を身につけられる環境とも考えられます。
大企業の多くが整えている研修制度や教育体制はもちろん魅力的ですが、ベンチャー企業だからこその魅力もあるのです。
その両方を冷静に比較して「自分はどちらにいきたいのか？」を判断しましょう。

ここで、大企業のメリットデメリットについて、簡単に紹介します。

大企業のメリット
・社会的信用の大きい企業が多い
・ヒト・モノ・カネというリソースが揃っている
・規模の大きい仕事ができる
・福利厚生が充実していることが多い
・定期昇給がある場合が多い

大企業のデメリット
・担当する業務範囲が狭くなることもある
・経営陣との距離が遠く、一社員の提案が通りづらい
・転勤の可能性がある
・年功序列制の場合が多い

上記のようなメリット・デメリットを考慮し、大企業に魅力を感じる方はそちらを選ぶのも良いでしょう。
どちらが良いということではなく、個人の価値観によって行きたい企業を選ぶことが大切です。

ベンチャー企業で働くメリット・デメリット

ここからは、ベンチャー企業で働くメリット・デメリットについてご説明いたします。
ぜひご自身の「仕事に求める価値」と照らし合わせながら、ベンチャー企業で働くことを検討されてみてください。

もちろん、以下のメリット・デメリットは、全てのベンチャー企業に当てはまるわけではありません。
あくまでも「傾向」として参考にしてください。

ベンチャー企業で働くメリット

ベンチャー企業で働くメリットは、次のとおりです。

給料
・年功序列制ではなく業績や能力が反映される場合が多い
・ストックオプション（経営者や従業員が自社株を購入できる権利）がある場合もある

福利厚生
・フレックス制度、テレワークが充実している企業も多い
・自分から声をあげて制度を作るチャンスがある

仕事環境
・似た価値観の仲間が集まる
・意思決定のスピードが速い
・個人の裁量が大きい

将来性
・将来大きく成長する可能性を秘めている

ベンチャー企業で働く最大の魅力は、評価や給与が年功序列ではなく、実力主義で決まることです。入社1〜2年目の若手のうちからマネジメントを任されることもあり、自分の成果が直接、昇給や昇格に反映されます。

勤務先やポジションによっては「ストックオプション」が付与されることもあります。ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で自社株を買える権利のこと。株の価値が上がれば、差額分が利益となり、大きな報酬につながる可能性もあるでしょう。

また、働き方の自由度が高い点も大きな特徴です。フレックスタイム制やリモートワークを導入している企業も多く、生活スタイルに合わせて柔軟に働けます。さらに「こんな制度がほしい」と声を上げれば、実際に新しい仕組みとして採用されることも少なくありません。

成長スピードが速い点も、ベンチャー企業ならではの魅力です。意思決定がスピーディーで、若手のうちから新規事業や重要プロジェクトを任されるチャンスがあります。同じ志を持つ仲間が集まり、互いに刺激を与え合いながら成長できる環境といえるでしょう。

さらに、小さな会社が短期間で急成長することも珍しくなく、会社の成長とともに自分のポジションや役割も大きくなる傾向もあるため、将来的に大きく成長できる可能性を秘めている点も、大きな魅力といえます。自分のキャリアを一緒に育てていく感覚を味わえるでしょう。

ベンチャー企業で働くデメリット

ベンチャー企業は、刺激的で成長機会にあふれた環境ですが、当然ながら注意しておきたい点もあります。

ベンチャー企業への就職や転職を検討する際に知っておきたいデメリットは、次のとおりです。

給料
・大企業と比べると低い傾向にある

福利厚生
・退職金制度などの福利厚生は整っていないケースも多い

仕事環境
・社員間の競争が激しい

将来性
・成長段階であるため、事業が継続できなくなるリスクもある

ベンチャー企業の給料は大企業と比べると低い水準からスタートするケースが多く、ボーナスや昇給も業績に左右されやすい傾向があります。安定した収入を求める人にとっては、不安に感じるかもしれません。

多くの大企業で整備されている退職金制度や住宅手当制度、充実した研修制度といった福利厚生が整っていないケースもあります。ベンチャー企業への就職や転職をする際は、将来のライフプランやキャリア形成を考えたうえで決断をしましょう。

また、仕事環境も少人数ゆえに、一人ひとりの負担が大きくなることがあります。結果を出すスピードや質が求められ、成果主義の文化では社員同士の競争が激しくなるケースも珍しくありません。

さらに、ベンチャー企業はまだまだ成長途中にあるため、事業の方向転換や縮小、最悪の場合は撤退や倒産のリスクもあります。特に資金調達に依存している企業では、景気や投資環境の影響を強く受ける恐れもあるでしょう。長期的に安定して働きたい人には慎重な判断が必要です。

ベンチャー企業に向いている人

ベンチャー企業に向いている人は、以下の通りです。

• 楽観的
• 変化を好む
• コミュニケーション能力が高い
• 新しい体験を好む

楽観的

ベンチャー企業は、新たな市場を切り開くビジネスが多いため、様々な挑戦が必要です。
悲観的だと、なかなか新たな市場を切り拓けません。
ポジティブに物事を捉え、苦しい場面でも前を向き行動できることが重要です。

変化を好む

ベンチャー企業は成長過程の場合が多いため、職場環境や仕事内容の変化が激しいです。
また、実力主義の場合も多いので、年齢や勤続年数に関わらず、大きな仕事を任されることがあります。
そのため、たとえ自分にとって未経験の業務内容であったとしても、新しい仕事を任されることもあり、「いつも同じ作業ばかりをやっていたい」という方には向かないでしょう。
逆に決まりきった仕事ではなく、変化の大きい仕事の方が楽しんで取り組める方には、非常に向いている環境といえます。

コミュニケーション能力が高い

ベンチャー企業は、他の社員との距離も近いです。
エンジニアと営業が連携を取ったり、社長とデザイナーが直接話したりといったこともよくあります。
様々な職種の方々と連携を取ることが多いため、コミュニケーション能力が高い人に向いている環境であるといえます。

新しい体験を好む

ベンチャー企業での仕事は、「道なき道を切り開く」という感覚が非常に強いです。
若手のうちから新規事業の立ち上げに関わることも多く、新しい体験の連続となるでしょう。
業務マニュアルが整備されていない場合も多く、むしろ自分がマニュアルを作る側に回ることもあります。
つまり、新しい仕事を自分で試行錯誤しながら取り組み、業務を改善して業績に貢献していく必要があるのです。
そのため、新しい体験を好み、自らの手で新しい道を切り開きたい方はベンチャー企業に向いています。

理系学生がベンチャー企業を選ぶときに確認すべき3つのポイント

ベンチャー企業は成長スピードが速い一方で、企業ごとにカルチャーや事業の方向性が大きく異なります。理系学生が入社後にミスマッチを防ぐためには、次のポイントをチェックするのがおすすめです。

理系学生がベンチャー企業を選ぶときに確認すべき3つのポイント
・事業内容とビジョンがフィットするか
・企業の将来性・成長性
・研修やキャリア開発制度が充実しているか

それぞれの内容を詳しくみていきましょう。

事業内容とビジョンがフィットするか

ベンチャー企業を選ぶときは、企業が目指しているビジョンや取り組んでいる事業が、自分の興味や価値観とマッチしているかを確認しましょう。特に理系学生の場合、研究で培った知識やスキルが活かせる分野かどうかは、入社後のモチベーションや成長スピードに直結する重要なポイントです。

採用情報や会社説明会の情報だけを鵜呑みにせず、企業の公式サイトや代表メッセージ、事業紹介ページなどを確認し、入社後の自分を具体的にイメージできるか、またそのビジョンに共感できるかを見極めましょう。

さらに、インターンやOB・OG訪問を通して、現場で活躍する社員がどんな思いで働いているかを知ると、より具体的に入社後のイメージを把握できるでしょう。

企業の将来性・成長性

企業の将来性や成長性を見極めることは、理系学生のキャリア選びにおいて重要なポイントです。成長見込みのある企業であれば、技術力を磨きながら事業が広がる瞬間に立ち会うチャンスも増えるでしょう。

企業の将来性や成長性の高さを判断するポイントは、次のとおりです。

企業の将来性や成長性の高さを判断するポイント
・参入している業界や市場が今後成長する分野か
・売上や利益が安定しているか、成長傾向にあるか
・新規プロジェクトや事業立ち上げの実績があるか
・経営陣が明確なビジョンや戦略を持っているか
・自分の専門知識やスキルが事業のどのフェーズで活かせるかイメージできるか

これらのポイントを意識して企業研究を行うことで、入社後に「思っていた成長環境と違った」と感じるリスクを軽減できるでしょう。

研修やキャリア開発制度が充実しているか

自分が成長できる環境かどうかは、長く働き続けるためにとても大切なポイントです。

特に理系学生にとっては、研究や技術のスキルをさらに伸ばせる研修やキャリア支援があるかどうかが重要なポイントになります。

研修やキャリア開発制度が充実しているかを判断するためにも、次のポイントをチェックしましょう。

研修やキャリア開発制度が充実しているかを判断するポイント
・入社時に研修が用意されているか
・OJTや定期的なスキルアップ研修、勉強会を実施しているか
・資格取得や外部セミナーの受講など、自己学習を支援する制度があるか
・上司やメンターとのキャリア面談が定期的に行われるか
・将来のキャリアパスが明確に示されているか

上記のような制度が整っている企業なら、理系学生としての専門スキルを活かしつつ、ビジネススキルやリーダーシップも磨きやすくなります。自分の成長イメージと企業のサポート体制が重なるかを意識して選ぶことで、納得感を持って長く働ける職場を見つけやすくなるでしょう。

まとめ

ベンチャー企業のメリットは以下の通りです。

• 年功序列制ではない場合が多い
• フレックス制度、テレワークが充実していることも多い
• 自分から声をあげて制度を作るチャンスがある
• 似た価値観の仲間が集まる
• 意思決定のスピードが速い
• 裁量が大きい
• 成長できる
• 将来大きく成長する可能性を秘めている

ベンチャー企業のデメリットは以下の通りです。

• 給料が大企業と比べると低い傾向にある
• 退職金制度や保険などの福利厚生は整っていないケースも多い
• 職場での競争が激しい
• 事業が継続できなくなるリスクがある

ベンチャー企業は、安定を重視する人には向いていないかもしれません。
しかし、大変なことが多い分、大企業では得られない経験を積める環境でもあります。
大切なのは「ご自身に合った職場や環境を見つける」ことです。
ベンチャー企業への就職に不安を感じる方は、実際に働いている先輩などの話を聞いてみるといいでしょう。