忙しい毎日、研究を続けたいけどなかなか時間が取れない…。そんなあなたに、ぜひ知ってほしいのが「ゆる研」という新しい研究スタイルです。
今回は、株式会社アカリクが開催した「ゆる研」ウェビナーの内容をもとに、研究とキャリアを両立するためのアイデアや、趣味として研究を続ける楽しさをご紹介します。
「ゆる研」ってどんなもの?
「ゆる研」とは、文字通り“ゆるく研究を続ける”ことをテーマにした活動。忙しい仕事の合間や、日常生活の中で、あまりプレッシャーを感じずに自分の好奇心を追求する場です。「がっつりとした研究じゃないとダメなの?」と思うかもしれませんが、答えはノー。ゆるくてもいいんです!
ウェビナーの中では、アカリクのキャリアアドバイザーが、自身のキャリアを歩みながらも、趣味として研究を続けている体験談を紹介しました。多くの研究経験者が、キャリアと研究の両立に悩んでいる中で、「ゆる研」はまさにその両方を楽しむための絶好のスタイルだと言えます。
きっかけは藻類!? 「まずはやってみる」精神が大切
ウェビナーの中で特に面白かったのが、「藻類を飼ってみよう!」という研究の始まり。興味を持ったのは、藻類の産業利用です。とある企業が藻類を使って様々な製品を開発していることを知り、自分も試してみたい!という気持ちから、近所の公園で藻を採取し、100均で買ったフィルターや培養液を使って実験をスタートしました。
結果はどうだったか? 培養液の有無で藻の成長に違いが出るという発見がありました。もちろん、専門的なラボで行う研究とは違い、準備も限られていましたが、このように「まずやってみる」という姿勢が、ゆる研の一番の魅力です。失敗を恐れず、楽しみながら進めることで、意外な発見があるかもしれません。
バイオインフォマティクスで新しいチャレンジ
藻類の研究をきっかけに、次にバイオインフォマティクスの分野にも挑戦しました。バイオインフォマティクスとは、コンピューターを使って生物学的データを解析する分野です。ウェットラボでの実験が難しいと感じたため、よりデジタルなアプローチにシフトしたのです。
興味深いテーマとして取り上げたのは、冬眠中のクマのHDL(善玉コレステロール)に関する研究です。冬眠中のクマは、脂肪を大量に蓄えますが、動脈硬化にならないという特徴があります。この点に注目し、クマのHDLが他の動物とどのように違うのかを調べました。バイオインフォマティクスを使うことで、様々な動物のHDL含有タンパク質の配列を比較し、動物の生態や食生活、環境がどのように影響するかを解析することができました。
「ゆる研」で研究経験者が得られるもの
「ゆる研」の魅力は、自由度の高さと、研究を続ける楽しさにあります。キャリアに追われる毎日の中で、「研究したい」という気持ちを持ちながらも、なかなか時間を作れない研究経験者にとって、ゆるく研究を続けることは大きな解放感につながります。
さらに、ウェビナーでは他の参加者からも、「研究の楽しさを忘れたくない」「仕事だけでは満たされない部分を埋めたい」という声がありました。研究職から離れても、興味のある分野を追求することで、精神的な充足感を得られるというのも「ゆる研」の大きな魅力です。
今後の展望:「ゆる研」プラットフォームの構想
登壇者としては「ゆる研」をさらに広げるため、ゆる研のためのプラットフォームを作りたいと考えています。研究を続けるための資金や発表の場、議論の仲間を提供し、研究者同士がゆるくつながる場所を目指しています。
このプラットフォームでは、研究を趣味として楽しむ人や、キャリアと研究を両立したい人たちが集まり、新しいアイデアや発見をシェアできる場になることを期待しています。「ゆるくても科学は進む」というメッセージを掲げ、これからも多くの人が「ゆる研」を楽しめる環境を作っていく予定です。
まとめ
「ゆる研」は、仕事や家庭と並行しながらでも、自分のペースで研究を楽しむことができるスタイルです。研究職を離れた人や、キャリアの途中でもう一度研究を始めたいと思う人にとって、ゆる研は新しい選択肢となるでしょう。あなたも、少しだけ「ゆるく」研究を始めてみませんか?